■0話 不幸な幸運■ 真・恋姫†無双〜旅の始まり〜
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■0話 不幸な幸運

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「ああ、またか……」

俺は空を見上げながら今日も今日とて己の不幸をかみ締めていた。

 

 

 

 

一瞬太陽の光が陰る

「ふぅ……」とため息を吐きつつ横に一歩移動する。

 

ドシャッ

 

そして横、つまりは先ほどまで自分がいた場所に目線をやると

そこには庭先で綺麗に咲き誇っていただろう花が植木鉢と共に無残に散っていた。

 

「本日6回目の不幸か……」

 

なんてことを呟きながら危ない目にあったにもかかわらず、動じずに家へと急ぐ俺、不運 時雨は大学2年にして成績要注意者。さらに友達皆無、運動神経はいい方だが隠れオタクで引きこもりなのでそんなの関係ない。

生まれてこの方不幸に見舞われない日はなく、植木鉢が落ちてくることなど2日1回はある事だ。

おかげでエロゲの主人公に感情移入したり、ネットで無駄知識を蓄えるぐらいしか今のところ幸せがないという超不幸体質。

こんな体質のせいでぼっちなのは当たり前、だって安息の場が家だけなのだから……、正直よくこの歳まで生き残ってきたなと自分を褒めていたりする。

 

ま、褒めても虚しいだけなんだが……。

 

何故不幸なのかと問われれば、それもこれも全て不運家に生まれたのが原因なのだ……。

不運家とは、なんでも江戸時代から続く由緒ある暗殺一家で無意味に人を殺しすぎて呪われたとかそうでないとか……。

そんな不幸な呪いがあっても、よくわからない不運家は独自の不運回避の技術を伝承することによりなんとか命をつないでいたりする。

だがそんな技術も全ての不運を回避出来るわけもなく、どの道色々と不運回避の為に自分で苦労せざるをえないのである。

 

そして今! まさに今という今。帰路の途中にあるT字路をちょっと過ぎた位の道路を横に綺麗に整列しながら遮断してくれているリーゼントさん達……。

さっき不運にあったというのに…どうやら今日は絶好調らしい。それにしてもあのツッパリ具合には見覚えが……、あるようなないような。

しかしなぜに不良と呼ばれる人たちが横一列にきちんと列を成して歩いて向かってきているのか? と見知らぬ人がいたら聞きたくなるだろうか? それは俺が一番聞きたい事だ。

いや、やっぱり聞きたくない。

 

だって……、ねぇ……。

 

本当は見覚えがないというわけでもないから寧ろね。

昔の俺が何であんなことしたのか今の俺にはさっぱりだよ。

大体俺は基本的に暴力は好きじゃないというかむしろ暴力反対! なのだ。

 

なのに昨日はよりによって目の前で女の子が捕まっていたので「女の子を助けるのはフラグですね!」なんて調子に乗って格好つけようと不良たちの相手をしてしまった。

正直覚えているのに自分を誤魔化してもしょうがないのだが、女の子にフラグがたつと思われていたその状況は、倒した直後に彼氏の登場によって甘い俺の妄想ごと粉みじんに破壊されたりした。

正直現実逃避したいと言っても誰も攻めたりはしないんじゃないかと思う。

 

まったく不運絶頂のくせしてついつい相手をしてしまった結果がこれだ……。自業自得ですねごめんなさい。といってもまた同じ状況があったらやってしまうんだろうけれど

エロゲのカッコイイ主人公にあこがれた結果が今の俺なのだろう……。悲惨だ。

 

「おいおい、昨日はよくも不意打ちしてな! ぁ゛!? ゴラァ!」

 

あー、前の回想を自分の頭の中でしているうちにもう目の前に立派なリーゼントが……。長さは大体フランスパンのバゲット……、70cmほどだろうか。美味しそうではないね。

ただ何でそこまで長いのに重力に逆らって凛々しく立っておられるのかは激しく疑問ではある。

 

などと下らない事を考えていても刻一刻と状況は差し迫っているものでして、さすがに対処せざるを得ないと得意の口八丁を駆使してここは穏便に済ませよう……。

 

「お前らなんて瞬殺できてしまうだろうが、弱いものいじめ良くない! よね……? ならここは引いてくれると助かるんだけど……」

 

あれ? 自分なりに平和的交渉をしたつもりなんだけれど、なんでだかわからんがリーゼントさんたちが額に青筋を立てていらっしゃる。というか人とろくにコミュニケーションのとれない俺がそんな器用なまねできるわけなかったのだ。

 

バゲット叔父さん(不良)達は待つという言葉を知らないのか、猛然とこちらに向かって走りだした。

 

そんな状況を見て俺は、ぅゎー……、よく見るといつの間にかバット持ってるよ…。 一体全体どこからだしたの? 穏便じゃないよ? どうしましょ? 等と一瞬のうちに下らない感想から現状の打破への道を導き出す。

 

とりあえず得物は取り上げるか…。

 

目的を速やかに遂行するためにもこちらも歩くスピードを上げ、バゲット叔父さん達に迫る。

そしてT字路の真ん中あたりでお互いの射程範囲内(例えるとおばさんたちがにこやかに立ち話するぐらい距離)に入る。別におばさんたちが羨ましいわけじゃない。

 

「ウラァアア!! 死ねやぁああ! ボケがぁぁああぁぁあああああ!」

 

勢い良く、元気良く襲い掛かってくるバゲット叔父さん達……、の横に誰も乗っていないとびきり機嫌の良さそうな暴走トラック。

キタコレ、まじなんて状況だよ。これが絶体絶命、背水の陣、見殺しってやつか……。なんて考えるより先に体が動いた。

 

トラックとバゲット叔父さん達との斜線上に飛び出し、トラックに気づいたのか動けないでいる不良を思いっきり飛び出した勢いに乗って蹴り飛ばす。

思いっきり蹴ったせいでリーゼントさんたちは酷くて骨折ぐらいしているだろうが死ぬよりはましだろう……、なんて思っている間にも目の前にトラックが……っ!。

 

「ぁっ…! やべ! I can fly!!」

 

ドスンッ……! という心臓に響く音の後にドシャという着地音は聞いてて痛々しい、そしてその音を出した当事者たる俺はゴロゴロと道路を無造作に転がっていく。

 

回転がやっと止まり空が見える。確かに俺にも空が飛べると思っていた時期がありました。

でも夢見たっていいじゃない、人はきっと飛べるんだ。あんなふうにコスプレして空飛べるんだ……って?

 

どうしてだろう、人が空を 飛 ん で い る よ。

 

いやまて落ち着け慌ててるのがなんか可愛らしいな、なんて思うんじゃない。それにしてもなんて妄想とも及びつかないほどの可愛らしさ……。

 

ん? 普通になんかおかしいな……。普通の人間なら空飛べないよね? 俺は飛べなかったし…。俺はもしかしなくても瀕死なのか? あれな幻覚を見るほどに? もしかしなくてもやばめですか? というかいまさらながらにトラック避けるのに真上へ飛ぼうとした俺って……。

 

あれれ? 下らないことを考えているうちに視界が霞んできたな……、ちょっとまてよ……。まだ積んでるエロゲあるんだよ。あー、夜逃げした両親は無事だろうか? 俺の葬式って誰がやってくれんだ? つか思ってより結構意識ってなく…ならな…い…な……。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

暗い、闇、静寂が辺りを支配している。

ここはどこだろう……? 私はだれ? なんちて。

 

「おきてくださーーーーい!」

「おおう!? 目を瞑ってただけだったか」

 

無駄にリアクションをとって起き上がり、目蓋を開いたその先にはさっきの空中に浮かんでいた可愛いコスプレ少女が空中で鎮座していた。結構シュールな絵だと思う。

 

「お兄さん結構ボケ野郎ですね……」

 

ショートな髪の中のアホ毛なるものを揺らしながらそっぽを向き、唇を若干尖らせながら言ってきた少女に俺はもちろんこう返す

 

「あんた恐ろしく可愛いな! もちろん可愛いは正義! ってボケ野郎って初対面でいうセリフじゃなくないか?」

 

多少混乱していたり。いや多少じゃないね、うん。

 

ッポという擬音が少女の方から聞こえて来たかと思うと、ほのかに頬を赤くさせて少女は何かを言い返そうと口をぱくぱくさせていた。いやはや可愛いです、眼福です。

 

「なっ……、なにいってるのですか!? いきなり意味がわからないです! ほんとほんとボケナスビです!」

 

俺自身意味が分からないんです。

 

「いやはや可愛くて和むわー」

 

でもやっぱり反応してしまう可愛さ、っと思わず口に出してしまったぜ……。なんてわざとだけれども。

 

「なっ!? だだだ、黙れーーーーなのです! これでも私は神様見習い、あまり調子に乗るようですと地獄に落としますよ!?」

 

思わずポカーンとする俺が一人、二人、三人ほどいたり……。本当に三人いるわけじゃないがそれほどポカーンとせざるを得ないカミングアウトである。

 

「へ……? 神様? なにそれおいしいの? ヘルシーなの? てか俺やっぱり死んだの?」

「おいしくありません! まさか、た…食べる気ですか!?」

 

俺の冗談を真正面から受け止め露骨に震える自称神様見習いが一人。何故だろうか、怯える姿も……なかなかいけるじゃないですか。というのはもちろん表にはだしません。

 

「えっと別に食べる気はないんだが……、というか本当に俺は死んだのかが知りたいんだが」

 

あたりを見渡せば一面に広がる真っ白な世界、てか白しかない。全て白いため天井やら地面やらがきちんと認識できず、酷く気持ち悪くなる。悪くなるので可愛い女の子を見ておこう。

 

「というかやはりこれは確実に死んでるんじゃ? いや、でもまだ望みはある! はず……。」

「死んでますよ」

 

ゲッファッ!!!!

 

「あ、血も白い」

「エ、エ、エ!? エイリアンなのですか、近寄らないでください!」

 

先ほどと同じ様に震える女の子……たまらん。と数多い性癖の一つを暴露してみたりしても事態は好転しないよね、やっぱり……。

 

「いや、冗談だからさ」

「私をおちょくるのもいい加減にしないと助けてあげませんよ?」

 

そういって腕を組み踏ん反り帰る女の子こと、神様見習いとやらのセリフに再度ポカーンとする俺

 

「え……? 助けてもらえるの?」

「もちろんなのです、というかそのために私はきたのです!」

 

これまた小さい体の小さいお胸を一生懸命張っちゃって……。威張る姿もかわいいなーと真面目な会話中に思うのは不謹慎だろうか? 否、バレなければ問題ない。

 

「本当ならば貴方の曾々じいさんの時には呪いは解く予定だったんですが道に迷ってしまいまして……」

 

俯きながら頬を染めてもじもじしている姿もまた……。ん? あれ? 今とんでもない事を言わなかったかこの娘。

 

「なんだって……? どうやったら曾々じいさんの時に呪いをとくつもりで俺の代になってんだよ、てかやっぱり呪いあったのか…。つか死んでからお助けかよ……。まぁ可愛いからいいけど」

 

というより可愛いからこそ強くいえないし憎めない! あの潤んだ瞳、上目使い…完全に計算されつくしているとしか思えない可愛らしさ。

も、萌え死ぬ……。

 

「っ! ……それに関しては申し訳ないのですー、なので今回は特別サービスということで貴方には違う世界で幸せになってもらうのです。ほんとほんと特別ですよ?」

(というかこのことがお父さんに知られると私が困るのです……ボソボソ)

 

可愛いという言葉に若干反応を示したもののそのまま話を進める神様見習いの少女

 

「違う世界……? 例えば?」

「知りません。でもどんな世界でも幸せになるよう呪いの解除と願いを一つだけかなえることは可能なのです」

(本当は面倒なのでちゃちゃっと適当にやっちゃうだけなんですえけどねー、いや私は悪くないですよ。全て私をおちょくるこのボケナスビが悪いのです。ほんとほんとそうに決まってます)

「いや、その幸せって結局俺次第のような……」

「っ……!。まぁ、そんなことは置いといてです。願いは何ですか?」

 

置いておかれてしまった! 恐らく一番大事なことを置いておかれてしまった! だが可愛いがゆえに言えない悲しさ……。俺ってやつは、俺ってやつは………。

と悲しみに浸っているわけにもいかないし、とりあえず考えてみるか……

 

「また随分といきなりだな……、んー」

「時間がないのでちゃっちゃと決めるのです、後5秒です」

 

どうやら思いつく前に事が終わってしまいそうである。

 

「ぇえ!? なにそれ、ちょっとまてよォオオオイ!? えっとなんだその……」

「3…2…1…0!」

 

ちょっとまてっぇえええええい! 早すぎるって、マッハだって、いやマッハじゃないけどさ。それにしたって早すぎるって……。この速さは尋常じゃない気がするよ、うん。

 

「あなたの願いは成長値MAXですね、わかりました。」

 

あれ? 何言ってるんだ俺……。いや、俺何も言ってないよ?

 

「あのー、俺の願いをかなえてくれるんじゃ?」

(この頃育成ゲームに嵌ってて尚且つチートした最近の出来事を思い出してしまったから……なんて言ったらやばそうですね。とりあえず無視しましょう)

「つべこべいわないで欲しいのです、そもそも呪い解除だけでも十分なのですから。それに私はあなたの心の声を代弁したまでなのです! ほんとほんとそうなんです!」

 

まるで心を読んだかのような物言いだ! 成長値MAXなんて微塵も思わなかったけどな!

 

「り、理不尽すぎる……。俺の最大の不幸はこの神様に当たったことなんじゃないだろうか……。」

 

せめて可愛さも理不尽なレベルじゃなければまだ犯行、ゲフンゲフン、反抗の余地が残されていたのに!

 

「なにをぶつぶついってるのかわかりませんがさっさと飛ばしちゃいますね!」

「え? まってどこに? ぇぇえええーーーーー!? 早すぎるよ展開が! もうちょっとなんかあっていいと思わない? ねぇ、ねえ!」

 

 

 

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■後書き■

TINAMI初心者なので機能の把握が出来てませんがなにとぞご容赦を

 

改ページ機能はいいなと思ったのですが編集画面で使えないことが分かって使えるのを控えています。

編集画面で変更出来るようにならない限り基本記号や棒線を使って場面を区切ります。

 

読者様方には苦労をおかけいたしますがご理解のほどお願いしたいします。

説明
編集して再投稿しているので中身が変わったりします。ご了承お願いします。
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コメント
なるほど、そういう事でしたか。勘違いしてしまって申し訳ない^^; 改ページ機能を利用しない理由は後書きに追加いたしました。これに懲りずこれからも指摘して頂けるとありがたいです。(竜胆 霧)
改ページ機能を活用されてはどうかという意味だったんですが、誤解してしまうような言い方でしたね。すみませんでした。(逆叉)
早速のご意見ありがとうございます! 見やすい様微修正させて頂きました。また何かあればよろしくお願いします。(竜胆 霧)
面白そうですね、続きが楽しみです。あとは、改行があるともう少し読みやすいかなと思いました。(逆叉)
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処女作 不幸体質 転生 ハーレム 恋姫†無双 シリーズ 

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