IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜第十二話 〜セカンド幼馴染の転入〜 |
〜翌日・((SHR|ショートホームルーム))前〜
クロウが教室にたどりつき席に座ると、近づいてくるセシリアの姿があった。
「クロウさん、先日はすみませんでした」
「ん?何がだ?」
「あの、ご友人のことを侮辱してしまって・・・」
「ああ、あいつらの事か。いいさ、セシリアが分かってくれたのならな」
「でも私は! 「ストップだセシリア。一回謝れば十分だ。俺も何度も謝ってもらおうとは思ってはいない。」・・・分かりましたわ。その代わり」
「な、何だ?」
「そのクロウさんがいた部隊の仲間について教えてもらえませんか?」
「え、えーと(まずい、まだあいつらの事を話すわけには!)」
クロウがこの場をどうやって乗り切ろうかと考えていると
「ビッグニュース!ビッグニュース!」
と女子生徒が教室に駆け込んできた。
「どうしたの、そんな慌てて」
「隣のクラスに転入生だって。しかも中国の代表候補生!!」
その言葉を聞いた途端、クラスにざわざわという声が響き渡る。
「なあ、セシリア。このタイミングでの転入生ってそんなに珍しいのか?」
「ええ、それに代表候補生がこの時期に転入してくるなんて普通ではありませんわ。まあ、きっと私の存在をいまさらながらに危ぶんでの転入でしょう!」
とセシリアが自分の世界に浸っている。
「中国か。あいつ今頃どうしてるかなぁ〜」
「ん?一夏お前、中国に知り合いでもいるのか?」
「ああ、小学校五年生の時に同じクラスだったんだ。まあ、箒がファースト幼馴染だとしたらそいつはセカンド幼馴染って所だな」
「な、何一夏!それは初耳だぞ、詳しく話せ!!」
箒が一夏に詰め寄ると、教室の扉が勢い良く開き、
「一夏、いる!?」
と小柄な少女が教室に入ってきた。彼女は髪をツインテールに纏め、制服を肩が出るようにいじっている。
「鈴?・・・お前本当に鈴か!?」
「久しぶりね、一夏!!」
「なあ一夏、この妙にテンションの高い女はだれだ?」
「失礼ね、あんたこそ誰よ!」
「ああ、こいつはクロウ・ブルースト。俺の友達だ。クロウ、こいつがさっき言っていた鳳 鈴音だ。」
「ああ、こいつがセカンド幼馴染か」
「セカンド?じゃあファーストは誰よ?」
その言葉の後、箒が一夏と鈴の間に立ち、
「私だ」
と静かに言った。
「ああ紹介するよ、鈴。こいつは篠ノ之 箒。俺の幼馴染だ」
「そしてわたしはセシリア・オルコット。イギリスの 「ああ、あんたはどうでもいいわ。聞いていないから」・・・。」
「お、お〜いセシリア?帰ってこい」
セシリアはフリーズしてしまい、クロウの声も届かない状態だった。その時、教室の扉が再び開き、鈴の頭に拳骨が降ってきた。
「痛〜。いきなりなにすん・・・の」
そこには出席簿を片手に仁王立ちしている織斑 千冬がいた。
「げ・・・。千冬さん」
「もう((SHR|ショートホームルーム))の時間だぞ。さっさと自分のクラスに戻れ。それと私の事は織斑先生と呼ばんか」
「は、はい。一夏、またあとでね!」
そう言い残すと、脱兎のごとく駈け出して行った。
「なんか・・・騒がしそうな奴がきたな」
「まあな。でも面白くていい奴だぜ。あいつが代表候補生か・・・」
「ほら馬鹿ども、((SHR|ショートホームルーム))を始めるぞ。席に付け」
その声に従い生徒全員が席に着いたあと、((SHR|ショートホームルーム))が始まった。
〜昼休み・食堂〜
昼休みに一夏の幼馴染であるという鈴の誘いを受け、一同は一緒に食堂で昼食を取ることとなった。
「しっかし驚いたぞ、鈴。お前が二組の転入生とはな〜。連絡くれればよかったのに」
「そんな事したら、劇的な再会が台無しになっちゃうでしょう?」
他愛のないことを話しながら、席を見つけ、全員で座る。
「さて一夏、その子の事を詳しく説明してもらおうか?しかも代表候補生なんだって?」
「そ、そうだぞ一夏。ブルーストの言うとおりだ。詳しく説明してもらおう」
「そうは言ってもなあ、特に話す事はないぞ?小学校5年の時、箒と入れ違いで入学してきて知り合って、それから中学二年の時までよく俺の友達と鈴と俺の三人で遊んでいたっていうだけで」
「あ、あんたねえ!もうちょっと説明の仕方ってもんがあるでしょうが!」
と鈴が食いつく。
「ははーん、こいつは・・・」
「何かわかりましたの?クロウさん」
「ん、まあ見てろって」
とクロウが意味ありげに言葉を返すといきなり何の脈絡も無く
「で一夏、その子とはどういう関係だ?」
とクロウが質問すると、
「べ、別に一夏とはどういう関係って訳じゃ 「そうだぞクロウ。鈴はただの幼馴染だよ」 ・・・」
と一夏が普通に返すのに対し、鈴はムッとしたように一夏を睨みつける。
「(こいつはやっぱり)ニヤニヤ 分かったか?セシリア」
「は、はい」
セシリアも理解したようで、肯定の言葉を返す。すると鈴が何故かクロウに怒りの矛先を向け、詰問する。
「大体あんた一体誰なの?一夏の兄貴みたいな顔しちゃってさ!」
「ああ、言われてみると確かにクロウには兄貴って言葉が似合うよな 「えっ!?」 」
「うむ。出会って間もないが、面倒見も悪くないという印象がある」
「そ、それに大人の魅力と言うものが・・・」
「教室でも言ったと思うが改めて。クロウ・ブルーストだ、嫌いなものは借金と女」
クロウは最後の意見は聞かなかった事に決め込んだらしく、見事にスルーした。
「篠ノ之 箒だ。よろしく頼む」
そしてセシリアがいきなり立ち上がり、名乗りを上げる。
「私がセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生ですわ!」
と今回は満足したようで、妙に納得した顔をしながら席に着く。
「そう、まあいいわ。それより一夏、あんたクラス代表になったんだって?私がISの練習見てあげようか?」
「ああ、ごめんな。放課後はみんなでクロウに特訓してもらってるんだよ」
「そういう事だ、鳳。なんならお前も一緒にやるか?」
クロウが鈴に勧めると、
「い、いらないわよ。私に特訓なんて!」
と強がりを見せる鈴。
「(意地張っちゃってまあ、若いねえ〜)まあ、お前がいいならそれでいいさ」
その時、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
「おいみんな、急ぐぞ」
「ああ、じゃあまたな、鈴。特訓受けたくなったらいつでも言ってくれ」
そう言い残すと、一夏を含めた一組の面々は昼食の載ったトレーを持ち、席を立つ。
「ええ、また放課後に会いに行くからね!」
鈴も席を立ち、食堂を後にする。
「一夏、それにしてもお前、鈍いな」
「?何の事だ?クロウ」
「・・・」
最初からある程度気づいていたが、クロウは再認識した。
「(こいつ、本当に鈍いな・・・)」
そんな事を考えている間に一同は教室に到着し、午後の授業が始まる。
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第十二話です。 | ||
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