外史を駆ける鬼・IS編 第003話
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外史を駆ける鬼・IS編 第003話 「朝と授業」

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時刻は午前4時。寮に暮らしている学生は未だ夢の中、重昌は誰よりも早く目を覚ましていた。戦国時代や三国時代に目覚まし時計があるわけが無いので、朝の鳥の泣き声か自分の感覚だけが頼りである。何十年もそんな朝を迎えてきた彼は、自然にこの様な時間に起きる様になっていた。昨日の晩は荷物の整理をろくに出来ずに寝てしまったので、顔を洗い歯も磨き終えれば荷物の整理に乗り出す。しかしその荷物の整理も20分程で終わらせてしまったので、とりあいず重昌は黒のジャージに着替えて食堂に向かった。

食堂ではおばちゃん達が、学生が食べる朝の朝食の準備に取り掛かろうとしていた。

 

重昌「おはようございます」

 

おばちゃん「あら?おはよう。貴方…影村ちゃんだね?昨日この学園に来た、IS二人目の男子」

 

重昌「ご存知で?」

 

おばちゃん「おばちゃん達の情報網は何処にでも張り巡らされているよ」

 

かっかっかっと豪快に笑い飛ばす食堂のおばちゃんに彼は流石と答える。いつの時代も、おばちゃんのこういうところは頼もしいものだ。

 

おばちゃん「ゴメンね。これから朝食の準備なのよ」

 

重昌「いえ、今日は少し手伝わせて欲しくて。こんな朝早くから起きてしまいすることがないのですよ。料理には自身がありますのでおまかせを。そして、自分の弁当を作りたいので材料を少し分けて欲しいのですが?」

 

彼は自分のマイ包丁ケースと弁当箱を取り出す。おばちゃんはまた豪快に笑い飛ばし…

 

おばちゃん「あら、料理できるのかい?えらいねぇ、うちの子にも見習わせたいよ。ちゃんとお手伝い出来れば、1人分の材料ぐらい提供してあげるよ。それじゃこれ今朝の献立だから、これを作ってくれるかい?判らない事は聞いておくれ」

 

重昌はサロンエプロンを付け、ケースより包丁を取り出し、今日の献立に取り掛かるのであった。

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ただ今午前6時。目覚めが早い生徒はそろそろ起き始める時間帯。朝よりトレーニングに励む1人の女子がいた。彼女の名前は篠ノ之 箒。篠ノ之 束の妹でIS学園の生徒の1人。真ん中で別れたポニーテールが似合う女性だ。彼女の一日は普通の人より早く始まる。ジャージに着替え顔を洗って歯を磨き、ランニングをしてスポーツ後のシャワーを浴び、その全てが終り次第制服に着替え、食堂で少し早い朝食を食べる。ただ今箒は食堂へと向かっている。この時間帯であれば食堂は空(す)いており、朝食を食べている生徒は僅かであろう。彼女のルームメイトで、思い人である織斑一夏はまだ夢の中。一つの部屋で若い男女で不謹慎だと思うが、単純に去年より多い一年が入学してき、部屋の割り当てが無かったので、たまたま一緒になってしまっただけである。

 

箒「{全く、一夏は私がいないとホントにだらしがない。}」

 

つい先日も、同じクラスのイギリス人、セシリア・オルコットと隣のクラスの中国人、凰 鈴音と一夏争奪戦を繰り広げたばかりである。今上げた名前の二人も一夏に好意を抱く者であり、抱かれている本人は全く気付いていない有様である。

 

箒「{一夏は私の事をどう思っているのであろうか?}」

 

彼女もいいお年頃の女の子。恋を知っていても別に不思議でもない。そんな事を考えている間に寮の食堂へ着いたのだが……何やらいつもと様子が違っていた。いつものこの時間帯の食堂はガラガラのはずなのに、今日に限っては朝より食券販売機に行列が出来、食堂のカウンターにも行列が出来ていた。

 

女生徒1「あの人誰だろう?」

 

女生徒2「新しい食堂の人かな?」

 

噂している女生徒達の目線の方向を見てみると、自分達より1か2つ上の男性が料理を作っていた。IS学園は女子高。さっき名前で出てきた織斑一夏の様なイレギュラーな存在以外は、だいたい女子が締めている。IS学園の職員も女性で締め、男性職員もいないわけではないが、ほぼおじさんの警備員や清掃係の人ぐらいなものである。なので、若い男性職員は珍しいのであろう。箒は”鯖味噌定食”の券を買い行列に並んだ。普段は食堂があまりにも込み合っている時は、列の割り込みなどあるのだが朝の余裕のある時間帯なのか、そんなことする生徒はいないようだ。しかしそれでも割り込みする女生徒が出てきたので、いつもの食堂のおばちゃんの一喝が聞こえる……と思いきや、今日は新しい男性職員の一喝が響き渡る。しかも勢いよく箸が飛んでくるオマケ付きだ。割り込みした女生徒は、頭の箸の当たった部分をさすりながら素直に最後尾に並んでいく。暫くすると自分の番がやってきた。

 

食券は事前に裏に名前を書いて別の場所で渡し、そしてだいたい自分がカウンターに立つ時に料理がやってくるシステムだ。一応名前は呼ばれる。箒は料理を受け取ると、ふと思う。ここのおばちゃんの料理は絶品で、彼女はいつも楽しみにしており、しかし彼女に料理を手渡したのは、いつも料理を作ってくれるおばちゃんであった。カウンターの向こう側の厨房には多くの出来上がっている料理。そして作っているのは新しい男性職員。ということは、今日の料理はおばちゃんの料理ではなく、その男性職員の料理である。いつもの味を楽しみにしていたので少し残念そうに席に付き、手を合わせ合掌し、箸を使って鯖味噌を裂き身の一部を口に含む。すると何とも言えない感覚に陥る。

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箒「{な、なんだ!?この鯖は!味といい歯応えといい絶妙過ぎる。鯖の焼き加減、味噌の付け具合といい、今までこれほど旨い鯖味噌を食べたことが無い!!}」

 

周りの女生徒の反応を伺ってみる。全員幸せそうで蕩けそうな顔をしている。

 

女生徒3「あら?箒さんおはよう。ここいいかしら?」

 

彼女の名は鷹月 静寐。箒と同じ1組のクラスメイトである。

 

箒「おはよう。別に構わないが、今日はどうしたのだ?こんな朝に起きる性格ではなかったであろう?」

 

静寐の予想外の早起きにだいたい検討は付いているが真相を確かめてみる。

 

静寐「朝から凄く美味しい料理を作る男の若い料理人がいると聞いて起きちゃった。このグラタンもあまりにも美味しいからおかわりしてきたのよ」

 

静寐の反応的にも、やはりどの料理もかなり旨い事が判る。普段洋食などを食べない箒もつい”少しくれないか”とねだってしまう。彼女は了承し、代わりに箒の鯖味噌を少し分けて貰う。

 

静寐「ん〜ん、この鯖味噌も美味しい〜。次はこれも食べてみたい。でもこれ以上食べたら太っちゃうかなぁ?」

 

箒も貰ったグラタンを口の中に含む。

 

箒「{う、旨い!洋食はあまり食べたことが無いのでどう表現すればいいのかわからないが、とにかく旨すぎる!}」

 

こうして、今日の朝食をじっくり食べていくのであった。一方その頃箒のルームメイトはというと…

 

一夏「あ、あれ?…やべぇ!寝過ごした!!」

 

いつも起こしてくれるルームメイトが今日はいないので、慌てて朝の支度を整える。箒は既に支度を終えているので、後はカバンを持ち学校に行くだけなので十分間に合う。結局一夏は朝食を食べることが出来ず、昼まで空腹と戦うはめになる。

 

そして9時ごろ、そろそろIS学園は朝のSHR(ショートホームルーム)に突入する時間帯。あの後、重昌は8時半ぐらいに切り上げ自分の弁当を作り、制服に着替え学園に向かった。3組担任のフランに連れられ教室の中に入ると自分達の教師が見知らぬ男子生徒を連れてきているので教室がざわめくが、フランが両手を叩き”静かに”と言ったところで教室内が静かになる。

 

フラン「それでは影村君。自己紹介して」

 

彼は黒板に”影村 重昌”と書き込む。

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重昌「始めまして。私の名前は影村・タナトス・重昌と申します。”タナトス”と言うのは、キリスト教の洗礼を受けた時に付いた名前で、別にハーフとかそういうのではありません。趣味は料理、楽器弄りなどで、年は二十歳。のんびり大学に通っていたら、なりゆきでISを動かしてしまいこの学校に編入させられました。これからいろいろあると思いますが、皆様どうか気軽に声をかけて下さい」

 

最後に”よろしく”と付けたし、自己紹介を終える。急の編入で五十音に並べられなかった為、重昌の席は教室の一番隅の角に追いやられる。

 

一限目:数学

 

フラン「それではこの数式の問題を…香山、答えてみろ」

 

香山「え!?む、無理ですぅ〜」

 

フラン「それではアメリア、どうだ?」

 

アメリア「オ〜、日本語ムツカシイネ〜」

 

フラン「判らないなら判らないと言え」

 

どうやら今やっている問題は相当の難問のようだ。

 

フラン「それならば……影村、解けるか?」

 

重昌は黙って空中投影ディスプレイ出し、下に敷かれたボードの上にタッチペンで数式の答えを記入し、黒板の前に出されたデカイスクリーンにデータを送信し映し出す。

 

フラン「……ふむ、正解だ。皆も影村君を見習うように」

 

周りよりは”おぉ〜”と声が聞こえる。

 

二限目:国語

 

国語教師「それではこの古文文章の意味を…影村さん、訳して下さい」

 

重昌「はい。つまり項羽が…」

 

説明を終えると、この授業でも周りから”おぉ〜”と皆声を出す。

 

三限目:機械技術(IS関連)

 

女教師「それでは影村君。ISのコアの説明から、専用機構成の手順について説明して下さい」

 

彼女の名前は山田真耶。1年1組の副担任で、元日本代表候補生。ISの技術はかなりのもので、世界最強の称号を持つ千冬も認める程。

 

重昌「はい。まず、専用機構成は個人個人で違っており…」

 

説明をし終えると、皆一、二限と同じような反応をする。しかし、次の授業で事件が起きる。

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四限目:体育(場所は体育館)

 

体育教師「今日は合気道について教えますが、まず皆さんの実力が判らないので、1人1人かかって来て下さい」

 

そう言いながら体育教師は構えを取り、誰がかかって来るか待つ。因みに全員、支給された胴衣に着替えています。

 

女生徒1「か、影村さん?先に行ってくれる?」

 

女生徒2「お、お願いします」

 

女生徒は皆一歩下がり重昌を押して前に出す。

 

重昌「{女尊男卑の社会とはいえ、やはり女の子は女の子か}」

 

そう思いながら重昌は教師の前に立つ。

 

体教「お、イイネ!やっぱり男の子だ!」

※体→体育、教→教師

 

重昌「先生。私は合気道の型は知らないので、好きに型を取っていいですか?」

 

体教「君は出来る口かい?いいよ」

 

彼は”それでは”と言い、膝を落とし、左手を少し前に出し、両手は虎の如く爪を立てる。虎拳の構えである。体教も最初は手加減していこうと思ったが、重昌の威圧を肌で感じ、油断は捨て自らの得意な空手拳に変える。最初に動き出したのは体教で、一気に距離を詰めて右拳を放つが、彼はこれをあっさりかわし、逆にカウンターの如く掌底を胸に放つ。体教は左手で掌底防ぐが、それでも重昌の力で吹き飛ばされてしまう。

 

重昌「しまった!思わず力を入れすぎてしまった!」

 

周りの女生徒はポカンとし、吹き飛ばされた体教は気を失ってしまった。重昌は倒れている先生に近寄り、肋(あばら)をヤッてしまっていないかどうか脇と胸に手を当てて無事を確かめる。

 

重昌「私は先生を保健室に連れて行くので、誰か職員室に行って現場報告をしてくれ」

 

そう言いお姫様抱っこで体教を連れて行く。何人かの生徒が、お姫様抱っこをされている体教を見て、小さな声で”イイナ”と言った事は秘密。

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昼休み

教師負傷により体育は途中で中断された件について、重昌はフランにこってりしごかれ、開放されたのは昼休みであった。職員室から出ると、1年3組の女子達が重昌を待っていた。

 

女生徒1「ゴメンね、影村さん。あの時、無理に引き受けて貰って」

 

体育教師による小手調べの件について言っている様だ。

 

重昌「いいさ。加減を間違えた私にも責任はある」

 

女生徒2「でも」

 

重昌「いいから。早くしないとご飯食べる時間が無くなるぞ」

 

そう皆を諫めて、1年3組の女生徒達は解散した。教室に戻った時に何人かのクラスメイトが”一緒にご飯を食べよう”と重昌に話を持ちかけてきたので、彼は自分のカバンから弁当を取り出し、クラスメイトと共に学園内の食堂へと向かった。

 

女生徒A「え!?これって影村さんが作ったのですか!?」

 

女生徒B「凄〜い。影村さんってなんでも出来るのですね」

 

彼は”そんなことはない”と言って、弁当内の出し巻き卵を口に頬張る。そんな話をしている時、クラスの女子がある話題を持ちかける。

 

女生徒C「そうだ影村さん。クラス代表をやってみませんか?」

 

重昌「クラス代表?」

 

女生徒C「はい。この学校では各クラスでそれぞれ代表を決めているのです。簡単に言えば、学級委員長みたいなものですよ。ただ、うちのクラスはまだ代表を決めれず仕舞いで…」

 

重昌は”まぁ追々”と適当に話をはぐらかす。

 

女性「もし、そこのお方」

 

楽しく談笑している1-3ズに1人の来訪者が現れる。

 

重昌が振り返ると、そこには今朝”鯖味噌定食”を注文した、ポニーテールが似合う女の子が立っていた。

 

女生徒D「あら?篠ノ之さんどうしたの?」

 

箒「うむ。今朝素晴らしく旨い料理を振舞われていた方がいたので、もしかしては同一人物ではないかと?」

 

重昌「今朝?確かに今朝の寮の朝食は、食堂の人達に我侭を聞いてもらい私が作ったが?」

 

箒「!…やはり貴方でしたか。私の名前は篠ノ之 箒と申します。是非またあのような料理を振舞ってもらいたいのですが?」

 

重昌「別に畏まらなくていい。あのような料理でならいつでも作ってあげますよ」

 

重昌達の会話を聞き、1-3の女子達は”私にも作って〜”と盛り上がり、彼も”早起きすれば”と返す。

 

箒「次のIS訓練では、確か3組と合同でしたね。そこでまた会いましょう」

 

箒は重昌に一礼し、”それでは”と言いその場を去っていった。そして再び重昌を囲んで1-3ズの話は盛り上がるのであった。

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5、6限目:IS訓練

 

食事を終えて早めにロッカールームで着替えている彼に、1人の男性が声をかける。人類で始めてISを動かせる様になった男、織斑一夏である。

 

一夏「こ、こんにちは。えぇっと、影村・タナトス・重昌さんですよね?」

 

重昌「タナトスはキリスト今日の洗礼名で、本名ではないから気にするな。年上だからといって遠慮することは無い、私の事は好きに呼んでかまわない」

 

おずおずと緊張している一夏に対し、重昌はフランクに返す。

 

一夏「それでは”重昌さん”と呼ばせてもらいます。重昌さんは大学生だったそうで?」

 

重昌「そうだな。のんびりと大学ライフを送ろうとした時にISだ。まったく参ったものだね」

 

一夏「それにしても、すごい体の傷ですね」

 

一夏は重昌の無数の体の傷を見て反応する。何十年も戦乱の中に身を投じてきたなど言えるわけも無く、事前に作ったカバーストーリーを話す。

 

海外の学校で飛び級して高校を15で卒業→何かを求めて軍に入る→やっぱり大学生活を送りたくなり、傭兵を辞めて勉強し19で大学へ→なりゆきでIS動かしてしまう19→いろいろあり今年IS学園に入学

 

こんな感じである。

 

一夏「え!?それでは去年ISを動かした事になりますね?」

 

重昌「正確には半年前だね。動かせても使いこなせないと意味がないので、密かに訓練していたのだよ」

 

一夏「それではISの技術もかなりのものじゃないですか?是非今度教えてくれませんか?」

 

彼がそう言うと、重昌はロッカールームの座っていたベンチを立ち上がり…

 

重昌「それはいいが一夏君。早く着替えなくていいのかい?」

 

ロッカールームの時計は授業開始10分前になっており、一夏は慌てて着替えるが間に合わず、結局IS指導担当であり、実の姉である千冬の拳骨をくらうのであった。

 

ただ今、授業開始5分前。授業を受ける生徒は、全員IS用特設アリーナに集まっている。今日は1年1、3組の合同練習。生徒は全員ISスーツと言うものだ。格好は、女子はスクール水着のようなレオタードと膝上サポーター、男子は(二人しかいないが)袖インナーシャツとスパッツという格好だ。因みに重昌のスーツは特注で色は黒色。黒色と言っても、普通のISスーツの様な黒色ではなく、闇の様な色”漆黒色”とでも言えばいいだろうか。1組はIS二人目の起動者の重昌に視線を集め、3組は3組でインナーシャツとスパッツからはみ出る、鍛え上げられて肉体と傷に見惚れる。

 

女性「貴方でございますの?ISを起動させた二人目の殿方と申しますのは?」

 

ブルーのISスーツを着た、金髪のイギリス人と思わしき生徒が重昌に話しかけてくる。彼女の名はセシリア・オルコット。イギリス代表候補生で、一夏へ好意を抱いている者の1人。

 

重昌「えぇっと君は…オルコットさんだっけ?」

 

セシリア「あら、私の名前をご存知で?」

 

重昌「今朝学食でイングリッシュ・ブレックファストのメニュー食べたでしょ?」

 

セシリアは何故わかったのかと言う様に両目を見開く。

 

セシリア「な、何故貴方がそれを!?」

 

重昌「今日の朝食は私が担当したからね。印象深い長くて良い髪の色だったから、何故か覚えていたよ。私の名前は影村・タナトス・重昌だ。皆にも言っているが、ハーフじゃないぞ」

 

セシリア「あ、あの朝食を貴方が!?あれほど美味しいベーコンエッグなどを食べたのは産まれて初めてでしたわ。改めて自己紹介させていただきますわ。セシリア・オルコット。気軽に”セシリア”とお呼び下さいな。私も”重昌さん”とお呼びしてよろしくて?」

 

“構わない”と彼は返すと、互いに握手し合う。実を言うと、セシリアはつい先日まで女尊男卑が当たり前の様に感じていた。だが一夏との出会いで考え方を改め、男も女も平等に接する様になった。そんな出来事の後、授業が始まる。さっきも言ったが一夏は5分遅れて来たので、千冬に拳骨をくらう。千冬の隣には山田 真耶がいる。

 

千冬「それでは今日は飛行訓練の応用に入る。まずは手本として専用機持ちのオルコット、織斑、影村前に出ろ」

 

3組の面々からは”影村さん、専用機持ちだったの?”と言う声が聞こえる。

 

千冬「まずはオルコット。上空300メートルまで飛行し、一気に降下して10センチの低空飛行で飛んで見せろ」

 

セシリアは返事と共に自らのIS”ブルー・ティアーズ”を一秒もかからず展開させる。そして一気に上昇し降下、低空飛行を行い自分の元いた場所へ降り立つ。

 

千冬「……13センチか。まぁまぁだな。次、織斑。お前は前の様にグラウンドに穴を空けられてはたまらないから、250メートルでオルコットと同じ10センチの低空飛行だ」

 

一夏もセシリアほど早くはないが、それでも始めての演習よりは成長しているらしく、直ぐにIS”白式”を展開させる。そして上空まで飛び立ち降下、低空飛行を終えると元いた場所に戻る。

 

千冬「……15センチか。織斑、もっと縮められるだろ。それでは最後に影村。お前は豪州代表のはずだ。観客席を一周してアリーナ内上空をいける範囲まで飛び立ち、速度を落とさずに螺旋状に降下し、背面低空飛行で…5センチだ」

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千冬の言葉を聞き周りがざわめく。千冬に出された課題についてと、重昌が代表と言う事についてだ。3組の女生徒の一人が手を上げて千冬に質問する。

 

3組女子「お、織斑先生。影村さんは代表って言うのは?」

 

千冬「ん、なんだ?影村、お前まだみんなに言っていなかったのか?」

 

重昌「いや、別に自慢する事でもないので…」

 

千冬「担任のフランシィ先生は何も言わなかったのか?」

 

重昌「…黙っていた方が、面白そうとでも思ったのではないでしょうか?」

 

千冬は軽くため息を吐き、重昌に飛ぶように指示する。

 

重昌はセシリアよりも一段早くISを展開し、展開と同時に一気にエンジンを噴射させ、最高速度で飛び立つ。アリーナ席のポールなどの障害物を潜り抜け一周し、上空ギリギリまで飛び立つ。そして螺旋状に回転しながら降下。背面低空飛行の後、元の場所に降り立つ。

 

千冬「……5センチジャストだな。いいか、お前達にも最終的にあそこまでの技術を身につけてもらうから気を引き締めろよ。それでは訓練開始だ」

 

……こうしていろいろあった後授業が終わる。千冬が解散を呼びかけると、全ての生徒が一斉に重昌の所に集まる。代表について言わなかった事、体育の時間で見せた格闘技術の事、体の傷についての事、今フリーか?など質問攻めに合う。一つ一つ答えていく彼に、セシリアがある事を聞く。

 

セシリア「重昌さん、ワタクシとISで勝負してくださいまし」

 

セシリア自身、何か思う所があるのであろう。彼女はかつて、自身が代表候補生であることを鼻にかけ、一夏を”男など”と馬鹿にしたことがある。いくら女尊男卑の考えをある程度改めたとはいえ、全ての男が一夏の様な漢(おとこ)だとは思ってはいない。しかし目の前の彼は自分より操縦技術も肩書きの上であるのに、”代表である事”を鼻にかけずに至って謙虚にしている。彼女はかつてのただプライドの塊の様な自分が許せない思いと、目の前の強敵に立ち向かう思いで、彼に戦いを挑むのであろう。彼は了承し、この場にいる二人の教員に許可を貰う。審判は真耶が行い、これは公式の試合ではないので、”いざという時”の止めに千冬が入る。なお生徒は全員アリーナ客席に移動し、人的被害を防ぐために観客席のバリアーだけは張られる。

 

今、重昌とセシリアの戦いが幕を開ける。

 

説明
皆様おはようございます。

もうすぐテストなので、スピードが遅めです。

恋姫の続き書かないとなぁ・・・判ってはいる。でもこっちの方がネタいっぱい出てくるのだもww

しかたないね。それではどうぞ。
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コメント
破滅の焦土さん〉重昌はどっちかというと、「秀才」です。 +積み重ねてきた経験です。(IFZ)
天才すごすぎ!!天才の料理、食べてみたいな〜(破滅の焦土)
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 重昌は家事上手 IS やりすぎたか? 

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