■4話 紀霊舞う■ 真・恋姫†無双〜旅の始まり〜
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■4話 紀霊舞う

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ギュルルルルと到底可愛いとは思えない音が誰かのお腹から響き渡る。今の状態を表すにもっともふさわしい効果音なだけに虚しい思いもひとしおだ。

 

「時雨、お腹が減ったよー」

「そういや、義勇兵の兵站とか期待してたのに何も貰ってないんだったんだな………」

 

義勇兵の兵站や給金を期待していたというのに、ちょっとしたトラブルで恐らく雇い主であろう曹操から逃げる羽目に陥り、しかも既に持っていた食料も底を尽いている。

本当なら洛陽を目指したいところなのだが、その前に近くに街がないか探して3人と馬一頭で食料を求めてさ迷い歩いているのが現状だ。

 

そしてちょっと前まで綾が涎を垂らしながらチラチラと飛影を見ていたのだが、今はもうガン見している。そろそろ危険域にさしかかっている証拠だ。

 

「ん……もう、すぐ…街………」

「ん? かごめ、ここから街が見えるのか?」

 

かごめのか細い呟きに思わず振り返り問いかけた。さすがの俺も食欲には勝てない、一縷の望みをかけて周りを見回しながらかごめの回答を待つ。

 

「見え……る…。かごめ…めが、いい……」

 

かごめの回答を聞いていっそう注意深くあたりを見回す。すると確かに遠くに黒い点のようなものが見えなくいもない。あれでいいのか確認すると頷き肯定してきた。

おかげでかなり驚かされてしまった、あんな豆粒が街に見えるってどれだけ目がいいんだろうか……。

 

「えっ、街あるの!? 早く行ってご飯たべよ!」

 

さっきまでぐったりしていたのが嘘のように飛び回る綾……暴れてお腹と背中がくっついてもしらないぞ。そう心の中で呟きながら黒い点を目指して歩く方向を変える。

流石に点に見えただけの事はあったと思う。なんというか遠すぎて危うく暴れた綾が飛影に飛び掛かるところだった。

 

「うへー、ご飯まだ???」

 

折角街についたのはいいがすぐにご飯を食べられるわけもなく、綾は街についてからずっと同じような事ばかり言っている。飛び回っている時も思ったが無駄にカロリー消費をする奴だ。

 

「まったく、腹減ってるのに暴れまわれるからだろ……第一喋らなければまだ体力も持つぞ」

「いやよ。喋ってないと空腹でダメになりそうなんだし」

 

思わず嘆息してしまう。空腹なのはみんな一緒だがこいつ同じ思考回路を持っている奴は少ないんじゃないだろうか、まあだからこそ綾が人一倍消耗していて俺とかごめはそれほどなのだが。

 

「まあいいか、とりあえず店に入ろう。お金を渡せ綾」

 

綾にお金を持たせて店に入った日には破産確定である。そんなことはさせられないとばかりに右手を綾の目の前に突き出す。

 

「へ? 時雨が持ってるでしょ?」

「「え?」」

 

なんと言う誤算だろうか、2人とも食料を持ってお金を持ってきてないとか酷い。そのせいで冒険もまだ始まったりばかりの状態で餓死だなんて………悲惨すぎるのではないだろうか。

 

「うー、どうにかしてよーーー」

「いや、どうにかしてもといわれてもだな………」

 

駄々を捏ねて手足をバタつかせる綾に呆れ半分感心半分の目で見た後、これからどうやって稼ぐか真剣に考え始める。しかし所詮考えた所でじじばばのお金使ってずっと私塾に通っていて働いたことなんて全然ないのだからどうすればいいのかいまいちわからない。

 

綾を見ても相変わらず駄々っ子のようにしてるだけだし、一向に打開策が出て来ない。さすがに困って俯くと服が引っ張られているのに気が付いた。引っ張っている人物に目を向けて微笑む。

 

「ん、かごめどうかしたか?」

「えっ…と……時雨……剣舞、する」

 

先ほど街を見つけてくれたこともあり真剣に聞いていたのだが、剣舞と言われても何のことだかさっぱりわからない、もしかしたら俺じゃなくて綾が舞うのか? 確かに美人だし効果はありそうだ。

 

「その剣舞って…? 綾がするのか?」

 

俺の予想が違っていたのだろう。一生懸命左右に首をフルフルと振り、次に俺を指さして頷く。可愛いという感想が喉を出かけるがあえて飲みほし、真意を問う。

 

「いや、そういわれてもなー。俺が剣舞したところで何の意味もないだろ………」

 

そういってかごめの反応を見るがまたもやフルフルと首を振り、珍しく瞳に何か言い知れぬ力を宿して俺をじっと見ている。さすがに困って綾に助けを求めようと視線を向けると

 

「それいい! いい考えだよかごめちゃん!」

 

お腹がすきすぎて思考回路が逝かれてしまったんだろうか……さっきまで駄々っ子だったのに我が意を得たりとばかりに目を輝かせ賛同してくる。こいつらまさか空腹でどうにかなってしまったのか? 男の剣舞見た所で何が楽しいんだ。

 

「今なんか失礼なこと考えなかった?」

「いや全然」

 

冷や汗が止まらない。どうしてこうも心が読めるんだか分からないよ。さすがに幼馴染だからと言ってここまでくるとかなり怖いんだが。頼むから俺をそんなジト目で見ないでくれ2人共。

まったくこれが俗にいう前門のにゃんこ(かごめ)、後門の飢えた狼(綾)か………舞うのは嫌だけど、これといって方法も思い浮かばないし、2人ともなんか怖いしで結局やるしかなさそうだ。

 

「別にやってもいいが、集まらないと思うぞ?」

「だい…じょうぶ……いつもの、やつ…やれば………いい」

 

最後の抵抗もあえなく失敗してしまった。それにしてもいつものって何だっけ? いつも鍛錬しかしていないが、というより剣舞なんて生まれてこの方やってないじゃん!

剣舞なんて出来ないと言おうと思ったのにかごめさん……なんというか、その、妙に目がキラキラしていらっしゃる。そして何ですか期待してますみたいにウズウズする仕草……可愛いんですが!

 

ここまで懇願されたんじゃしないわけにはいかない。剣舞って何? そもそも魅せる武なんてあまり意識したことがないがと思わないでもないが、ここまで来たらどうにでもなれって感じだ。いつも通りでいいとかごめが言うならいつも通りにやればいいんだろうな。

 

「いつも通りっていつもの鍛錬でいいんだよな?」

 

さすがに自信がないので鍛錬でいいのか問いかける。すると驚くほどのスピードで頷きまた瞳をキラキラさせて俺を見る。よくわからないものの、鍛錬でいいのなら気負う必要もない、もう仕方ないと諦めてとりあえず柔軟運動をやり始める。

 

鍛錬する時は柔軟の後に綾に相手してもらいながら自分で考察して会得した合気道もどきの訓練や、色々な歩法試してみたり、綾の大剣を使わせてもらって刀以外の武器のイメージを忘れないようにしたり。

 

他にもイメージで想像の相手を作り出し、多種多様な戦法を考えて戦ったりもするのだが……、恐らく剣舞って最後にやってた試験運用的な感じでずっと練習していたものだろうな。

というか今考えてみればそれぐらいしか剣舞といえなような気がするし、他のはここでやるには危なすぎるしな……。

 

「んじゃやってみるけど、これってもう始めちゃってもいいんだろうか………」

 

ちょっと開いたスペースにちょこんと纏まっている俺たち、前の世界でもストリートでいろんな人がいろんなことをやっていたけど、実際自分がやるとなると始めるタイミングやらがよくわからない。

 

「大丈夫!人がいなけりゃ呼べばいいんだよ時雨!私頑張るから!」

 

いや、ほどほどでいいよ。無理しなくていいよ、お腹すいてるんでしょ、お願いだからあんまり集めないでください、恥ずかしいんです。そういった感情を含めて視線を2人に向ける。

 

「わ……わたし、も…頑張……る」

 

そういってグイグイ服を引っ張ってくるかごめ、どうやら逆効果だったようです。

 

「うん、ありがとな」

 

もうどうしようもないのでかごめに笑顔、もしかしたら苦笑と言った感じになっていたかもしれないが、なるべく安心させるように撫でてやる。

 

「む!かごめちゃんと私になんか差がない?」

「気のせいだろ………それじゃ始めるから離れてろ」

 

そこは幼馴染になのに俺の意志を都合の悪い時しか読み取ってくれないお前が悪いとばかりに冷たく接する。むくれる可愛い綾が可愛いから見たいとかそういう理由では決してない。

 

一通り準備運動を終えて、精神を集中させ始める。

 

「すーーーー、はーーーーーー、すーーーーー、はーーーーー」

 

深呼吸をして息を整え、周囲に散らばる意識を自分の太刀と小刀のみに注いでいく。

 

試作段階のコレは完全に型が出来上がっていない、というより様々な状況に対処できるように考案したもので、まだ経験の低い俺では正確なイメージが掴めていない。だから今は太刀と小刀、大きさの違う刀をどこまで一緒に、より上手く扱えるかだけを意識する。

 

「ッハ!」

 

左から右上へと居合いの要領で太刀を振り上げそのまま勢いを利用して手の甲で回転させる。そして太刀を回転させている間に小刀でジグザグに切りつけながら天へと掲げる、と同時に今度は回し終わった太刀を右から左へ遠心力を利用しながら半回転しながら切りつける。

 

回転が終わると同時に太刀の柄を手のひらで押して太刀事態を回転させ、持っていた小刀を落として空いた右手で掴み取り右へと一閃。回っている達はそのまま勢いを利用して正面を切り裂き、上手く手の甲で回転させて勢いを殺さないようにする。

 

右に一閃した小刀も今度は達と同じように手の甲で回し遠心力を殺さないようにしていく。こういう風に遠心力を利用してどんどん速さを上げ、勢いを上げ、切れ味を上げていく……。これが俺の考えだした剣技だが、これには欠点が多い。

 

まず反射神経と力の流れを感じ取ることが出来るものでないと回し続けること自体が難しい。そして切り合っている中で回し続けるには相手を押し切るだけの腕力が必要だ。この厳しすぎると言っていいほどの条件を兼ね備えてやっとまともに使える。

まあこんな馬鹿げたことをする奴なんて俺以外にはいないとはおもうけれど。

 

馬鹿げた剣技の力を無駄にしない回転のさせ方を考察していくうちに、程よく身体も熱くなってきた。そろそろかと太刀を上に放り投げ、落ちてきたところを掴み取り、降りてくる間に左右に一閃した小刀と同時に鞘に収める。

 

カチンッ

 

この決めはカッコイイ!と思ってかなり、というより一番練習した気がする……。馬鹿だと思うだろうがこれだけは譲れないと思う。

 

「「「うぉぉおおおおおお!!!」」」

 

いきなりの大声に思わずビックリする。そういえば剣舞してたんだっけ……と思いだし、いつもの鍛錬と何も変わってないんだがあれでお気に召してくれた事が不思議でならない。

 

すげぇな兄ちゃんなどといって笑顔で肩をたたいてくる人たち、隣で綾がありがとねーといいながらお金を受け取っている。なんでこうなった。俺が集中している間に何かあったんじゃないのかと思わざるを得ない。

 

やっぱりこの世界に来て友達が1人と妹? が1人できたからといって他人の心が読めるわけもない。とはいっても褒められて嬉しくないはずもなく、自分でも驚くほど照れてしまった。恐らく顔は真っ赤だったろう、誰徳。

 

「あ、ありがとうございました」

 

とりあえずお金をくれるのでお礼はする。お客様に対する最低限の礼儀ってやつだ。

しかしその様子を横からニヤニヤ眺める綾が1人。分かった瞬間殴りたい衝動に襲われたが、客の手前ここは我慢しておくことにした。

 

「いやー、こんな時雨見れるなんて、やく…っっ!?」

 

やっぱり我慢できなかったので頭を軽く殴っといた。綾は目をうるうるさせながらしゃがみこんでこちらを恨めし気な目で見つめる。いやいや自業自得だろと思いながらも泣かせたいわけでもないのでしゃがんでいる綾を撫でてやる。

 

しばらく綾の機嫌が直るまでお客さんに冷やかされながら撫で続けていた。撫で終り、お客さんもはけた頃に服が引っ張られたのでそちらへと視線を向ける。

 

「ん……? かごめ?」

「え…っと、その…良かった……」

 

顔をリンゴの様に赤くしながらかごめが精一杯褒めてくる。まるで俺に一生懸命に告白しているようにも見えなくもない構図だと一瞬思ったが、馬鹿らしいと考えを振り払う。

 

「そうか、嬉しいよ」

 

かごめの意志はちゃんと伝わったよと笑顔で頷き、綾にしてやったようにかごめにもしばらくの間撫で続けてあげた。その間ずっと顔を桃色に染めるかごめは大層可愛かった。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

かごめを撫で終って一息入れると3人の女の子がこちらの様子を伺っているのに気が付いた。誰が話しかけるとか揉めている様にも見受けられるが、こちらから声をかけていいものだろうか? いやでも勘違いだったら困るし。

 

「あ、あの……」

 

俺が悩んでいる間にどうやら誰が話しかけるか決まったらしく、3人の中でも傷跡が目立つ女の子がこちらにやってきて話しかけてきた。

 

「ん? なにかな」

「その、いまの剣舞を拝見させていただいたんですが大変見事でした!」

「え…………。ぁっ、そうか、その…ありがとう」

 

歳もさほど変わらない女の子に直接褒められて顔が赤くなっていくのが分かる。その原因である照れを紛らわそうと、とりあえず近くにあった頭を撫でる。撫でる事で俺の精神が安定することに今さら気づいたのは内緒である。

 

「え? ……あの、その」

「っ! ああ、すまない。どうも癖になりつつあるみたいで………。これはとんだご無礼を」

「い、いえ! 別に不快ではなかったというか…その…ゴニョゴニョ」

 

何をいっているか良く聞き取れないが……怒らせてしまっただろうか? まさか目の前の子の頭を撫でているとは思わなかった。綾もかごめも撫でられて満足していた為に近くにこの子しかいなかったのが原因なのだが、正直そこまで気が回らなかった。

 

お互いに顔を赤くさせて謝ったりを繰り返していると残りの2人がもう待っていられないとばかりに近づいてきた。

 

「もー、凪ちゃんが任せてって言うから任せたのにこれじゃ話が進まないなの!」

「そうやで、やっぱりウチか沙和が聞いた方が早かったやろ」

「その……面目ない」

 

あー、なんかすごい罪悪感が……。この子は真面目に任務を遂行しようとしていたのに俺のこの手が悪いんです。

 

「お兄さん、よければ義勇軍に入って欲しいなの」

「えっと、すまないけどそれはできないかな」

「そ、そうなの……」

「やっぱりそう簡単にうまくいかんもんやなー」

 

あからさまにしょんぼりする3人……。今義勇軍に入った所で何のメリットもないし時間ばかりが取られることは目に見えているので迷ってしまう。そもそも何で俺に話しかけるのだろうか、義勇軍なら普通に募ればそれなりに集まるだろうに。

 

「聞きたいんだけどさ、俺なんか誘ってどうするの?」

「実はここに黄巾党が向かっているという情報が入りまして、出来れば仲間を増やしたいところなのです」

 

もう黄巾党が現れてるのか……。ちょっとした手伝いしても十分董卓を助けるのには間に合うか。そこまで考えて了承の笑みを3人へと向ける。

 

「そういうことなら義勇軍には入らなくても町の防衛に尽力させてもらうよ」

 

そういって3人の頭に手を伸ばし、順に偉い偉いと優しく撫でていく。

 

ボフッ ボフッ ボフッ

 

何か変な音が聞こえた気がするのだが特にこれと言って変わった様子は見られない、3人が3人とも何故か顔を赤らめているぐらいだろうか。一体どうしたんだ?

 

「っ〜〜〜〜!?」

 

「こ、これは危険なのー」

 

「凪が赤くなっとった理由がわかったわ……」

 

え? 何その理由って、なんで恨めしい目で俺を見るんだ、もしかして危険人物指定? いやそりゃいきなり頭撫でる奴なんて良く考えれば危険人物でしかないようなきがしないでもないけども。

 

「あ、あの!」

 

真ん中の凪と呼ばれた子が意を決したように声をあげてこちらにズンズンと迫ってくる。

 

ヒュンッ

 

そして次の瞬間には迫ってくる凪と呼ばれた女の子と俺の間を弓矢と風切り音が貫く。……ホワイ? 何がおこったんですか。

 

弓使い、ってまさかと思いギギギッと首を動かして横を見やるとそこには予想外なちっちゃい女の子と予想通りの魏の将軍、夏侯淵さまが立っているではないですか。

 

「いやはやこれは奇遇ですね……」

 

笑顔を頑張って浮かべようとするものの、確実にひきつっていることは確かだ。もう絶体絶命としか言いようがない。

 

「紀霊殿、すまないが華琳様への手土産にさせてもらうぞ」

「い、いや……それはちょっとこま」

「賊が出たぞーーーー!!」

「「「「!!!」」」」

 

なんていいタイミング! この機会を逃す馬鹿は絶対いない。

 

「すまないが話は後で聞かせてもらう! 綾、飛影とかごめを頼むぞ」

「それよりお腹減ったよーー」

「それは事が終わってからだ!」

「なんでよ! まったく時雨が女の子とデレデレしてたから食べれないんじゃない……」

 

相変わらず痛いところを的確についてくる……折角機嫌とったのにまた不機嫌になってしまった。けれど今は気にせずにいこうと思う。

 

逃げる様にすぐさま近くの南門まで走り出そうとする俺を夏侯淵が引き止める。思わず舌打ちしそうになった、危うい。

 

「少しばかり待ってくれ、敵は恐らくこの街全体を囲っている……東西南北、全ての門を守らねば意味はないぞ」

「む、それもそうか……ってなんでそこまでわかるんだ」

「我々は元々この町に黄巾党が向かっているとの情報を得て来たのだ。不思議ではないだろう?」

「ならなぜ俺を狙うんだよ……」

「ただの冗談だ」

 

この人の冗談怖いよ!? 真顔で言うから何が冗談なのか全くわからない、きっと誰も分からないレベルだ。

というか状況からするにこの町を囲めるほどって……それはなかなかの大軍勢ではないだろうか? これじゃあここから逃げ出す算段も付けられないな。

 

「紀霊殿、ここは一時休戦してまずは賊を討とうではないか」

「……ああ、そうだな」

 

単純にタイミングが悪いだけなんだろうが、なんだかいいようにもてあそばれてる気がする。

 

「すみません! 我ら義勇軍にも手伝わせてください!」

 

夏侯淵と俺のやり取りをぽかーんと見ていた3人のうち凪と呼ばれた子が賊討伐名乗りを上げる。元々この為に黄巾党対策として義勇兵を集っていたのだろうか? それにしては今初めて知ったような感じなのだが、不思議な事に反対意見が一切出ていない。

まあ反対意見が出ていないのならさして問題はないのだろう。それにここであえて問いただすほどの疑問でもない。なんだかこの3人組も結構やる気の様だし水を差すこともないだろう。

 

「こうなったら付き合うしかないのー」

「せやな、ウチらの力みせたるで」

「それは助かる、今は少しでも戦力が増えることがありがたい。私は夏侯淵、そして隣にいるのが許緒という」

「私は楽進と申します」

「沙和は于禁っていうなのー」

「ウチは李典や」

「俺は紀霊という。よろしくな」

「わたしは荀正っていうの! で、こっちが李福ちゃんでーす」

「よろ……しく」

 

「ブルルッ」

 

それぞれ簡単に自己紹介をして行き、恐らく最後には飛影が名乗ったんだと思う。なんて頭のいい子。

 

「とりあえず腕がわかる者とわからないものを一緒に組ませる。紀霊殿は楽進と一緒に北門へ、荀正殿は于禁と一緒に東門、私は南門を守るから。季衣は李典と一緒に西門へ向かって欲しい」

 

「了解!」「わかりました!」「わかったなのー」「了解や」「わかった!」「わかったよー」

 

夏侯淵のさすがと言える指示に従い各々返事をしてから指定の場所へと向かいだす。こういった場合はさすが将軍と言うべきか、凛々しく指示を出す姿に違和感が全くない。

 

「かごめは飛影と一緒にこっちにおいで」

 

本当ならかごめは安全な場所に居て貰おうかとも思ったのだが、賊から助けてからというもの片時もそばを離れようとしたことがないのだから恐らくついてくるはずだ。それならと最初からこちら側に誘って傍に居て貰う事にした。

 

「それじゃ楽進さんも一緒に行こうか」

「っは!」

 

北門に向かって楽進、かごめを引き連れて歩き出す。ちなみに真面目な楽進は緊張のせいでカチコチになっており終始無言だった。

 

 

 

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■後書き■

なんというか、編集してて文才のなさに身悶えております。

 

多少は成長したいと思いたいですが

月日が経ってまた編集する機会が出来たら再度身悶えるのかなと思ったり……。

 

話は変わりますが応援&コレクション有難うございます。お気に入り登録して下さる方もいて編集するモチベが保たれております。この調子で投稿していきたいと思いますのでよろしく。

流石に仕事の日は1話出来るかどうかですのでそちらもご理解して頂けるとありがたいです。

説明
編集して再投稿している為以前と内容が違う場合がありますのでご了承お願いします。
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コメント
おかしな方向に成長している事は否めません。(竜胆 霧)
初対面なでポ・・・引くわー (PON)
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処女作 不幸体質 転生 ハーレム 恋姫†無双 シリーズ 

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