魔法戦記リリカルなのは 二人の転生者の願い 無印編
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第一章 無印編

第十四話「Be somewhere」

 

 

 

次元空間内を、巨大な白銀の戦艦が進む。

 

その名は時空管理局巡航L級8番艦。次元空間航行艦船『アースラ』。

この艦船には、今回の任務『ジュエルシードの確保』を目的とした、多数の人員が配備されている。

そのアースラのブリッジに一人の女性が入ってくる。

 

「皆どう?様子は?」

 

「前回の小規模次元震以来、特に目立った動きは無いようですが、

 二組の捜索者が再度衝突する危険性は非常に高いですね。」

 

緑髪の女性は椅子に座りながら「そう」と短く返す。

 

「失礼します。リンディ艦長。」

 

そこに茶髪の女性がブリッジへ入室する。

緑髪の女性の目の前に紅茶を置く。

 

「ありがとね、エイミィ」

 

彼女の名はリンディ・ハラオウン

 

若くして時空管理局の提督を勤めるアースラの艦長。

自身も有能な魔導師で、この任務の責任者である。

 

受け取った紅茶を飲んで喉を潤す。

 

「そうねぇ・・・小規模とはいえ、次元震の発生は・・・ちょっと厄介だものね。

 危なくなったら、急いで現場に向かってもらわないと。ね?クロノ?」

 

彼女はブリッジに立つコート姿の少年に声をかける。

 

「大丈夫。わかってるよ、艦長。ぼくは、そのためにいるんですから。」

 

彼の名はクロノ・ハラオウン

 

14歳にして、執務官の名を冠する言わばエリート。

リンディの実の息子であり、アースラの切り札でもあるAAA+ランクの魔導師である。

 

彼らはジュエルシードの確保のため第97管理外世界「地球」へと向かっていた・・・。

 

 

 

彩斗Side

 

「ふむ・・・。やっぱりむずかしいかな。今の技術じゃ・・・。」

 

俺はパソコンを目の前にして悩む。

はたから見ればちょっとした変人に見えなくもない。

俺の目の前にはある設計図が表示されている。

 

ファイル名「ゼクセリオン・ドライヴ」

 

これは今構想中のデバイスの新システムの名でもある。

 

このシステムは前世で見ていた特撮ドラマ「レスキューファイアー」の

エクスバッシャーのドラゴンチャージを元ネタとしているシステムだ。

 

これはリング状のパーツ・・・一応仮の名称を「アンプリーリング」

これを回転させることで、込められた魔力を増幅させることができる。

 

似たようなシステムであるカートリッジシステムと比べると

増幅させる量に個人差がある代わりに使用者への負担は圧倒的に少ない。

 

ただ敵前で「ドラゴン・・・チャアアアアーーージ!!!」なんて叫んでいたらものすごく

隙だらけだから、このシステムは基本的になのはみたいな移動砲台のような

魔導師向けと言える・・・。叫ばなきゃいいじゃんと言ったそこのあなた!

これはシステム起動の詠唱なんだよ!!言わなきゃ使えないんだよ・・・。

 

まあそもそもこのシステムは戦闘用ではない。

こいつは元ネタの通りレスキュー用のシステムだ。

もうひとつ考えているリンカーコアのない人でも使えるデバイス・・・

コードネーム「ハイブリッドデバイス」との併用で・・・。

 

「はぁ・・・こりゃ他の世界に行ってなにかしらの技術を見なきゃだめか・・・。」

 

まあこれを今すぐ使うわけじゃないしな・・・。

少なくとも闇の書事件では必要ないだろう・・・。

 

「ふぅ・・・。少し休憩だな・・・。」

 

そう言うと俺は魔方陣を展開する。

予知夢で見つけた目の疲れを取る魔法を発動させる。

 

「休んだら再開・・・。一時間後に昼飯だな・・・。」

 

俺はつかの間の平和を楽しんでいた・・・。

 

 

彩斗Side out

 

 

 

 

―時の庭園

 

 

昨夜のビルの屋上から転移してきたフェイトとアルフは、時の庭園の中を歩いていた。

フェイトは口では大丈夫だと言ってはいるが、それでもまだ9歳の子供。

彩斗やなのはのような例外の存在ではない。

痛いものは痛いし、怖いものは怖いのである。

 

前回は彩斗が間接的に止めてくれたが、今回はいない。

 

心の中ではプレシアからどうされるか考えておびえていた。

 

アルフは、フェイトに何かあったらただでは済まさない

とばかりに犬歯を剥き出しにして唸っている。

 

そして、重厚な作りの扉の前に二人は立つ。

 

「アルフは、ここで待ってて?」

 

「駄目だよフェイト!私も行くよ!」

 

「大丈夫だよ、私は平気。」

 

と、いきなり扉が開く。

 

「・・・お帰りなさい、フェイト。さあ、こっちへいらっしゃい?アルフもよ。」

 

「あっ…はい。母さん。」

 

薄い微笑みを浮かべて歩み寄るフェイトと、

警戒心剥き出しのアルフ。

 

プレシアは言う・・・。

 

「・・・ジュエルシードは、いくつ手に入ったの?」

 

「・・・四つ、です。」

 

「そう・・・。」

 

それだけ呟くと、椅子から立ち上がってフェイトに近づくプレシア。

アルフが威嚇の声をあげるが、それを無視して歩く。

 

そしてプレシアはフェイトの前に立つと、右手を伸ばしてフェイトの頭を撫でた。

 

「・・・え?」

 

「ありがとう・・・フェイト。こんな短期間でジュエルシードを四つなんて・・・・・・。」

 

「あ・・・・・・。」

 

「わざわざ、お土産を買ってきてくれたのね・・・ありがとう・・・。

 一緒に食べましょう?アルフ、あなたも来なさい?」

 

「う、うん!」

 

目に涙を浮かべながら返事をしたフェイト、

それとは対照的にあまり浮かない表情のアルフ。

 

笑顔で手を握り歩く自分の主とその母親を見ながら、アルフは思う。

 

(いくらなんだって、数日でこんなに態度を豹変するのはおかしいよ!

 プレシアに何かあったのかい・・・?それとも・・・彩斗が・・・?)

 

答えの出ないその考えは顔には出さずに、

時の庭園に、久し振りの穏やかな雰囲気を感じるアルフであった。

 

 

 

 

彩斗Side

 

 

さてただいま時刻は夕方・・・。

場所は・・・場所は海鳴臨海公園。

 

ちょうど今ジュエルシードが発動したところだ。

それにしても、あの樹の化け物、いつ見ても気持ち悪い・・・。

 

なのはが来て、化け物と相対する。

 

それと同時に上空から金の弾丸が降り注ぎ、樹の化け物のバリアに阻まれる。

 

「お〜!?生意気に、バリアまで張るのかい。」

 

「・・・今までのより、強いね。・・・それに、あの子達もいる。」

 

なのはがフェイトの方を振り向く。

 

その瞬間、樹の化け物は地面から根っこを生やしてなのはちゃんを襲う。

ユーノは近くの茂みに身を隠し、なのはは空中へと飛び上がる。

 

フェイトがアークセイバーで根っこを切り飛ばし、そのまま当たって化け物は怯む。

 

その間にレイジングハートをカノンモードにし、

空中でチャージを完了したなのはが放つ。

 

「撃ち抜いて!ディバイン!」

 

《Buster》

 

これもバリアに防がれる。

しかし効いてはいる。

 

かなり苦しそうにしている化け物を見るや、フェイトも砲撃準備した。

 

「貫け豪雷!」

 

《Thunder Smasher》

 

そして打ち出される金色の光線。

樹の化け物がバリアで防ぐ。

かなり苦しそうだが、バリアと二本の砲撃は拮抗している。

 

どうやら原作よりもバリアが強いようだな・・・。

原作よりもさらに強い二人の攻撃を防ぐとは・・・。

 

だったら、俺も参加させてもらう!!

 

「キューフォー!砲撃を撃つよ!」

 

《了解しました。マスター「コズミック・ストライカー」発射準備開始》

 

事前にセットアップしてたブレイカーモードのキューフォーに指示を出す。

ランサーを正面に突き出す。浮き出る円形の魔法陣。

 

「コズミック・・・ストライカー!!!!」

 

《発射!》

 

詠唱を言うと同時に引き金を引く。

俺の放った砲撃は寸分違わずに木の化け物に命中する。

その威力に木の化け物の体の一部が弾け飛ぶ。

 

それに気づいた二人が封印の準備を開始した。

 

《Seeling mode.set up》

 

《Seeling Form. set up》

 

「ジュエルシード、シリアル7!」

 

「封印!」

 

封印完了したようだ・・・。

 

「無事にジュエルシードは封印完了・・・と。」

 

「・・・・・・ジュエルシードには、衝撃を与えたらいけないみたいだ。」

 

「うん。昨夜みたいなことになったら、私のレイジングハートも、

 フェイトちゃんのバルディッシュも可哀相だもんね・・・。」

 

「だけど・・・これは譲れないから。」

 

そういってフェイトはデバイスを構える。

 

「私は、フェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど・・・」

 

なのはもデバイスを構える。

互いに負けられないから、まずは戦う。

・・・一方は純粋に戦いたいんだが・・・。

 

「俺は見ているからな・・・。」

 

二人の戦いが始まる。

 

俺はその場から少し離れて、フェイトとなのはが真正面から向き合う。

同時に飛び出し、互いのデバイスがぶつかり合う瞬間。

突如青い光が溢れ、レイジングハートとバルディッシュが何かに止められた。

それは青いバインドだった。

 

「ストップだ!」

 

突然の乱入者に唖然とする二人。

厳密にはなのは走は知っている人物・・・。

 

「ここでの戦闘は危険過ぎる。」

 

現れたのは、黒いコートを着た子供・・・うん子供だな・・・。

ごめんでも俺より背が低そうなんだもん・・・。

 

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!詳しい事情を聞かせてもらおうか。」

 

さて来たか・・・。クロスケくん・・・。

 

 

彩斗Side out

 

 

リンディSide

 

―アースラ

 

 

「現地では、既に三者による戦闘が開始されている模様です。」

 

「中心となっているロストロギアのクラスはA+。動作不安定ですが、無差別攻撃の特性を見せています。」

 

二人のオペレーターが状況を報告する。

その言葉を聴いて私は言った。

 

「・・・回収を急がないといけないわね。クロノ・ハラオウン執務官、出られる?」

 

私はクロノに聞く。

 

「転移座標の特定は出来てます。命令があればいつでも。」

 

「それじゃクロノ。これより、現地での戦闘行動の停止とロストロギアの回収。四名からの事情聴取を。」

 

「了解です、艦長。」

 

そういって転移ポートへと向かうクロノ。

転移魔法を発動しクロノの姿が消える

 

そのときに予期せぬ人からの通信が届く。

 

「久し振りだなリンディ提督?」

 

「!!??どうしてあなたが!!?」

 

そこに写っていたのは・・・。

 

「・・・地上本部総司令・・・レジアス中将・・・。なぜあなたが?」

 

本来ならこれの管轄は「海」にある。

ミッドの地上を守るべきレジアス中将に関係はないはずだが・・・。

 

「ふん、わしは約束のとおりにこの時間に連絡しただけだ。」

 

「約束・・・?」

 

「そんなことはどうでもよい・・・それよりも・・・。」

 

レジアス中将はそう区切り・・・

 

「・・・今の様子を少し見ていたが・・・。

 お前のことだ。黒い子供はともかく、白い地球の魔導師と

 もう一人の・・・九十九彩斗を利用しようとしてるんじゃないのか?」

 

ドキリと私の心臓が跳ねた。

あの子達と協力してジュエルシードを回収しようとは考えていた。

 

でも、利用するだなんて・・・。

 

っとそれよりも・・・。

 

「中将は・・・彼を知っているんですか?」

 

「ふん、お前に話すことではないわ」

 

「ならそれは聞きません・・・では、先ほどの言葉の意味は?」

 

「言葉通りの意味だ・・・。」

 

一拍おいて、レジアス中将は話しはじめた。

 

「あの白い魔導師は良くも悪くも真っすぐのようだな。責任感も強い。

 お前ははそこに付け込もうとしていただろう。

 かなり前から、モニターなどで彼女達の行動を見ていたのに

 行動を起こさなかったからな。ふん、それで平和を守ろうとは驕りだな。」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

「さあ、返答を聞こうか」

 

彼の言っていることは正論だった・・・。

管理局では黒い噂もある中将だが、やはりすばらしい力を持っている。

 

「・・・確かに、少しはそういう思いはありました。

 しかし、今は誠意をもって彼女達に接し、協力を頼む所存です。」

 

「ふん、勝手にしろ。わしは地上を守れればそれでいいが、

 その地上の予算を減らしている本局がそんな予算の無駄遣いしている。

 お前達が気に入らなかっただけだ。せいぜい彼らの話は聞いてやるんだな。」

 

「了解しました。」

 

そう言った瞬間に通信が切られる。

 

はあ、情けない。

こんなことを考えていたた自分自身ににヘドが出る。

少し慢心していたようね・・・。

 

でも今はあちらの状況を確認しなければ・・・

そう思いつつ、私はモニターに目を向けた。

 

願わくはここでの解決を・・・。

 

 

リンディSide out

 

 

「時空・・・管理局!?」

 

ユーノがそう言った。

 

「先ずは二人とも武器を引くんだ!そこの男性もだ!」

 

二人の武器はバインドで拘束されてはいるが、

解析すれば解くことはできる。

 

「このまま戦闘行為を続けるなら・・・」

 

クロノが言いかけた瞬間、彩斗が口を挟む。

 

「失礼するが、時空管理局執務官と言ったな?

 一応身分証明になるものを見せてくれ。

 さすがに見知らぬ奴のいうことを聴く気にはなれない。」

【フェイト、アルフ少し黙って待っててくれ。君たちには関わらせないようにするから・・・。】

 

【・・・!?】

 

【っく・・・。ヘマすんじゃないよ!!】

 

三人は念話の中でとりあえずの協定を結ぶ。

 

「む、すまない。・・・これが証拠だ。」

 

そういうとクロノはデバイスS2Uから執務官の身分証明証を提示する。

それを見て彩斗は納得したようにうなずき

 

「・・・わかりました・・・。すみませんが俺たち三人はあなたに同行するんで

 あそこにいる黒い魔導師とその使い魔は帰してくれませんか?」

 

「む・・・さすがにそういうわけには・・・。」

 

『かまわないわ、クロノ執務官。』

 

そこに突如モニターが現れる。

 

「母さ・・・いえ艦長!!良いんですか!!?」

 

『えぇ、彼ら三人で十分だわ。』

 

「要望にこたえてくださって感謝します。」

 

『いえ、それではそこにいるクロノと一緒に来てください。

 

 ああ、ごめんなさい、とりあえず自己紹介をするわ。

 私はリンディ・ハラオウン。時空管理局の提督で、

 次元航行船『アースラ』の艦長を勤めています。』

 

「わかりました・・・。それじゃアルフ、フェイト。また会おう」

 

「あっはい、ありがとうございます・・・。」

 

「くっじゃあな!」

 

そういって二人は去っていった。

 

「・・・それでは三人とも来てくれ・・・。」

 

転移術式を発動するクロノ・・・。

三人はその中に入っていった・・・。

 

どこかにある場所を目指して・・・。

 

 

 

 

説明
今回はついに時空管理局が登場!
KY?なにそれ?

ではどうぞ!!

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