IS『に』転生ってふざけんな! 第3話 |
(考えろ! なんとかしてこの圧倒的なまでの危機的状況を打破するんだッ!!)
このまま死ぬのはまっぴらご免だ。だってせっかくナターシャさんと会えたんだもん。このまま近くにいたら風呂場とかまで一緒に持って行ってくれ・・・・じゃない。ISの戦闘を直で感じられないじゃないか!!
(やってやる! やるしかないんだ!!)
「(どういう事なの・・・・!? 福音が私の動きに全くついてこない!)」
私は、今までとのISとは全く違う福音に戸惑っていた。
そもそも、この『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』は国際条約違反の軍用IS。前まで操縦していた量産型や競技用のISとは少し勝手が違うとは思っていたけど・・・・・ここまで違うものなのとは思っていなかった。
ハイパーセンサーによる視覚補正で、研究所の職員が信じられないという顔で私を、福音を見つめていた。やっぱり、あの人達にも想定外の事なのね。
「(ここは一度引き上げて、検査してからもう一回テストするのが賢明ね・・・・・)」
私がテストを中断しようと、通信回線を開こうとした時―――――微かに、声のようなものが耳に入った。
―――――いえ、そうじゃない。耳で聞いたんじゃなくて、もっとこう・・・・・『感じた』とでも表現するべきな感覚。
「(まさか・・・・でも、他に考えられない)」
ISには意識と似たようなものがあり、IS側が操縦者の特性を理解する事でその性能をより引き出させてくれるというのは有名な話だけど・・・・これほど顕著に表れるモノなのかしら?
でもさっきの声のような・・・・・福音(この子)の叫びは、きっと闘いたいと言っていたわ。正確には解らないけど。
「(一緒に、飛びましょう―――――――銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)!)」
(・・・・・・?)
なにか聞こえた気がした。それも音じゃなくて・・・・・なにか、こう心に直接響いてきたというか、テレパシーみたいなのが。テレパシ−なんてしたこともされたこともないから、わかんねェけど。
(とにかく、今はあのリヴァイブをどうにかしなきゃな)
確か福音は広範囲攻撃ができたな。下手な鉄砲でも、全方位に攻撃できるなら1発は当たるかもしれない。
(名前なんだったっけ・・・・・・そうだ、たしか《銀の鐘(シルバー・ベル)》――――)
―――――ピピピッ! 《銀の鐘(シルバー・ベル)》起動 攻撃を開始します
翼のような多方向推進翼(マルチスラスター)に搭載された砲門36全てが開かれたのが解った。
(モーションは・・・・少し屈んで、一回転だったっけ)
俺がアニメで見た記憶を呼び起こし、イメージを作る。背景はもちろん夕焼け空だ。アレはカッコ良かったなぁ。
すると、俺の身体・・・・つまり福音は遂に動き出し、360度全方位に羽のようなエネルギー弾をバラ撒いた。
ズドドドドドドドドドドドドド!!!!
バトルフィールドの壁とかはエネルギーバリアーで防御されているので、壁が壊れたりすることは無いのだが、それでもその中にいたリヴァイブは銀の鐘をモロに食らったらしく、大ダメージを受けていた。
(いや強すぎだろ『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』!!)
アニメではラスボス的扱いで、原作では第4世代型2機に墜とされたが・・・・ここまでとは思わなかったぞ、軍用IS。
―――――なんかさっき、近接戦に持ち込むと感じたんだが・・・俺、素人だって言ったじゃん! でもここで動かなかったらまた体勢を立てなおされて撃たれるだろうなぁ・・・・。痛かったんだよな、撃たれたりすると。
『銀の鐘』と表示されたアイコンが、私の前に突如現れた。
「(この子が・・・・私の気持ちに答えてくれたの?)」
すぐに私はアイコンをアイタッチして、銀の鐘を起動させた。
すると、今から私が動くべきイメージが頭の中に流れ込んできた。
その動きを忠実に再現し、頭から生えた翼のような多方向推進翼の砲門からエネルギー弾を放つ。
ズドドドドドドドドドドドドド!!!!
圧倒的なまでの数のエネルギー弾が、フィールドの中全てを焼き尽くした。
そしてもちろん、その的となった相手のリヴァイブには相当のダメージを与えた。
「(流石は軍用・・・出力がケタ違いね)」
でも油断は禁物。相手もアメリカの優秀な操縦者が搭乗しているわ。現にあれだけの火力の差を見せつけられても、まだ闘いを諦めてはいない。すぐに体勢を立て直し始めている。
――――――この子の性能(スペック)は、攻撃力だけじゃなく機動力も高かったハズ。今は出力を抑えて通常戦闘仕様にしてあるけど、本来は超高速で動けるほどのスピードがある・・・。
「(ここは近接戦で一気に攻めて、勝負を着けるべきね―――――!)」
ギュンーーーーッ!!
「――――うそっ!?」
私は今起きた現象に、驚く事しかできなかった。
私はただ『一気に近付こう』と思っただけなのに・・・・・この子は勝手に、瞬時加速(イグニッション・ブースト)と間違えるほどの急加速で相手に近付いた。
まだ接近すると命令していないのに、私の判断を上回る速さでこの子は動いた―――――。
「(本当、どこまでも変わった子ね)」
うおぉぉぉ。やべぇ、今のはヤバかった。
ナターシャさんが近接戦をしようとしてたような気がしたから、急加速で近付こうとしたのに・・・・・その急加速が半端ねェ! 危うく墜落するところだった。一夏みたいに。
寸前のところで急停止が間に合ったから良いものの、二度とこんな肝を冷やすような事はしたくないね。
(そういや、俺って福音(じぶん)がどれだけの性能を持っているのか知らないんだよな。まぁ、表とか見せてもらっても解るとは思えないけど)
え? なんでだらだらそんなに喋っていられるのかって?
それは、もう戦闘テストが終っちゃったからなんだよな・・・・。
接近中に近接武器がないかと探してたんだけど・・・・福音(オレ)、武器が翼しかなかったんだよ。刀1本の一夏の気持ちがよく分かるぜ・・・・。
だからそこからまたエネルギー弾を乱射して、そのままゴリ押しして戦闘終了。ああ、高火力って素晴らしい。
そういえば、ナターシャさんは俺が突っ込んだ時に(リヴァイブに急加速したこと。べ、別に他の意味なんてないんだからねっ!)ビックリしてたから、俺の意志が優先される場合もあるって事か・・・・・。
まだまだ解らないことだらけだな、この状態。
とにかく今日はもうお終いみたいだし、今後の俺の行方はまさに神のみぞ知るってことだ。
あの神様だけが、な。
説明 | ||
これは、米国の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』に憑依転生してしまった少年と、その操縦者であるナターシャ・ファイルスの噺である。 | ||
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コメント | ||
某サイトの時から読ませていただいてます。俺もここで二次創作を書いてますので、お互いに頑張っていきましょう。(ネフィリムフィストに戦慄走った) | ||
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