恋姫外伝〜修羅と恋姫たち  一の刻
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【一の刻 物語の始まりの出会い】

 

 

 

 

伝説である

いつの時代も決して表に出ることなく

常に時代の影にいた

最強を誇る無手の武術があった

その名を『陸奥圓明流』という……。

 

 

 

 

 

 

河東郡、とある村外

関羽こと愛紗は戸惑っていた。

自分が住む村の近くに盗賊らしき者達が見受けられるようになったとの話を聞いて、村で自警団を組織し見回りをしていたのだが、村の外れで怪しき男を発見したとの仲間の知らせにより駆けつけてみれば、確かに怪しき風体の男がいたのである。いたのであるが、その男は何をするでもなく唯一人近くの木に寄りかかるように寝てたのだ。

確かに不審な者ではあるが、愛紗はこの男は盗賊の仲間ではないだろうと当たりを付けていた。『盗賊の仲間ならば村を調べるような真似もせず、このようなところで寝転がっている道理がない』そうは思ったものの怪しいのに変わりはないので、とりあえず起こして事情を聞こうと思った愛紗は持っていた武器《青龍偃月刀》の柄の部分で男の腹を軽く突いた。

「おい、おい、起きろ…ええい起きんか貴様」

短気なのか、一,二度小突いただけで起きそうにもないと判断した愛紗は、今度は強めに柄で叩いた。

愛紗は村で一番の強力である。村の男達が纏めてかかって行っても、太刀打ち出来ないほどである。その愛紗が『強めに』叩いたのである。普通なら骨の一,二本折れても可笑しくはないのではないか?と思えるほどだが、その男は気だるそうに振り向いただけであった。

「やっと起きたか、貴様このような所で何をやっている」

いきなり柄でぶっ飛ばしておいて、その言いようはないんじゃないかと周りの男たちは思ったが、決して口には出せないのである。

対して件の男の反応は

「寝てた」

そう言うとまた愛紗に背を向け寝だした。

「ふ、ふざけるなよ貴様!!」

からかわれたとでも思ったか、愛紗はそう怒鳴ると偃月刀を男の近くに叩き付けた。

偃月刀に叩かれた地面はものすごい音と共に陥没したが、男はさほど気にせず愛紗に向き直り

「問われたから答えたのに何をそんなに怒っているんだ?」

と不思議な者を見るような目で聞いてきた。

「このような場所でただ眠こけてた訳があるまい。何の目的でここにいる、貴様まさか盗賊の一味か!?」

愛紗はさきほど自分で『盗賊ではない』と思ったことなどすっかり忘れ、そう問いただした。男の飄々とした態度に頭に血が昇り、冷静に判断などすでに出来なくなっていたのである。

そんな愛紗に対し

「腹が減ったが食うものがない、動くと余計腹が減るので仕方なく寝てた」

とまたしても飄々と男は答えた。

その男の態度に余計頭にきた愛紗がさらに男に詰め寄ろうとした所

ぐうううぅぅ〜〜

男の腹が盛大に鳴った

「…………」

一瞬辺りを静寂が襲った

愛紗は男を疑ってたことが馬鹿馬鹿しくなり、はあ〜と溜息を付いた後武器を下ろした。

「もういい…疑って悪かったな。叩いてしまった侘びもある、村に来い食事くらい馳走してやる」

そう言って男を村に案内すると言ったあと、ふと思い出したように話しかけた。

「そういえば名を聞いてなかったな。私の名は関羽 字は雲長と言う、貴様の名は?」

男は立ち上がり愛紗の後に続き歩き出しながら、名乗った

「陸奥」と

 

 

説明
いつの時代も決して表に出ることなく

常に時代の影にいた

最強を誇る無手の武術『陸奥圓明流』

その陸奥を名乗る者が『恋姫』の世界にいたら?

というifのお話
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コメント
修羅の刻、修羅の門は全部読んでるので気になりますね。続きを心待ちにしております、ナトセさん。(アルヤ)
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恋姫†無双 と修羅の刻のクロス 主役はオリジナルの『陸奥』 

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