IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜 第九話 〜ファースト・アタック〜
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〜道場〜

 

「もういいか?」

 

クロウがそう言うと、関節を外し、箒から離れる。

 

「お前、一体何をした?」

 

「別に何も。ただ竹刀を避けて、転ばして、関節技を決めて、拳を打ち込んだだけだ。」

 

「すげえなクロウ!全然わからなかったぜ!!」

 

「・・お前、特訓する意味あるのか?」

 

箒が憎々しげな目で質問してくる。

 

「うーん、じゃあ、俺は教える方に回るわ。」

 

「げっ!?」

 

一夏が変な声を上げるが、クロウは構わず続ける。

 

「俺が体術、篠ノ之が剣術、基礎体力と座学の方は二人でやればいいだろう」

 

「ふむ、それはいいかもしれん」

 

「箒っ!?」

 

「さっきのを見ただろう、一夏。こいつの強さは相当なものだ。私たちで教えれば、一週間で決闘にも勝てるかもしれない」

 

「覚悟は決まったか、一夏?」

 

「た、助けてぇ〜」

 

その日、道場に一夏の叫びが響いた・・・

 

〜夜・クロウの部屋〜

 

あの後クロウは一日の練習メニューを箒と決めた後、自室に戻っていた。

 

「(しかし、一夏は現時点では相当弱いな。よくあそこまで威勢のいいタンカをきれたもんだ)」

 

とクロウが今後に付いて一人考えていると、ドアがノックされる。

 

(コンコン)

 

「(誰だ?一夏か?あいつとはさっきまで一緒にいたんだが)誰だ?」

 

「(ブルースト、私だ。少し話したい事があるのだがいいか?)」

 

「(織斑か、どうしたんだ?)ああ、入ってくれ」

 

ドアの開く音と共にジャージ姿の織斑 千冬が入ってきた。

 

「お、あんたがスーツじゃないのは初めて見たぜ」

 

「ふん、寮の中であんな堅苦しいものを着る必要はないだろう」

 

そう言うと向かいのベッドにドカリと座った。

 

「(男以上に男らしいな。俺が気兼ねなく話せるのもその性格故か)なあ、話ってなんだ?」

 

「ああ、今日話していた決闘についてだ。・・勝つ見込みは?」

 

「やってみなくちゃわかんねえっていうのが本音だ。何しろ初めて動かすからな。」

 

「まあお前なら心配ないだろう。それより問題は一夏の方だ。あいつの腕についてどう思う?」

 

「素直に言ってひどい。あのまま決闘にまで行ったら確実に負けていたな。」

 

「そうか、お前から見てもそう思うか」

 

「まあ、心配は無用だ。俺と一夏の幼馴染さんで特訓をする。まあ、勝てる可能性は出てくるだろう。」

 

「そうか、ならばお前に任せよう。担任が生徒の問題に介入するのは極力避けたいからな。あと一つ、個人的に聞きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

「・・・前の世界のお前の仲間についてだ」

 

そこまで聞くと、クロウの顔が一変する。今までのへらへらした顔は無く、年齢不相応の顔になっていた。

 

「・・・何が聞きたい?」

 

「お前があそこまで激昂するとは、仲間が死んだのか?」

 

「・・・」

 

「・・・すまない。あくまで個人的な質問だ。答えたくなければ、答えなくていい」

 

「ああ、死んだよ。あの時、俺たちは戦争をやっていた。人が死ぬのは当たり前だ、と言われればそれまでだがな・・・」

 

「悪い。思い出させてしまったな」

 

「いいさ、俺は一生あいつらの事を忘れないし、あいつらも自分のせいで俺が悲しむのは望んでいないだろうしな」

 

「・・・分かった。弟を頼む。」

 

「ああ、任せておけ。将来的にはあんたに勝てるくらいに鍛え上げてやるよ」

 

「ふっ、お前が言うと冗談に聞こえんから困る。徹底的に鍛えてくれ。じゃあな」

 

そう言い残し、千冬は部屋から出ていった。

 

「(あいつも何だかんだ言って弟が大事なんだな・・・)」

 

そう思うとクロウは眠気に身を任せた。

 

「さて、あいつはどこまで強くなるかな・・・」

 

〜一週間後〜

 

〜第三アリーナ〜

 

この日、前日千冬が言った通りアリーナでの決闘が行われようとしていた。現在クロウ、一夏、箒の三人はISのピット内にいる。先程抽選で決めた結果、一回戦がセシリアVS一夏、二回戦がセシリアVSクロウとなった。この日のために、クロウ達は十分に準備をしてきた。勝つ可能性も十二分にある。ただ問題があるとすれば、

 

「なあ、箒」

 

「・・・」

 

「どうしてISの練習しなかったんだ?」

 

そう、一夏の特訓プランの中にはISの練習が入っていなかったのだ。

 

「うるさい。お前の実力が足らなかったからだ!」

 

「ぐ・・・な、なあクロウ」

 

「あー、そこは俺も悪かったと思っているよ。でも俺と幼馴染さんの教えた技術と体力、知識があれば、いい勝負はできる。それは保証してやるよ」

 

クロウが自信を持ってそう言うと、一夏も少しは安心したようで

 

「そ、そうか。クロウにそう言ってもらえると何か安心だな。」

 

「そうかそうか。ところでお前の乗るISってどれだ?」

 

ピット内を見渡すが、それらしい物は無い。

 

「ああ、なんでも専用機を用意してくれるんだと。」

 

「へえ、豪勢な事じゃねえか」

 

と二人がそんな話をしていると、ピット内に真耶と千冬の声が響く。

 

≪織斑君、織斑君!来ました!!貴方の専用ISです!!≫

 

≪時間がないのでフォーマットとフッティングは実戦の最中に行え。急げ、オルコットの方はもう準備が出来ているぞ≫

 

ピットの端に設置されているエレベーターらしき物から何かが上がってくるような音がする。

 

「じゃあ一夏、俺たちは管制室の方に行くからな。」

 

ピット内には選手をサポートする場所として、管制室が設置してある。

 

「ああ、クロウ。特訓付き合ってくれて、ありがとな。」

 

「ああ、あのくらいお安い御用だ。この勝負が終わっても続けてやろうぜ」

 

「ああ、頼むぜ」

 

そこへスピーカーから千冬の声が聞こえてくる。

 

≪篠ノ之、そこにいては邪魔だ。こちらへ来い。ブルーストは別室で待機だ。対戦相手の情報を与える訳にはいかんからな≫

 

「それでは行くぞ、一夏」

 

「ああ、お前も特訓、ありがとな」

 

「あ、あれぐらいのことでお礼を言われる筋合いは無い!」

 

と顔を赤くしてそっぽを向く。

 

「いや、箒とクロウのおかげだよ。本当にありがとう!」

 

クロウ達が長話をしていると、千冬からの一喝が。

 

≪いつまでいる。さっさと来い!≫

 

「頑張れよ一夏」

 

最後にクロウが一夏を励まし、二人はピットから出ていった。

 

〜管制室内〜

 

「織斑君、ISの知識は大丈夫ですか?」

 

≪はい、大丈夫です。あの二人に散々絞られましたから≫

 

「織斑、オルコットの機体は第三世代型IS、”ブルー・ティアーズ”だ。」

 

≪ああ。こっちでも確認してます≫

 

「おそらく奴は遠距離からしか攻撃してこない。その事実を念頭において戦って来い」

 

≪了解っ!≫

 

「織斑君、発進どうぞ!」

 

≪箒、聞こえてるか?≫

 

「な、なんだ?」

 

≪行ってくる!!≫

 

「!・・ああ、勝ってこい!!」

 

そう言うと一夏は戦場へと飛翔していった・・・。

 

 

〜試合後〜

 

 

「なあ、俺って何で負けたんだ?」

 

一夏たちはピット内で反省会をしていた。そう、一夏は負けたのだ。

 

「お前がバリア無効化攻撃を使用したからだ。あれは恐ろしく((S・E|シールド・エネルギー))を使うからな」

 

「「「バリア無効化攻撃??」」」

 

初めて聞く単語にクロウ、一夏、箒が聞き返す。

 

「ああ、読んで字のごとく、バリアを切り裂いて、相手に直接ダメージを与えられる攻撃だ。あの能力は((S・E|シールド・エネルギー))と同時に、((拡張領域|バススロット))の容量を大きく食うからな。お前のISに雪片弐型意外の武器が装備されていないのもそのためだ。要はお前の機体は欠陥機だ。」

 

「欠陥機!?白式がか!?」

 

「いや、言い方が悪かったな。そもそもISはまだまだ発展途上にある。お前のISは攻撃に特化している。それだけだ。」

 

「あ〜、でも勝ちたかったな」

 

「まあ、気にするな。お前の敵は俺が取ってやるから」

 

「勝てなかったのは事実だが、そ、その、かっこよかったぞ・・・」

 

「ん、何て言ったんだ箒?後ろの方がよく聞こえなかったんだけど」

 

「う、うるさい!なんでもない!!」

 

そう言うと、箒はピットから出ていった。

 

「お、おい!?待てよ箒〜!」

 

一夏も箒の後を追い、ピットから出ていくと、ピット内にはクロウ、千冬、麻耶の三人が残った。

 

「さて、俺の試合はいつからだ?」

 

「お前の試合は二時間後だ。オルコットを連続で戦わせる訳にはいかんからな」

 

「その間、ブルーストさんには、ISの最終調整をしていただきます」

 

「お前のISは特殊だからな。それに他人に任せるより、お前自身でやった方が早いし、何より自分の機体だ。自分で面倒を見たいだろう」

 

「ああ、それは俺も同感だ。」

 

「よし。なら今すぐに調整を始めろ。時間は限られているぞ。なお、万が一に備え、私もそばに付いているのでわからない部分は聞くように山田先生はアリーナの整備をお願いします」

 

「わかりました」

 

「了解だ」

 

そう言うと、クロウはブラスタの最終調整の作業を始め、麻耶はピットから出ていった。

 

〜ピット内〜

 

「(・・・ふう、特におかしなところは無いな、だが)なあ織斑」

 

「何だブルースト、質問か?」

 

「ああ、例えばだが、初期のISにはリミッターとか付いていたりするのか?」

 

「ん?ああ、それに似たような物はあるぞ」

 

「何?どんな状態だ?」

 

「ふむ、「初期化」と「最適化」だ。まとめて「((一次移行|ファーストシフト))」と呼ばれている。ISのコアに登場者本人の特性を入力するために必要な動作であり、それをするまでは、専用機は真の能力は発揮出来ない」

 

「ああ、それか。どうやらブラスタにもその機能が適用されているみたいなんだよ」

 

「ふむ、ならば一夏と同じ様にぶっつけ本番しかないだろう。事実一夏も戦闘の最中に((一次移行|ファーストシフト))をしたしな」

 

「ふ〜ん。結構危ねえ事するんだな一夏の奴」

 

「とにかく、そのリミッターを解除したければ、とにかく戦え」

 

「まったく、物騒な解決策だぜ。」

 

そう言うとクロウはまた調整作業に戻った。

 

〜決闘開始前〜

 

クロウは千冬、一夏、箒と共にピット内にいた。麻耶は管制室内で待機している。

 

「さて、とうとう俺の出番か」

 

「ああ、俺も楽しみだよ。クロウはどんな戦いをするのかなって」

 

「ふん、あれだけの実力を持っているのだ。ISでも弱いはずがないだろう」

 

と三人が談笑しているところに、千冬の声が割り込む。

 

「さて、ブルースト。そろそろ試合開始五分前だ。そろそろISを展開しろ」

 

クロウは大きく頷くと、ISを展開しようとして固まってしまった。今更だが、クロウはまだISの展開方法とやらを知らなかったのだ。

 

「あー・・・どうやって展開とやらをするんですか?」

 

「そういえば説明していなかったな。専用ISの展開は、ISに語りかける様に呼び出せ」

 

「呼びかける?」

 

「そうだ。お前の相棒を呼び出すような感覚で良い。やってみろ」

 

「分かりました」

 

頷くとクロウは目を閉じて集中する、イメージするのはかつての愛機。

 

「(さあ、行こうぜブラスタ。俺たちのデビューだ!)」

 

「来いっブラスタ!!」

 

その言葉と共に、ピット内が光に包まれ次の瞬間、クロウが感動の声を上げる。

 

「これが・・・」

 

そこには、輝く銀色のISに包まれたクロウがいた。

説明
第九話です。
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タグ
インフィニット・ストラトス SF 恋愛 クロウ・ブルースト スーパーロボット大戦 クロスオーバー ちょっと原作ブレイク 主人公が若干チート ハーレム だけどヒロインは千冬 

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