IS『に』転生ってふざけんな! 第8話
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(寝たい・・・・・)

 

俺は今、それだけを考えてただただ無意味に時間を浪費している。

 

 

 

前にも同じことを言った気がするが、人間は眠らなければストレスが溜まり、イライラしてしまうのだ。そして俺はこの福音になっちまった時から、一睡もしてない。これがどういう意味かわかるか?

 

とにかく、俺は一度ぐっすり寝て、清々しい目覚めを味わいたいのだ。できればあの何物にも代えられない、布団の温かさも感じたい。

 

 

 

だが現状はどうだ? 眠気はあれ以来一度もこないし、そもそも肉体のようなものはあっても横になったら床が冷たいし、何より寝にくい。ちなみに布団も無い。あるのは感触と虚無感だけだ。

 

何? 何もないがある? バカ言うな。結局なにもねえじゃねえか、このハムスターが。

 

 

ああ、言い忘れていたが今の状況はあの教会のようなだだっ広い空間だ。そこでたった1人、大の字になってる中世の騎士っぽい甲冑が俺。何も知らない人が来たら不審者扱いされる事間違い無しだ。

前にナターシャさんがキモがるより先に攻撃してきたのは、あの人がISの国家代表操縦者だからと勝手な解釈をさせてもらおう。ラウラもきっと同じ事してるって。ああいう状況なら。

 

 

 

 

などと色々考えて時間を潰しつつ、ナターシャさんが寝てこっちに来るのをだらだらと待っているつもりだったのだが、その夜はぼっちで過ごした。

 

ISのコアネットワークをフル活用して、何とか時計機能を使えるようになったのは俺にとって非常に大きい。せめて時間くらいは知りたい。人間は時間を感じられる唯一の動物だと、どこかの哲学者が言ってた気がするし。

 

 

 

なんでナターシャさんが来なかったのかは・・・・・・今から考えるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの変な夢は、今日は見ることがなかった。

 

もしかしたら、あっちに行くには何か特別な条件が必要なのかもしれない。

 

 

「(まだまだ機会(チャンス)はあるわけだし、焦らないでも大丈夫よね)」

 

色々と聞きたい事はあるけれど、それは次に会ったときになっちゃったわね。

 

 

 

 

私はベッドから出た後、一度シャワーを浴びてから食堂に出向いた。

 

 

島を丸1つ使っているこの軍事研究施設に滞在している軍人と、ここで働いている研究者たち。そして私やイーリのようなISの操縦者は、それぞれ専用の食堂で食べる。

 

ただ、私たちの方は他の2つとは明らかに違う。

 

 

 

どの国もISの機関にはやり過ぎなほどに資金を出しているから、そう考えると当然なのかもしれないけど・・・・・・

 

 

「(照明がシャンデリアになってて、6人分しか椅子がないこの部屋を、本当に食堂と言えるのかしら?)」

 

 

 

どちらかと言えば、ここはもう一流のレストランという表現の方が適切だと思う。

 

 

そして何より、ここを6人で使っているところを私は見たことがない。設計者は一体どんな要望を受けたのだろうか。

 

 

 

「ナタル〜! こっち来いよ〜!」

 

 

 

・・・・・そんな事を考えているのは、どうやら私だけのようね・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あのストーカーは来たのか?」

 

「もうその話はいいわ」

私はパンをちぎりながらイーリに答えた。

 

「あ、そ。ところでナタルさぁ、今日は超音速下の試験稼働だろ? テストパイロットは面倒くさい仕事多いよな」

 

「別に私は、面倒とか思わないけど」

 

「ふーん。ま、私もモニター越しに見学させてもらうことにするぜ」

 

「どうぞお好きに」

 

 

いつもと同じように、私とイーリは朝ごはんを食べた。

 

 

 

 

 

 

でも、普段通りだったのはそこまでだった――――――。

説明
これは、米国の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』に憑依転生してしまった少年と、その操縦者であるナターシャ・ファイルスの噺である。
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タグ
IS インフィニット・ストラトス 

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