第18話 魔王城での出来事
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「やぁ、葵君。久しぶりだね」

 

「は、はい。……お久しぶりです」

 

ヤバイ、いつになく顔が笑ってるよ。その笑顔がとっても怖い。早く切り抜けなければ!

 

「それではまた」

 

そう言って立ち去ろうとすると、恭也さんが肩に手を置いて引き止めた。

 

「まぁ、少し待ってくれ、葵君。君に聞きたいことがある」

 

「な、何ですか?」

 

「なのはたちに聞いてみると、君は男の子だそうじゃないか。そこのところはどうなんだい?」

 

「えぇ、一応男ですよ」

 

なるべく平穏を装って答える。……って痛い!肩に乗せている手に力を込めないでぇ!!肩が壊れちゃうぅぅぅぅ!

 

「ちょっと俺と勝負しないか??」

 

いやだーーーーー!!!!!!恭也と戦ったら絶対に殺される!!何故かその光景が目に浮かんでしまう。と言うかどうしてこうなったんだ?いったんこうなった経緯および、状況を整理しよう。

まず、学校でなのはに誘われる→翠屋にgo→時間も経ったし帰ろうとする→恭也さんに遭遇←今ここ

経緯は大体分かった。次は状況だな…。

逃げようとする僕、僕の肩に手を置き力を入れる恭也さん。

逃げ場ね?……詰んだね。

…………ん?いや、待てよ?よく考えよう………。

僕は今6歳、それに対して恭也さんは19歳、この光景を第三者の視点から見るとどうなんだろうか。

答えは簡単……大学生が小学生になにかしようとしてる。

……これならいける!!

 

「いえ、遠慮しておきます。だいたい大学生が小学生に対してなんて事言ってるんですか。あなたは鬼ですか?小学生が大学生に勝てるはずないですよ。それでもやるって言うんなら桃子さんに言いつけますよ?それでもいいんですか?」

 

「うぐッ!?…………………し、しかし…」

 

「恭也?なにをしているの?」

 

「か、母さん!?い、いや、これは、その………」

 

どんどん恭也さんが小さくなっていく……………………恐るべし、桃子さん!

 

「何?」

 

さて追い打ちでもかけるか。

 

「家に帰ろうとしたら恭也さんがいきなり肩をつかんできたんです。それでいきなり勝負しようって言われて………」

 

「きょ?う?や??」

 

「いや!違うんだ、母さん!」

 

「何が違うって言うの?これは少しO☆SI☆O☆KIが必要ね」

 

「ちょっと待ってくれ!弁解の余地を………!!」

 

「もう、言い訳はいいわ………こっちに来なさい」

 

………………………うん、なんと言うかね?桃子さんめっちゃ怖かったです。さすが、高町家の母。

そしてしばらくすると、桃子さんだけが戻ってきた。

 

「家の子が迷惑かけちゃったわね。これ、お詫びと言っては何だけど、良かったらご家族の方と一緒に食べて」

 

そう言って差し出して来るのはシュークリームが入った箱。

 

「ありがたく頂いていきます。…それではまた」

 

「また来てね」

 

今度こそ扉に手をかけ、お店を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こ、怖かった????。やっぱりあそこは魔王城で間違いないな。次に行く時は、気をつけよう。シュークリームが入った箱を持ちながら、そう思わざるをえなかった。

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