IS『に』転生ってふざけんな 第2話
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(これ、終ったんじゃね?)

俺はまずそう思った。本当なら頭を抱えて絶叫して、なにか硬い物に頭部をぶつけてしまいたい衝動に駆られているのだが、なんせ手足が動かない。ついでに言うと口もきけない。なにこのプレイ。誰得?

 

「これからよろしくね、『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』」

俺得でしたw。

 

 

(キタだろコレ!)

目の前にいるのは福音の操縦者のナターシャ・ファイルスさん。アニメで出てこなかったのが悔やまれる、挿絵で見た時「なんで2組の鈴がいてラウラがいないの?」と思いながらも「なにこの新キャラのまさかのハーレム乱入」とかずっと考えてて6巻で再登場した時にテンション上がっちゃった俺の好きだったキャラだ。リアルで見るとすっげー美人。

 

 

 

まぁとどのつまり、何が言いたいのかというと・・・・・今、彼女はISスーツを身につけている。という事は、今からISに乗ったりするわけだ。

 

そのISが何かって?決まっているだろうこの俺、『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』だ!

 

つまり彼女のナイス・ボディに俺が隙間無くくっつくわけで・・・・・・ヤバい。考えただけで鼻血が・・・あ、鼻無いんだっけ。ついでに血も通ってないわ。

 

 

 

(いや、そんなブルックみたいなネタを1人でやってんじゃねぇよ!)

 

 

などと俺が至極どーでもいいことばかり考えて興奮していると、ナターシャさんは俺の頭?の部分に優しく手をかざした。

 

「・・・・・?」

 

「どうかしましたか、ファイルス?」

研究者の1人がナターシャさんに尋ねたが、ナターシャさんは「いいえ。何でもないわ」と答えた。

 

 

・・・・つーか、英語で喋ってるんだよな。なのに普通にわかってるぞ、俺。やっぱISになったから頭の方も良くなってるのかもしれん。

 

「(気のせいかしら・・・・。いつもとISの反応が違うような気が・・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初期化と最適化が終って気付いたのだが・・・・・ISの装甲には、俺の感覚というものが通っていなかった・・・・・。

 

どういう事かというと、俺は初め、ナターシャさんの身体に密着するという事に対して興奮していたのだ。福音は装甲部分が結構多いから、ほとんど全身を同時に触っていられるという変態的思考で考えていたのだ。

 

 

―――――だが現実は違った。

 

ISの装甲部分に感覚が無いという事は、触っている感触もクソも無いのだ。ただ意識だけがISの中にある――――今の俺はそういう状態なのだ。

 

(期待した俺が・・・・馬鹿だった)

心底俺はそう思った。

 

 

 

「ファイルス、調子はどう?」

オペレーターの女性がナターシャさんに訊く。

 

「うーん・・・・なにか、違和感を感じるのよ。まるで誰かが私のすぐ近くにいるような・・・・」

当たらずも遠からずです、ナターシャさん。俺がその誰かです。福音です。

 

「まだ一次移行(ファースト・シフト)もできてないし・・・・チーフ、一度コアをリセットするべきではないでしょうか」

 

(・・・・・は!? ちょっと待ってくれ! もしコアがリセットされたら、俺はどうなるんだ!? このまま何もせずにナターシャさんを間近で見られてお終いか!? あ、冥土の土産に丁度いいかも・・・・・ってそうじゃない! せっかくなんだからこのままシャルやラウラたちとも会わせてくれよ! 臨海学校編でよォ!)

 

ISには、意識と似たような物がある・・・・そう言ったのは、たしか山田先生だ。

その意識が俺だとしたら、コアのリセットは俺の消失に繋がりかねない。だから一刻も早く俺はナターシャさんの専用機にならなければならないんだ!

 

 

(がんばれ俺! やればできる! どう頑張ればいいのかわかんねェけど!)

とりあえず一次移行が終りますようにと俺をこんなのにした誰かさんに祈りを捧げると・・・・・

 

 

『――――初期化(フォーマット)と最適化(フィッティング)が終了しました。確認ボタンを押して下さい』

ディスプレイにそう映し出されたのが解った。

 

「っえ! さっきまで両方とも進行度がたった3パーセントだったのに・・・・!?」

そんなバカな。あれからけっこう時間経ってたぞ。なのに3パーっておかしいだろ。機械壊れてるんじゃねえか?

 

「まぁいいわ。それより、一次移行が済んだんだから早くテストを始めましょう」

ナターシャさんは研究員に向かってそう言った。

 

(ん?テストって・・・・?)

 

俺がその疑問に気付いたまさにその時、目の前のシャッターが上がり、奥の戦闘スペースと思われる東京ドーム何個分かの広さの楕円形のスペースが姿を現した。

 

 

(コレは・・・・ISのバトルフィールドか・・・?)

 

アニメで見たアリーナの地形と酷似しているそれの中に、ナターシャさんは迷い無く俺を連れて行く。

 

 

今ので解ったが・・・・・どうやら、福音の操縦はナターシャさんによるそれが優先されるようだ。つまり、俺の意志は在って無いようなモノ、か・・・。なんだか悲しいな。

 

(まあでも、間近でISの戦闘が見られると思えば、少しは気も楽になるってか)

 

 

 

俺はISはアニメから入った。2話目を観て、すぐに原作を買った。

 

その理由は、アニメで観たISの戦闘シーンがすごく面白かったからだ。原作には軽く失望したが・・・・。

 

キャラも可愛かったから好きだが・・・・やっぱり、俺の中では戦闘が一番だ。

 

 

 

だから別に、俺自身が戦闘に参加できなくても構わない。すぐそばでアメリカトップクラスの操縦者の戦闘が観戦料タダで見続けられるんだ。こんなにいい話はそう落ちてないねきっと。

 

 

 

 

 

・・・・・はい。強がりです。自分も専用機持ってこの大空に翼を広げ飛んで行きたいです。翼をください。屋内なので大空は見えませんが。あと翼はもうありますが。まだ二次移行してないから機械っぽい多方向推進装置(マルチスラスター)ですけど。

 

 

 

 

とかなんとか考えてる間に、俺とナターシャさんの正面にネイビーカラーのIS――――アレは、フランスの第2世代型の、ラファール・リヴァイブか――――が現れた。

 

 

 

 

(まさか、いきなり実戦っていうヤツじゃ・・・・・ないわけないか)

思えば一夏もそうだった。いきなり代表候補生のセシリアとタイマンで闘うという無謀な挑戦だった。

 

だが俺は一夏の二歩三歩先を行く! なんて言ったって、こっちは専門的知識すら単語1つも理解してないどころか見てすらいないんだからな!

 

 

 

(とか何とか言っても、ただ見てるだけなんですけどね〜)

 

向こうは第2世代型だから多分一瞬で勝負が着くかな、と俺が思っていた時だった。

 

 

リヴァイブがアサルトライフルのロックを外したのが伝わって来た。これは撃たれるな。

 

だがこっちの操縦者はアメリカで最強のIS操縦者の1人だ。さらにこの福音は高機動と高火力を兼ね備えた機体だ。

こんな牽制なんて華麗に避けて迎撃する間もなく反撃してくれるに違い―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

バカァァァンッ!

 

 

 

 

 

 

バリアー貫通、ダメージ89。 シールドエネルギー残量、911。実体ダメージ、レベル中。

 

 

 

 

(痛てェ!!? なんだコレ!? 感覚ないクセに痛覚だけあんのかよ!!)

俺は脚部に感じた痛みに戸惑いながら、なぜナターシャさんが避けなかったのかを即座に考えていた。これもISになったお陰なのか?すぐに最善の判断ができるんだけど。

 

 

で、その結果浮かんできた仮説が・・・・・・『俺の動く意志に比例して、ナターシャさんの反応が福音へ伝わりやすくなったり伝わりにくくなったりする』というのが真っ先に浮かんだ。

 

 

 

(ちょっと待ってくれ! 俺は戦闘訓練なんて全くやって無い、ズブの素人なんですけど!?)

 

あと、今の俺は福音に搭載されているハイパーセンサーで全方位が視覚として認識できるんだけど、研究者の皆さんがなにやら不穏な動きを見せてるんですけど・・・・。

 

 

(まさか、コアのリセットか福音(オレ)の廃棄処分についての判断じゃないだろうな・・・・・!!?)

説明
これは、米国の軍用IS『シルバリオ・ゴスペル』に憑依転生してしまった少年と、その操縦者であるナターシャ・ファイルスの噺である。
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