魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜赤き狂戦士〜 |
第一章 赤き狂戦士
第七話「模擬戦」
最強と謳われている赤き狂戦士ことスターズ副隊長ヴァン・ハートネットと
模擬戦をする事になったフォワードの4人。
その顔はまるで、目の前の猛獣に睨まれ動けないというものだった。
それを訓練場から少し離れたホログラム制御装置の近くでその姿を見る者がいた。
「やっとあの赤き狂戦士と言われてるヴァンさんの実力がみられるですぅ〜」
「新人達エリオとキャロ大分緊張してる・・・大丈夫かな・・・」
期待まじりの声を上げるリインと自分が後見人として見ているエリオとキャロをの様子を見て
心配の声を上げるフェイトとそれぞれ思っている事は違っていたりしていた。
「心配しすぎやフェイトちゃん。いくらヴァン君でも加減を間違えなければ何もあらへんって」
「加減を間違えたらどうなるの!?」
「え、えぇー!?そ、そらやっぱり・・・打撲くらいはするんちゃうの?」
実際ヴァンが加減を間違えばそんなものではすまないと思っているはやてだが、
興奮気味なフェイトをこれ以上刺激しない為にオブラートに包む事する。
「ま、まぁ打撲だったら・・・」
(ふぅ・・・何とか誤魔化せたわ・・・)
思わず安堵する。
だが・・・
「でもよく考えてみたらヴァンってすごく強いから打撲ですまないんじゃ・・・」
「ギクッ!!」
結局誤魔化しきれなかった・・・再び質問攻めにあうはやて。
そんなわかりやすい嘘などわかるだろうに・・・
それをよそに・・・
「私もヴァンさんの能力とルーチェさんの力がもう気になって、八神部隊長から2人がフォワード達と模擬戦をするって聞いた時はもういても立ってもいられなくて!!」
興奮気味のメガネをかけた女性---シャリオ・フィニーノが目を輝かせてモニターに映る
ヴァンと新人達をみていた。
あとどうやら今回の模擬戦はどうやらはやての刺しがねだったようだ。
「フィニーノ。興奮しすぎだ・・・」
とシャーリーを止めるシグナム。
鼻息を荒らしていたら変質者もいいところだ・・・
「す、すいませんシグナムさん・・・でもちょっと気になる事があったんで・・・」
「気になる事?」
さっきの表情と違い真剣な表情のシャーリーを見てシグナムも彼女の話す内容を
自然と知りたくなった。
「ヴァンさんのデバイス、ルーチェはインリジェントデバイスなんですけど何か普通のインリジェントデバイスとは違うんです」
「どういう事だ?」
シャーリーの話した事が妙だと感じた。
「材質や構造などは自体は同じみたいなんですけど・・・核となるコアが普通の
インテリジェントデバイスとは何か違うんです」
「核が違うか・・・それで性能が私達のデバイスと変わったりするのか?」
「いえ、今のところはなんとも・・・なにせ詳しくルーチェの中を調べよとすると
エラーが発生してしまうんです・・・」
「デバイス自体が調べられる事を拒否をしているという事か・・・」
「そうなんです・・・あんなデバイス初めて見ましたよ。プロテクトが頑丈な上、無理に解除しようとすれば、自爆するようになっちゃてまして・・・」
「ふむ・・・」
ここまでするデバイスは中々いるものではない。何らかの事を知られるのを
防ぐ為にしているのだろう。
だがそれが何かシグナム達が知る事はできない。
「デバイスが頑なに開示を拒んでいる事を、マスターであるハートネットに
聞いても教えるはずはないなだろうな」
「はい。まぁメンテナンスするだけだったら特に問題はないんですけど・・・やっぱり
技師としては是が非でも調べてみたいんです!!」
真正面な空気が後半な言葉でぶち壊し。
ついため息を吐くシグナム。
「そう熱くなるなフィニーノ。無理に調べようとして、デバイスの自爆機能を作動させるなよ?
メンテナンスに影響がない事を調べようとして上官のデバイスを壊したとなると
技師の糞も何もないからな」
「は、はい・・・肝に命じます・・・」
シグナムの言葉で落ち着きを取り戻すシャーリー。
とりあえずルーチェのプロテクトを解く為に暴走する事はないだろう。
「おっ!始めるみたいやな」
フェイトを適当に言いくるめたはやてがモニターを見て呟き、シグナムとシャーリーもそれを見る。
「楽しみですぅ〜!ワクワクですぅ〜!」
目を輝かせたリインが今からはじまる模擬戦の考え、期待に胸躍らせる。
「・・・ハートネット。お前の力見せてもらうぞ」
そして、合図と共にフィールドにいる者達が動きだす。
模擬戦が始まった。
模擬戦が始まると共にヴァンは地面に魔力弾を撃ち込み粉塵と共にビルの影に隠れて
4人の動きを探る。
気配を完全に消している為に4人はヴァンを見つけだす事ができない。
《珍しいですね、アナタが戦闘開始と同時に姿を隠すなんて》
ルーチェの言う通り、今ヴァンがした事は確かに普段の彼ならしない。
いつもなら魔力弾が向かってこようが、全て弾き返しながら戦うという、
普通の魔道師ならしたくない・・・いやできない戦いをするのだが、
今回は違う。
「インフェルノの新人共にならそれでもいいがァ、アイツらは実戦経験皆無のひよっこ共だァ。
そんな奴ら相手に俺様がいつも通り正面突破で行けばアイツら
100パーテンパって5分足らずで脱落する」
実戦ばかりの部隊から集められた新人達相手なら彼の言うとおりいつも通りの戦い方だろうが、
今のフォワード4人にはおそらくヴァンの行動を冷静に対象できないだろう。
「それにアイツらには味わってもらう必要がある」
《何をですか?》
どうせふざけた事を言うと思うがとりあえず聞く。
「戦場の空気って奴をなァ」
《・・・・》
意外とまともな答えが返ってきた。
内心少々驚くルーチェ。
「アイツらは今周りから聞かされた俺様の戦場での噂話を思い出しているはずだァ」
ここに来るまで自身が有名になっている自覚を持っていなかったヴァンだが、なのはから色々聞かされ自分がどのように呼ばれているか知った。
その内容をフォワード4人が知っていれば間違いなく恐れるものだった。
「新人共は今そのイメージで極度に緊張している・・・まァそれと共に警戒心も高くなるのは当たり前・・・だから今回はその空気に慣れてもらうぜェ」
《という事はもうしばらくこのままでいるつもりですか?》
「あァ。その為に模擬戦前にあそこまでプレッシャーをかけたンだァ。かけられたプレッシャーを奴らが払いのけられるかが今回の模擬戦の目的の一つだァ」
ハーナ達が呆れていた事に対しては一応意味があったようだ。
まぁそんな事だとは彼女達が知る由もないだろうが。
《意外と考えていらしやっるんですね》
「これでも戦術教官なンでなァ、弱い奴らを強くするのが俺様の仕事なンだよォ」
《はぁ・・・普段からこんな感じで頑張っていただけたらいいのですが・・・》
思わずため息がでる。
デバイスの彼女だが、親が普段不真面目な子供がある一場面だけて調子がいい時には
こういう事を思うのだろうなと思ってしまう。
「あきらめろォ。俺様は俺様がしたい事しかしねェーンだよォ。それにアイツらは鍛え方次第でとんでも強くなる・・・将来俺様を楽しませるにはいい逸材だァあげゃげゃ!!」
《・・・さっきの私の言葉を返してください》
どうやらヴァンは自分で鍛えたフォワード達といつか戦う気でいるようだ。
流石根っからの戦闘狂。
やる事に卒がないが人を呆れさせるには十分な理由でもある。
「さて・・・そろそろ動くかァ・・・」
《やはり最初に司令塔であるティアナを潰す気で?》
「いや。まずはキャロを潰すぜェ」
ヴァンはルーチェに説明する。
まず狙うのは、補助魔法持ちのキャロ。
元来、戦いにおいて指揮系統を潰すのが基本、この場ではティアナがそれにあたる。
だがこれは少人数での模擬戦だ。
ヴァンではあり得ないがリーダーを倒しても力押しで負ける可能性もある。
その為に力押しされない為にも能力を底上げする補助能力を持つキャロを最初に倒す必要がある。
《で、キャロの次がティアナですね?》
「あァ。補助と指揮系統を無くした隊などただの烏合の衆だかンなァ」
指揮系統を乱せばどんな隊でも必ず乱れが現れる。
地面についた蟻がフェロモンを頼り行列をつくり歩いているのを、
一部を何かで妨害すると匂いを嗅ぐ事ができず、目印を失って右往左往するのと同じだ。
「そして残りの2人は正直順番はどうでもいい。ティアナを潰した後に最初目に入った方
を潰すとしようかァ」
補助と指揮を失った者を倒すのは造作もない。
始めからフォワード達に勝たせる気はヴァンには一切ない。
今回の模擬戦ではさっき言った事と補助と司令塔がどれほど少人数戦で要なのか知れれば十分だろう。
《マスター。キャロとティアナの位置を特定しました》
「言わなくても連中がどこにいるかなンざ余裕でわかンだよォ。ティアナは今幻術を作る
最中ってトコだろうなァ」
《はい。ティアナの方は幻術の体勢に入ったようで先ほどから魔力反応が消えたりしています》
「どうせ今のティアナでそう長くは幻術を維持できまい。それに最初はキャロだ。行くぜェ」
《了解》
キャロが見下ろせるビルへと気配を消しながら移動する。
キャロはそれに気づいていない。
「モードR R2」
《Mode Rifle R2》
大剣から漆黒の銃へとルーチェを変化させ、さらにもう一段階形態を変化させ、
銃身が伸びスナイパーライフルへと変化させキャロを背後から狙う。
「魔力を固めろ・・・後頭部にに当てて一撃で戦闘不能にする」
ヴァンの指示でルーチェ自身に送られてくる魔力を固める。
《Road Complete》
「イビル・レイ・・・シュート」
真紅の魔力光が発射と共に黒く染まる。
なのはと戦った際もそうだが、ヴァンは自分の魔力光をどういう訳か変化させる事ができるようだ。
そして---
「うっ!?」
バスッ、
と音が響くと共にキャロが倒れる。
「!?キャロっ!!」
何が起きたかわからずにいるティアナが、リーダーとして状況を確認する為に動きだす。
「自分から来てくれたかァ・・・動く手間が省けた・・・」
再び魔力をルーチェに貯める。
「お礼に一撃で狙い撃ってやるぜェ」
《Evil Ray》
だがそれは間違いだった。
ティアナに黒い閃光が迫る。
「・・・えっ!きゃあっ!?」
イビル・レイが胸に命中し、ティアナは後ろに吹き飛び壁にめり込み、戦闘不能になる。
事が起こって1分足らずで後衛2人の撃墜。
ヴァンの宣言どおりに事は進んでいる。
《Master》
「わかっている」
ルーチェの声を聞く前に彼女が何を言いたいか理解する。
後ろを振り替えると蒼い道のような物がヴァンのいるビルへと伸びその上を滑って
向かってくる者がいる。
「うおぉぉぉぉ!!」
気合いの入った声を上げて蒼い道---ウイングロードを進んで向かってくるスバル。
「正面から来るかァ・・・嫌いじゃねェーがァ・・・」
ビルを離れ、空中を飛びながらスバルへ迫る。
「今のテメェじゃいいサンドバックになるだけだぜェ!!」
《Mode Blade》
銃から大剣へとルーチェの姿が変わる。漆黒の刃がスバルのリボルバーナックルとぶつかり
火花が散る。
「・・・くっ!」
「どおォーしたァ!!もっとやれンだろテメェは・・・」
ヴァンは剣を自分から引き、力の均衡を破る。
スバルはそれに対応できず前へ倒れそうになる。
「ちょいさァ!!」
体勢を崩したスバルに大剣を容赦なく叩きこもうとする。
だがギリギリでスバルは左腕でプロテクションを展開しそれを防ぐ。
そしてリボルバーナックルの装備された右腕でヴァンを殴ろうとするが・・・
「そンな痛そうなモン食らう訳ねェーだろうがァァ!!」
狂気的な笑みを見せ、スバルはその顔を見て怯む。
そしてそれを見逃すヴァンではない。
「あげゃげゃげゃげゃ!!」
「嘘!?」
驚愕するスバル。
剣を抑えていたプロテクションが潰されたからだ。
「テメェは今俺様の放ったプレッシャーに耐えきれず怯ンだァ。そのせいで無意識にオマエは
プロテクションに使っている魔力バランスを崩したァ・・・だから壊れたンだよォ」
「そ、そんなまさ」
スバルが言い終える前にヴァンが彼女に回し蹴りを放つ。
「うわぁ!?」
腕をクロスしてその一撃をガードするが威力を軽減できず、ウイングロードから外れ落ちていく。
「派手に沈め」
ライフルモードにし、魔力弾を放ち、スバルの腹部に命中させ、近くのビルへ激突させる。
そのまま地面へ落下させると流石に不味いと思いダメージを
軽減させる為に一番近いビルへとヴァンは当てたのだった。
《アナタにしては優しいですね》
「何、少しイメチェンでもしようかと思ってなァ」
《マスターには似合わない言葉ですね》
冗談を言いつつも辺りの警戒をやめないルーチェ。
ヴァンも同じだ。
「残るは一人だが・・・」
どう来るか考えていると直ぐに変化が起きる。
《Sonic Moov》
「あン?」
背後から電子音声が聞こえる。
エリオのデバイス「ストラーダ」のものだ。
エリオはそのままヴァンの首元にストラーダの矛先を当て意識を奪おうとする。
「ケッコウ早ェじゃねェーかァ」
「なっ!?」
ヴァンはその一撃を振り向きもせず素手でストラーダを止めていた。
力を込めた一撃を簡単に止められ、驚愕する。
「え?」
腹部に違和感を感じ見る。
そこには漆黒の銃が当てられていた。
ゆっくり顔を上げヴァンの顔を見る。
「バーイ☆」
っと屈託な笑顔をエリオに向けていた。
「あ、はは、あははは・・・」
もう笑う以外エリオにできる事はなかった。
そして・・・
ズガンッ!!
銃声と共にエリオが吹き飛び、こちらもビルへと激突する。
そして撃沈した。
結果は言うまでもなくフォワードの全滅な上にヴァンの圧勝だった。
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「やっぱアイツの圧勝で終わっちまったな」
「・・・う、うんそうだね・・・」
こうなる事を予想し冷静に起き上がるフォワード達を見てそう呟くヴィータと、
模擬戦中はやて達と共になのはのいる場所まで移動したフェイトはエリオとキャロが
怪我をしていないか気が気でない。
今にも飛び出していきそうだった。
「心配すんなよ。アイツはちゃんと手加減しってから新人共は怪我一つしてねぇーよ」
そんなフェイトを見てヴィータは心配するなと声をかける。
「はい、皆お疲れ様!午前の訓練はこれでおしまいだよ。
午後の訓練でも頑張れるようにゆっくり休んでね」
なのはが訓練終了を告げる。
それと同時にヴィータの隣にいたフェイトが稲妻の如くエリオとキャロの元へ走っていく。
「フェイトの奴も大変だな」
思わず笑ってしまうヴィータ。
初めてあった頃のフェイトと比べたからだろう。
自分自身もだが人間って変わるものだと感じていたりしていた。
「・・・まぁアイツは特に変わってないけどな」
同時に例外もいるのだと思い、色んな人間がいる事を改めて理解したヴィータだった。
説明 | ||
時空管理局特務殲滅部隊---通称「インフェルノ」。そこには管理局員、次元犯罪者の両方が「赤き狂戦士」と恐れる青年が所属していた。そんなある日彼は、インフェルノの部隊長の命を受け新しく設立された部隊「機動六課」に異動する事になり、狂喜的な笑みを浮かべ素直に異動を受諾する・・・彼の笑みは何を意味するのか? |
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