IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜 第七話 〜決闘〜 |
「あ、あのな一夏。今勉強してただろ?ここ読め、ここ。」
「ん〜なになに?(now reading・・・)ああ、つまり代表候補生っていうのはエリートって事か?」
「そう、その通りですわ!ですのでもっと敬意を払って下さいませんと・・」
「全く。ここまでの女は前の部隊の仲間にも居なかったな。用件は一体なんなんだ?」
「・・・あなた、さっきから失礼ですわね。代表候補生の私にもっと敬意を」
「わりいな、俺は女嫌いでね」
クロウがその言葉を言った瞬間、周りの目が好奇の視線から嫌悪の視線へと変わった。この世界では女尊男碑が半ば定着しており、周りが女性のこの状況でそんな台詞を吐くことは自殺行為だった。現にセシリアも完全に侮蔑の視線をクロウに向けておいる。
「全く、そんな馬鹿らしい考えの持ち主がいるとは考えもしませんでしたわ。まあ、入学試験で唯一教官を倒した私の様なエリートはその様な考えの持ち主にも平等に接し・・」
とセシリアが自分の世界に浸っていると
「あれ?俺も倒したぞ、教官」
と爆弾発言をした。
「(一夏そんな事言うな!更に話がややこしくなる!!)」
というクロウの願いも届かず、セシリアは一夏に詰め寄る。
「あ、あなたも教官を倒したというの!?」
「うーん。倒したって言うか、突っ込んで来たのを躱したらそのまま壁に突っ込んで動かなくなったんだが・・・」
「わ、私だけと聞きましたが・・・」
「女子だけでは、ってオチじゃないのか?」
「(まずい、どこかで話を切らなきゃ非常にまずい!)」
そんな事を考えている間にも、二人の会話は激しさを増し、セシリアは今にも一夏に掴みかかる様な距離まで近づいていた。するとクロウの願いが届いたのか、
「キーンコーンカーンコーン」
という昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。ここぞとばかりにクロウは
「ほ、ほらお前ら!チャイムがなったんだから席に着け!」
と話の流れを無理やり切ると、セシリアは渋々と言った様子で
「っ〜、この続きはまた改めて」
と言うと自分の席に戻って言った。
「おい一夏、挑発しすぎだぞ」
「ああ、悪い悪い。なあクロウ、さっき「前の部隊の仲間」って言ったよな。部隊ってなんだ?」
「(マズイッ!)あ、ああそれはだな・・・」
その時織斑 千冬が教室に入って来た。
「おい織斑、さっさと席に着かんか。」
「はっはい!」
そう言うと一夏は脱兎のごとき速さで自分の席に飛んでいった。
「(危なかった・・・。もっと気を付けないと今後バレる可能性もあるな)」
そんな事を考えていると、五時間目の授業が始まった。
〜翌日・放課後の((SHR|ショートホームルーム))〜
「さて、これより再来週行われるクラス対抗戦に出場するクラス代表者を決める。クラス代表者は対抗戦だけではなく、これから一年、文字通りこのクラスの代表となる者だ。自薦、他薦は問わない。誰か居ないか?」
「はい、織斑君を推薦します!」
「ふむ、織斑か。他にはいないか?いなければ決定となるが」
その言葉を聞き、クラスの視線がクロウに集まるが、すぐに元の方向へと戻っていった。
「(まあ、当たり前だよな)」
昨日、あんな発言をしたのだ。クラスの自分に対する心情はお世辞にもいいとは言えないだろう。クロウ自身もこんな貧乏くじを引くのはまっぴらごめんであった。しかし次の瞬間、
「(バンッ)納得がいきませんわ!!」
「(またお前か・・)」
机を叩いて立ち上がったのは昨日一夏と口論をしていたセシリア・オルコットその人であった。
「男がクラス代表なんて、このセシリア・オルコットに一年間そんな屈辱を受け入れろとおっしゃいますの?そもそも文化が後進的なこの国で暮らさないといけない自体私には耐え難い苦痛で」
とセシリアが早口で不服を申し立てていると
「イギリスも大してお国自慢ないだろ。くそまずい料理で何年トップを気取ってんだ?」
と一夏が反論を始めた。
と二人がまたまた口論になり今度はセシリアが男自体を侮辱し始めた。
「大体クラス代表は実力で決めるものではなくって!?男なんて弱々しいものでしょう!」
「ふざけるな!男にだって強い奴は沢山いる!そうだよな、クロウ!?」
「(なんでそこで俺に振る!?貧乏くじはもう勘弁だぞ!!)・・・あーまあ、そうかもな」
と、クロウが如何にも気だるげな返事をすると、セシリアが調子づき、一気にまくし立てる。
「今の返事を聞きました?まったく覇気の無い返事!あなた、昨日「前の部隊」とかおっしゃっていましたけどそこにいた男性もどうせあなたと同じ様にふざけて、女性にペコペコしていたに決まって・・・」
バンッ!!
「(ビクッ)!?」
音のした方をクラス全員が見るとそこにはさっきの様な気だるげな表情が消え、能面の様な顔をしたクロウが立っていた。
「男の事を馬鹿にしたって構わねえ。俺の事を馬鹿にしたって構いやしねえ。俺自身俺の事をあまり出来た人間だと思っていないんでな。だが・・・」
そう言いながらクロウは固まっているセシリアに一歩ずつ近づいて行く。
「俺の仲間の事を馬鹿にすることだけは許さない。」
「(そうだ、あいつらは文字通り命を賭けて戦っていた。その途中で命を落とした奴も・・・)」
クロウの頭には四人の顔が浮かぶ。
そんな事を考えているうちにセシリアの前までクロウは迫っていた。
「取り消せ」
「ヒッ」
「もう一度言う。取り消せ」
クロウがセシリアに手を伸ばそうとすると、
「そこまでだ」
そう言ってクロウの手を掴んで動きを止めているのは、
「やりすぎだ。頭を冷やせ」
眉間にシワを寄せた織斑 千冬がいた。
正面のセシリアは見事に泣きそうな顔をしていた。更に周りを見ると一夏を含めた全員の生徒が怯えていた。そのまま数秒間が経過すると、
「そうだな、すまんかったなオルコット」
と謝罪の言葉を口にした。
「・・・(やりすぎたか)」
とクロウが自分の行動を反省するかのように思考していると復活したセシリアが
「決闘ですわ!!」
とクロウを指差し、叫びつつ
「あなたにもです!!」
と一夏を指さした。
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第七話です。 |
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