魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜赤き狂戦士〜
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第二章 始まり

第十五話「ファーストアラート(中編)」

 

 

初出動のフォワード部隊を乗せた機動六課所有のヘリは現在、

エイリム山岳丘陵地帯の上空を飛行している。

強風が吹いているにもかかわらず、まったく風に影響されていないのは、

パイロットの腕が並の腕ではないからであろう。

 

 

 

『広域エネミーサーチに熱源多数確認。我々に接近してきています』

「なにィ?」

 

 

丁度なのはがリニアレールに突入した際のスターズとライトニング、

隊長陣の役割を説明していた時だ。

 

ルーチェが広域エネミーサーチに反応が現れた事を告げる。

 

「新手かァ。飛行型だなァ?」

『はい。高速でこちらに接近してきています。数は反応にあるのを捕捉すると、30機。

3編隊で、それぞれ距離を保って飛行しています』

 

 

《飛行型出現!現地観測隊、反応を多数確認!》

 

少し遅れて飛行型が現れた事を知らせる声が、ヘリの中に響く。

 

 

「ルーチェって優秀なんだね」

「コイツは特別製なンでなァ。優秀で当たり前だァ」

 

『お褒め頂きありがとうございます。なのはさん』

 

管制よりも早くガジェットの反応を捕捉したルーチェを優秀だと話すなのは。

そんな二人に、ヴァンは当たり前だと話し、ルーチェ本人は丁寧に話す。

 

 

「作戦変更だなのは。お前は、今すぐに空にバンジーして空の煩いハエ共を蹴散らせェ。

その作業をしながらフェイトと合流しろォ」

 

「わかったよ・・・って何でヴァン君が勝手に決めてるの!?隊長は私だよね?」

 

「あン?ワリィーなァ。インフェルノで隊長してた時のの癖だァ。が、

オマエも同じような指示をするだろォ?」

 

「まぁそうだけど・・・ヴァン君はどうするの?」

 

「俺様はヒヨッコ共の面倒を見る。本当なら空で暴れたいトコだがァ、

この役目は本来ハーナがするヤツだったァ。が、

アイツ今いねェ。

なら、同じ部隊から来た俺様がその穴を埋めるのが必然だァ」

 

「わかったよ。ヴァン君、皆の事よろしくね?」

 

 

そうヴァンに頼み、なのはは、ヴァイスにハッチを開けるよう指示し、ハッチに向く。

 

 

「じゃあ、ちょっと出てくるね。現場にはヴァン君が付くからそれほど、危なくはないけど、最後まで気を抜いたら駄目だよ?」

 

「俺様もできる限りは助けてやるがァ、当てにすンなァ。

俺様は基本、リニアレールに取りつこうとする新手を始末するのがメインだかンなァ。

現場の指示は俺が言わない限りはティアナの指示を聞けェ」

「はいっ!」

 

「分かりました!!」

 

なのはとヴァンの言葉を聞き、スバルとティアナが力強く返事をする。

分隊の中では年長組の二人は下の二人の見本になる為に、緊張しているにもかかわらず、

力強く返事をする。

特にティアナはリーダーという、チームのアキレス腱。

他の3人よりさらにプレッシャーが掛かっている。

 

「それじゃ、皆も頑張ってズバッとやっつけちゃおう!」

 

「「「はいっ!!」」」

 

「・・・はい!」

 

4人の中でキャロの返事が小さかった事をなのはは気付き、キャロに微笑みながら優しく声をかける。

 

「・・・大丈夫。離れていても、通信は繋がってる。ヴァン君はああは言ってるけどキャロが困っていたら、必ず助けてくれるよ。一人じゃないから、ピンチの時は助け合える。

キャロの魔法は、皆を助けてあげられる、優しく強い魔法なんだから」

 

「・・・・・・」

 

なのはの励ましの言葉を聞いてもキャロの顔はすぐれない。

 

流石のなのはも少し困った顔をする。

 

「オラっ!!」

 

「うひゃ!?」

 

それを見兼ねたヴァンが、突如、キャロの顔前に自分の顔を近付け、キャロを脅かす。

 

 

「オイ、チビィ。聞けェ」

 

「は、はい!」

 

 

顔を離し、代わりにキャロの頭に手を置くヴァン。

 

それを見ている者は何をするのかと思い、二人を見ている。

 

 

「いいかァ?俺達は生き延びる。

全員揃ってだァ。

だがァ、その為には覚悟が必要だァ。戦い抜くという覚悟がなァ」

 

「戦い抜く・・・覚悟・・・」

 

 

ヴァンの言葉を繰り返し言うキャロ。

 

 

なのは達も不思議とヴァンの話しに引かれていく。

 

 

 

「力はただ力ァ・・・決して変えられやしねェ。

テメェは自分の力と向きあわなきゃならねェンだよォ」

 

 

「!!」

 

「例え誰が相手だろうと戦い抜く・・・戦うのは辛いが仲間が死ぬのはもっと辛ェ!!」

 

 

はっとした表情になるキャロ。

 

 

 

そしてキャロの頭をワシャワシャと撫でる。

 

 

 

「ヴァン副隊・・・ヴァンさん・・・」

 

 

そして、フォワード4人が視界に入る位置に移動して続きを話す。

 

 

「さっきも言ったが俺様は基本、お前達を助ける事はよほどの事がない限りしねェ。

理由はお前達がなのはの訓練をどれだけ忠実にこなして、身に付けてるか見極める為だァ。

各分隊の連中はお互い弱点をフォローしつつ行動しろォ!!いいなァ!?」

 

「「「「はいっ!!」」」」

 

今度こそ、フォワード4人揃って返事をする事ができた。

 

「いいかテメェらァ!生き延びるぜェ!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

それだけ言うとヴァンは振り返り、ハッチの前にいるなのはの隣に立つ。

 

 

「行くぞォ、なのは」

 

 

「あれ?ヴァン君はフォワード達と一緒に出るんじゃなかったの?」

 

 

ヴァン自身が提案した作戦内容と違う事をヴァンがしたので、なのはが疑問に思い、ヴァンに尋ねる。

 

 

「リニアレールの上の制空権の確保をしに行くンだよォ。

ヘリから降りる時、下から狙い撃ちされるのはたまらンからなァ」

 

「確かにそうだね。流石ヴァン君!!戦いになると頭とキザっぽいセリフも言えちゃうんだね」

 

「黙れェ」

 

そう一言なのはに言い残し、ヴァンはハッチの外を見る。

 

「ヴァイスゥ!!進路変更ォ!!ルーチェから送られたルートで行けェ。

そのルートだと最初のルートより3分ほど遅れるがァ、

その時間内に俺様がリニアレールの制空権を取ってやる」

 

 

「了解っす!ヴァンの旦那!!」

 

 

「なのはァ、俺様が出た後にお前も出ろォ」

 

 

「了解!」

 

 

またヴァンに命令された事に気が付くなのはだが、あえて今回は流す。

 

正直疲れたのであろう。

 

 

「スターズ02 2nd、俺様ァ!!出るぜェ!!」

 

 

勢い良くハッチから飛び降りるヴァン。

 

その顔は、今からとてもデリケートな任務に行く者の顔ではなく、

顔の表情は一杯に、狂気的な笑みが満ちあふれていた。

 

 

 

「あげゃげゃげゃげゃ!!」

 

 

 

 

六課に来てから、初の出現に彼は緊張など持ってなどいない。

 

 

ただ、敵を破壊するのが彼の喜びなのだから。

 

 

 

 

--------------------------------------------------

 

 

 

 

ヘリがリニアレールの上空に着いて、ヘリからフォワード達が飛び降り、着地する。

 

そしてそこで彼女達が見たものは驚き以外、何でもなかった。

 

 

「あの・・・これ、ヴァン副隊長が全部やったんですか?」

 

唖然としている者中で、なんとかヴァンに話しかけるティアナ。

 

今だにその顔から驚愕が抜けていない。

 

 

「あン?ったりめェだろォ?他に誰がやったンだよォ?」

 

 

「でも・・・これは・・・うわぁ・・・・」

 

 

スバル達が目にしているもの・・・それは、何十体ものの、切り刻まれたり、撃ち貫かれたり、

真っ二つにされたガジェットの残骸が、山のように積まれていて、

その天辺に平然と座って、欠伸をしている、彼女達の上司だった。

 

あまりのシュールな状況に開いた口が塞がらない4人。

 

 

「ほらァ、何してる?さっさと行動しろォ。ティアナ!!テメエが指揮を取るンだろうがァ?」

 

「は、はい!!」

 

ヴァンに言われ、すかさずスバルとキャロ、エリオに指示をし、その指示通り動き出す4人。

そんな中、彼女達が立っている列車の上部がものすごい力で破壊される。

 

身構える4人。

 

だがヴァンがそれを起こしているだろう元凶に対して床事、

ルーチェライフルモードで元凶をぶち抜く。

 

直径1メールほどの穴が床に空き、下を覗くと爆散したガジェットが数体派手に散らばっていた。

 

 

「行けェ!!崖から新手が来たぞォ」

 

「「「「!!」」」」

 

崖を見る。

 

ヴァンの警告通り複数のガジェットの編隊がリニアレールに駆け降りて来る。

そのガジェットの編隊に向け、魔力弾を放ちガジェットを数体破壊する。

 

その間に、スターズの2人は移動を開始する。

 

残されたのはライトニングの2人。

 

 

「キャロォ!!」

 

 

「は、はい!!」

 

 

ヴァンがガジェットを破壊しながら、後ろにいるキャロに話しかける。

 

 

「さっき俺様が言った事を忘れンなよォ?必ずソレが、お前の迷いを振り切らせる事ができる」

 

 

崖から降り立った数体のガジェットに接近してルーチェ・ブレイドで斬り捌き、続きを話す。

 

 

 

「感情のままに行動すりゃあいいンだァ。・・・ソレにいざ危なくなったら、

エリオを盾にすればいいンだよォ」

 

 

「ええっ!?」

 

 

ヴァンのあまりに酷すぎる発言に、エリオが思わず声を上げる。

 

 

「ああン!?テメエは、か弱い女を置いて、尻尾振って逃げる気なのかァ!?」

 

 

「い、いえ、そういうワケじゃ!・・・」

 

 

たじたじになりながら、ヴァンに弁解するエリオ。

 

 

 

本当に必死だ。

 

 

 

 

「例えの話しだァ、本気にすんなバァーカァ」

 

「そ、そうなんですか?でも何だか本気に見えたような「ああン!?」な、何でもありません!!」

 

「ふふ・・・」

 

そんな二人の会話を聞き、緊張していたキャロが小さく笑う。

 

それを見たエリオが驚くが、ヴァンはそうなる事がわかっていたのか、ニヤリと笑う。

 

 

「もう行けェ。さっさと終わらせて帰るぜェ」

 

 

「はい!!絶対に生き延びてみせます!!」

 

 

「私も!!」

 

 

そうヴァンに話し、二人はその場から消え、作戦行動に入る。

 

 

「へェ・・・少しいい面になったかァ」

 

 

《そういう面だけは、私もマスターには敬服しますね》

 

 

「オマエはデバイスだろうがァ!!常に自分のマスターを敬服してろォ!!」

 

 

思わずそうツッコミを入れるヴァン。

確かにルーチェは普段から主人であるヴァンを敬服してる様子はまったくみられない。

 

 

清々しい程に。

 

 

「いつかテメエを粉々に粉砕してやる」

 

 

《出来る物ならどうぞ。出来たらの話しですが》

 

 

「・・・・・・・」

 

 

ルーチェの冗談で彼らしくなく黙るヴァン。

 

だがその目は忌々しい物を見る目をしていた。

 

 

《すみません。少々失礼がすぎました。処分は後でお受けします》

 

 

「そう思うなら、今後も俺様の手足となって働けェ。

・・・無様な仕事をするンなら本気でテメエをスクラップにしてやる」

 

 

殺気を帯びた狂気な目で自分のデバイスを睨む。

 

本当に今の彼はルーチェを壊しかねない。

 

 

 

《・・・新たにガジェット反応を確認。来ます」

 

 

 

上を向く。

 

 

崖からガジェットがまた駆け降りて来る。

 

 

 

「迎撃する。ルーチェ、モードR モードダブル」

 

 

《Mode DoubleRifle》

 

 

ヴァンがルーチェに命じると、彼の左手にもう一つのルーチェが握られる。

 

 

いわゆる二丁拳銃だ。

 

 

 

「気晴らしだァ・・・コイツら全部、跡形もなくスクラップだァ」

 

 

それだけを言うとヴァンはダブルライフルで、ただガジェットを破壊し続ける。

 

ガジェットが彼に接近するとブレイドに戻し、ガジェットを斬り裂き、

オイルらしきものが飛び散り、ソレがヴァンの体に付着する・・・・

 

 

 

 

 

その姿は「赤き狂戦士」その者だった。

 

 

 

 

 

--------------------------------------------------

 

 

数分後・・・・

 

 

 

ヴァンの鬼神の如き戦いで、崖から降りてくるガジェットのその殆んどを破壊し、

リニアレールの上にはガジェットの残骸すら残っていない。

彼が数分前に跡形もなく消すと言った事を、彼は実行したようだ。

 

 

どうやったら、残骸一つ残らずガジェットを破壊したのだろうか?

 

 

「ちぃ・・・これで全部かァ。拍子抜けだなァ」

 

 

やはり彼に、ガジェット程度の性能では通用しないようだ。

この次元世界に彼を満足させる程の物は存在するのだろうか?

 

 

「うわぁぁぁ!!」

 

「ああン?」

 

 

 

悲鳴がした方を見る。

 

そこには、空いた穴から下を覗くキャロがいた。

そして悲鳴を上げた本人であろうエリオが大型ガジェットに掴まれ、

 

そのまま崖に投げ出されていた。

 

 

「・・・・・・・」

 

 

何もせずにただエリオが落ちていくのを見つめているヴァン。

 

 

《助けないのですか?》

 

 

「・・・ここで動けないなら、アイツはそれまでの奴だったって事だァ」

 

 

手にボトルを出現させ、それを飲みながら、最初に潰したガジェットの残骸の上に座るヴァン。

 

 

本当にエリオを助ける気はないようだ。

 

 

 

そんな中、リニアレールから一つの影が崖に飛び降りる。

 

 

 

「やっと動いたかァ」

 

まるでそれが起こるべくして起きたかのように話すヴァン。

影の正体はキャロだった。

 

 

エリオを助ける為に彼女は飛び降りたのだ。

 

 

 

《ライトニング 3、4転落!!このままでは!!》

 

 

 

 

 

管制のアルトの声がヴァンの耳に届くが、それでもヴァンは気にしない。

 

 

 

「さァ、お前の力を見せてみろォ」

 

 

 

落ちていくライトニングの二人を冷徹な目で眺める。

 

 

 

 

そして変化はすぐに起きた。

 

説明
時空管理局特務殲滅部隊---通称「インフェルノ」。そこには管理局員、次元犯罪者の両方が「赤き狂戦士」と恐れる青年が所属していた。そんなある日彼は、インフェルノの部隊長の命を受け新しく設立された部隊「機動六課」に異動する事になり、狂喜的な笑みを浮かべ素直に異動を受諾する・・・彼の笑みは何を意味するのか?
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コメント
二丁小銃かと思ったら二丁拳銃だった!?  拳銃モードにもなるデバイスなんですかね?(斑鳩弍號)
鎖紅十字 > 私も知っていましたが、現在データが行方不明なのでもうしばらくお待ちください。(ゼロ・スパーク)
第十四話が無いんだけど?(鎖紅十字)
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