IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜 第十三話 〜嵐の前の静けさ〜 |
〜放課後・アリーナ内〜
クロウ達一行はISを装備し、アリーナ内にいた。もはや習慣となっている特訓をするためである。こころなしかクロウの顔は優れない。箒は量産型IS「((打鉄|うちがね))」を装備している。
「さて、今日もトレーニングを始める。しかしその前に今日は特別コーチをお呼びした」
その言葉を聞いて全員が怪訝な顔をする。代表して一夏が口を開いた。
「特別コーチ?誰だ、クロウ?」
「言うより見たほうが早いだろ、お願いします」
クロウがアリーナの出入口の方へ声をかけると、そこからは意外な人物が。
「ち、千冬姉!?」
「いつもだったら説教をくれてやるのだが、放課後だから許してやろう」
そこには量産型IS、ラファール・リヴァイヴに身を包んだ織斑 千冬の姿があった。
「今日は私がお前らの訓練を監督する。ブルースト、なんだその顔は」
「・・・いいえ、何でもないです」
「まあ、お前の顔なんぞどうでもいい。今日の訓練のプランを言え」
クロウは一夏、箒、セシリアの三人の方を向き、話始める。
「今日は二人ひと組になってトレーニングを行う。まず一対一での試合形式の訓練。その後二人で基礎練習という流れだ。この訓練の目的は」
とスラスラと述べていく。
「まず一夏、お前はISに慣れる事と、近距離戦闘の訓練だ。一対一の後篠ノ之に剣術を教えて貰え。次に篠ノ之、お前は剣術の腕はいいが、まだISには剣の腕を反映しきれていない。その辺を意識して戦って見ろ。お前らは両方近距離型だから相性もいいしな。最後にセシリア、お前はまず短所の改善だ。スナイパーライフルを使用せずに俺と一対一で戦ってもらう。その後長所の強化として狙撃の練習だ。織斑先生は一夏と箒の方に付いて下さい。構いませんか?」
「ああ、分かった、しかしお前の訓練はどうする?」
そんな当たり前の事を千冬が言うと、クロウは千冬にしか聞こえないよう小声で話す。
「(俺の目的は今のところISに慣れるだけだからな。セシリアと一対一をするだけでいいだろう)」
「分かった。」
「じゃあ、始めるぞ!」
その掛け声を皮切りに、アリーナを戦闘音が包んでいった・・・
「よし、今日はここまで!」
「し、死ぬかと思った・・・」
クロウが締めの言葉を発すると同時に、一夏は地面にへたり込む。
「全く、一夏、情けないぞ!これくらいの、訓練で、そこまで、疲れるとは、鍛錬が足りん!」
一夏は地べたに大の字になり、肩で息をしていた。その様にいう箒も一夏と同じ様に肩で息をしているのだが。
「ま、まあお前ら今日は頑張ったよ」
そう、特訓開始から、千冬は監督だけでなく、実際に二人に稽古を付け始めた。その内容はクロウから見ても凄い内容で、よく二人が途中で音を上げなかったもんだ、とさえ思っていた。千冬は特訓の途中で仕事を思い出した、と言って帰ってしまったが。ひと足早く、箒が息を整え、
「一夏、部屋に戻るぞ」
「俺は無理だ。先に帰っててくれ・・・」
「まったく。シャワーは先に使わせてもらうぞ」
「それでは一夏さん、クロウさん、また明日」
そう言うと女子勢が帰っていく。
「ク、クロウも先に戻ってくれていいぜ」
「いや、お前が回復するまで待っててやるよ。こんな所で寝られても困るからな」
「悪いな」
「いいさ、気にすんな」
そう言うと二人は話す事がなくなり、黙り込んでしまう。辺りに響くのは一夏の荒い呼吸だけだった.
少しすると、一夏が思い出した様に
「なあ、クロウ。千冬姉と何かあったのか?」
「何でそんな事聞くんだ?」
「ああ、いや。俺と箒の特訓中に千冬姉がクロウの方を見ていたから」
「何だと、気のせいじゃないのか?」
「いや、気のせいじゃないと思う。何か心当たりでも?」
「いや、全く無い(何回か部屋に来てはいるがそれは違うだろうしな)」
「じゃあいいや、もう戻ろうぜ」
いつの間にか一夏の息は戻っていた。
「ああ」
〜アリーナ・更衣室内〜
クロウと一夏が揃って更衣室に入ると
「一夏、お疲れ様!」
とペットボトル片手に、鈴が待っていた。
「鈴、お前今まで待っててくれてたのか?」
「ま、まあね」
「(若いねえ)一夏、二人で積もる話もあるだろうから俺は先に帰るぜ」
「ああ、じゃあまた明日なクロウ」
そう言い残し、クロウは更衣室を後にしていった。
〜寮・廊下〜
夕食の後、クロウは自分の部屋へと歩きながら今日の特訓を元に今後のプランを考えていた。
「(一夏は意外と筋がいい。このままいけばある程度までは行けるだろう。篠ノ之も剣術の腕がISに反映されてからが本番だ。セシリアは遠距離は高水準だが、近距離がひどい。短所を改善しないことには・・・)」
クロウが考えていると、一夏の部屋から、物音が響いてきた。クロウがドアをノックして
「一夏、いるか?入るぞ」
という言葉の後にドアを開けると
「・・・」
部屋では、箒が振り下ろしている竹刀を、鈴がISの部分展開で受け止めていた。
「おい一夏、これは何だ?」
「ああ、クロウ。これは・・・」
一夏が言葉を紡ごうとすると、鈴がはじかれた様に一夏に問いかける。
「そんなことより!あ、あのさ一夏。さっき言った約束って覚えてる?」
「うーん、あ、あれか?鈴の料理の腕が上がったら毎日酢豚を・・」
その言葉を聞いた途端、鈴の顔が喜びの表情になるが、
「そうそれ!!」
「奢ってくれるってやつか?」
「・・・はい??」
「(おい、一夏。それは・・・)」
続く言葉を聞いた瞬間、鈴の顔は落胆したものに変わっていた。
「だから、俺に毎日飯をごちそうしてくれるって約束だろ?いやー一人暮らしの身にはありがた」
バシッ!
一夏がその言葉の先を言うことはなかった。なぜなら一夏は鈴に頬を張られていたからである。
「サイッテー!女の子との約束をちゃんと覚えていないなんて、男の風上にも置けない奴!犬に噛まれて死ね!」
「何で怒ってるんだよ!ちゃんと覚えてただろうが!」
「(ちがう、違うぞ一夏・・・、意味が違う!)」
クロウは出来の悪い弟を持った兄の様な気持ちになった。
「約束の意味が違うのよ、意味が!」
「じゃあ教えてくれよ、どんな意味があるってんだ!」
その言葉を聞くと、鈴は一転変わってしおらしくなり、
「せ、説明って!そんなこと出来るわけないでしょうが・・・」
とそこまで言うと、二人とも黙ってしまった。その間にクロウは箒の所まで近づき、
「(なあ、篠ノ之、こりゃどうなってるんだ?)」
と小声で質問する。
「(知るか、後で一夏にでも聞け)」
とその間に鈴が何かを決心したように顔を上げ、
「・・・じゃあこうしましょう。来週のクラス対抗戦、勝った方が負けた方に何でも言う事を一つ聞かせられる!」
「おお、いいぜ。俺が勝ったら、説明してもらうからな」
「そっちこそ覚悟してなさいよ!」
その捨て台詞と共に、鈴は部屋を出ていく。扉が締まると箒が一夏に迫る。箒から何か黒いオーラが出ているのは気のせいに違いない・・・。
「一夏・・・」
「お、おう。何だ?」
「馬に蹴られて死ねっ!」
そう言うと箒はベッドに潜り込む。
「一夏・・・」
「そ、そうだクロウ!教えてくれよ、二人とも何であんなに怒ってるんだ?」
「一夏、兄貴分として一つだけ教えてやる」
「うんうん」
「この世には、人に教えてもらうより、自分で気づいた方がいい事ってのがあるんだよ」
「・・・???」
その言葉と共に、クロウも部屋を出ていく。クロウが部屋を出ていく時に見たのは、頭を捻って考えている一夏の姿だった。
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第十三話です。 | ||
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