IS『に』転生ってふざけんな! 第9話
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なんとなくホームシックにならない事に自惚れ始めていた瞬間、出撃する事となってしまった。

 

いや、出撃という表現はやや大袈裟かもしれない。ただ単に基地の外に射出されただけなのだから。エヴァの真上へ飛び出すカタパルト? みたいなカンジで、パシュゥって。

 

 

で、上空何百メートルかはよく分からないが、とにかく見晴らしのいいこと。足下に広がるは海。そして緑豊かな島々が点々としている。少し遠くを見てみれば、観光地のようなビーチで大勢の人がこれでもかと言うほどバカンスを満喫している。

 

そんな光景を目の当たりにされては、嫉妬と妬みしか浮かび上がって来ない。今の俺なんてあるのが痛覚だけなんだから、水に入った気持ちよさなんて分かるはずもないんだから。

 

 

 

とりあえず、今俺とナターシャさんはどこに飛んでいるのかを確認するが……ここって、ハワイの近くじゃね?

 

 

 

 

 

この時、俺は奇跡的に随分前に見たISのアニメで「ハワイ沖」という単語を耳にしたような気がしないでもないと思い始めた。

それはどこだったかと記憶を探っている時、「飛べ」と指令が下った。

 

いや、「飛べ」と本当に言われたんじゃない。なにやら超音速飛行がうんたらこうたらと言っていた。

 

何がなんだかよくわからない俺は、とにかく速く動けばいいのだろうかと頭から生えた多方向推進翼(マルチスラスター)を後方に向けて最高出力で吹かす。

 

 

 

 

――――バシュウゥゥン!!

 

 

 

(痛い痛い痛い痛いっ!!!)

 

一瞬でさっきいた場所から遥か彼方へと移動していた俺は、ソニックブームで生じる衝撃を身体全体で感じていた。

 

 

 

いや、これは酷いだろ! あまりにも過酷過ぎるぞ! なんで動くだけでこんな苦痛を味あわねばならんのだ! ちょっとした拷問と同じだぞ!

 

 

 

 

……ピピピ

 

 

本部から命令が送られてきたようだ。内容は―――――《銀の鐘(シルバー・ベル)》の最大火力の計測………、か。

 

 

いつものようにやればいいのだろう。俺はすぐに《銀の鐘》のモーションを取り始める。

 

 

―――――ズダダダダダダダダ!!!

 

 

放たれた《銀の鐘》は、威力と呼べるものが昨日までと段違いだった。

 

着弾した海面からは巨大な水飛沫が立ち昇り、そのエネルギーの大きさからか海水が蒸発している。

 

これをモロに受けたら、量産機なんて1発だろう。

 

 

 

 

俺が米軍の本気さに若干引いている時、コアネットワークから直接何かのプログラムが送られてきた。

 

(なんだ、これ?)

 

『それ使って、ちゃっちゃと指定する座標に飛んできてね〜』

 

なぜだか、言葉と呼べるものが聞こえた気がした。が、ナターシャさんには聞こえていない様子だ。

そして、あの呆けたような声……間違いない。

 

 

 

 

 

――――――――篠ノ之束様だ。

 

 

 

 

 

 

今の俺にとって、母と言ってもいいんじゃないかと思える――――【天災】こと篠ノ之博士。一夏曰く【狡猾な羊】。

 

そういや、ハワイ沖って福音が暴走した時にいた場所じゃなかったっけ。

と言う事は、このプログラムは福音を暴走させる物だってことか?

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――ふと、このまま原作を崩壊させてやったらどうなるかが気になってしまった。

 

俺が出向いてやらないと、一夏の白式は第2形態にならない……と思う。しばらくは、だが。

 

 

まあでも、それだと普通に箒の誕生日を祝えて、一夏も意識不明になりはしないんだし……別にいいんじゃね?

 

 

 

 

 

俺も凍結なんてご免だし、亡国機業(ファントムタスク)もほっといたら自爆するんじゃね? 世界各国にケンカ売ってるわけなんだから。

 

ま、ISを使った傭兵として自分を売り込むんだったら話は別だけど。

 

 

 

 

 

とにかく、俺はこの命令を全力で無視する事をここに誓います!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――同時刻  IS学園臨海学校近辺にて―――

 

 

福音のコアに直接的なアプローチを仕掛けた女性――――篠ノ之束は、自分が今目の当たりにしている事象に対して興味を持っていた。

 

ISのコアは、現在存在する468(・・・)個全てが彼女によって制作されたものだ。

言ってみれば、全てのISは彼女の子供だとも表現できる。

 

 

 

………そんな子供の1つが、母であるはずの自分を【裏切った】のだ。

 

先程、福音に送った自律行動システムの作動が感知されなかった。

天才である彼女が、送信を間違えたりするはずはない。他に考えられる彼女のミスは無い。では、なぜ現実は彼女の思う通りに運ばなかったのか。

 

 

 

 

 

彼女は1つの答を出した。

 

 

【コアに存在する自意識が、自ら考え、自ら判断し行動した】

 

それこそが、天才の導きだした答だった。

 

 

 

 

「そっちがその気なら、こっちにも考えがあるよ〜」

 

天災とあだ名される彼女が…………その鋭すぎる牙を剥いた瞬間だった――――――。

説明
これは、米国の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』に憑依転生してしまった少年と、その操縦者であるナターシャ・ファイルスの噺である。
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タグ
IS インフィニット・ストラトス 

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