魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜赤き狂戦士〜 |
第二章 始まり
第十八話「地球出張任務1」
現在、機動六課の主な戦闘要員は第97管理外世界《地球》に出張任務の為にヘリで転送ポートへ
移動中である。
フォワード達は行き先がなのはとはやての故郷だと聞き、どんな世界なのかと心躍らせている。
「ちょうどこないだ皆の故郷話をしたばっかりで、なんか不思議なタイミングですね」
「えへへ!ほんと!」
どうやらエリオ達は最近、自分の故郷の話をしたようで、今回の任務はなのはとはやての二人の
故郷な上、エリオとキャロにとって親代わりであるフェイトが幼少期を過ごした
世界がどんなところか知りたいのだろう。
「えっと、第97管理外世界、文化レベルB・・・」
「魔法文化無し、次元移動手段無し・・・って魔法文化ないの!?」
キャロとティアナが地球に関する情報をエアディスプレイに展開し、
ティアナが地球に魔法文化がない事に驚いている。
「それほど驚く事ではないのでは?」
「い、いやえっと・・・何でそんな魔法文化がない世界から、なのはさんや八神部隊長のような
オーバーSランク魔導師が出たのかと思いまして・・・」
驚いているティアナにハーナが声を掛け、ハーナに自分が驚いている理由を説明する。
「稀に出るんですよ。二人のような人が。ですよね?」
「そやな。突然変異みたいな感じかな」
「私もはやて隊長も、魔法と出会ったのは偶然だしね」
ハーナがティアナの疑問に関する答えを地球出身であるなのはとはやてに求め、
二人が大まかにに説明し、フォワード達はその説明で納得し感心している。
「そういえばヴァン君ってどこの世界出身なん?」
はやてが操縦席から近い場所に座っているヴァンに声を掛ける。
ヴァンは腕を組んで一点を見つめている。
「・・・・・・・」
「?お〜い、ヴァン君〜?どないし」
「そういえば、はい!リインちゃんのお洋服」
「わ〜い!シャマル、ありがとうですぅ〜!」
呼び掛けても反応しないヴァンを不思議に思い声を掛けよとするが、
シャマルがリインの地球での服を出した事で注意がそちらに移る。
リインは嬉しそうにシャマルの下へ移動する。
「リインさん、その服って・・・」
イズがあまりにもリインと違いすぎる事に疑問を持ち、キャロが質問を着るであろう
本人に投げ掛ける。
他の3人もキャロと同じような事を思っているのだろう。キャロは3人の代表と言ったとこか。
「はやてちゃんのちっちゃい頃のお下がりです」
「あっいえ、そうではなく・・・」
「なんか、普通の人のサイズだなって・・・」
リインの応えにたえし、理解が出来なかったエリオとキャロはストレートに今度は尋ねる。
「うーん。あは!フォワードの皆とインフェルノ組の副隊長さんにはまだ見せてなかったですね」
「「「「?????」」」」
「・・・・・・・」
リインの言葉に対し、フォワード4人はそれぞれ疑問の声を漏らし、
ハーナは特に動じずリインを見ているだけ。
ちなみにヴァンはやはりさっきから同じ態勢で全くこの話しに入ってこない。
「システムスイッチ!アウトフレーム、フルサイズ!」
言葉を発すると同時にリインの姿が30センチ程の大きさからエリオとキャロと同じ
10歳前後の姿へと変化する。
「「「「おおっ!?」」」」
「・・・・・・」
もう驚くのが当たり前な4人に対し、ハーナは特に驚く事もなく、ただリインを見ている。
あえて言うがヴァンに変化はない。
「っと、一応これくらいのサイズにも慣れるですよ?」
「デカっ!」
「いや、それでもちっちゃいけど・・・」
「普通の女の子のサイズですね」
ティアナの感想に対し、スバルが珍しくツッコミ?を入れ、キャロは自分と同じくらいの
身長になったリインを見て嬉しそうに話す。
「向こうの世界には、リインサイズの人間もフワフワ飛んでる人間もいねーからなぁ」
「あのぅ・・・一応、ミッドにもいないとは思います」
「はい・・・」
ヴィータの言葉に対して、ティアナとスバルがいやいやこっちでもないから的感じで話し、
リインとエリオとキャロはサイズが同じ者同士で集まり、話している。だがまたここでも
疑問が生まれる。
「リイン曹長。そのサイズでいた方が便利じゃないんですか?」
スバルが今度は疑問に思った事を口にする。確かに、このサイズになれるのなら、
断然このサイズの方が便利だろう。
それにヴァンに弄られ、「コーヒーの刑」に処される心配もないはずだ。
「こっちの姿は燃費と魔力効率があんまり良くないんですよ。
コンパクトサイズで飛んでる方が楽チンなんですぅ」
「なるほど・・・ユニゾンデバイスである貴女にとっては、
主にできる限り負担をかけないのが理想なのですね」
「はいです。微弱ながらも少しははやてちゃんからも魔力供給を受けているんで」
「なるほど・・・」
ハーナはリインのマスターに対する心意気に純粋に敬服する。
キャロは二人の会話を聞き、リインが何故このサイズで普段いない事を理解し、声を漏らす。
「えっへへ!!見たですかヴァンさん!!リインの有能さとはやてちゃんに対する思いを!!
さぁ、うんと褒めるですよ!!」
子供サイズのリインがヴァンに近づき、自慢するかのように胸を張り、ヴァンに話し掛ける。
「・・・・・・・・」
だがやはりヴァンに変化はなく、腕を組んで一点を見ているだけである。
「???どうしたですか、ヴァンさん?」
流石にリインもヴァンの様子がいつもと違う事に気付き、自慢するのをやめ若干心配そうな感じで
ヴァンを見ている。
他のメンバーもそんなヴァンを見て、おかしいと感じてリインと同じく心配そうな感じで
ヴァンを見ている。
「ヴァン君、どうしたの?」
「さっきの話しにも一切参加してなかったよね?」
「さっきからずっとこんな感じなんよ」
隊長3人は黙っているヴァンの周りに集まり、見ている。
「どうしちっまったんだよコイツ?」
「瞬きもしていないぞ」
「ちょっと変よね・・・」
ヴォルケンズの3人もそんなヴァンを隊長3人のやや後ろで様子を見ている。
その中で口調こそいつも通りなヴィータだが少し、気遣ったような感じで話している。
『皆さん。心配する必要はありませんよ?』
「ルーチェの言う通りです。その人に心配するという態度は過保護になってしまいますよ」
心配するメンバーを余所に、椅子に座ったまま特に心配する様子もなく呆れた感じで話す。
「しかし、カーティス。明にいつもとハートネットの様子が違うが?」
「そうよ。シグナムが言った通りさっきから一回も瞬きすらしてないし・・・」
シグナムとシャマルが特に心配していないハーナを怪訝に感じ、話す。
その3人の会話で他のメンバーもハーナへ視線をやる。
「ハーナちゃんはヴァン君がどうしてこうなってるかわかるの?」
「ええ、まぁ」
「じゃあ、教えてくれへん?」
「知らない方がいいと思いますよ?」
ハーナはあくまでなのはとはやてに知る必要はないと話す。
そのハーナの言葉で何かヴァンに大変な事が起きていると思い始めるなのはとはやて。
「大丈夫だよ、ハーナちゃん!私、なんでも受け止めるよ?」
「そや!!ヴァン君にどんな設定・・・もとい、病気があろうとも私は絶対にうけとめるよ」
「わ、私も!!」
(設定とか言ってますよ、この人・・・)
なのは、はやて、フェイトがヴァンのこの状態の理由を知っていると思われるハーナに事情を
聞き出そうとする。
完全に病気だと思っている。
ハーナは設定と発言したはやてに心の中で静かにツッコミを入れる。
「そんなに心配する必要はありませんよ・・・第一病気ですらありませんよ」
『まぁ、病気より質が悪いですが・・・』
「教えて!!ヴァン君の事を!!」
「過去編にも入ってもええんよ!!さぁ!!」
「(また過去編とか言ってるし・・・)わかりました。ルーチェ?」
『ハーナさんが話すと言うならば、私は止めません。後は皆さん次第ですから』
ルーチェの言葉で固唾を飲む六課メンバー。
ついにヴァンのこの状態の理由が明かされる。
『「(マスター)ヴァンは今・・・・・・・」』
「「「「「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」」」」」
『「・・・寝てるだけですよ」』
「「「「「「「「「「「・・・は?」」」」」」」」」」」
二人のまさかの応えにそんな声を漏らす六課メンバー。
『いえ、だから・・・』
「寝てるだけですから」
全員がヴァンを見る。さっきからヴァンの様子に変化はない。
いや・・・一つだけあった。
「なんか・・・鼻から風船が・・・」
エリオがヴァンに起きた変化を口にする。
だがそれでヴァンの今の状態がなんなのか全員が理解する。
「本当に寝てるんだね・・・」
「目を開けて寝てる人なんて初めて見たわ!!」
「そういえば、前にも訓練中に目を開けて寝てたよね・・・」
「ティア・・・なんか私、怖い・・・」
「同感ね・・・」
「私もです・・・」
「僕も・・・」
「騎士としての誇りはコイツにはないのか?」
「シグナム。ヴァン君は騎士じゃないわよ?」
「ダメだコイツ。早くなんとかしないと・・・」
それぞれ思った事を口にする。
呆れながら。
「ヴァンさん!!起きるですよ!!ほらっ!!」
リインがヴァン目の前まで移動し肩を擦る。
だが次の瞬間・・・
ヴァァァクション!!
ビッチャ・・・
リインの顔に水が付着する。
「「「「「「「「「あっ」」」」」」」」」
「むにゃ・・・コーヒー臭ェ・・・むにゃむにゃ・・・」
驚きの声と寝言がこだまする。
「・・・八神部隊長・・・そろそろ・・・」
「・・・う、うん。ほ、ほんなら、なのは隊長、フェイト隊長、ハーナ副隊長。
私とインフェルノ組以外の副隊長達はちょお寄る所があるから・・・」
「う、うん・・・先に、現地入りしてるね?」
「ま、また後でね?」
「・・・はい」
「「「「お、お疲れ様です・・・」」」」
シグナムが別れるタイミングが来た事を告げ、はやてが先になのは達に現地入りするよう命じ、
隊長達とフォワード達が返事をする・・・全員が遠慮がちだった。
「スピーzzzzzzzzzz」
そんな六課メンバーを余所に、無神経な幸せそうないびきがヘリの中で響く。
そして、はやて達が移動を開始しようとした時・・・・
「うぇぇぇん!!何でヴァンさんはそんなにリインを虐めるんですかぁ!?」
盛大に泣き始めたリイン。
それを宥めるフォワードと隊長二人・・・・
そんな感じで地球出張任務は始まったのである。
毎回こんな滑り出しでよくこの部隊はやっていけるなと、
ルーチェとハーナは心の中でそう呟いていたのは、誰も知らない。
説明 | ||
時空管理局特務殲滅部隊---通称「インフェルノ」。そこには管理局員、次元犯罪者の両方が「赤き狂戦士」と恐れる青年が所属していた。そんなある日彼は、インフェルノの部隊長の命を受け新しく設立された部隊「機動六課」に異動する事になり、狂喜的な笑みを浮かべ素直に異動を受諾する・・・彼の笑みは何を意味するのか? | ||
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