魔法戦記リリカルなのは 二人の転生者の願い 無印編 |
第一章 無印編
第十七話「Calm Before The Storm」
リンディSide
三人を帰艦させ、会議室へ連れて行った。。
中にいるのは私とクロノ、なのはさん、ユーノくん、
そして彩斗くんだ。
「さて、問題はこれからね。クロノ。事件の大元について、なにか心当たりは?
・・・まあ彼らの言うとおりならば・・・。」
「恐らく艦長の考えている通りだと思います。エイミィ、モニターに。」
「はいはーい。」
長テーブルの真ん中より映像が映し出される。
その顔を見た瞬間、なのはさんと彩斗くんの顔がピクリと動いた。
やっぱり知ってるのね・・・。
「大方予想通りね。プレシア・テスタロッサ・・・」
「はい。僕らと同じミッドチルダ出身の魔導師、プレシア・テスタロッサ。
専門は次元航行エネルギーの開発。偉大な魔導師でありながら、
違法研究の事故によって、放逐された人物です。」
モニターに映し出されたのは、全体的に暗色系の妙齢の女性。
「登録データと先の攻撃の魔力反応が一致しています。
なおあのときの反応から・・・フェイトは・・・。」
「あの時は母さんって呼んでいたな」
「親子・・・ね。でもあなた達の言うとおりなら・・・。」
「まあこの世界でもそうとは限らないんですが・・・。」
でもおそらくこちらでも変わっていないと思う。
あの時フェイトちゃんは怯えていた・・・。
あの歳頃の女の子の反応なら、母親からの攻撃は普通は驚く。
勿論、驚きの感情も少なからずあったのだろうけど。
しかし、恐怖の感情が強い・・・となると・・・ね・・・。
「エイミィ!プレシア女史について、もう少し詳しいデータを出せる?
放逐後の足取り、家族関係、その他何でも。」
「はいはい。すぐ探します。」
といって忙しく指を動かす。
程なくして、エイミィの説明が始まる。
26年前の「ヒュウドラ」の事件。その後の顛末。
「家族との、行方不明になるまでの行動は?」
「その辺のデータは、綺麗さっぱり抹消されちゃってますね。
今、本局に問い合わせて調べてもらっていますので・・・」
事件の事はともかく、家族関係のデータが消えているというのは
やっぱり・・・・・・・・・。
「時間はどれくらい?」
「一両日中には。」
「そう・・・、とりあえずプレシア女史もフェイトちゃんも、
あれだけの魔力を放出した直後ではそうそう動きも取れないでしょう。
また、こちらとしてもシステムの復旧や足取りを追うことに
時間を割かなければいけないし・・・丁度いいわね。
三人には、一時帰宅をしてもらいます。なのはちゃん達には学校だってあるし、
何よりご家族の方々に心配をかけすぎるのもよくないわ。」
「わかりました。」
なのはさんがそう答える。
一度人生を経験していると言われればこの冷静さもしっくりとくるわね。
「それじゃあ昼ご飯はこちらで食べて、そしてから帰宅するといいわ。送りましょう。
それまでは・・・・・・そうね、適当に時間を潰してくれて構わないわ。」
「はい!ありがとうございます!」
「それじゃあ、失礼します。」
そう言って会議室から出ていく三人。
さあ・・・やることは山積みだわ。
相手が稀代の大魔導師ともなれば、もしかしたら私も現場に出なければいけなくなるかもしれないわね。
はぁ・・・・・・。
「とにかく、今は出来ることを一つずつこなしていかないと・・・。」
リンディSide out
アルフSide
時の庭園に、海上で貰ったジュエルシードを合わせた計7個のジュエルシードを持ってきた。
そんなフェイトを、やはりプレシアは労った。
前回の態度を見れば、確かにおかしくは無い。
前回も優しい母親だったからだ。
しかし、それではあまりにも不自然だ。
あたし達がこの世界に来る前のプレシアは、本当に親とも言えないようなそれは酷い人間だった。
それこそフェイトを物みたいに扱うぐらいに。
だから。
フェイトが自分の部屋に戻って、寝静まる。
それを見計らって、私はプレシアの部屋へと忍び込んだ。
プレシアの部屋の奥の部屋に、あいつは佇んでいた。
「たった8つ…これでも次元震は起こせるけど、・・・あの使えないお人形・・・」
・・・今、何て言った?
「もうあまり時間が無いわ、私には時間が・・・ふう、自分で行ったほうが良かったかしら?」
その声が聞こえた瞬間、私は物影から一気に飛び出した。
「うぁぁぁぁぁぁっ!」
一気にあいつの胸倉を掴みあげる。
「やっぱりそんな考えを持ってたのか!?
あんたは母親で!あの娘はあんたの娘だろ!
あんなに頑張ってる子に嘘までついて!
あの娘に何も思わないのかよ!」
そこで気づいた。
プレシアの手が私の腹に添えられていることを
そこに衝撃が走る。
「っ・・・ぁ!」
体に力が入らない。
足が震え、口の中に酸っぱいものが混じりはじめた。
顔を上げると、そこにはプレシアが無表情でいた。
「あの子は使い魔の作り方が下手ね・・・余分な感情が多すぎる。」
「あの娘は…あんたのために必死で・・・っく!」
プレシアがデバイスを起動する。
「邪魔よ・・・消えなさい!」
「っ!」
咄嗟に転移術式を発動させる。
攻撃が当たる寸前に私はランダム転移をした。
ギリギリだったけど、何とか逃げられた。
ごめんフェイト・・・!
少しだけ待ってて・・・!
アルフSide out
プレシアSide
あの日・・・九十九彩斗がここに来た日。
私はもう一度自分を取り戻せた。
日記に書いてあった数々の行動・・・。
調べてみたらあれはすべて真実だった。
もう既に「プレシア・テスタロッサ」は次元犯罪者として指名手配されていた。
今更どうしようもなかった。
今更私が幸せを手に入れることなんてできない・・・
「・・・こうなったらもう逃げてもしょうがないわ。私の身体にもガタが来ている。
それに・・・私が生きていると、あの子には不都合だものね・・・。」
私は決心した。
自分を捨て、私の大切な娘・・・フェイト・テスタロッサを生かすことを選んだ。
まだチャンスはあった・・・。
フェイトは、自分の利益のためにジュエルシードを集めている訳ではない。
言い方は悪いけど、私に「使われている」だけだ。
それこそ人形のように・・・。
今のところフェイトは犯罪者ではあるが、
私との関係が公になり私が消えれば・・・・・・・・・・・・。
フェイトは「母親に使われていただけのかわいそうな娘」となる。
流石に無罪とはならないだろうけれど、それでもほぼ罪は無くなるはずだ。
あの子には魔力資質も十分にある。
あの管理局が目をつけないわけがない。
もしも仮に私がが生きていた場合はどうか。
フェイトの立場は変わらない。
しかも、広域指名手配されている私と一緒に捕まったとなれば、
確実にこれを実行したフェイトも罪に問われる。
事実がどうであれ、世間が許しはしないだろう。
そもそもあの薬品を使用したのは私の独断だったし、
あれを取らなければならないほど無理したのは・・・
"彼"との約束とはいえ私の自己責任だ・・・。
そうなると、フェイトに幸せが舞い降りることは確実に無くなる。
だから・・・だから私は・・・・・・・・・。
「できうる限り非道な母親だと思われるように。
できうる限りあの娘が被害者だと思われるように。
私は・・・・・・・・・狂った母親を演じる。」
そう言う私の目はきっと決意に溢れていたことだろう・・・・・・。
数日後
庭園内に魔力転移の反応があった。
フェイトとアルフのものだ。
・・・今日は、多分あの子に対する最後の愛情。
「・・・お帰りなさい、フェイト。さあ、こっちへいらっしゃい?アルフもよ。」
「あっ・・・はい。母さん。」
・・・何で笑えているんだろう、この子は
どう考えても私は好かれる要素なんてなかったのに。
日記の通りなら私があなたに与えた愛情なんて片手で数えるほどにもないと言うのに・・・
それを考えたら・・・考えたら泣きそうになる・・・。
「・・・ジュエルシードは、いくつ手に入ったの?」
「・・・四つ、です。」
「そう・・・」
私は椅子から立ち上がる。
たったこれだけの期間でロストロギアを4つ。
しかも完璧な封印処理まで行っている。
時空管理局の魔導師と比べても遜色の無いすばらしい働き。
右手をあげると、反射的にフェイトが目を閉じる。
・・・そうよね。あれだけのことをしたんだもの。
だから今だけは・・・今だけでも・・・・・・。
「・・・え?」
「ありがとう・・・フェイト。こんな短期間でジュエルシードを四つなんて・・・母親としても鼻が高いわ。」
フェイトの髪を撫でる。
昔アリシアによくしてあげたように。
前にフェイトにしてあげたように・・・・・・。
そう撫でてあげているとフェイトが手に持ったケーキの箱が目に入る。
「わざわざお土産を買ってきてくれたのね・・・一緒に食べましょう?・・・アルフ、あなたも来なさい?」
「う、うん!」
・・・流石にアルフは疑いの目を向けている。
しかし、これは私の疑い用も無い本当の思いだ。
絶対に、誰にも言うことはしないけれど・・・
・・・ちゃんと、私は笑えているだろうか。
フェイトは昔からとても聡い子だ。
・・・もしかしたら、上手く隠せていないかもしれない・・・
・・・ごめんなさい、フェイト。
ケーキ・・・とてもおいしかったわ・・・。
更に数日後。
「・・・なんとも、まあ無茶をする子だわ。」
「あれを止めに入るのが本来なら親としての役目でしょうけど・・・」
そのフェイトがいる海上を映した映像には、
フェイトとアルフに協力しようとする三人の人間が映った。
「私は覚悟を決めた・・・ごめんなさい、フェイト。」
一体何度謝罪しただろう
海上ではジュエルシードを封印し終えたところだ。
私は立ち上がり・・・
「・・・次元干渉・・・」
『Count down 10、9、8・・・』
次元海にいる管理局の航行艦船と、海上にいる人達にむけて。
「・・・・・・発射」
放った攻撃は狙い通りに艦船に当たったが、
フェイトの方はオレンジのバリアジャケットを着た彩斗に防がれた。
ありがとう・・・彩斗・・・・・・・・・。
「・・・もうすぐあの子が帰ってくる・・・」
ここからが正念場だと、気を引き締めた。
ここで失敗したら・・・フェイトに幸せは訪れない・・・。
あの子が帰ってきた。
私はフェイトを労い、部屋で休ませる。
・・・そして、私は奥の部屋へ向かう。
魔力反応を感じ取るとでアルフが私を見ていた。
好都合ね・・・。
そして、私は言う。アルフに聞こえるように。
あの子との決別への布石の言葉を。
「たった8つ・・・これでも次元震は起こせるけど、・・・あの使えないお人形・・・」
背後で気配が膨れ上がる。
あぁ主のために怒ってくれているのねアルフ・・・。
でも、もう私は止まれない、止まらない。
止まるわけにはいかない!!
「もうあまり時間が無いわ、私には時間が・・・ふう、自分で行ったほうが良かったかしら?」」
言って振り向くと、アルフ飛び出してきた。
「うぁぁぁぁぁぁっ!」
アルフが私の胸倉を掴みあげる。
「やっぱりそんな考えを持っていたのか!
あんたは母親で!あの子はあんたの娘だろ!
あんなに頑張っている子に対して嘘までついて!
あの娘に対して何も思わないのかよ!」
ああ、自分で招いたこととはいえ、やはりこの叱責はつらいものがある。
私はその叱責から逃げるように、アルフの腹に手を当てる。
「っ・・・ぁ!」
腹を押さえているアルフの目前まで歩いていく。
「あの子は使い魔の作り方が下手ね・・・余分な感情が多すぎる。」
「あの娘は…あんたの為に必死で・・・っく!」
避けなさいよ、アルフ・・・
あの子にはあなたが必要なの
「邪魔よ・・・消えなさい!」
当たる寸前に光が見えた。転移で逃げたようだ。
あぁ良かった・・・
それを見届けた後私は呟いた・・・。
「世界はいつだって・・・こんなはずじゃないことばかりね・・・。」
プレシアSide out
説明 | ||
今回は決戦に備えて主人公以外のSideです。 ではどうぞ!! |
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