魔法戦記リリカルなのは 二人の転生者の願い
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序章:始まりの鐘と

第五話「約束は光の彼方」

 

―日曜日 AM 5:45

 

「はあ〜・・・」

 

ため息をつきながら起床する。

気分は別に悪くない。胸のもやもやも大分薄れている。

どちらかといえば昨日の疲れを全部吐き出したというところだろうか。

 

ベッドから出た後、ジャージに着替え洗面所に向かう。

鏡を見ると珍しく寝癖が立っていた。水を吹き付けてドライヤーとタオルで直す。

顔を洗い、歯を磨いてスッキリすると御勝手に向かう。

 

今日は父さんと母さんはいろいろ合っていない。

だから朝飯は冷蔵庫に入れてある。

 

俺はそれをレンジでチンした後、暖めた味噌汁とご飯を一緒にテーブルに持っていき

それを食べる。

 

おかずは鯵のフライと野菜炒めだった。

 

食し終わった後時計を見ると6時12分だった。

 

俺は食器を水につけておく、洗うのは帰ってきてからだ。

戸締りを確認。財布を持ちキューフォーを手につけて家を出る。

 

「おいーす。待ったか?」

 

「ううん、大丈夫だよ。」

 

念話で約束したとおり今日はなのはと訓練に行く。

結界も大分上達したが、まだまだ被害を防げるものではない。

せいぜいショボイ流れ弾を防ぐくらいだ。

 

ランニングしながらそんなことを考えているとなのはが聞いてきた。

 

「なんか今日の彩斗くん変だね。」

 

「ん?どこらへんが?」

 

「なんかボーっとしているというか・・・。何か隠しているというか・・・。」

 

あぁなるほど昨日のことが顔に出てたんだな。

とりあえず隠すことでもないので話す。

 

「ん、あぁ実は昨日八神はやてに会ったんだ。」

 

「へぇ〜・・・。ってはやてちゃんに!!??」

 

「ああ本当はPT事件が終わってからにする予定だったんだが」

 

「あれ?ってことは闇の書関係で早めにあったんじゃなくて・・・。」

 

「あぁ図書館に行ったら偶然会ってな。」

 

最近ではなのはも長距離に慣れてきたため話しながらでも十分ランニングできていた。

前世の記憶があるからっていくらなんでも早すぎやしないかななのはの成長。

 

「はやてちゃんとは友達になれた?」

 

なのはが聞いてくる。愚問・・・と言いたいが正直自分の友達の定義はかなりあいまいだ。

だからなのは基準の友達でいく。

 

「名前で呼び合ってるから友達と言えば友達かな。」

 

「へぇ・・・。私も会いに行こうかな?」

 

「別にいいと思うが、偶然会った俺と違ってお前は故意に行くからなぁ・・・。」

 

「え?何か問題がある?」

 

「闇の書関係の話をするときに最初から闇の書があったから来たみたいな感じになっちゃうじゃん。」

 

「あっ確かに・・・。」

 

「・・・まあ・・・いいか、お前の前世どおりなら守護騎士がはやての代でも犯罪犯すことになりそうだし。」

 

止めるなら早めに説得したほうが良いからな。

 

「あれはさすがに止めさせないといけないね。人から蒐集するにしても襲う必要性はないと思うし。」

 

「前の代の闇の書がやらかした分は10年前だし、まだはやてに罪はないけど

 今回やったら守護騎士のせいではやてが犯罪者になっちゃうからなあ・・・。」

 

これに関しては完全に俺の偏見だが、守護騎士たちが今までした分は

主に命令されたから罪はないと言う意見はどうかと思う。

 

実際原作ではやての命令を無視してるし、本人たちもはやてに会うまでは仕方ないと割り切っていたんだろう。

まあ偏見だがね。

 

「まあ闇の書に関しては後にしよう。まだ一年あるからね。」

 

「そうだな。PT事件もあるし、なによりあのバトルマニアの守護騎士から信頼得るなら俺たちが強くならないとなぁ」

 

ベルカの騎士ということもあるしデバイスの性能差もある。

まず一対一でヴォルケンリッターたちには勝てないだろう。

だから万が一勝負することになったら、そのときは俺たちの心の一撃を浴びせて理解してもらうしかない。

 

「と言うわけで訓練やるよぉ〜。」

 

「お前もやっぱりバトルマニアだったか・・・。」

 

なるほどね「なのちゃんファン」がこれが嫌なのね。

厳密に言えば原作と性格がま逆なのが理由であって、

とらハがなければこちらでも別にいいんだろう。

合わないならそもそも見てないだろうし。

 

「む、それってどういう意味?」

 

「そういう意味です。と言うわけで少し飛ばしますよぉおお」

 

「ふぇ?ちょ、ちょっと待って」

 

知りません。俺は今行くよ。

 

全速力ダッシュで例の山へ向かうよ。

 

 

―山、それ以上でもそれ以下でもない

 

 

「と言うわけでこれぞキンクリ」

 

「はぁ、はぁ・・・さすがにこれは疲れた・・・。」

 

「さて今日も一対一の模擬戦?」

 

「一応ね。ほかの訓練は来年かなりできると思うし」

 

「アースラ利用する気満々か!!」

 

ちなみに俺が結界をきちんと扱えないのもあるが、

実は俺たち二人は魔力負荷をかけている。

 

ViVidでなのはが言っていたレイジングハートにやらせていたやつと同じと考えてもらっていい。

俺はレスキューフォース、なのははブレイズ・ハートで魔力負荷をかけている。

 

そして訓練が始まる前と後に完全開放をする。

これをほぼ毎日繰り返しているうちに俺たちの魔力量はかなり上がっている。

基準がないのでわからないが、なのはは魔力量Sはいっているのではないだろうか?

 

 

さて魔力を完全開放。その後もう一度魔力負荷をかけて模擬戦を開始する。

 

「いつもどおり、どっちからが降参するまで。正し昼飯前には終わる。」

 

「うん、OK。じゃあいくよ。」

 

「レスキューフォース」「ブレイズ・ハート」

 

「「セットアップ!!」」

 

バリアジャケットが展開され二人は空へと上る。

 

 

―数時間後

 

 

「「はぁはぁはぁ・・・・・・。」」

 

たくっ、なのは強くなりすぎだろ。

非殺傷設定を使っているとはいえ御神流の技を多彩に使ってくる。

まあ俺はよけてるんだけど。動体視力では負ける気はないな。

 

ただランサーモードはともかく、ブレイカーモードでの砲撃や射撃はまるで当たらない。

フェイクバレットなども散らしているが、あちらさんの得意の空間認識能力で全部回避。

 

結局はショートレンジやクロスレンジでの戦いになっていた。

そのせいで決着がまるでつかずもう昼飯の時間だが、これが一戦目だった。

 

というより今までの模擬戦がたいてい中断なんだけどね。

 

「時間が時間だし、今日もここまでにするか」

 

「そうだね。それにしても魔法経験では私のほうが上なのに・・・彩斗くん強いなぁ」

 

「鍛えてますから」

 

実際前世でも鍛えていた。

棒術、ボクシング、空手、さらに体操を学んでいた。

ただガムシャラに・・・。

 

テレビの中の強いヒーローに憧れて、家族以外の心の支えに・・・。

 

その技術はこの4年間で大分取り戻した。

だからそう簡単にはなのはに負けるわけにはいかない。

 

「昼飯はどうする?」

 

地面に降り立つと俺はなのはに向かってそう言う。

なのはが答える。

 

「彩斗くんと一緒に食べたらいいってお母さんがお金渡してくれたけど」

 

「じゃあ俺と一緒でいいな。ちなみに定食屋だけど金足りる?」

 

「1000円以下なら・・・。」

 

「じゃあ大丈夫だな。さて行きますか。」

 

「うん!」

 

その答えを聞くと同時に俺はなのはを行きつけの定食屋に案内する。

 

 

―定食屋「池田」

 

 

ここ「池田」は安さとうまさ、そして素材の安全さにこだわっているお店だ。

昼飯が一人の時はいつも行っている。母さんが専業主婦なのでかなりまれだが・・・。

 

一番安い定食が500円。高いのが1200円と意外と普通のお店である。

 

俺は店に入るとおばちゃんに挨拶する。

 

「こんにちはおばちゃん。席あいてる?」

 

「やあ、彩斗。久々に来てくれたねぇ。席なら奥が開いてるよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「いいってことよ。ところで後ろの子は彼女?」

 

「いえ、隣に住んでる幼馴染の・・・。」

 

「あっ、た、高町なのはです。よろしくお願いします。」

 

「二人とも反応が薄いってことは違うのかい。ちょっと残念かな。」

 

「そう言わないでください。それじゃあ俺は刺身定食で」

 

俺は1200円の定食を選ぶ。ここの刺身はかなりおいしいのだ。

 

「じゃあ私は・・・・・・焼魚定食で」

 

なのはが頼んだのは500円の焼き魚定食。

焼いてある魚が毎回ランダムだがその分安いといういまいち良くわからないシステムの定食だ。

 

「了解したよ。それじゃあ席で待っといてくれ。」

 

「了解。じゃあなのはちゃん行くよ」

 

「う、うん。」

 

席に着くと5分で料理が届く、かなり早いのに見た目もすばらしいし

味もうまい。この店はやっぱりいいな。

 

俺は小皿に醤油をたらし、刺身を食べる。

わさびを醤油に混ぜないで刺身の上に乗せるのが俺流。

・・・普通か・・・。

 

「そういえば今日は彩斗くんのお母さんは何してるの?」

【ところで彩斗くんは管理局には入るの?】

 

マルチタスクを使い念話と通常の会話をする。

でも正直食べてるんだから念話だけでよくないかな?

 

「今日は近所の人から食事会に誘われているらしい。厳密には単なるお話会。」

【もちろん入るさ。管理局を中からつぶすつもりだし。】

 

「へぇ〜。」

【潰すって・・・。ちょっと物騒な言い方だね。】

 

【お前も管理局の闇くらい知ってるだろ。俺が潰すのはそこの部分。

 いまさら管理局本体を潰したらそれで生きてる管理世界の人にいい迷惑だ。】

 

実際新暦が始まってからでも64年立っている。

それだけの時間魔法を使う管理局の存在に慣れているのだ

無茶に帰ればそれはそれで暴動が起こる。

 

【まあ・・・私が死んだのは管理局員のせいだし・・・ヴィヴィオを作ったのも管理局だから知ってるけど・・・。

 管理世界の人についてちゃんと考えてるなら協力してもいいよ。】

 

【じゃあ頼んだ。こっちは地上本部のほうに行くつもり】

 

【地上本部?大丈夫かな?】

 

【スカさんが約束どおり他の犯罪行為をやってないなら、レジアスさんはそこまで犯罪行為はしないだろうし。

 まあ戦闘機人に関してはしてもいいっていったからどうかわからないけど。】

 

【そういえばなんで戦闘機人はOKだしたの?】

 

【そうしないとスバルたちはともかくナンバーズが生まれないだろ】

 

【あぁそういうことか】

 

結局のところそういうことである。

行動はともかく更正したナンバーズ達がいたことでヴィヴィオやアインハルト、コロナ、リオ達は

ストライク・アーツを楽しんでいた。

 

それならば彼女達は必要とされていると思う。

そういう独断と偏見で戦闘機人に関しては許可を出した。

もっというとこれを許可しないとスカさんが殺されてしまうと思ったのもあるのだが・・・。

 

「ふぅ・・・。ごちそうさまでした。」

 

「ごちそうさまでした。」

 

話をしているうちに定食を食べ終わる。

 

「かなりおいしかったね。また来ようかな」

 

「今度来たときはまた違う定食を頼んでくれよ。」

 

「うん」

 

そういうと俺達は定食屋を出る。

それぞれ料金はもちろん払ったぞ

 

 

―海鳴臨海公園

 

 

午後は体を休めることもかねて海鳴臨海公園に来ていた。

 

なのははいろいろと思いに馳せている。

前世のものだがここには思い出があるのだ。

 

「あのときの私はいろいろと悩んでいたなあ・・・。」

 

「あのとき?」

 

「ちょうど今から3年前くらいににお父さんが事故で入院、お母さんは喫茶店で忙しくて、

 お兄ちゃんとお姉ちゃんは看病と家業の手伝いで、私が家で一人ぼっちだったこと。」

 

「あぁあのときか。」

 

「でも今回は前世の記憶、彩斗くんがいてくれたから大丈夫だった。」

だけど、と一息おく

「前世では本当に一人だった。いい子にしていれば大丈夫だと思っていたけど・・・。」

 

なのはは前世のそのときを思い出していた。

 

 

―前世

 

 

その時私は公園のブランコに座っていた。特に誰と遊ぶ訳でもなく、ブランコに座って俯いていた。

原因は数日前、お父さんが事故で入院して、お母さんはお父さんに付きっきりなって、

お兄ちゃんはどこか機嫌が悪いし、お姉ちゃんは落ち込んでいた。

 

お母さんは朝起きるとご飯をつくって直ぐ何処かに行ってしまっていた。

お兄ちゃんとお姉ちゃんもそうだ。朝起きてリビングに行っても誰もいなかった。

テーブルの上にラップに包まれた朝食と、そのそばに置いてある書き置き。

 

[お母さんは、びょういんにいってきます。いい子にしててね。]

 

そう短く書いてあった。それを読んで良い子でいなくちゃいけない。

そうすれば良いんだ。そうすればお母さんも、お兄ちゃんも、お姉ちゃんも前みたいに話してくれる。

 

単純に、子供心にそう思っていた。その日も、その次の日も、その次の日も良い子でいたと思う。

 

ひとりで寝ることも、食器の片付けも、お風呂のお掃除も全部一人でした。

それでもみんな前みたいに話してくれなし、遊んでくれない。だから私ははお母さんに聞いた。

 

「お父さんはいつ帰ってくるの?」

 

そう、お父さんが帰ってくればみんな前みたい戻ってくれるって思ったから。そしたらお母さんは、

 

「なのはが良い子にしてたら直ぐに帰ってくるわ」

 

そう言ってくれた。だからもっといい子でいようと思って今まで以上に頑張った。

でも、それでもお父さんは帰ってこなかった。

その日も、その次の日も、その次の日も。そして、そのときはブランコに座ってどうすればもっと良い子でいられるか考えていた。

 

だけどいい案は浮かばなかった。だからお母さんの言うとおりに良い子でい続けた。

 

―回想end

 

今思えば私がきちんと話していれば少しは違ったと思う。

私が一人で全部抱えていたからお互いに苦しかったんだと思う。

 

前世の記憶もあるし、魔法もあるから私は今回は耐えられると思ったけど

やっぱり無理だった。今度は本当にお父さんが死んじゃうんじゃないかと思っていた。

 

だから今回は彩斗くんにちゃんと話した。

彩斗くんは前に「巻き込まれるかどうかは俺が決める。何かあったら相談してくれ」

と言ってくれたから。

 

そしたら彩斗くんいきなり私の家族に向かって

 

「なのはちゃんが悲しんでることに何で気づかないんですか?」

 

とすごい気迫でいっちゃって私は驚いた。

そしたらお母さんとお兄ちゃんの顔が急に変わって

「ごめんね(な)」といって抱きしめてくれた。

 

なんだかそれで私は安心していた。

あんな空気が消えただけでも私の心はすっきりしていた。

 

そのときに念話で

 

【実はお見舞いのときに士郎さんに簡単な治療魔法かけてる。安心してていいよ。】

 

と言われてかなり驚いたけれど。

 

その後、いつもの山に訓練しに言ったときに

 

「あの時は悪かったな。俺口下手だから、あんな感じしか無理だった。」

 

「ううん、大分気が楽になったもの。本当にありがとう」

 

「いいさ、約束だからな」

 

「約束?」

 

「あぁ約束だ。俺は約束はできれば守りたい。」

 

「・・・その決意はどうして?」

 

「へっ?えっいや、あのぉ・・・。」

 

あの時の彩斗くん少し変だったけど・・・。

なんだったんだろう?

 

 

―なのはSide out

 

 

あのときの話をされて自分も少し思い出していた。

まさかなのはから

 

「その決意はどうして?」

 

と言われたときはちょっと顔に出ちゃったかな。

前世での自分が決めたルールだからできれば話したくない。

 

ここにいるのは「八木沼彩斗」じゃなくて「九十九彩斗」だから・・・。

 

あのときの約束は光の彼方へと消えている。

 

お父さんとお母さんとの約束は・・・・・・・・・。

 

 

 

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