魔法戦記リリカルなのは 二人の転生者の願い 無印編
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第一章 無印編

第十八話「Start」

 

 

 

 

アリサはリムジンに乗ってピアノの稽古から帰っている所だった。

すると携帯電話が震え、メールの着信を告げた。

それはなのはと彩斗の一時帰宅を知らせる内容だった。

 

現在なのはと彩斗はときどき学校を休んでいた。

学校側では諸事情とはぐらかされているが・・・。

 

(なのは、帰ってくるんだ)

 

アリサは少し顔をほころばせた。

 

「アリサお嬢様、何かいいことでもおありでしたか?」

 

リムジンのドライバー鮫島(さめじま)がそう言った。

 

「まあね、・・・ん? 鮫島! ちょっと止めて」

 

アリサが何となく外を見ていると、気になることがあったのか、

鮫島に命じると、リムジンは素早く車体を脇に寄せ停車した。

 

そしてアリサは車を降り、その対象を見る。

そこには血にまみれて横たわっている動物がいた。

 

(やっぱり、大型犬。でもオレンジの毛におでこに宝石があるわね。

 ただの犬ってわけじゃないわよね・・・・・・)

 

アリサは魔法の存在を、そしてしゃべるフェレットがいることを知っている。

その経験を用いれば、このおかしな犬が普通なわけがなかった。

 

アリサはアルフに話しかけようとしたが、

アルフはそこで力尽き、眠ってしまった。

 

「かなり怪我がひどいようですな」

 

「でもまだ生きてる。鮫島!」

 

「承知しております、アリサお嬢様」

 

アルフを鮫島がリムジンに運び込み、アリサも後部座席に再び乗り込んだ。

 

「鮫島。超特急よ!」

 

「はい。久しぶりに腕がなりますなあ!」

 

 

 

 

 

 

 

そして夜になった。

そこはバニングス家の庭。

アリサはアルフの様子を長い間じっと見つめていると、やがて目を覚ました。

 

「あ、起きた。あんた頑丈だね。

 怪我はけっこうひどかったけど命に別状はないってさ。

 やわらかいドックフードなんだけど、食べれる?」

 

アリサはアルフにドックフードを差し出す。

アルフはアリサを見上げ、それからドックフードを食べ出した。

 

「あんた、しゃべれないの?」

 

いっこうにしゃべらない事にアリサは焦れてさっさと聞くことにした。

しゃべらないならしゃべらないで、何も問題はない。

 

「なっ! なんで?」

 

(この世界に魔法を知っている人なんてほとんどいないはずなのに!)

アルフは驚いて食べるのを止め、アリサを見上げた。

 

「ああ、やっぱりしゃべれるのね。

 わたしの友達にもしゃべる動物飼ってるのがいるのよ、

 フェレットだけど。もっと言うと人間だけど。」

 

「じゃああんたはあの白い奴の・・・・・・友達?」

 

「白い奴って・・・白い奴ってのはなのはの事かしら?」

 

「ああ! 間違いない」

 

アルフは温泉で、そしてユーノと彩斗が会うたびに叫んでいた名前を思い出した。

 

「知り合いみたいね。何なら明日辺りに呼ぶわよ? ちょうど帰ってきてるみたいだし・・・」

 

そう言い終わってから、アリサに疑念が浮かぶ。

 

(ちょうど帰ってきてる、ね・・・・・・。

 この子を拾うのと、なのはが帰ってくるタイミングが一緒・・・

 やっぱなのはが関わってる事件と無関係じゃないわよね。

 なんか都合が良すぎる気がするし・・・)

 

「・・・・・・ああ、頼めるかい?」

 

フェイトをこのまま放っておくことなど、アルフの選択肢にはなかった・・・。

だが、アルフに行くあてや頼れる人物などはいなかった。高町なのはと九十九彩斗を除いては・・・。

 

あの二人にに話せば何とかなるような気がした。

 

今までだってなのはは何回もフェイトを助けようとしてくれたし、実力もある。

彩斗に関しては中立だと言ってくれたし、実際フェイトを助けてくれた。

 

だが、あの二人に頼むということは管理局に頼むのと同義だ。

 

今まで敵対してきた人たちに今度は助けを請う。

それはアルフにとって苦渋の決断だったが、

アルフにとってはフェイトの身の安全こそが第一だ。

 

「分かった。それを食べたら休んでちゃんと良くなりなね」

 

 

 

 

翌日の学校が終わってアリサの家。

なのはと彩斗はすずかと一緒に遊びに来ている。

ユーノは今日はフェレットモードだ。

 

「アルフ・・・」

「あんたか」

 

なのはとアルフは念話を使わずに話す。

今この場にいる人は動物がしゃべっても大丈夫な人たちだけだ。

 

「とりあえず、何があったの?」

 

何があったか知ってはいるが、取りあえずなのはが聞いた。

そこでユーノが提案する。

 

「なのは、ここは僕が聞いておくよ。久しぶりなんだから、一緒にみんなと楽しんできて」

 

「そう? じゃあ頼めるかな?」

 

「うん、まかせて」

 

なのはは頷きながら「よろしくね」と言った後、今度はアルフに向かって言う。

 

「じゃあ、アルフ。ここはユーノに任せるけど、困ったことがあるのなら、私がきっと力になるよ」

「私"達"がだろ?」

「うん、そうだね。」

 

二人はそう言ってアリサとすずかと一緒にアリサの家に上がった。

 

そして、部屋に行き、アリサ達と遊んでいる間にもアルフからの念話が流れてくる。

結局、あの場に残らなくてもあまり変わりはなかったわけだ。

 

二人はマルチタスクを使いそちらの会話の方にも参加していた。

 

内容は、まずアルフがフェイトとプレシアのことを説明し、

 

プレシアにフェイトは逆らえなかったというフェイトのロストロギア強奪についての擁護。

そして最後にフェイトの保護を頼みたいと、アルフは言った。

 

通信でクロノやリンディもそれを聞き、

それならばフェイトには情状酌量の余地は十分にあるとアルフに説明し、保護を承諾した。

 

【なのは・・・だったね、今まで散々なことをして、頼めた義理じゃないけど・・・

 でも頼めるかい? フェイトは今本当に一人ぼっちなんだよ】

 

【うん、任せて。言っていた通りフェイトちゃんは私がなんとかする。】

 

【俺も手伝うよ。もっともなのはが先だけどな。】

 

【あんたもありがとう彩斗。】

 

 

アリサの家からの帰り際。なのはがまた明日行くことを伝えた。

するとすずかが寂しそうに、

 

「そっか、また明日行かなくちゃ行けないんだ」

 

「うん、でも今回は多分すぐだよ」

 

事は1日で済む、だがその1日は長くて壮絶な1日になるだろう。

 

「そ、大変みたいだけど・・・。頑張りなさいよねっ!」

 

「そうだね、もうひと踏ん張りだよ!」

 

「うん! また行ってくるよ」

 

「がんばるよ。」

 

 

 

―アースラ艦内。

 

 

今は作戦会議中である。アースラ内の会議室の縦に長いテーブルに、

なのは、ユーノ、彩斗、リンディ、クロノ、エイミィ、そしてアルフが座っている。

 

「それで、フェイト・テスタロッサの保護と

 プレシア・テスタロッサを逮捕するには

 どうするかだが皆何か案はあるか?」

 

クロノが言った。

 

「難しいね。ジュエルシードはもう全部回収されてるから

 フェイトちゃんはもう出て来ないんじゃないかなー?」

 

「そうかもしれないわね。でもアルフさん、プレシア女史としては、

 ジュエルシードが7個というのは十分な数なのですか?」

 

とリンディが問う。

 

「いや、足りてないだろうねぇ。あたしたちは全部持って来いってあの人には言われたよ。

 まあ21個全部とは言わないまでも、かなりの数が必要なのは間違いないだろうねぇ」

 

アルフはもう完全にこちらに協力するつもりのようで、必要なことは何でも答えてくれた。

この行為も、アルフが協力すればするほど、

フェイトが保護された後に罪が軽くなる可能性が高いから、と説明されたのが理由のようだ。

その方が裁判で有利になるからだ。

そこでユーノがアルフに顔を向けて、

 

「そもそも、アルフはプレシアの居場所を知ってるんじゃないの?」

 

「ああ、あたしが知ってる位置にはもうなかったよ・・・。

 時の庭園は次元を移動することができる。あたしを追い出したんだから、

 それくらいの事は絶対当然するさ」

 

「彩斗くんの予知夢は?」

 

「一回寝ないといけないからなぁ・・・・・・。

 その間に移動されるかもしれないし。」

 

「じゃあ、やっぱりジュエルシードを囮にするしかないんじゃないのかな」

 

なのはが提案した。前世通りだが、結局はこうしないと話が進まないようだ。

彩斗は少し申し訳なさそうにしている。

 

「具体的には?」

 

「そうだね、要はジュエルシードを賭けて私とフェイトちゃんが決闘する。

 今、フェイトちゃんの行方は・・・・・・アルフわかる?」

 

「いいや、どういうわけか、連絡はつかない。

 多分あいつにあたしはもういなくなったとか、

 連絡を取るなとか、吹き込まれたんだろうね」

 

アルフは苦々しい表情で舌打ちまじりに答えた。

 

「そっか、じゃあこうしよう。

 アースラからここら辺に無差別にジュエルシードを賭けて戦う旨の・・・

 簡単に言えば果たし状≠ンたいなもの。

 ・・・それをばらまいてフェイトをちゃんをおびき寄せるの。

 

 もちろん場所はこっちで指定しておいて、その場に網を張って待ち構えていれば、

 次元魔法とかを使ってきた時にプレシアさんの居場所も分かるでしょ?」

 

そこにユーノが口を挟む。

 

「は、果たし状って・・・・・・、なのは。

 それにしたって位置の指定はさすがに露骨すぎるんじゃないかな?

 

 罠が張ってあるのはバレバレだし、プレシアも危険すぎて手を引くんじゃないかな?

 

 それでフェイトが指定した場所に現われなかったら・・・

 多分その後、クロノ達の捜査は大変なものになるよ?」

 

「その点は多分大丈夫。フェイトは絶対に現われるよ」

 

その発言を聞いて彩斗がそう言った。

 

「どうして??」

 

ユーノの問いに、彩斗はクロノやリンディの顔色をうかがう。

2人とも口を挟まず静観しているが、なのはの意見に賛成していることが雰囲気で分かる。

 

(ま、これは原作知識がなくっても分かるからね。

 さすがに場数積んでると違うか?)

彩斗はそう思いつつ、人差し指をピンッと立てて話し始める。

 

「根拠を簡単に説明するぞ、

 プレシアはもう逃げることを放棄してるとしか思えないんだよ。

 

 普通なら、管理局が現われた時点で慌てて逃げ出すのがプレシアの選択肢としては妥当だろ?

 

 俺達の世界観で言えば金を盗もうとしている犯人が、

 警察が来たのに逃げないでまだ金を奪おうとしているようなもんだ。

 

 むしろ、本来ならそこが本来の引き際だ。

 自分達より総力が強い相手にジュエルシードの争奪戦を挑もうなんて普通考えないよ。捕まる可能性も高いし。

 でも、プレシアはフェイト達にジュエルシードを集めさせ続けた。

 

 そうせざるを得ない理由がジュエルシードか、もしくはプレシア自身にあったって考えられるだろ?」

 

そう彩斗は言いつつも疑問は残っていた。

なぜならプレシアの病の治療はすでに済んでいたし、

ジュエルシードにはそんな時間がないような性質はない。

 

一体どうしてプレシアがあきらめないのかが彩斗にはわからなかった。

 

「ふぅん、そう言えば、あの人はずいぶんとジュエルシードにご執心だったみたいだねぇ。

 フェイトからの又聞きだけど、今まで集めさせられた魔力を含んでるロストロギアよりも

 数段純度が高いって言ってたみたいだよ。」

 

「まあなんにしても、プレシアが誘いに乗ってフェイトを行かせるという予測は僕も正しいと思う。

 しかし方法は大胆だな・・・。それは賭けだぞ。もし負けたらどうするんだ?」

 

そのクロノの答えになのはは答える。

 

「そうだね、私が負けたら、ジュエルシードはフェイトちゃんに奪われる事になると思う。

 

 そうなったらクロノくんが疲労したフェイトちゃんを捕まえるか、

 転移するのを追うかとかすればいいと思うよ。

 

 まあ、でも・・・。」

 

そういうとなのははブレイズ・ハートを起動させて上に掲げて言う。

 

「そもそも負ける気はないよ。」

 

「まあやってみる価値はあるか・・・。最低でもフェイトをプレシアから引き離せる。艦長はどう思います?」

 

「そうね・・・。やってみてもいいと思うわ。でも危険よ、なのはさん。また次元跳躍で攻撃されるかもしれないわ。

 前はフェイトさんを狙ったようですけど、今度はあなたを狙ってくるかもしれないのよ?」

 

その問いには彩斗が答えた。

 

「その点は大丈夫です。俺が守ります。

 この前も非殺傷じゃなかったようですが、

 シールドでだいぶ威力を軽減できたみたいですから」

 

「・・・そうですか。分かりました。

 次元攻撃にはアースラからも十分に警戒し、

 分かり次第念話で報告しましょう。多少は対処しやすくなるように・・・。

 エイミィ、そこら辺はよろしくね。」

 

「了解です!」

 

「決まりだな。場所はどうする? 君の戦いやすい場所で構わない」

 

「じゃあ臨海公園なんてどうかな。

 海沿いのところだから、ここにすれば海でも市街地でもOKだから」

 

「じゃあ、決まりっと。

 ああそれと、戦うときは広域結界を2重に張って

 訓練用建造物を設置するからいくら壊しても大丈夫だよ、思う存分やってね」

 

「結界ごと破壊してくれるなよ。まあ、さすがにあり得ないか・・・・・・。」

 

クロノの言葉に、なのはは真実を答えた。

 

「結界ごと破壊は一応可能だけど?町も全部」

 

「じょ、冗談のつもりだったんだが、まあいい、じゃあ早速準備に取り掛かろう」

 

 

 

 

 

Sideフェイト

 

 

その日のうちに地球にいるフェイトのデバイスにあるデータが届いた。

 

「は、果たし状?えっと、フェイト・テスタロッサに告ぐ

 ジュエルシードを賭けて一対一で戦おう。

 勝者はすべてのジュエルシードを手に入れる。

 ジュエルシード持参の下、5月12日AM5:00に指定座標まで来られたし。

 

 高町なのは。

 

 高町なのはって誰だっけ? アルフは知ってる?」

 

何気なく尋ねて、アルフがいないことを思い出した。

 

「もしかしてあの子かな?うんそうだ。確かに高町なのはって言っていた。」

 

(母さんに相談しないと)

 

手持ちのジュエルシード全てとなると、

1人で決めていい規模の話ではなかったというのもあるが、

そもそもフェイトはジュエルシードをプレシアに預けたままだったというのもある。

 

魔法を使い連絡を取る。

そうすると、魔法陣の中にプレシアが映し出された。

 

「フェイト・・・。何のよう?」

 

「あの、こんなものが・・・・・・」

 

 フェイトが送られてきたデータを見せた。プレシアはそれに目を通す。

 

「―ジュエルシードを・・・。中途半端に持っていても仕方ないわね。

 フェイト?」

 

「はい、母さん」

 

「じゃあジュエルシードをそちらに転送するわ。

 くれぐれも取られることのないように、・・・いいわね?」

 

「はい」

 

するとジュエルシードが8つ転送され、フェイトの前に現れた。

 

「ありがとうございます、母さん」

 

「頑張るのよ、フェイト。」

 

そこで、通信は切られる。

フェイトは決意を込めた。

 

 

 

 

 

 

フェイトは少し時間が経過した後、少し冷静になって考える。

 

(このままじゃダメだ・・・。あの子には多分勝てない)

 

指定の日にちまであと3日あった。この間に何とか対策を考えなければならない。

砲撃では絶対に敵わない。近接ではなのはも決定打こそないものの強い。

自分が勝っていると自信を持って言えるのは――

 

(速さしかない・・・・・・)

 

 だったらそれでなんとかするしかない。やるんだ!

 

「バルディッシュ・・・絶対に勝つよ・・・・・・絶対に・・・絶対に・・・。」

 

《Yes sir》

 

寡黙なるデバイスは主の声に静かに答えた。

 

 

 

 

 

―3日後。

 

 

約束の場所でなのはは待っていた。

すでにバリアジャケットを纏っていて、手にはレイジングハートを持っている。

 

ブレイズ・ハートは首に待機状態でかけている。

 

そして、時計の針が5時を告げる。

そうすると、なのはの後ろ、外灯の上にフェイトが現れた。

なのはは振り向き、フェイトを見据える。

 

「・・・・・・。」

 

「来たね、フェイトちゃん・・・ジュエルシードは持ってきた?」

 

《Put out》

《Put out》

 

互いのデバイスからジュエルシードが現れた。

なのはは13個、フェイトは8個。

確認し終えてからジュエルシードはまたデバイスに収納された。

 

「まずは確認しておくよ? この勝負に負けた方は全てのジュエルシードを相手に渡す。

 それに加えて、手紙の文面には書かなかったけど、フェイトちゃんが負けたら」

 

「うん、そうなったら、わたしは管理局に捕まってしまう。

 けど、こっちのジュエルシードの数は少ないんだから、

 それくらいのリスクは覚悟してる。でも、それでも、母さんのために、わたしは負けない!」

 

「そっか。わかったよ。」

 

【でもやる前に言う事は全部言っておくよ】

 

なのはは少し間をおき、念話でフェイトに言った。

 

【戦う前に言っておきたいんだ。

 この勝負をするかしないかを選べる最後のチャンスだよ。

 それにこの話を聞いた後にフェイトちゃんは戦う気力がなくなってしまうかもしれない】

 

【念話で・・・?なに?何があっても、戦うことは変わらないよ。】

 

フェイトの意思は固かった。

なのはは話し始める。

 

【フェイトちゃん。あなたは人造生命体・・・クローン・・・なんだって。

 とあるプロジェクトによって、他人の体の情報と記憶から生み出されたんだ。

 キミのお母さん、プレシア・テスタロッサの手によって・・・・・・】

 

【え?】

 

フェイトは突然の事に頭が凍っていた。

 

【アリシアっていう名前に心当たりはない?】

 

 

 

 

 

なのはが言った途端フェイトに衝撃が走り、過去の事を次々と思い出した。

 

アリシア、おいしい?=@

いい子にしてるのよ? アリシア

ねぇ、今度のアリシアの誕生日に休みをとることができたの。何かほしいものはある?

 

フェイトの頭を駆け巡るのは昔の、優しい母親の姿。

フェイトの望んでいる優しいプレシア。

しかし、そのすべてはフェイトに向けられた優しさではなく、アリシアに向けられたものだった。

 

(多分それでアリシア・・・母さんの本当の娘は死んじゃって、多分わたしはその後に生み出された・・・?)

 

だとしたら・・・。

 

(わたしに母さんが優しくしてくれたことなんて・・・一度も・・・ない?)

 

フェイトは思い出す。アリシアの記憶の中ではなく、自分(フェイト)に母が優しくしてくれたことがあったかを。

 

そして・・・・・・見つけた・・・。優しく撫でてくれた、

「あなたは代わりじゃない」といってくれていた母さんを・・・。

 

(わたしが母さんを助けたい! 笑ってほしい! 喜んでほしい! 

 わたしが誰でも、何者でも、その気持ちは変わらない!!

 私自身がそう願っているんだ!!!)

 

 

【・・・思い出した。けど、それでもわたしは母さんの娘だから・・・わたしは・・・止まらない!!】

 

少しの時間がたってからフェイトが答えた。

動揺はもう表に出ていない。それどころか、少し晴れやかな表情になってきた。

そしてなのははフェイトに笑顔を向けた。

 

【そう・・・・・・。フェイトちゃんならそう言うと思ってたよ。私もそう思う。

 大切なのは、自分と相手がお互いに家族なんだって思えるかどうか。ただそれだけ・・・】

 

その言葉とともになのはとフェイトはデバイスを構える。

 

「私達のすべてはまだ始まってもいない、だから本当の自分を始めるために・・・。」

 

そこで区切りなのはは言う。

 

「それじゃあ始めよう・・・最初で最後の本気の勝負!!!」

 

今戦いの火蓋が切って落とされた・・・。

 

 

 

説明
さあ無印の物語も終盤へと差し掛かってきました。
二人の転生者はどう戦うのか?

それではどうぞ!!
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