灰色の立派な魔法使い(マギステル・マギ) 第七夜
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 僕は部屋を出た後も引き摺られたが、階段前で抗うのを止めて彼女に従うことにした。

僕は階段の踊り場で疑問に思った事を口にした。

 

 

 「あの、エヴァンジェリンさん・・・で、よかったですよね?」

 

 「ん?なんだ?」

 

 「なんで、僕を事を「お前の身を預かると言ったのか、か?」…ハイ」

 

 「フン!単なる気まぐれだ!」

 

 「そう…ですか」

 

 

 そうして階段を降りると、廊下から緑色の髪の子と僕が背負って来た子、そしてその子を背負っている黒い肌の女性が歩いて来た。

 

 

 「あ!怪我は大丈夫でしたか?」

 

 「ええ。軽く捻った程度なので、明日には治るそうです」

 

 「そうですか。よかった…えっと、名前を聞いてませんでしたね。最初に言いましたけど、僕はアレン・ウォーカーです」

 

 

 彼女はキョトンとした顔になったが、すぐに笑みを浮かべた。

 

 

 「刹那です。((桜咲 刹那|さくらざき せつな))。先程は刃を向けてしまい、申し訳ありませんでしたアレンさん」

 

 「いえ、気にしてないですから!それと、あなたは?」

 

 

 僕は刹那さんを背負っていた女性に目を向けた。

 

 

 「私は((龍宮 真名|たつみや まな))。刹那のルームメイトで仕事仲間さ」

 

 「ぇ…」

 

 

   マ・・・ナ・・・?

 

 

 「ん?私の名前に何か?」

 

 「い、いえ!何でもありません」

 

 「そうか?ならいいが」

 

 

 いけないいけない。名前が同じ人位居るはずなのに、『マナ』という名前に反応しちゃう。

 

 あの時…ノアに心臓を貫かれた時、僕は一瞬…マナに会えると思った。それと同時に教団の、仲間のみんなにも会いたいとも思った。僕の中では今までマナが一番だったのに、いつの間にか仲間達が同じ位大切に思えて来たみたいだ。

 

 

 「おい小僧!さっさと行くぞ!」

 

 「あ、はい!それじゃ刹那さん龍宮さん、これで失礼します」

 

 「はい。お気をつけて」

 

 「またな、ウォーカー」

 

 

 エヴァンジェリンさんに呼ばれ、二人に別れを告げて学校を後にした。

 

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 しばらく歩き森を進むと、森の中に丸太を積み上げて出来た様な家(ログハウスと言うらしい)が見えて来た。

 

 

 「ここだ。今日からお前はここに住むんだ」

 

 「はい。お世話になります」

 

 

 そう言い、エヴァンジェリンさんは緑髪の子が開けた扉をくぐり、僕も続こうとした。

 

 

 「失礼します。あ、そう言えばちゃんとした自己紹介がまだでしたね。アレン・ウォーカーです」

 

 「私はマスターに仕えている((絡繰|からくり)) ((茶々丸|ちゃちゃまる))と言います」

 

 「玄関前でなくても良いだろうに…エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」

 

 

 そうして家に入った。中は全体的に落ち着いた雰囲気になっていたが、ある一角の人形の山が存在感を醸し出していた。

 

 

 (なんか見つめられてる視線が……)

 

 「何を見ている?あぁ、私は人形を使う魔法を使うからな。人形が多いのは当たり前だ」

 

 「それにマスターの趣味でもあります」

 

 「いらん事を言うな!それよりも茶だ!」

 

 「了解しました。アレンさんもお茶をご用意しますね」

 

 「ありがとうございます」

 

 

 そう言うと茶々丸さんは奥に向かって行った。僕は立ったままではなんなので、側のソファーに座った。そう言えば今日は朝からずっと動きっぱなしだったな。リナリーは無事かな…みんな…心配して…る…な……

・・・・・・・・・

 

 

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 「すぅ〜すぅ〜」

 

 「……寝たか。ま、当然か」

 

 

 小僧はソファーに座った後スヤスヤと眠ってしまった。だいぶ疲れが溜まっていたのだろう。この様子だど朝まで起きないだろうな。

 

 

 「ケケケ。イキナリ眠リヤガッタゼ、コノ白髪野郎」

 

 「チャチャゼロか」

 

 

 人形の中に、茶々丸に似た緑色の髪と耳飾りをした茶々丸の姉にあたる、チャチャゼロがいた。今は魔力が制限されているので動けないが、小さい見てくれでも私の初代パートナーだ。

 

 

 「無防備ニ眠リヤガッテ。アァ〜殺シテ!」

 

 「止めろ。今日から家の居候なんだ」

 

 「チェ!ツマンネ」

 

 

 まったく、こいつは二言目には『殺す』だからな。一体何でこんな性格になったのやら…私のせいか?

 

 

 「お待たせしましたマスター。アレンさんは眠ってしまったのですか?アレンさんの分も用意したのですが」

 

 「ありがとう茶々丸。小僧の分も私がもらう」

 

 「了解しました」

 

 

 お茶を持って来た茶々丸が、小僧の分のお茶をどうするか聞いたので、私がもらうことにした。

 

 お茶を飲んでいると、茶々丸が質問してきた。

 

 

 「マスター。何故アレンさんを家に招いたのでしょうか?」

 

 「小僧には『気まぐれだ』と言ったが、本当の所は…面白くなりそうだからだ」

 

 「面白く、ですか?」

 

 

 私の発言に首を傾げる茶々丸。まぁ当然か。

 

 

 「明日…というより今日か、サウザンド・マスターの息子、ネギ・スプリングフィールドがこの学園に来る事は知っているな?」

 

 「ハイ。マスターの長年の野望が叶う事も」

 

 「あぁ。そいつと小僧を合わせるとどうなるか興味がある」

 

 

 あのクソジジイの事だ、どうせくだらない事考えてるはずだ。

 

魔法使いにとって未知の力を持つアレン・ウォーカー。サウザンド・マスターの息子のネギ・スプリングフィールド。この二人が巡り逢う時、どんな事が起きるのか……

 

 

 「つまり二人が悲惨な目にあうのを面白おかしく見て見たいと」

 

 「どう言う解釈をしたらそんな答になるんだこのボケロボ!」

 

 

 わけわからん解釈をした茶々丸の後頭部にあるネジを巻く。こいつはたまに変な返答をして来る。今度ハカセに見てもらった方がいいか?

だが今はこのボケロボのお仕置が先だ!

 

 

 「えぇい巻いてやる巻いてやる巻いてやる!」

 

 「ああ!そんなに巻かれては」

 

 「ケケケ!モットヤレゴ主人!」

 

 

説明
第七夜 夜の終わり
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