魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜赤き狂戦士〜 |
第二章 始まり
第十九話「地球出張任務2」
はやて達と別れたなのは達は、一足先に転送ポートを用いて任務先である、地球に着いていた。
そして今彼女たちがいるのは自然が豊富にある湖畔だった。
「ってェなァ・・・何も噛み付くこたァーねェだろォ?」
「人に唾を飛ばした人にこれくらいが丁度いいお仕置きですぅ!!」
「咬みつき亀かよォ・・・」
ヘリの中で眠っていた状態で起こそうとしたリインにおもいっきりくしゃみをぶつけたヴァンはその後、リインに噛み付かれて、それでようやく眠りから覚めたのである。
彼の腕にはその証拠として彼女に噛み付かれた後が、くっきり残っていた。
そんな会話をしている間になのはは、フォワード達に地球の事を少しだけ話していた。
フォワード達は地球を気に入ったようだ。
「というか・・・ここは具体的にはどこでしょう?なんか湖畔のコテージって感じですが」
地球にいる事はわかってはいるが、ティアナ達フォワード陣は今自分達がいる正確な情報が
わからないのだ。ちなみにこの中にはヴァンとハーナも入っていたりする。
「現地の住人の方がお持ちの別荘なんです。捜査員待機所としての使用を快く
許諾していただけたですよ〜」
ヴァンとさっきまで睨み合っていたリインだったが、フォワード達が自分達のいる場所に疑問を持っている事を感じて、自分の仕事だと思い今いる場所について、詳しく説明しだす。
「現地の方?」
そう言っていると一台の自動車がコチラに向けて向かって来ていた。
なかなかの高級車であり、押収品をコレクションにしているヴァンはその車がどこのメーカーなのか
直ぐにわかり、いくらで譲ってくれるか本気で考えていたりしていた。
「自動車?こっちの世界でもあるんだ」
「バァーロ。それくらいの前情報くらいちゃんと調べとけェ。その世界の常識を知り溶け込む・・・
これも立派な局員の仕事だァ。
執務官目指す奴ならもう少し、真面目にやれェ」
「す、すいません!!」
まさか、そんな何気ない一言でここまで言われると思っていなかったティアナは、
ヴァンの言葉で若干へこんでしまう。
『まぁ、今近づいている車をいくらでなら売ってもらえるか考えている人に言われても
説得力がありませんが』
「コラっ、テメエ!!何人の心を詠んでンだァ!?」
『おや?図星だったのですか?』
「適当に言いやがったのかァ?コイツ・・・っ!?」
何か人ならざる者に見られている感覚を背中に感じ、後ろを振り替えると・・・
「へぇ・・・ヴァン君って任務中にそんな事考えてるんだね・・・ティアナには最もな事を
言っておきながら自分はそんな事を・・・へぇー」
「さ、さァ〜?何の事やらァ〜」
あくまでしらを切るつもりのヴァン。だがもう遅い。
自分で墓穴を掘ってしまったのだから。なのはに続いて、ティアナまで非難の視線をヴァンに
送っている。
「なのは、今はそれくらいにしてアリサの出迎えをしないと!」
「そうだったね!ヴァン君の事なんかより今はそっちの方が大事だよ」
フェイトの言葉で本来やらねばならい事を思い出し、コチラに向かってくる車に目をやるなのは。
フェイトの一言で難を逃れたヴァンは、思わずとも自分を助けたフェイトに少しだけ感謝していた。
そして車が近くまで来て、エンジンを止め運転手が降りてくる。
「なのは!フェイト!」
降りて来たのは金髪ショートの翠色の瞳をしたなのは達と同年代位の女性だった。
とても育ちがいいのが見た雰囲気だけで伝わってくる。
「アリサ(ちゃん)!」
女性が隊長二人の名前を話すと、隊長二人も女性の名前――アリサと呼び、お互いに近寄る。
その姿は久しぶりに友人と再会した者達の姿そのものだった。
「(へェ・・・あの金髪が例の現地協力者の「アリサ」ちゃんねェ・・・コイツも中々の
上物じゃねェーかァ)」
なのはやフェイトも含めてそうだが、何故こうも美人ばかり集まってるのかと、
またもや頭を悩ませるヴァン。
一人や二人くらい、顔を合わせた瞬間に思わず「ブっさいくやなァ〜オイ!!」と叫んでしまうくらいの顔の女性がいてもいいだろと内心呟いたりしている。
まぁこの後さらに綺麗所がたくさん集まり、彼を悩ませる事になるが・・・
「何よもぉ〜ご無沙汰だったじゃない〜!」
「にゃはは、ごめん、ごめん!」
「色々忙しいくって」
「アタシだって忙しいわよ?大学生なんだから?」
「アリサさん〜!こんにちはです!」
「リイン!久しぶり!」
「はいですぅ〜!」
とフォワードは、顔見知り組の再会の挨拶を見てポカーとしているだけで、ハーナはただ無表情でその姿を見ていて、ヴァンは面倒くさそうにあくびをし、そのあくびでフェイトが彼らの存在に気付きアリサの紹介を始める。
「あっ、紹介するね。私となのは、はやての友達で幼なじみ・・・」
「アリサ・バニングスです!よろしく!」
「「「「よろしくお願いします!!」」」」
「・・・よろしくお願いします」
「ヨロシクゥ」
フォワード達の後に遅れてハーナとヴァンが挨拶を返す。
それでアリサもヴァンとハーナがフォワード達とは違う立場なのだと感じ、
なのはにヴァン達の事を尋ねる。
「二人は部隊で分隊の副隊長をやっている、私達の副官みたいな者で・・・」
「ハーナ・カーティス二等空尉です。よろしくお願いしますアリサ・バニングスさん」
「アリサでいいよ、えっと・・・歳が近そうだからハーナって呼んでもいいかしら?」
「ご自由にお呼びください、アリサ」
堅そう雰囲気を出しているわりに直ぐに名前だけで呼んだハーナに目を丸くするアリサ。
その順応性が気に入ったのか手を出して握手を求める。
お互い握手を交わす。
握手を終え、そして次にヴァンへと視線を移す。
それでヴァンが自分から話を始める。
「俺様はヴァン。ヴァン・ハートネットだァ。まァヨロシク頼むぜェ?可愛い協力者サン?」
「あっ、えっと、とりあえずよろしく・・・」
彼女にしては珍しく、ヴァンの一言で頬を赤く染め、戸惑いながら握手をする。
なのはや普段のヴァンを知っている者なら彼のこういった甘い呼び掛けには引っ掛からないだろうが、初対面の人間には彼のこの一言は意外と効くのだ。
それもそのはず。ヴァンはインフェルノの任務で潜入捜査でよく人を探る為に人を騙す事が多い。
その中では当然女性と関わりを持たなくてはならないものもあるのだ。
それくらい出来なくてはインフェルノで働く事は不可能だ。
もしミスをしてそれが対象にバレてしまえば、それだけで任務は失敗に終わり、
最悪命を亡くす危険もある。
つまりは、女性を落すなど造作もないのだ。
「あ、アリサちゃん。騙されたら駄目だよ?ヴァン君ってお仕事で、女の子を騙すのが大得意で、
今のも仕事で磨いたものだからね」
・・・すぐ無駄に終わったが・・・
「何よそれ?最低ね!」
「・・・別にわざとやってねェーよォ。お仕事で染み付いたクセみたいもンだァ。
それに俺様はオマエみたいな五月蝿そうな女は趣味じゃねェ」
「なんですって!?」
睨み合う二人。
出会って1分ほどで険悪ムード。
フォワード達も流石に困惑している。
「ヴ、ヴァン、アリサ!ケンカは駄目だよ?」
「何で自己紹介してから、1分でケンカ初めてるのかな二人は?」
二人の仲裁が入り、睨むのをやめる二人。
「ご、ごめん!なんかコイツと話してるとこうなったっていうか・・・」
「ハッ!出会ってすぐの相手を早くもコイツ呼ばわりかァ。思った以上にガサツそうな奴だなァ?」
「なんですって!?」
またもや睨み合う。
「「いい加減にして!!」」
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その後二人は隊長二人に止められ、今はアリサが提供したコテージにあの場にいた全員が入って作戦の内容の確認をしている。
未だに二人は仲が良いとは言えそうにはない。
「さァーてェ。なのはとフェイトは六課本部からの入電で話し混んでいるンで、変わりに俺様と
ハーナがテメエらに任務の概要を説明する」
なのはとフェイトの二人はヴァンの言ったとおり、六課本部からの通信で今は席を外している。
呼び出された内容はそれぞれ違い、なのはは、以前所属していた教導隊の上官が六課に訪れたとの事で、今はその上官と話をしており、フェイトは彼女が以前逮捕した次元犯罪者の裁判の結果を知り合いの執務官から聞いている。
何とも絶妙なタイミングで来たものだ。
「捜索すンのはココォ、海鳴市全般。魔力反応がバッタみてェーに移動してる為ェ、捕捉すンのは一苦労ォ。まァ一番いいのはこのブツに危険性が今のところはないのが唯一の救いだなァ。
が、まァ腐ってもロストロギア・・・油断大敵、先手必勝ォ。常に気ィ引き締めて動けよォ?
以上だァ、さっさっと散れェ!」
「「「「了解!!」」」」
ヴァンの指示でフォワード達は全員外に出ていく。
指示したヴァンもこれからサーチャの設置やら色々と仕事があったりする。
「ハーナァ。テメエはここで待機。部隊長サマが来たら一緒に動けェ」
「・・・了解」
ヴァンとは同格のはずのハーナだが、一応彼の命令を聞きはする。彼女はインフェルノでは
彼の部下なのだ。
当然、六課でもそれは適用される。それに普段は彼の事を煙たがっているハーナだがこういう
任務の時は、何一つ文句を言う事は一切ない。
「・・アンタ、意外と仕事してるわね。ただの大口叩くだけの男だと思ってたわ」
「これでも一応、特務隊の実戦部隊の隊長サンだったンでねェ。人を顎で使うのは長けてンのさァ」
「・・・言ってる事は最低だけど、アンタって凄いのね」
「誤解が解けて何よりだァ。お嬢サマァ」
「・・・やっぱりさっきの言葉返しなさいよ」
その後は通信を終えたなのは達とヴァンはそれぞれの分隊に合流し、
街中にサーチャーを配置する事になった。
ちなみに服装は既に全員、私服だ。
なのは達の私服姿はあまりに通りすがりの男性の目を引くには十分だ。
全員が声を掛けたいがそうは行かない。
・・・彼女のすぐ傍には、明らかに堅気の人間が放てるはずのない
オーラを放っている男がいるからだろう。
全員がヴァンに視線を合わせないようにしていたりと、なんとも珍景な光景を広げながら、
彼女達は任務を行っていた。
そして全てのサーチャーの設置が終わり、待機所に戻るだけになった。
辺りは大分暗くなってきている。
サーチャーに不可視魔法を使う事に慣れていない、スターズの二人はかなり疲れている。
『ロングアーチからスターズとライトニングへ』
そんなヴァン達にシャマルから通信が入る。
『さっき、教会本部から新情報が来ました。問題のロストロギアの所有者が判明。
運搬中に紛失したとの事で、事件性はないそうです』
『本体の性質も、逃走のみで攻撃性はナシ。ただし、大変に高価な物なので、
出来れば無傷で捕えて欲しいとのこと』
「なんじゃそりゃ?俺達はただ単にその持ち主サマがやらかした事に対しての尻拭いかよォ。
今すぐにブチのめしたくなってきたぜェ」
はやてから事件の内容を聞き、イライラがMAXになるヴァン。
今回の任務は彼の最も嫌う任務なのだから仕方がないだろう。
「まぁまぁヴァン君。給料が上がる事を思い出してな?まぁ、とりあえず気ぃ抜かずにしっかりやろう」
「「「「了解!!」」」」
新情報を頭に六課メンバー全員が入れ、気を引き締めて動くようになる。
ヴァンはまぁその中にはいない・・・
「ヴァン君。一段落着ついたし一旦コテージにもどらない?」
「いいンじゃねェかァ?そこのガキ二人は腹空かせてるみてェだしなァ」
顎でリインとスバルを指す。二人はなのはに見られ、苦笑する。
「なら決まりだね。戻ろうか」
「ご飯だ!やた!」
「騒ぎすぎよ、スバル」
「リインもお腹ペコペコですぅ」
と言った瞬間リインのお腹が鳴り、その音で全員に注目され、恥ずかしがるリイン。
そんな時、ヴァンが何かをリインに投げて渡し、リインはそれをキャッチする。
銀色の中身が見えない作りになってる手のひらサイズの袋だ。
「えと・・・ヴァンさん、これは?」
「インフェルノに支給されている携帯用食品だァ。色々種類はあるがァ、ソイツの中身はケーキだァ」
「へ?」
中身を開く。確かにその中に入っていたのは白い生地できた、ケーキだ。
しかも天辺には苺まで乗っている。
「腹が減ってンだろォ?ほらァオマエらも」
今度はリインに渡した物をなのはとスバルとティアナにも投げ渡す。
突然の事で考えが追い付かない4人。
「あン?食わぬェのかァ?うめェぞォ?」
懐からもう一つ同じ物を取出し袋を破き、一口で口に放り込む。
それを見た4人もケーキを口に運ぶ。味の方は・・・
「「「「おいしい!!」」」」
「インフェルノ隊員しか食えない激レア物だぜェ。長期に渡って無人の管理外世界の調査をする時や
サバイバルにはそれと同じような物を隊員は持っていくんだァ。
味気ない非常食よりかははるかにましだろォ?」
管理局から支給された非常食を食べた事がある4人は、今食べいる物と管理局の非常食と
どちらがおいしいか比べる。
当然4人とも前者だった。
「凄くおいしいですぅ〜!ありがとうございます、ヴァンさん!!」
「こんなに美味しい物だったら、管理局にも提案してみたら絶対にいけるね。ありがとうヴァン君」
「ヴァン副隊長ありがとうございます」
「すっごく美味しかったです!!ありがとうございました!!」
食べた全員がヴァンに礼を言う。
余程気に入ったのだろう。スバルにいたってはヴァンにミッドに帰ったら、
もらえないか聞いているくらいだ。
「ケーキか・・・ならあそこによるのがいいかもね」
「あそこだァ?」
なのはが呟いた事に対してヴァンがなのはに聞き返す。
スターズの二人もわからないようで頭に?を浮かべている。
「あっ!翠屋ですか!?」
「うん。手ぶらで帰るのも何かな〜って思ってね」
飛び跳ねているリイン。
どうやらこの中でなのはの言った事がわかっているのはリインだけのようだ。
なのは携帯を取り出してどこかに電話をかける。
部隊の人間になら念話を送ればすむはずだ。
なら彼女が今かけている相手は消去法で現地の魔法を使えない人間となる。
「あ、お母さん?なのはです」
「「「・・・へ(あン)?」」」
なのはの口から出た単語に思わずそんな声を漏らすヴァンとスバルとティアナ。
何せ突然「あ、お母さん?」って言うのが聞こえればそうなってしまうだろう。
「うん。お仕事で近くまで来てて・・・そうなの。うん。本当すぐ近く。でね?現場の皆に----」
《なのはさんの・・・お母さん・・・》
《アイツの母親かァ・・・あまり想像できねェなァ》
《えっと・・・存在はしてて、当然なんですけど・・・》
普段のなのはを見ている4人にはなのはに母親という当たり前な存在がいる事を、
今にいったってようやく気づいたようだ。
まぁ普段があれだから仕方かというべきなのか・・・電話を終えたなのはがヴァン達に見る。
「さて、ちょっと寄り道」
「はいですぅ〜!」
「テメエの母親の所にかァ?」
「うん、私の実家だよ。うち、喫茶店なの」
「喫茶翠屋。お洒落でおいしいお店ですよ〜」
「「えええ〜!?」」
「ほう・・・そりゃ楽しみだぜェ。早く連れて行ってくれよォ」
珍しくなのはの話しに興味を持ったヴァン。
おそらく、彼女の母親を見てみたいのだろう。
「駅前にあるから直ぐに着くよ。それじゃ皆ついてきてね」
なのはとリインを先頭に5人は歩きだす。その内3名はなのはの母親がどんな人間なのかそれぞれの
想像を頭に思い浮かべながら歩く。
3人が衝撃を受けるまでもうすぐだ。
いや、1人は対して驚かない気もするような・・・
説明 | ||
時空管理局特務殲滅部隊---通称「インフェルノ」。そこには管理局員、次元犯罪者の両方が「赤き狂戦士」と恐れる青年が所属していた。そんなある日彼は、インフェルノの部隊長の命を受け新しく設立された部隊「機動六課」に異動する事になり、狂喜的な笑みを浮かべ素直に異動を受諾する・・・彼の笑みは何を意味するのか? | ||
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