IS ラウラが夫!俺が嫁!? 〜第三話 買い物、行こう。〜
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「うーん……」

 

 

女性って、あれだよね。出かける時の準備長いよね。

たとえあのラウラでも、それは変わらず(失礼なこと言いましたすいません)。

 

 

「ま、俺は用意も何もないけど…」

 

 

 荷物なんて特になく、私服に着替えて財布持ってくるだけだから。男はラフでいいです。

 なーんて考えてたら、

 

 

「すまない、待たせたな」

 

 

 待ち人の声が聞こえて、後ろへ振り返った……が、ついこけそうになる。

 

 

「ん……なぁ、ラウラ。一つ聞いてもいいか?」

 

「なんだ?」

 

「私服とかはお持ちじゃないんですかね?」

 

 

ラウラが現在着ているのは、IS学園指定の制服。

似合ってていいと言えばいいけど……まぁ……どちらかというと、休みの日に買い物に行く格好ではない。

そして返事はといえば、

 

 

「持っていない。」

 

 

 なんてキリッと言う始末でございます。

 

 

「まじか。今までもそうなの?」

 

「ああ。別に生活する上では困らんからな。」

 

 いるよね、こういう効率重視の生活してる人! それはそれで正しい生き方だけどさ!

 俺が額に手を当てて考えているのを見て、またラウラがぽつりとつぶやく。

 

 

「他の服か、ふむ……強いて言えば……軍服か」

 

「それはダメだな。」

 

 

 ただの買い物にそんなガチ装備をしないでください。いや本当。

 うーむ、そうなると……予定変更だな。 本当は、近くのスーパーで済まそうと思ってたんだが。

 

 

「じゃ、途中で買っていこうか。」

 

「何をだ?」

 

「ラウラの服。俺が選んであげるよ」

 

 

と、なんかラウラが赤面した。何事?

 

 

「わ、私の服をか!?」

 

「そのつもりだけど?」

 

 

なんか変なこと言っただろうか。あれか、俺みたいなセンス悪いやつに選ばれたく無いのかな? プライド高いもんな。

 

 

「嫌ならやめておくけども…」

 

「い、いや、そんなことはない!!」

 

「? そうか? てか顔近い。」

 

 

近づいた顔を背ける。急に迫ってくるんだもんな。ぶつかるところだった。

 

 

「じゃ、とりあえず行こうか。バスでレッツゴーだ」

 

「あ、ああ…。」

 

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と、いうわけで到着したのはショッピングモール。名前は……なんて言ったっけな? ああ、あれだ、『レゾナンス』。

 

 

「じゃ、服から見て行こうか?」

 

「ああ」

 

 

とは言ったものの。俺、服の種類とか名前とか全然知らないんだよな……。どうしよう。

 

 

「うーん…」

 

「どうした?」

 

「いや、なんでもないよ。選ぼう選ぼう」

 

 

まあ、だんだん慣れて行けばいいよね。

手始めに、ラウラの雰囲気に合いそうな店に入る。

 

 

「ふむぅ」

 

 

少し大人っぽいのも似合うけど、可愛い系統もいいだろうな…。

 

あー、考え事してたらお腹空いて来た。

近くで服と睨めっこしていたラウラに声をかける。

 

 

「ラウラーちょっといい?」

 

「ん、なんだ」

 

「何か、食べたいものある?」

 

「………は?」

 

 

あ、驚かれた。ポカーンと。

まぁ、洋服を選んでいる時にする質問じゃないし。そう考えると非常識だったか。

 

 

「いやその、夕飯に。何かあったら、この後の買い物の参考になるから」

 

「お前が作ってくれるのか!?」

 

 

 大きい声を出さんでほしいでござるよ。周りの視線が一気に集まってしまった。

 また嫌だったのかな?

 

 

「お、おう。迷惑だったならやめるておくけど」

 

「いや、そんなことはない!! まて、今考える」

 

 

そう言って考え込んでしまった。そんなに難しく考えなくても、簡単に思いついた奴でいいのに。

 

 

「やっぱりドイツ料理かな?」

 

「そうだな…久しぶりに、シュニッツェルが食べたい」

 

「おお。いいねえ、作りがいが有りそうだ」

 

 

少しテンションが上がったところで、ラウラの服も黒いワンピースに決定。

このまま着て歩く事にした。

うん、やっぱりラウラには黒が似合うね。黒ウサギさん…?

 

 

「ど、どうだ?」

 

「いいね、すごく似合ってる。可愛いよ」

 

「か、かわ……///」

 

 

笑顔で言ったけど、真っ赤になって縮んじゃったよ。なんだ、褒められるのに弱いのか。

 ま、そういうところが可愛いんだけど! あ、会計済ませてなかった。

 

 

「じゃあ買おうか。すいません、これ下さ〜い」

 

「待て竜也、私が払う!」

 

 

財布を出してレジに向かおうとしたら、ラウラに腕をつかまれた。

 

 

「何言ってんの。少しくらいは男にかっこつけさせてよ。プレゼントなんだから」

 

「し、しかし……」

 

「はー、仕方ないなあ。…そうだね。ラウラ、『男性が女性にに服を送る意味』って知ってる?」

 

「え…?」

 

『よし、この隙に』

 

 

 ラウラが悩んでいるうちに会計を済ませる。気付いた時にはもう遅い。

 

 

「あ!しまった」

 

「へへ、俺の勝ち。さ、今度は別の物を買いに行こうか」

 

「引っかかった…くっ」

 

 

シュニッツェルだったら、確か牛肉と卵と……いや、これ以上並べると長くなるな。

洋服店から出て、数分。食料品の辺りまではまだ時間がありそうだ。

ふとラウラを見ると、左手が空いていた。俺は右手が開いている(左は荷物)。

 

 

「ラウラー」

 

「ん? どうした、竜也」

 

「はい」

 

 

それだけ言って、右手を差し出してみる。…さて、どう出る?

 

 

「…は、はい」

 

 

ぎゅ、と恥ずかしそうに握り返される手。

うわぁああ、可愛すぎr(←

 

 

「もう、可愛いなあ」

 

「あ、あまりそういうことを言うな!」

 

 

 

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牛肉、卵、パン粉、黒胡椒、小麦粉、ジャガイモ、レモン。

こうして見てみると、案外単純な材料ばかりだな。

 

 

「ステーキハンマーは……きっと厨房にあるよな。」

 

 

足りなくなっていた日用品も全て揃えた。これで用は全部済んだのかな?

 

 

「そろそろ帰ろうか?」

 

「う、ん……ああ……」

 

 

ん、なんかちょっと残念そうだな。何か買い忘れたか?

聞いてみたが『知らんっ』と腹パンされたので聞かないことにした。お腹痛いです。

仕方なく言葉通りに帰路につこうとしていると、ショッピングモールの西ゲート部分からわめき声が聞こえた。

 

 

「…なんだ? 騒がしい」

 

「さあ、こっちが聞きたいくらいだな。ラウラ、ちょっと荷物見てて。気になるから見てくる」

 

「ああ。気をつけるんだぞ」

 

 

少し見てくるだけなのに大げさな。そう思いながら歩いてゲートに向かう。

だいぶ人混みに近づいたところで、そこから人を掻き分けて誰かが駆けてきた。ものすごい形相である。

 

 

「ん? 何かあったんですか?」

 

「! 丁度いい、お前だ!」

 

「は? え? あーれー」

 

 

駆けてきた男にそのまま小脇に抱えられ、こめかみに拳銃が突きつけられた。重い金属のカチャカチャ鳴る音が聞こえる。

 えーと、要するに……人質?

 

 

「おらぁああ、近づいたらこのガキの頭ブチ抜くぞ!!」

 

「うわ、怖ッ。死ぬ死ぬ死ぬ」

 

 

周りに警官とか野次馬が集まって来た。まぁ、当然か。

 

 

「その子を離せ!私が身代わりになろう!」

 

 

かっこいいこと言ってるのは警官さん。

けど、男が言うことを聞くはずが無い。

 

 

「黙って金持ってこい!!」

 

「お兄さん、そんな適当な言い方じゃダメだよ。もっと具体的に言わないと。いくらを何とか銀行のこの講座に振り込んでおけーとか」

 

「そ、そうだな…って、お前は黙ってろ!!」

 

「痛い」

 

 

 こめかみにぐりぐりと当たる銃口が痛い。金属はダメだって。

 そのまま両者とも俗に言う膠着状態が続いて、だらだらとした時間が流れた。

 

 

「早く金をよこせ!! こいつがどうなってもいいのか!?」

 

「きゃーきゃー」

 

「お前は少し人質らしくしろ!!」

 

「えー、怒られちゃったよ……あ」

 

 

 人垣を何度も眺めてみて、嫌な予感がして男に向かって言う。

 

 

「あのさぁ、お兄さん。そろそろ離した方がいいと思うよ」

 

「ぁあ? 何言ってやがんだ、んなこと言われて素直に離すわけねえだろ」

 

「いやぁ、その……俺の夫が怒ってるんだよねぇ」

 

「夫ぉ? お前女だったのか」

 

「いや、男だけどさ。なんて言うかそうじゃなくてね」

 

「じゃああれか、ホモか」

 

「そういう差別的表現は好まないね。そして違うし」

 

「じゃぁなんなんだよめんどくせえな!!」

 

 

男と言い争っていると、今度は人垣のほうから騒ぎ声が聞こえてきた。

 

 

「こ、こら君、危ないから入るんじゃない!」

 

「黙っていろ」

 

 

そう、ラウラがこっちに近づいてくる。両手には買い物袋。

男は突然のことに少しびびっている。

 

 

「な、なんだお前!?」

 

「嫁を迎えにきた」

 

「やほー、ラウラ」

 

「ばかもの、遅いから見に来てみれば……何をしてるんだお前は」

 

 

見ればわかると思うがな。

 

 

「捕まっちゃったんだよね。人質だよ人質」

 

「そんなもの早く抜けてこい。」

 

「はいよ。」

 

 

男の腕を何事もなかったかのようにすり抜けて、自分の裾を払った。

 男の方は何が起こったのか分からず呆然としている。

 

 

「な!? 何で!?」

 

「あ、ごめんねお兄さん。もう少し脇を締めた方がいいよ」

 

「ふ、ふざけんじゃねぇえ!!」

 

 

男が叫んで、銃口をこちらにむけて引き金を引く…その寸前、俺は指を鳴らした。

 

 

『ボンッ!!』

 

「「「!?!?」」」

 

 

拳銃が、音を立てて爆発した。その光景に某然としている内に、警官が男を取り押さえる。

 

 

「帰ろうか、ラウラ」

「…ああ」

 

 

事情聴取とかされると面倒だから、どさくさに紛れてそそくさと外へ出た。

…って、なんか不機嫌なラウラさん。

 

 

「どうした?」

 

「何もない」

 

 

何もないなら、そんなに怖い顔しないと思うがなぁ…。

 

 

「なんかご不満?」

 

「何もないと言っているだろう」

 

 

今度はじー、とこっちを見て来る…。

冷や汗出そう。て言うか出てる。

 

 

「あのさぁ…」

 

「…お前の楽しみぐせは治らないのか」

 

「ん?」

 

 

楽しみぐせ? ……あ、あれか。あの犯人から逃げなかったやつ?

 

 

「あれね。治らんなぁ、シロートの相手は楽しい。」

 

「………ふっ!」

 

「痛い!」

 

 

思いきり叩かれた。何事!?

 

 

「なにすんの!?」

 

「ばかもの、私がどれだけ心配したとーーーあ」

 

「え」

 

 

あぁ、そういうこと。

 

 

「なんだ、心配してくれてたんだ。」

 

「うぅ…………」

 

 

また、顔が真っ赤になって。

………あー、もう。

 

 

「いちいち可愛いんだよな、ラウラは」

 

「か、可愛いとはなんだ!」

 

「かわいいからいいの。」

 

 

くしゃくしゃと、頭を撫でてやる。

 

 

「や、やめろ! 髪が」

 

「あ、ごめんごめん」

 

 

ぱっと手を離した。ラウラは少し不服そうだ。

 

 

「え、もう」

 

「ん?」

 

「…なんでもない!」

 

「そ? じゃあ帰ろうか」

 

 

 俺は買い物袋を持ち直し、さっさと先に行ってしまうラウラに続いた。

 

 

「…そういえば」

 

「んー? 何?」

 

 

 今度はラウラの方から声が上がる。なんか買い忘れですか?

 

 

「買い物の時の、あれ。どういう意味だ?」

 

「どれ?」

 

「あの、『男が女に服を送る意味』。結局どういうことなんだ?」

 

「あー」

 

 

言ってから気付いたけど、結構恥ずかしいな……。言いたくないぞ。

 …逃げちゃうか。

 

 

「うーん……」

 

「どうした」

 

「……女の子達に聞いて見て!!」

 

「あ、こら逃げるな!!」

 

「逃げるが勝ちだよ!!」

 

 

言えないよねぇ…。

 

 

『その服を脱がしたい』って意味なんて。

 

 

 

 

説明
第三話。変更点は、あまり無いです。
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タグ
ラウラ・ボーデヴィッヒ インフィニット・ストラトス IS 

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