英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 13
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〜ミストヴァルト〜

木が深く茂っている中、開けた場所で大樹がと小さな泉がある場所にリスティは降り立った。

「到着ですぅ〜」

「ありがとう、リスティ。……すぅ……マーーリオ――ン!遊びに来たよ――!!」

リスティに礼を言ったエステルは深く息をすって最近友達になったもう一人の人でない存在の名前を叫んだ。

「こん……にち……は、エステルさん……」

すると泉の中からリウイの使い魔――水精・マーリオンが出て来て、表情が見えないその顔をわずかに笑みに変えた。

「えへへ、こんにちは!」

「今日は何して遊ぶですか〜?」

「リスティの翼に埋もれるのもいいし、釣りだってできるし、冒険もしたいわね……悩むわ……よし、決めた!

全部やるわ、まずは釣りよ!」

そしてエステルは木の枝等を使い即席の釣り竿を作り泉で釣りを始めた。それをしばらく見ていたマーリオンはエステルに話しかけた。

 

「エステルさんは……どう……して……私達と……仲良く……できるん……ですか?」

「ほえ?どういう意味?」

「人間の方は……自分達とは……違う……姿を見て……普通……恐がり……ます……でも……あなたは……最初に…出会った時から…私達と……気兼ねなく……話して……います……」

「う〜ん、あたしは特に何も考えてないな〜。それにリスティとかただ単に翼と尻尾があるだけの人じゃない。」

エステルはそう言うと釣り竿を置き、リスティの翼に埋もれた。

「う〜ん、気持ちいい……」

「くすぐったいですよぉ〜」

リスティはそう言いながらも気持ちよさそうにした。

「それにさ、マーリオンとだって今、こうして会話をしているでしょ?ロレントの人以外で何人か闇夜の眷属の人を悪魔や魔物とか言うけど失礼しちゃうわね!確かに闇夜の眷属の人って、ちょっと近寄りがたい雰囲気があるかもしれないけど、会話ができるんだから、こうやって友達になれることをなんでわかってくれないのかしら?」

リスティの翼を堪能した後、エステルはマーリオンの手を握った。

「あ………」

「うわぁ〜……マーリオンって本当に水で出来ているのね。冷たくて気持ちいいわ……でも、なんで水なのにこうやって手を握れるのかしら?」

「私の……体は………魔力によって……固められて………います……から……」

「う〜ん、よくわかんないわ。ま、いっか!よし、次は森の中を冒険よ!リスティ、行こう!」

「はいですぅ〜」

マーリオンの言葉に少しの間考えたエステルだったが、理解できなく考えるのをやめた後、立ち上がりリスティを呼んだ。

「じゃあ、マーリオン。ちょっと行ってくるね!」

「はい………」

そしてリスティを連れたエステルを見送った後、マーリオンは心の中でいつかエステルが今言った言葉をリウイの

前でも言うことがあればいいのにと願った。

 

そしてエステルはリスティとしばらくの間、森を歩いていた時、エステルが何かに気付いた。

「…………」

「ほえ、リスティ、呼んだ?」

「いいえ〜」

誰かに呼ばれたような感じがしたエステルはリスティに振り向いたが違うようで、空耳かと思い気を取り直したが

また、自分にでは理解できない言葉が頭に響いた。

「…………」

「また、聞こえた!ねえ、あなたはどこにいるの!?」

エステルは辺りを見回し叫んだ。

「チ………カ……ク………」

するとわずかながら理解できる言葉が聞こえた。

「近くね!わかったわ!」

「エステル、どうしたですかぁ〜?」

リスティはエステルの突飛な行動に疑問を持ち聞いた。

「誰かがあたしを呼んでるの!リスティ、いっしょに探して!」

「何がなんだかわかんないですけど、わかったですぅ〜」

 

そしてしばらく辺りを探すとそこにはエステルの拳ほどの大きさの羽の生えた小人が倒れていた。

「え……妖精さん!?」

エステルは倒れている小人を見て驚いた。

「その子は風の守護精霊ですねぇ〜。でも、どうしてこんなところにいるんでしょう〜?」

リスティは呑気に答えたがなぜ異世界である場所にいるのかと疑問に思った。

「それより、助けなくちゃ!妖精さん、目を覚まして!」

エステルは小人を両手ですくい、呼びかけたが目を覚まさなかった。

「あやや……この子、異世界に来て慣れない魔力のせいで魔力が上手く維持できず、それが切れてしまったんですね……」

リスティは小人の状態を見て悲しそうな表情に変えた。

「それじゃあ、この子どうなるの!?」

「消えて、自然に還ってしまいますね……」

「それって死ぬってことじゃない!?ねえ、リスティ、どうにかならないの!」

エステルは悲痛な表情でリスティに懇願した。

「この子にエステルの魔力を分けて上げれば、一時しのぎにはなりますぅ〜」

「それってどうすればいいの!?」

「いつもやっているみたいにこの子に魔術を使う感覚で魔力を集めてみて下さい〜」

「わかったわ!」

そしてエステルは目を閉じて願った。

(お願い……目を覚まして……!)

すると、エステルの両手から淡い光が出てそれが小人を包んだ。そして小人は目を覚まし、自分が助かったのはエステルのお陰だとわかり笑顔でエステルの周りを回った。

 

「わぁ………キレイ……!」

エステルは飛び回っている小人を見て、思わず呟いた。

「………」

「え、何?なんて言ってるの?」

エステルは頭に小人の声らしきものが聞こえたがわからず、聞いた。

「助けてくれてありがとうと言ってますね〜。それと私といっしょにいることをどうしてと聞いていますね〜」

「リスティ、わかるの!?」

エステルはリスティが小人の言葉を訳していることに驚いた。

「一応私は風属性の睡魔ですから〜それとこの子の名前はパズモ・メネシスだそうです〜。」

「名前はパズモって言うんだ……うん、いい名前ね!それとさっきの答えだけどリスティとは友達だからいっしょにいるだけだよ?」

「…………!」

「闇夜の眷属である私やその子自身恐くないのかと言ってますね〜」

「全然恐くないわ、むしろもっとたくさんの闇夜の眷属の人と友達になりたいわ!」

エステルの答えを聞いたパズモは少しの間、エステルの嘘をついていない純粋な眼を見つめてまたエステルの頭の中に声を送った。

 

「………」

「え………」

「ほえ?リスティ、なんて言ってるの?」

パズモの言葉を訳そうと思ったリスティが呆けた声を出したのに気付き、エステルは聞いた。

「エステルを守護する契約をして下さいと言ってるですぅ〜。」

「あたしを守護する契約ってなに?」

「言ったことそのままの通りですぅ〜。要するにエステルを主人と認めてエステルが死ぬまでずっと傍にいることですね〜」

「え……あたしなんかとずっといるなんて約束していいの!?」

エステルはリスティが言った事に驚きパズモに聞いた。そしてまたエステルの頭の中に声を送った。

「…………」

「エステルじゃないと嫌と言ってますぅ〜」

「そうなんだ……あたしでよければその契約、受けて上げるわ!」

「………!」

エステルの言葉を聞き、パズモは真剣な表情を笑顔に変え、またエステルの頭の中に声を送った。

「契約を受けてくれてありがとうと喜んでいますね〜。」

リスティはパズモの喜びが自分が喜んでいるように伝えた。

「あ!ひとつだけ言い忘れたことがあるわ!」

「………?」

思いついたかのように言い出したエステルにパズモは小さな首をかしげた。

「あたしとパズモは主人と従者じゃなく友達よ!友達に命令するとかあたしが嫌だもん!」

エステルの言葉を受けて固まったパズモだったが、やがてまた笑顔になりエステルの頭の中に声を送った。

「…………!」

「わかったと言ってますね〜。」

「えへへ、よかった。それで契約って何をすればいいの?」

「………」

「エステルは何もしなくていいですよ〜ただ、この子がエステルの魔力と同調するからエステルはそれを受け入れるだけですぅ〜」

「わかったわ……いつでも来なさい!」

リスティから契約の仕方を聞き、エステルは両手を広げた。そしてパズモは勢いよくエステルの身体に入った。

「わ……」

エステルは自分の身体にパズモが入ったことに最初は驚いたが、特に何も異常は感じずあたりを見回した。

 

「ねえ、パズモはどこにいっちゃったの?」

「エステルの身体の中に入ってエステルの魔力と統合しただけですから、エステルが呼びかければまた出てきますよぉ〜」

「わかった、やってみる……おいで!パズモ!」

エステルがパズモの名を言うと、エステルの目の前で小さな竜巻が起こりその中からパズモが姿を現した。

「えへへ……これからよろしくね、パズモ!」

(あなたをずっと守るね、エステル……)

「え……今の声はパズモ、あなたなの!?」

エステルは頭の中に響いた声に驚き、パズモに聞いた。

(そうよ……エステルと私は契約して繋がっているから精霊である私の声が聞こえてもおかしくないわ。)

「そうなんだ……パズモとおしゃべりができるようになって嬉しいわ!」

(私もよ、エステル……!)

そしてパズモを加えてリスティとしばらく遊んだエステルはマーリオンにもパズモのことを報告し、その後行きと同じようにリスティにブライト家まで送ってもらった。

 

かつて正義の大女神と神殺しに仕えた守護精霊は長年いっしょに旅をし、異世界に来た際途中にはぐれた友人の思いと同じ新たな幼い契約者に希望を持った……

 

 

同じ頃、プリネもまた、誰かに呼ばれるように感じメンフィル大使館の敷地内を歩いていた。

(確か……この辺り……いた!)

そこには鳥翼族の娘が倒れていた。

「う〜魔力がうまく取り込めないよ……ボク、このまま死んじゃうのかな……」

「あなたが私を呼んだのですね。」

「え……もしかして、ボクの呼びかけの答えてくれた人!?」

鳥翼族の娘はプリネを見て驚いた。

「ええ、異世界だから魔力がうまく取り込めなかったんですね……少しの間、待って下さい……」

プリネは鳥翼族の娘に近づき魔力を分けた。

「う〜力がみなぎってきた……ボク、ふっか〜つ!」

鳥翼族の娘は魔力を分けられ元気になり、勢いよく起き上がった。

「魔力を分けてくれてありがとう!」

「気にしないで下さい、私がやりたいと思ってやったことですから……それより、どうしてこんな所にいるのですか?あなたはメンフィル兵やお父様が呼んだ闇夜の眷属の人にも見えませんが……」

「う……それは……!」

鳥翼族の娘は図星をつかれたように後退した。

「事情を話してくれませんか?このままだとあなたを侵入者としてメンフィル兵に突き出さなければなりません。」

「はい……実はボク、闇夜の眷属と人間が仲良く暮らす国を世界中を廻って探していたんだ。それで久ぶりに故郷に帰ろうと思って来た帰り道によったレスぺレント地方がいつのまにか、ボクが望んだ国になっていて、それでミルスで王様が新しい世界を見つけてそこと交流をし始めたって聞いたから、そこもボク達闇夜の眷属を受け入れてくれるのかなと思って、友達といっしょに兵士の目を盗んで転移門に入ったんだけど、入る直前に兵士にみつかっちゃって、焦って起動してしまったから友達ともはぐれて今の状況に……」

「なるほど……それで、お友達は見つかったのですか?」

「ううん……この世界は魔力の流れが違うからわかんなくなっちゃった……」

「……あなたのお名前は?」

「ボク?ボクの名前はペルル!」

「私の名前はプリネ・マーシルンです。」

「え、マーシルン!?それってメンフィル王家の名前……!」

ペルルはプリネのフルネームを聞き、驚いた。

「ええ、お父様はリウイ・マーシルン。闇夜の眷属と人間の共存の国を実現した偉大なるお方です。」

「あわわ……ボク、皇女様に失礼をしちゃった……ごめんなさい!」

ペルルは慌て、勢いよく頭を下げて謝った。

 

「フフ、気易く接してもらってかまいません。それより友達を探すあてはあるのですか?」

「う……それが全然……おまけに魔力の波長も合いにくいし……」

プリネの疑問にペルルはこれからのことを考え肩を落とした。

「でしたら、これも縁だと思ってお友達が見つかるまで私の使い魔になってくれませんか?」

「え……皇女様みたいな偉い人がボクなんかを使い魔にしちゃっていいの!?」

ペルルはプリネの言葉に驚き聞いた。

「皇女と言っても私は帝位継承権はほとんどありませんから……それにお父様とマーリオンのやり取りを見て、私もずっと傍にいる使い魔さんがほしいと思いましたから。……それでどうでしょうか?」

プリネの言葉を聞き少しの間考え真剣な顔でプリネに聞いた。

「一つだけ聞かせて……プリネはボク達、闇夜の眷属と人間の共存を望んでいるの?」

「私とて魔神の血を引く闇夜の眷属の一人です。いずれ皇帝となられるリフィアお姉様を手伝って、広大なレスぺレント地方を闇夜の眷属と人間が暮らすためのよりよい国にしていきたいと思ってます。……こんな答えじゃダメですか?」

「ううん!それだけ聞ければ充分!ボクの方こそお願いします!」

ペルルはプリネの答えを聞き笑顔になった。

「よかった……では、契約を……」

「うん……!」

そしてプリネとペルルはお互いの手と翼を握り、ペルルが翼に伝わるプリネの魔力に溶け込むように消えた。

「契約完了ですね……ペルル、来て!」

「はーい!」

プリネが呼びかけるとプリネの身体から小さな光が出、その光の中からペルルが現れた。

「しばらくの間、お願いしますね。ペルル。」

「うん!こっちこそよろしくね、プリネ!」

こうして、ペルルもまた闇夜の眷属と人間の共存を願った最初の主の思いと同じ新たな契約者にパズモと同じように希望を持った……

 

 

 

 

 

 

説明
第13話
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タグ
空の軌跡 幻燐の姫将軍 零の軌跡 碧の軌跡 イリーナ復活 カリンも復活 エステル最強キャラ化 エウシュリー無双 メンフィル無双 他エウシュリーキャラも登場 

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