IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜 第十一話 〜和解。そして・・・〜 |
決闘が終わったクロウは、ピットに戻り、ISを解除した。
「(ふう、これがISの戦闘か、まだ慣れない部分はあるが、一応戦えるな)」
ピットに戻ったクロウに対して、尊敬と感嘆の声を上げる一夏。
「すごいな、クロウ!!どうやってあいつのBT兵器を落したんだ?」
「ああ、あのSPIGOTを近接格闘モードで使用して、BT兵器を斬っただけさ」
簡単な事だった、という口調に箒が訝しむ様に疑問を口にする。
「・・・お前、強すぎないか?」
「い、いや?そんな事ないだろ(怪しまれたか?面倒だな)」
クロウが焦っている時、タイミング良く千冬が閉めてくれた。
「ほら、お前達!もう決闘は終わったぞ、早く部屋に戻れ!ああ、ブルーストは二、三聞きたい事があるので残れ」
「わかりました。一夏、また後でな」
「ああ、クロウ。またな」
一夏と箒はそういうと二人揃ってピットから出て行った。
「さて、あいつらは行ったぜ。聞きたい事って何だ?」
ピット内には、千冬、麻耶、クロウの三人しかいない。
「ああ、、先の戦闘についてだ。お前、オルコットのミサイル攻撃を読んでいたな?」
「ああ、仮定の一つとしては考えていた」
「わ、私も気になりました。どうしてあそこまで的確な反撃ができたのですか?」
と麻耶も疑問を抱いていたようで、同じ様な質問をクロウのぶつける。
「まず着目したのは、あいつの武装がビーム中心で構成されていた点だ。ビーム兵器はその特性上、一旦エネルギーが切れれば攻撃ができなくなる。その隙を補うために実弾兵器を装備しておくのは常套手段だ」
そこまで聞くと二人は納得の顔をして、素直にクロウを褒める。
「ふえぇ〜。よくそこまでわかりますね」
「うむ、素晴らしい観察眼だ」
「まあ、前の世界にもああいうタイプの機体は何種類かいたんでな、予想は簡単だったという訳だ」
「あと、もうひとつ、お前のISについて話しておく。やはりお前のISは強すぎる。今回の戦闘ではっきりしたが、既存のISとは性能がけた違いだ。再三言うようだがこれからISを使用するときは手加減しろ。お前も精神だけは分別のある大人だからわかるだろう?」
「なんか言い方が引っ掛かるが・・・了解だ。さて、今日はもう疲れたんで部屋に戻っていいか?」
「ああ、しっかり休んでおけ。明日は疲れました、なんて理由で遅刻するんじゃないぞ」
「じゃあな。また明日」
クロウはピットから出て行き、二人だけが残った。しばらくするとゆっくりと千冬が口を開く。
「あいつは行ったな。山田先生、奴のISの解析結果は?」
「はい。戦闘中に解析をしたところ、織斑先生の考えていた通りいくつかロックが外れてデータを垣間見ることができました。まずあのISは結論からいってしまうとこの世界に存在するどのISよりも強力です。軍用ISと比べてもです。これは私見ですが、あのISの元となった機動兵器はどれだけ強い相手でも対応できるように作られた、と思います」
「ああ、あの途中から出てきた武装を含め、対応幅が広すぎる。ショートレンジからアウトレンジまで全ての状況に対応できるだろう。設計思想は第四世代に近い」
「更に、あのISの動力ですが名称から何から全く情報開示がなされないんです。ほかの武装はある程度わかったのですが・・・」
「ふむ、わからないことをここでボヤいても仕方がない。あいつが話してくれるまで待つとしよう。」
「??織斑先生にしてはずいぶんと消極的ですね。何か気になることでも?」
「ああ、いや別に。何でもない(確かに、不思議だ。いつもの私だったら・・・)」
といいつつ押し黙ってしまう千冬
「(オルコットに手を伸ばしかけていたブルーストを止めた時、やつが纏っていた雰囲気は普通の軍人が身につけられるものではない。クロウ・ブルースト、お前は一体何者なんだ?)」
〜寮・セシリアの部屋〜
セシリアはシャワーを浴びていた。ISの操縦は想像以上に体力を使うので二つも試合をしたセシリアは汗だくだった。きれい好きな彼女にとって、それは到底耐えられるものではなく、部屋に戻ってすぐに、シャワーを浴び始めた。
「(・・・・・・)」
セシリアの頭は先ほどの決闘のことで一杯だった。
「(織斑 一夏、そしてクロウ・ブルースト)」
ついつい先ほどの決闘の相手を考えてしまう。
「(先程の試合・・・)」
一回戦、勝つには勝った。しかし、あと少しでも相手のエネルギーが残っていたら、
「負けるのは私だったかも知れませんね・・・」
と一人呟く。
「(でも、二回戦・・・)」
あの試合は完全にセシリアの負けだ。初めて対戦する相手だとか、こちらが二試合目で疲れていた、なんて理由は意味をなさない。
「クロウ・ブルースト・・・」
彼は一体何者だろう?そういえば二人目のISを操縦できる男なんて聞いたことがないし、なによりあの年齢不相応な雰囲気。十五歳の少年というより、完全に成熟しきった大人のものだった。とても普通に暮らしていて身に付くものではない。彼の姿は強いて言えば、セシリアの理想とする男性像に近かった。決して自分の意思を曲げず、決してあきらめない。言いたい事ははっきりと言い、どんな相手にもひるまない。試合中何度も苦境に立たされながらも最後は勝利を掴んだ。ふと気づくと彼の顔ばかり思い出してしまう。
「(なぜこんな気持ちになるのかしら。負けたから?それとも・・・)」
今のセシリアの中には、プライドを傷つけられたと言う思いより、彼の事をもっと知りたいという思いが強かった。それが俗に言う恋愛感情だということを、彼女はまだ気付かない。
「クロウ・ブルースト・・・」
セシリアは再び一人その名を呟くのだった。
〜翌日・運動場〜
グラウンドには一年一組の面々が、列を作って並んでいた。千冬が全員に聞こえる様に良く通る声で言う。
「それではこれより、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコット、ブルースト、試しに飛んでみろ」
「「わかりました。」」」
そう言うとセシリアはイヤーカフスに手を添え、ISを起動。クロウは「行くぜ、ブラスタ!」という声とともにISを展開。対して一夏は
「何をしている織斑、熟練したIS操縦者は展開まで一秒とかからんぞ」
とISの起動にてこずっていた。
「え〜と、集中・・・」
と目を閉じ、集中する一夏。
「来い、白式!!」
と光が一夏を包み込み、次の瞬間
「あ・・・で、出来た!」
白い装甲に包まれている一夏の姿があった。
「よし、飛べ!!」
「はい!」
「了解っ!」
その言葉と共に、セシリア、クロウの二人は大空へと飛翔する。
「へぇ〜、やっぱ凄いな。よし、俺も!」
と言いつつ、一夏も飛ぼうとすると
「えっ?うあぁぁ!」
バランスが上手く取れないのか、地面すれすれを飛行しながら、やっとのことで空へと飛んでいった。
「全く、あいつは・・・。おい一夏、しっかりついてこいよ」
クロウは先頭を飛んでおり、その次にセシリア、最後尾に一夏が飛んでいた。
「そんな事言っても、まだ飛ぶ感覚自体あやふやなんだよ。前方に角錐を展開するイメージって・・・。なあ、クロウはどんなイメージで飛んでるんだ?」
「ああ、俺か?俺は自分自身が弾丸になったつもりで飛んでいる。でも他の人間のイメージ何てあんまりあてにならないぞ。自分自身が一番イメージする方法で飛べばいい」
クロウが一夏にアドバイスをしていると、セシリアから通信が入る。
「クロウさんは教えるのが上手ですのね。・・・あの、そのことで相談が有りまして」
「(ん?何だか違和感が・・・)何だ?オルコット」
「クロウさんは放課後、一夏さん達と特訓をなさっているのでしょう?その特訓に私も参加したいのですが」
「あ、ああ。いいぜ。人数は多いに越したことはない」
「そ、その時は、直々にクロウさんに教えてもらいたく ≪こらガキども。いつまでのんびり飛んでいるつもりだ?次は急降下と完全停止をやって見せろ≫・・・了解です。」
千冬からいきなり通信が入る。何故かセシリアは不満げな顔をしていたが。
「?オルコット、何か言ったか?上手く聞き取れなかったんだが」
「な、何でもありませんわ!!ではお先に!」
そう言い残すと、セシリアは大地に向かって急降下していった。見ていると、地上ギリギリで体勢を立て直し、見事停止している。
「ふぅ〜ん。やっぱり上手いな、あいつ」
≪次、ブルースト。やってみせろ≫
「了解」
そう呟くと、クロウもセシリアの様に急降下し、少し地面より高い位置で停止していた。
「ふむ、ブルーストはもう少しブレーキのタイミングを遅らせてみろ」
「分かりました」
「最後に、織斑。やれ」
すると一夏が地面に向け、急降下を始めた。見ていると、意外と思い切りが良く、降下スピードは中々のものだった。しかし
「(ん?あいつ、スピードが落ちない!?)」
ズドォォーン!!
そうクロウが思った次の瞬間、一夏は隕石の如く、グラウンドに落下していた。
「一夏っ!」
クロウと箒が急いで一夏が落下した場所へ向かい、声を掛ける。一夏が落下した周囲はまるでクレーターの様だった。千冬も後からゆっくりと穴に近づく。
「おーい、一夏。大丈夫か?」
そこには、砂まみれになりながらも、
「痛〜、死ぬかと思った・・」
と緊張感の全くない声を出している一夏の姿があった。
「ばかもの、グラウンドに穴を開けてどうする?後でちゃんと直しておけよ」
「うう・・・すみません」
「全く、私とブルーストが教えた事をちゃんと覚えていないからこうなるのだ」
と言いつつ、一夏を助けるために穴のへ降りていく箒。
「ああ、ブルースト、穴を埋めるのをを手伝ってやれ。同じ男子だろう?」
と千冬が意地の悪い笑顔を浮かべる。
「なんで俺が!・・・分かりました」
一瞬、二人きりの時の口調になりかけたが、途中で気づき、
「(くそっ!これだから女って奴は)」
とクロウは心の中で毒づく。
〜授業後〜
二人はグラウンドの土を埋めていた。
「悪いな、クロウ。手伝わせちまって」
「気にすんな。貧乏くじは慣れてる・・・」
「???・・・そ、そうか。でも最近千冬姉何か変なんだよな」
「そうなのか?」
「ああ、妙に上機嫌と言うか。さっきもだけど特にクロウと話している時は珍しく、嬉しそうな顔をしてるぞ?」
「俺には全くわからないな。さすが弟、よく見ているな」
そこまで会話すると、二人は黙り、補修作業に集中し始めた。
「(全く気付かなかったぜ。俺織斑に何かしたっけな?)」
約一時間後、作業は終わり、二人は授業に戻った。
〜夜・食堂〜
「「「織斑君、クラス代表就任おめでと〜!」」」
パンパンパ〜ン!!!
女子生徒が祝いの声を上げ、クラッカーが鳴り、紙吹雪が舞い散る。その中心には訳が分からない、といった顔で佇む一夏の姿があった。
「なんで俺がクラス代表なんだ?」
「それは私が代表を辞退したからですわ」
とセシリアが前に出て一夏の疑問について説明する。
「まあ、勝負は私の勝ちでしたがそれは考えてみれば当たり前の事。私も大人げなかったと反省しまして。それで一夏さんにクラス代表を譲ったと言うわけですわ」
「あれ?じゃあ何でクロウが代表じゃないんだ?」
何の気なしに一夏かそんな台詞を吐くと、一同
「「「はぁぁ〜〜〜〜」」」
とため息をついた。
「?なんか俺おかしい事言ったか?」
すると壁に寄りかかり、人の輪から離れているクロウが説明する。
「なあ、一夏。元々俺とオルコットの決闘の理由って何だった?」
「それは・・・。あ、そうか!」
「そう、俺とオルコットが決闘した理由はあいつのプライドの問題。俺はそもそも候補に入ってすらいないんだよ」
クロウと一夏の会話が終わると
「セシリア、分かってるぅ〜」
「せっかくの男子なんだから持ち上げないとね〜」
と女子が再び騒ぎだし、何故かセシリアがクロウの方へ近づいてきた。
「(何でこっちに来る?)よお、意外と優しいんだな。一夏に代表を譲るなんて」
「き、貴族としての器の広さを見せたに過ぎませんわ。それよりもクロウさん」
「ちょ、ちょっと待てオルコット。その「クロウさん」って言うのは何だ?それにさっき、一夏の事「一夏さん」って」
クロウは昼間の違和感の正体に気がついた。二人の呼び名がいつの間にか変わっていたのだ。
「あら、クラスのお友達の呼び方としては当たり前ではありませんか?それよりクロウさんにも私の事を「セシリア」と呼んでいただけると嬉しいのですが」
「(お友達ってなんだよ!)ま、前にも言っただろ。俺は女嫌いなんだよ」
「あら、女性が苦手であっても人そのものが苦手という訳ではないのでしょう?」
「ぐ・・・」
「さあ、呼んでみてくださいな?」
「わ、分かった。セシリア」
その言葉を聞くと、セシリアは顔を赤らめ、妙に嬉しそうにしていた。その時人の輪の方向から
「は〜い、新聞部で〜す。織斑君、少しインタビューいいかな?」
「ああ、いいぜ」
その様な言葉が聞こえた後、質問が始まった様だ。二三分過ぎて、フラッシュの光が瞬くと、人垣を押しのけ、新聞部と思しき女子生徒がクロウの方へと歩いてきた。
「おっと、君はクロウ・ブルースト君だね?君にも質問があるんだけどいいかな?」
「・・・ああ、いいぜ」
クロウは先程のやりとりで神経をすり減らしており、なかば投げやりな状態で返事をした。
「なんだか妙に元気が無いね、まあいいや!じゃあまず好きな物と嫌いな物を教えてくれない?」
「好きな物は金、嫌いな物は借金と女だ」
「んん〜?中々面白いコメントだね(捏造のしがいがあるわ)。何か君はさっきの会話からしても織斑君の兄みたいだね。出来の悪い弟を支える兄っていうか。特訓も一緒にやっているんでしょ?」
「ああ、確かにやっているな。もういいか?」
「ああ、ちょっと写真撮らせてくれない?ちょうどいいからオルコットさんも一緒に」
と女子生徒が言うとセシリアは素早く反応し
「!そっ、その写真はもらえますの!?」
セシリアの豹変ぶりに若干押されながら、女子生徒は返答する。
「う、うん。あとで送ってあげるよ。じゃあ二人とも、撮るから並んでくれる?」
その言葉を聞くないなや、セシリアは素早くクロウの隣に立った。
「・・なあ、少し近すぎやしないか?」
「いいえ!二人同時に映るにはこの方がよろしいかと!!」
「はい、チーズ」
パシャ!
フラッシュが焚かれ、撮影が終わった。
「二人とも協力ありがとね〜。あ、あとブルースト君に聞きたいんだけど、貴方の部屋に織斑先生が出入りしているっていう噂があるんだけど本当?」
「「「「!!!!」」」」
その言葉を聞いた全員が固まった。一番早く復活したのは一夏だった。
「クロウ、本当なのか?」
「そ、そんな訳ないだろ!!そもそも俺は女嫌いだぞ!そんな噂嘘に決まっているだろうが!!」
とクロウが必死に弁明すると、
「そうよね」
「千冬姉さまがあんな男と一緒にいる訳ないものね」
と静かになっていった。ふと殺気を感じたので隣を見てみると
「そう、ライバルは織斑先生ですの・・・」
「お、おーい?セシリア?何か言ったか?」
とクロウが呼びかけると
「・・・ハッ!い、いえ。何も言っていませんわ!そ、それではまた明日!!」
と言い残すとセシリアは駆け出してどこかに行ってしまった。
「(さて、俺も部屋に戻るかな・・・)」
そう考えつつ、クロウはパーティー会場から静かに抜け出した。
説明 | ||
第十一話です。 あまりにも投稿しづらいので、マルチ投稿を模索中な今日このごろ。 もしかしたらそっちがメインになるかも・・・。 |
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