夜天の主とともに  プロローグ
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夜天の主とともに  プロローグ

 

 

 

「ここはどこだろう?」

 

目が覚めるとそこは何もないただ真っ白な場所だった。

白い部屋とか、白い壁があるとかいうのではなくてただ真っ白なのだ。白以外に何もない。

 

この時点で少年は混乱しかけたがとりあえず状況整理することにした。

 

(まず俺の名前は‥‥‥‥あれ?出てこない。

なぜ出てこないかはわからないが先へ進めよう。年齢は‥‥13歳。よしこれは出た。家に誰もいないから「お〜い」夕食の材料を買いにスーパーへ行く。

よし、これも大丈夫だ。で、目的のものは「お〜い!!」買ったから帰ろうとして‥‥‥‥‥‥‥あれ?またその先が出てこない)

 

それからウンウン唸りながらずっと思い出そうとしたが一向に思い出せる気配がなかった。

 

(ヤバいな本格的にいろいろとおかしい。

最後に何をやっていたか思い出せないし何より自分自身の名前が思い出せないのはおかしすぎる。この真っ白な場所もそうだし、「……お〜い」さっきから幻聴が聞こえるし、‥‥‥‥‥‥‥‥幻聴?)

 

後ろを振り返ってみるとそこにはさっきまでいなかったはずのお爺さんが体育座りしたままいじけていた。

 

「あの〜すいません誰ですか?」

 

「おぉ!やっと気づいてくれたか。全く気付いてくれなかったからついいじけてしまったぞ」

 

「すいません、こっちも状況確認に忙しくて。それであなたは誰ですか?」

 

そういうと目の前のお爺さんはフッフッフッと笑いながらドヤ顔で言い放った。

 

「儂はの‥‥神じゃ!!」

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

瞬間少年と神?がいる空間が固まった。それに気づいていないのか神?は腕を組みさらに胸を張った。

 

「びっくりしすぎて声も出せんか」

 

何か言っている神?の肩に少年は手を置くと至極真面目な表情で言った。

 

「お爺さん‥病院行きましょう」

 

「なんでそうなるのじゃ!?」

 

「だって神ですよ。そんなのいるわけないじゃないですか?」

 

「なっ!?‥‥よ〜しそこまでいうならお主が今困っていること当てて見せよう」

 

「はいはい、そんなのできるわけが「お主記憶が欠如しておるじゃろう?」なんでわかるの!?」

 

「神じゃからな。ついでに言えばその記憶戻せるぞ。名前は無理じゃがな」

 

「本当ですか!?名前以外だけでもお願いします!!」

 

本当に目の前の老人が神だとは思えないがこうなったらやけくそだとばかりに少年は頼んだ。

 

「よかろう、ただ心の準備だけはしておくのじゃぞ」

 

神?は少年の頭に手をかざすムムムッと唸り始めた。

すると今まで霧ののようなもやがかかっていたところが次第に鮮明になっていく。

そして霧が完全に晴れた時少年は愕然とした。なぜならその記憶にはトラックに跳ね飛ばされ即死する自分が映し出されていたからだ。

 

「‥‥‥えっ?俺死んだの?」

 

「まぁそういうことじゃ。買い物帰りに信号無視をしたトラックがお主に突っ込み後頭部強打で即死じゃ」

 

「(ズーン)」

 

あまりにもショックな出来事のせいで少年は落ち込みに落ち込んでブツブツ言いながら神?背を向け体育座りをして無言になってしまった。

 

これに困ってしまったのは実を言うと神?の方であった。

なぜなら今までもこのようにしてこの神?の下へ何人もの死んでしまった人間が来るのだがその全てが自分の死をあっさり認め納得していたからである。

 

(まぁ普通は自分が死んだなんてすぐ信じれるわけがないしたとえ認めても納得できるわけがないよのぅ。これが普通の反応じゃて)

 

「あ〜落ち込んでいるところ悪いのじゃが‥‥」

 

「‥‥‥なんですか?しばらくほっといてもらえませんか。(まだまだいろりろやりたいことあったのになぁ‥‥)」

 

「そのことなんじゃがお主もう一度生を受けてみる気はないか?」

 

「‥‥‥‥今なんと?」

 

「いやの、普通の人間は死ぬと天国か地獄に送られてからまた新しい生を受けるのじゃがこの場所へ来れたものは今すぐに生を受けることができるんじゃよ」

 

「じゃ、じゃあ元の生活に戻れるんですか!?」

 

あまりの少年の食いつきように神は後ずさりしながらも無理はないかと思った。

また生きることができるというのは今のこの少年にとっては紛れもなく神の救いなのだろうから。

 

「お、落ち着くのじゃ。残念ながら元の世界に戻ることはできん。転生という形で他の世界に行くことになるの」

 

「そうですか‥‥、でもまた生きれるなら。その前に気になることがあるんですけど」

 

「む?なんじゃ?」

 

「元の世界には戻れないということは俺が生きていたとこ以外にも世界ってあるんですか?」

 

「うむ!アニメの世界もちゃんとあるぞ。」

 

「そうですか!?アニメの世界も存在するのか。それで俺はどの世界に転生するんですか?」

 

(急に冷静になったのぅ。生きれるとわかったからかのぅ)

 

「そうじゃの、どこか行きたいとこないのか?」

 

「そういうの俺よくわかんないんで」

 

「なら大人気のリリカルなのはの世界はどうじゃ?」

 

「えっと魔法があるアニメでしたっけ?」

 

「そうじゃ、お主も好きじゃろあの登場人物」

 

「すみません。俺そのアニメ、魔法を使うってこと以外何も知らないんで」

 

「お主とことん珍しいのぅ。それでその世界でいいかの?」

 

「あっはいそこでいです」

 

「次は魔力ランクじゃ。いるじゃろう?」

 

「魔法がある世界なら一応何かあった時のためには。ほどほどでいいので」

 

「じゃあAA+かの。よし次は能力サービスじゃ!さぁ能力は何にすr「俺いいです。」なんじゃと!?」

 

「俺普通に生活できればそれでいいので。また生きれるだけでもありがたいし魔力もらえたからこれ以上求めるのは」

 

「お主本当に珍しいのぅ。ここまで欲がない者はそうはおらんぞ。あとは容姿、性別、住む場所じゃな」

 

「容姿は普通で、性別はもちろん男、住むところは神様に任せます」

 

「やっと神と認めてくれたか」

 

「一応ですけどね」

 

「それでもよい。お主の願いは聞き届けた。住む場所は海鳴市というとこにしたからの」

 

「ありがとうございます」

 

「そこを抜ければお主は新しい生を受け生まれる事じゃろう」

 

神が指差す方向を見るとその先に光の扉が現れた。

 

「何から何までありがとうございました」

 

「なに、これが仕事じゃからの。気にするでない。言い忘れておったがお主以外にも転生者はおるから気を付けての」

 

「わかりました。それじゃあ、さようなら」

 

少年は光の扉を潜ると光に包まれ消えていった。

 

「ふぅ、行ったか。本当に変わった少年だったのぅ。

ここに来る者はほとんどチートばかり望むから返って新鮮だったかもしれん。

儂は神じゃからあの少年を優遇するようなことはできんが‥‥」

 

 

 

願わくばあの少年に幸多からんことを

 

 

 

 

 

説明
以前にじファンにて投稿していたものの修正版です。
ハーメルンにもラビッツというユーザー名で同様の小説を投稿しています。

何の変哲もない暮らしをしていた少年が死に、そして転生する。望むのは普通の暮らし。そんな中で出会う少女との関わり。ノリで書いたりするのでご承知ください。

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