IS『に』転生ってふざけんな! 第4話 |
転生してから何時間経ったことやら・・・・・。
俺は今、ナターシャさんと一緒に(ここ重要! テストに出るよ!)風呂に入っている。
「なんて羨ましいんだ! 俺と代われッ!」「チェーンジッッッ!!!」とお叫びになられている方も大勢いらっしゃると思います。
え? 前話までと口調が違うって?
ちょっとした賢者になっている今の私には、今の喋り方の方がしっくりくるのですよハッハッハ。
でもですね、羨ましいというのは浅はかってモンですよ。
(だって、見えないどころか聞こえすらしないんだもの・・・・・)
せめて、音だけでも拾ってほしかったッ! できれば感覚もあってほしかったッ!!
だが現実は悲しいかな。カメラがオフになっているので視界はゼロ。全くの黒。さらに耳が無いから音聞こえないの、テヘッ。
そんなどこの高僧が喜ぶのかわからねえくらいの禁欲世界なのだよ、ここは・・・・。
(お願いだ、3分間でいい。誰かこの俺を解放してくれ!!!)
誰も解放してくれませんでしたw 神後でおぼえてろ!
(つーか・・・待機状態ってマジで何もする事ねェな・・・・。せめてナターシャさんと会話でもできたらなぁ)
などと考えながら、俺は何もせず、無為に時間を浪費していた。え? 一人称が戻ってる?
賢者モードから解放されたんだよ。
で、風呂から出た後俺は眠かったから寝させてもらった。
この状態でも寝るという感覚はある。さらに眠気も感じる。不便で仕方が無いと思えるだろうが、これは実際ありがたい。
人間って生物は、寝てないとストレスがたまる。そのストレスの発散先を自分で用意できない今の俺には、眠るという事ができるのは嬉しい限りだ。存分に寝かせてもらおう。
目が覚めると、そこはよく分からん場所だった。
「・・・・教会・・・・?」
目の前には見上げるほど大きなパイプオルガンが壁のようにそびえ立ち、横に長いイスが規則的にいくつも並んでいる。
その光景は、まさしく万人が思い描く『教会』だった。キリスト式の。
――――ってか、俺今喋らなかったか!?
「あ・・あー。本日は晴天なり。じゅげむじゅげむごこうのすりきれビッグバンアターック!我が生涯にいっぺんの悔いな・・・・よっしゃぁぁぁ!!!」
やっと・・・やっと言葉が話せた!! おまけに身体もある! なんでか知らんけど甲冑着けてるけど。外せないけど。
「う・・・・うーん?」
俺が浮かれ上がっているすぐ近くで、どこかで聞いたことのある声が聞こえた。
(ま、まさか・・・・)
「・・・え? ここは、どこ・・・・・?」
ナターシャさん来たァァァァァァァァ!!!!!
(マジか!? マジなのかコレ!! 俺の深層意識が創り出した仮想空間(夢)じゃないよね!! 現実だよね!!?)
コレが現実なら・・・・今、俺はナターシャさんと2人ッきり! おまけにここ教会だし!もう死んでもイイ! あ、もう1回死んでたんだっけ。でも2回死んでもイイよ、グリーンだよ俺!!
「――――ッ!」
刹那、俺の視界は反転し、背中と後頭部を強打する。やっぱり痛みはあるな。あと抑えつけられているは甲冑のせいで無いけど、身体が動かないからきっと抑えつけられているってわかる。
(つーか、さっき何があった!?)
俺が痛みに顔を顰めながら状況を確認する。だが視界が狭く、俺に何かした犯人を一瞬で見る事はできなかった。
「あなたは誰!? 私をこんな所に連れて、一体どうしようとしていたの!!?」
「いや犯人アンタかよ!!」
声で解った。犯人はナターシャさんだと。
予想外すぎる衝撃的事実に、俺は反射的に起き上がる。その時の力が凄まじかったのか、俺を抑えていたナターシャさんは吹っ飛ばされてしまった。
てかさっき、どういう体位だったんだろう。ひょっとしてすごくエロかったりして・・・。
(いや、そんなこと考えてるヒマないぞ今! ナターシャさん俺の事すっげー睨んでるもん。敵意丸出しだもん)
とにかく、俺の事をわかってもらわないと話が進まねぇな・・・・。何を言ったらいいものか・・・・。
とりあえず、俺が福音だってことから信じてもらうしかないか。
「あー、えぇっと・・・・俺はアンタの持ってる『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』だ」
オイ俺! もうちょっと言い方他に無かったのか!? なんかいろいろおかしかったぞ!!
ほら、ナターシャさんも全然信じてくれてな「まさか・・・そんな!」意外とイけそうだ!
「いやホントだって。教科書とかにも書いてなかった? 『ISには意識と似たようなものがある』って。その意識が俺」
「・・・・・たしかに、それはISに関わる人間なら誰でも知っているわ。でも、あなたがあの子だという証拠が無い」
あの子・・・・あ、福音(オレ)か。
「うーん・・・・こんな恰好してうろついていられると思う?」
――――――やっちまったぁぁぁぁ!! コレ完全にドボンだよ!! 確かに理に適ってるけどコレは無いだろ! いくら思いつかなかったってコレは酷過ぎるだろぉぉぉぉ!!
「そ、そうね・・・。あなたの言う通りだわ」
ほら、ナターシャさんちょっと引いてるよ! 多分兜みたいな物付けてるからわかんないと思うけど、俺もう涙目だよ!!
「んで―――――たぶん、ここは俺の・・・・福音の深層意識みたいな空間だ・・・・・・と思う」
「ちょっと待って! 思うってどういう事!?」
「俺だってさっきまで何もない真っ暗な空間で1人ぼっちでいたんだよ! そんな時にこんな場所だけど操縦者のアンタと会えて、嬉しくて混乱してるんだよ!!」
・・・・ってまた恥ずかしい事をぉぉぉぉ!!
確かに寝ていたはずの私と同じ空間にいた甲冑の男はこう言った。
「―――――たぶん、ここは俺の・・・・福音の深層意識みたいな空間だ・・・・・・と思う」
彼は確かに『思う』と言った。ここは彼・・・・あの子(福音)の空間じゃないの?
「ちょっと待って! 思うってどういう事!?」
私は彼に訊いた。ここでもし的外れな解答や返答に悩むようなら、すぐにでも殺さなければならない。
相手は男。ISは使えない。いざとなれば私の持っているこの鐘・・・・銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)でこの教会ごと吹き飛ばしてしまえば・・・・・。
「俺だってさっきまで何もない真っ暗な空間で1人ぼっちでいたんだよ! そんな時にこんな場所だけど操縦者のアンタと会えて、嬉しくて混乱してるんだよ!!」
彼は確かに言った。私の事を『操縦者』と。
彼は自分の事を福音だと言っていた。そしてその操縦者が私だと言い当てた。
この子・・・・銀の福音は、その全ての情報が国家レベルでの機密とされている。
だから外部の人間が、その事を知っている筈はない。
あの子を開発した研究員なら誰でも知っている。でもそれ以外は・・・・大統領ですら、私が操縦者だとは知らない。だから外部の人間が知り得る事なんて有り得ない。
さらに、開発チームは選び抜かれた少人数で構成された。だから顔も声も私はよく知っている。
でも、あんな声を持つ人はいなかった。
「(だとしたら・・・・・彼は本当にあの子なの・・・・・?)」
でも、ISの深層意識と対話するには長い年月をかけてお互いを理解し合わないといけない。
なのに、たった数時間搭乗しただけの私の目の前に現れるのかが解らなかった。
「(いえ。ISにはまだ私たちには解らない事が多い。こういう現象があってもおかしくは無いハズ・・・・それに)」
――――それに彼は・・・・『1人ぼっちだった』と言っていた。
何もない空間で、ただ一人、寂しい思いをして過ごしていたんだと思う。
それに、私に会えて嬉しかったとも言ってくれた。
「(なんだかんだ言っても・・・・まだ生まれたばかりの子供なのかもね)」
―――――だったら私が、育ての親になってあげてもいいわよね。
説明 | ||
これは、米国の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』に憑依転生してしまった少年と、その操縦者であるナターシャ・ファイルスの噺である。 | ||
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