楽しく逝こうゼ?
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前書き

 

2013、3、30日に修正

 

 

フェイト達が家に食事に来てから数日、あれからはめっきりと会わなくなった俺はいつも通りの日常を過ごしてます。

とりあえず、ちゃんと飯食ってるか心配です……が、たまにマンションを訪ねてみてもタイミングが悪いのか、全然会えねぇんだよなぁ。

まぁそんな感じで会えないなら会えないで仕方ないと思い、俺は普通の生活をエンジョイしまくってたんだ。

今日も今日とていつもの様に家で波紋の練習をしてたんだが、またもやお袋に買出しを頼まれて現在買い物袋片手に帰宅中。

そう、帰宅してたんだ。

が、ふと海沿いの公園にたまに来ている屋台のTA・KO・YA・KIが食べたくなってしまったので俺は進路を海側公園に向けた。

これが中々リーズナブルで味も良いと評判が高いんだよ。

極めつけは焼いてる店主がおっさんとかじゃなく別嬪なお姉さま、性格が姉御肌ってんで人気のお店でもある(男性客の大半は彼女狙い)

 

「うぅ〜ん…あの外はカリッと中はトロ〜リな生地は何使ってんだろ?」

 

ちなみに俺が急に行こうとしたのは、あの生地の材料さえ判れば家でもおいしいTA・KO・YA・KIを作れるという考えが浮かんできたのが真相だったりする。

俺は味の探求と、生地の秘密解明をするのに、wktkしながら胸を躍らせて公園に着いたんだが……。

 

「来てない………だと?」

 

公園にはいつも鉢巻を巻いて仁王立ちしているお姉さんがいなかった。

周りを見渡しても、何時もだらしない顔でたこ焼きを頬張ってるオッサンも、人っ子一人いない。

恐らく今日は休みなのか、もしくは別の場所に行っちまったんだろう。

なんせ色んな場所に現われる神出鬼没な屋台だし。

 

「oh〜ジーザス!!……しゃあねえ、帰んべ」

 

屋台が無い以上ここにいても仕方ないので無駄足を踏んだことに落ち込みながら公園の出口へ踵を返すと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海側からどでかい竜巻が7本上がっていたが、俺は何だ竜巻か、と何時もの如くスルーしていく。

まぁ、海鳴ではよくある事なので気にしな……い?……TA・TU・MA・KI・?TA・KO・YA・KI・じゃなくて?

 

 

 

 

 

 

ゑ?

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁああ!!!!?」

 

俺はもう一度海側に目を向けて、普通にシャウトしてしまった。

な、なんだありゃ!?まさか原作イベントか!?

いくらなんでも自然現象の竜巻って言葉で片付けるにゃ無理がありすぎる大きさだ。

しかも7本同時なんて絶対にあり得んッ!!

 

「と、とにかく確認してみねえとッ!!『クレイジーダイヤモンド』ッ!!」

 

俺は急いで『クレイジーダイヤモンド』を呼び出し、視力を拡大しながら共有して竜巻の様子を見てみる。

『クレイジーダイヤモンド』の目は双眼鏡の倍率の比じゃねぇから数キロ先だろうがクッキリハッキリと見える。

 

カチッカチッカチッ

 

大体ではあるが感覚的に視力を3倍くらいまで上げると、竜巻の周辺がはっきり見えてきた。

いや……見えてきたのはいいんだけどよ。

 

「……何じゃありゃあ……」

 

拡大した先に見えた光景に固まるしかなかったです。はい。

そこには襲い来る竜巻に弄ばれているフェイトがいた。

アルフもいるがアルフも同じ様に襲いかかってくる竜巻に吹き飛ばされている。

 

 

 

 

 

ゑ?(二度目)

 

 

 

 

 

「……fuck!!あんなモンに二人で喧嘩売る奴があるか!!」

 

二人の余りの無謀さに思わず悪態が出てきちまった。

竜巻は二人の力を上回ってるようで、フェイトもアルフも完全に良いように弄ばれていた。

しかし、そこに新たな影が2つほど来て二人に合流してきたではないか。

1人は初めて見る茶色の民族衣装を着た少年、そしてもう1人は……アラやだ、魔砲少女(笑)だ。

増援みてぇだが、彼等もフェイト達と同じ様に梃子摺っている。

あぁっ!?民族衣装の少年が捕まった!?クソ!!

視界の先で戦っている4人の内、民族衣装の様な格好の少年が竜巻の中に引き込まれちまった。

俺も向かいたいが、向こうは海の上……俺じゃあ飛べねぇから逆に足手まといになっちまう………ここで指咥えて見るしかできねぇのか?

 

「畜生!!せめて『足場』に使えるモンがありゃ……ん?」

 

俺は辺りを見渡して何か使えるもんがねえか探してたんだが、ふと、自分の手元を見てみると……。

 

「…………」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………

 

「こ、これしかねぇ!!」

 

灯台元暗しってのはこのことで俺が向こうに行く手段は他ならぬ俺の手元にあった。

俺は急いでスーパーの袋から『ソイツ』を取り出して片手に持ち、竜巻の踊る方角を睨む。

待ってろよ、フェイト!アルフ!今行くからなぁ!!

 

「コォォォォォォ……波紋を練る!!いっちょ行くか!!『クレイジーダイヤモンド』!!!」

 

体内で波紋を練り上げながら、俺は『クレイジーダイヤモンド』の脚力で弾き飛んで海の向こうを目指す。

頼むから俺が行くまで持ち堪えてくれよ。

俺は心中で神様に祈りながら、向こうで戦ってる4人を助けに向かう。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「邪魔を……するなぁ!!」

 

アルフは襲いかかってくる水の戒めを壊してさっき現われた白い魔導師の子に攻撃しようとした。

白い魔導師の子はいきなり向かってきたアルフにオロオロしていたけど、彼女とアルフの間にもう1人の男の子が入ってシールドを張る。

そのまま男の子はシールドを張りながらアルフに向かって叫んだ。

 

「ち、違う!!僕たちは戦いに来たんじゃない!!早くジュエルシードを止めないと融合して手のつけられないことになる!!だから加勢に来たんだ!!」

 

「なっ!?」

 

彼の言葉にアルフと私は少し混乱するが、竜巻は私達の事なんてお構い無しに、無防備なアルフに襲ってきた。

でも男の子はその言葉通り、アルフの後ろから迫っていた水の鞭を竜巻ごとチェーンバインドで縛ってアルフを守る。

その空いた空間を縫って白い魔導師の子が私の近くまで飛んできた。

 

「フェイトちゃん!手伝って!ジュエルシードを止めよう!」

 

彼女は困惑する私に構わずに、自分のデバイスをバルディッシュに向かい合わせて……。

 

『power charge』

 

『trasferencia completade』

 

彼女のデバイス……レイジングハートから桃色の魔力がバルディッシュを伝わって私に流れ込んでくる。

彼女は自分の魔力を、消耗した私に分けてくれたんだ。

 

「えへへ…2人できっちり半分こ」

 

私と彼女は頷きあって竜巻を見据える。

飛び交っている水の鞭の隙を伺っていると男の子とアルフがバインドで竜巻と鞭を縛るのを手伝ってくれた。

 

「ユーノくんとアルフさんが止めてくれている今のうちに!!2人でせーので一気に封印!!」

 

彼女はそう言って砲撃のチャージを始めた。

確かにあれは私1人の手には負えない……今だけでも協力しなくちゃ。

考えを纏めた私もバルディッシュに魔力を送り込んで、急いで砲撃の準備に入る。

 

「ディバインバスター、フルパワー。いけるね?」

 

『all right. my master』

 

ミチミチ……ブチィィイイイッ!!!

 

「うあっ!?」

 

「くうっ!?」

 

でも、彼女と私が砲撃をしようと構えた瞬間、男の子とアルフのバインドが千切れてしまった。

二つのチェーンバインドの戒めが解けた竜巻は勢いを取り戻して7本の竜巻すべてが一箇所に集まって行く。

集まって?……まさかッ!?

最悪の予感が頭を過ぎったが、その時にはもう遅すぎた。

 

「あぁ?!」

 

「しまった!!」

 

戒めが解けた7つのジュエルシードは、融合して巨大な竜巻になってしまった。

竜巻はいくつもの水を纏った鞭を持ってうねっている。

再びユーノとアルフがバインドをしたがすぐに千切れてしまう……さっきよりも力が跳ね上がっている。

 

「このままじゃヤバイ!!」

 

「どうするさね!?」

 

「い、急いで封印しなきゃ!!」

 

私の隣に居た彼女がレイジングハートを竜巻に向けると危険を感じたのか、水を纏った鞭が私たちを襲う。

私たちは全員バラバラに散って、捉えようとしてくる水の鞭から逃げるように飛び回る。

だが、水の鞭はもの凄い勢いで暴れていて、とてもじゃないけど砲撃を撃つ隙が無かった。

 

「こ、これじゃあ、打てないよ!?」

 

彼女が何とかしてデバイスを竜巻に向けようとしている傍で、男の子に向かって水の鞭が3本飛来した。

それを察知した男の子は3本の水の鞭に対して咄嗟にシールドを張って鞭を防ぐ。

 

「っく!?(パリィィイインッ!!)うわあぁぁぁ!?」

 

しかし、あっけなくシールドが割れて、シールドが無くなった男の子は鞭に絡めとられて竜巻の中へ引き込まれていく。

そのまま竜巻の中心部の中に捕らわれてしまった。

 

「ユーノくん!?」

 

魔導師の子が切迫した表情で男の子のもとに向かおうとした時、その隙をついて後ろから鞭が襲ってきた。

 

「あぶない!!」

 

「えっ!?きゃあぁあああああああ!!?」

 

私は叫んだけど、彼女は振り向いたと同時に鞭の直撃を受けて、さっきの男の子と同じ様に水の中に捕らわれてしまう。

 

「こんんのおぉぉぉぉぉ!!」

 

激昂したアルフが水の鞭に魔力を纏った拳をぶつけると、その衝撃で水は弾け、鞭は消えた。

 

「どんなもんだい!!」

 

アルフはそう言って竜巻から離れようとしたけど、海の中からまた水の鞭が現われてアルフの後ろから襲いかかる。

ダメ!!また来てる!!

 

「アルフ!!後ろ!!」

 

私の声に反応したアルフだったけど、後ろから襲ってきた鞭には対応できずに捕らえられてしまう。

 

「うわあぁぁぁ!?」

 

アルフも水の中に取り込まれてしまった……私一人じゃどうすることもできない。

 

「くっ!!このままじゃ!!…」

 

「失礼!時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!」

 

すると、焦る私の前に執務官を名乗る管理局の男の子が現れた。

 

「あなたは…」

 

「事情は後だ!!あれを止めるぞ!!」

 

「でも、どうやって?…」

 

まるで嵐の様に水の鞭を振り回す竜巻に注意しながら私は彼に問い掛ける。

でも、彼は歯噛みする様に唸り声を上げるだけだった。

私達2人じゃ、有効な打開策は無いのは明白だ。

 

「……とりあえず彼女らを救い出す。力を貸してくれ!!」

 

管理局の男の子……クロノが私に頼んでくる。

確かに私達だけでは手に負えない。

まずは皆を助けないと!!

 

「うん。あれの封印は……あの子と一緒じゃないとできない」

 

7つ分のジュエルシードのパワーには私一人では太刀打ちできない。

クロノと私は着かず離れずの距離を保ちながら、竜巻に向かって飛ぶ。

 

『フォトン・ランサー』

 

竜巻に向けて魔力弾を放つが竜巻はバリアを張って防いでしまう。

マズイ!?さっきよりもドンドン力が上がってる!!

 

「くっ、バリアを張れるのか!?だったら!!」

 

クロノが集中してたくさんの魔力刃を生み出す。

彼が魔力刃を生成している間、私は彼に迫る水の鞭をフォトンランサーで何とか迎撃していた。

急いで!!

 

「……ぶちぬけ!!スティンガーブレイド!!」

 

そして、彼の合図で大量に生み出された魔力刃が一斉に竜巻を攻撃した。

飛来した魔力刃のいくつかはバリアを貫いてなのはたちを捕えている水に届く。

だけど、ダメだ。

彼女達を救い出すにはパワーが足りず、傷を作った程度だった。

再生しない事だけが、この場で唯一の救いだった。

 

「くっ!ここまで強力とは!!」

 

『plasma smasher』

 

「プラズマ・スラッシャー!!」

 

私も砲撃を放ったけど、バリアで防がれてしまう。

私の砲撃でもそう簡単には突破できない!!

そして遂に砲撃を放った反動で動けない隙をついて鞭が私を襲ってきた。

 

「危ない!!」

 

咄嗟にクロノが私を庇ってシールドを張ってくれたけど、シールドは突破されクロノも捕まってしまった。

 

「ああぁ…」

 

あとは私しか残っていない………ひとりではどうにもできない……もう駄目だ……。

 

 

 

フェイトの心と戦意は折れかけ、その隙をついた鞭が獲物を捕らえんと飛来していく。

傍に味方が居ない状況に追い込まれたフェイトは………それをぼぉっと見つめる事しかできなかった。

なぜかこの時フェイトの心には数日前に自分を助け、自分の怪我を治してくれた不思議な少年の事が浮かんできていた。

自分の食生活を心配して、暖かい、美味しいご飯を振舞ってくれた少年が……彼がまた助けてくれるんじゃないか?

そんなありもしない都合の良い幻想が頭に……心に浮かんでくる。

自分のピンチに颯爽と駆けつけるヒーローの様に………そんな小さな希望がフェイトの口を無意識に動かしていた。

 

 

 

 

 

「………助けて…………ゼン……」

 

だが、呟いた言葉に返事は無く水の鞭は無常にもフェイトに襲い掛かる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワインでやれないのが残念無念!!波紋カッター!!!」

 

ヒュイィィィイン!!!

スパパァッ!!!

 

だが当たるはずの鞭は突如響いた声と共に無数に切り裂かれ、海に落ちていった。

 

「………………え?」

 

目の前で起きた出来事に私は思考が着いてこなかった。

私に迫っていた無数の鞭はいきなり飛んできた青と緑が混ざった綺麗な光を纏う薄い円盤に切り落とされて力を失っていく。

……一体誰があれを?

 

「……やれやれ……どうにか間に合ったぜぃ……」

 

突然、私の後ろからほっとするような声が響いてくる。

その声の主を私は知っている。

でも、ここは海の上で彼は来れないはず。

有り得ないと思いながらも心の片隅で淡い期待を抱いて私はゆっくりと後ろを振り向く。

 

「……ゼ……ン?」

 

振り向いた先には……彼がいた……来てくれたんだ……こんな海の上まで……。

心に思い描いた彼が……私のピンチに颯爽と駆けつけてくれる『ヒーロー』が……。

すごく嬉しい気持ちとなんでという困惑の気持ちが混ざって心に溢れてくる。

なんて言葉をかけたらいいか解らなくて喋れないでいると彼のほうから声を掛けてくれた。

 

「よぉ、海水浴にしちゃあちと季節外れすぎねえか、ベイビー?」

 

そこには最初に会った時と同じ様に獰猛な笑みを浮かべて『優しい巨人』……『クレイジーダイヤモンド』を従えたゼンが立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キャベツ』を片手にもって………………………………え?

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

ふぅう!!焦った!!間に合ってよかったぜ!!

俺はお袋から頼まれた食材。『キャベツ』を持って安堵してる。

そう、ココまでのルートに『波紋を流し込んだキャベツ』を足場にして『クレイジーダイヤモンド』で飛びながら来たんだが着いてみるとフェイト以外は水の牢屋みてえなとこに捕まっちまってた。

一人だけ残ってたフェイトも水の鞭でやられそうだったので、咄嗟に『波紋』を流した『キャベツ』の葉を回転させ『クレイジーダイヤモンド』に投げさせて迎撃した。

超高速で回転し、波紋で強度を増したキャベツの葉はどっかのプレデターが使う手裏剣みてえな音を出しながら飛来。

水の鞭をたやすく切り裂いてそのまま明後日の方向に飛んでいった。

まぁ、『クレイジーダイヤモンド』のパワーで投げたら、どんなモンでも殺人的な威力になるわな…そこに波紋の力も加わるし……『クレイジーダイヤモンド』さんパネェッス!!

 

「な、なんでここにいるの……?」

 

そんなことを考えていたらフェイトが戸惑い気味に話しかけてきた。

いやいや、なんでも何もあるかよ。

 

「ん?あっちの公園からフェイトが戦ってんの見えてな……危なそうだったから助けに来たぜぃ」

 

「わ、わたしのために?…………来てくれたの?」

 

「んぁ?友達があぶねぇ目に遭ってたら普通助けんだろ?」

 

「えっ!?……トモ………ダチ……?」

 

いくら平穏に暮らしたいっつってもさすがにダチが危ねえ目に遭ってんのに見過ごすほど外道じゃございませんって。

だが、俺の言葉はフェイトからすりゃ予想外だったのか、驚いてるっつーか、困惑してるみてぇだ。

 

「ほ、ほんと?……私は……あなたの……ゼンの友達?」

 

フェイトは俯きながら、俺にか細い声で呟く様に聞いてきた。

なんでそんなに自信無さげに聞いてくんだよ?

 

「あ?当たり前だろぉが!同じ釜の飯食ったらダチ!全世界の共通認識だぞ!!」

 

俺はしっかりと腹に力を込めてフェイトに堂々と答えた。

ここテストに出るからね〜しっかりノート取れよ〜。

俺は胸張っていえるぜ!!

お前は俺の大切な友達だと!!

 

「それとも、なんだ、その……迷惑だったか?」

 

俺は頭を掻きながらそっぽを見てフェイトに聞き返す。

もしコレで「迷惑」なんて言われた日にゃ泣いちまうぜ。

 

「ッ!?違うッ!!!迷惑なんかじゃないよ!!!」

 

だが、フェイトは声を張り上げて俺の言葉を否定してくれた。

そのままハッとした顔になったかと思うと恥ずかしそうに、上目遣いで俺を見てくる。

 

「ゼン……あ、ありが…とう……助けに、来てくれて」

 

…………フェイトは顔を赤らめ、最後は呟くように言った。

ちくせう、可愛いぜ。

最初の大声にゃちとビビッたが、ダチと思われてんのはよかったぜ。

 

「へへっ!!いいってことよ!!それより、あいつら助けんぞ!!」

 

俺は水の牢屋みたいな中に入っているアルフ達を指差して言う。

正直、俺一人増えた所で戦況は不利なまんまだしな。

あいつ等もあん中にいて大丈夫なんて保証はどこにもねえ、っていうか空気ねえだろ。

 

「でも……鞭がたくさんあって簡単には……」

 

フェイトの言うとおり、あいつ等が捕まってる水の牢屋の周りには水の鞭が侵入者を撃退せんとばかりに暴れまわってる。

さっきまで苦戦してたからフェイトは苦い顔をしてるな……まぁやってみるしかねえだろ。

 

「とりあえず俺がブッ込むから、フェイトは俺に向かう鞭を打ち落としてくれ…………キャベツも残り少ないし(ボソッ)」

 

段々と白い芯が見えてきております。

足場が無くなる前にケリつけねえと俺が季節外れの海水浴になっちまうぜ。

 

「うん、わかっt……?ゼン、最後が聞こえなかったんだけど?」

 

…あ〜不安にさせちまったか?

 

「大丈夫だ。問題ない(キリッ)」

 

俺は不安がるフェイトを安心させようとキメ顔で言ってみる。

何してんだ?俺?キメェな。

 

「ッ!?わ、わかった……ゼンを……信じる」

 

納得してくれたか……若干頬が赤いけど、風邪か?…………ハッ!?

まさか偏った食生活が!?

いかんッ!!いかんぞぉ!!

直ぐにコイツをぶちのめして栄養満点の食事を作らねば!!

 

「よぉぉしッ!!イクとすっかね!!サポート頼むぜ、フェイト!!」

 

「うん!!」

 

覚悟しやがれ水の化けモン!!wryyyyyyyyyy!!!!

俺は『クレイジーダイヤモンド』の脚力で真っ直ぐ跳び、着地地点にキャベツを波紋を流して投げ『足場』にしていく。

勿論そんな俺を水の鞭が見逃す筈も無く、奴等はあっちこっちから襲いかかってきた。

俺は正面から飛来してくる水の鞭に備えて、手に持つキャベツの葉に波紋を流し込んで強化する。

 

「俺の持つ((ガイア|地球))の恵みにゃご注意を!!ってな!!良く切れますん……でぃ!!(ズバァッ!!)ハッハァッ!!キャベツだって調理される立場じゃ終わらんのだよぉぉおお!!(ズババァッ!!!)」

 

「(ゼンは、私の為に助けに来てくれたんだ……だから……ゼンは、絶対に守る!!)フォトン・ランサー!!!」

 

水の牢屋まで行く道中、狙ってきた鞭は手に持ったキャベツの葉に波紋を流して切り裂くかフェイトが悉く落としてくれているので問題なく進めた。

鞭をかいくぐりながら牢屋に向かい到着して直ぐに、俺は波紋カッターで水を切り裂いて中の奴等を助け出す。

 

「おい!!テメェら大丈夫か!?」

 

水の中から四人を引っ張り出して声を掛ける。

最初は水を飲んだせいか、ゴホゴホと咽ていたけど、直ぐに俺の方に向き直ってきた。

 

「ゴホッ……き、君は?」

 

俺の声に反応した黒いマントを羽織った奴が聞き返してくる。

とりあえず説明は後回しにと言おうとしたら……

 

「にゃぁ!?あのときの人なの!?」

 

「な、なんでここに!?」

 

訂正。一気に3人から話しかけられたッス。

そのままマシンガンの如く質問が出てくるじゃねえか。

 

「ダァーーー!!質問多すぎだコノヤロォ共!!とにも角煮も一旦離れるぞ!!」

 

3人からいっぺんに聞かれても答えれるかボケエッ!!

俺は聖徳太子じゃねえっつのッ!!

 

「ゼン!!助けに来てくれたのかい!?」

 

余りの質問の多さに頭がパンクしそうになってるとアルフが嬉しそうに俺の傍に寄って来た。

嬉しさと比例して尻尾もブンブン揺れてらぁ。

 

「まぁな!!とにかくフェイトんとこまで戻るぞアルフ!!」

 

「あいよ!!」

 

ここでいつまでもぐずぐずしてらんねえしな。

つうか、あいつ等なんで俺を見てポカンとしてんだ?

 

「お前らも早く来いよ!!」

 

そう言って俺とアルフは一足先にフェイトの元に戻る…………俺は行きがけに作った足場に乗って…

 

(((なんで片手にキャベツ!?なんでキャベツが宙に浮いてるの!?)))

 

竜巻から離れながらも3人の思考はゼンのキャベツに向いていた……。

 

「アルフ!!ゼン!!」

 

全員で竜巻から離れるとフェイトが俺達のもとに飛んできた

その顔はほっとした安心感と無事に戻って来た嬉しさで良い笑顔になってる。

うんうん、女の子の心からのスマイルってのは何時の時代も良いもんだぜ。。

 

「フェイト!!よかった。無事だね!!」

 

アルフはそう言ってフェイトに笑いかける。

フェイトもそれを受けて笑い返していた。

和やかなとこ申し訳ねえけど、ちゃっちゃと面倒ごと片付けましょうや。

 

「とりあえず、さっさとあの化けモンぶっ潰すぞ!!」

 

「で、でもどうやって!?」

 

魔砲少女(笑)が聞いてくるが、一応手はあるんだわ。

 

「俺があの水の鞭を引きうけちゃる。その隙にお前らで封印してくれ」

 

「そ、そんな!?1人じゃ無茶だよゼン!!」

 

「そうだよ!!だったら皆で!!」

 

アルフと民族衣装の子が止めてくる。

 

「いや、お前らは2人のサポートをしてくれ。さっきの鎖みたいなやつで補助をしてやんな」

 

俺がフェイト達を引き合いに出してそう言うとアルフは渋々だが引き下がってくれた。

 

「しかし1人では危険だ!?僕も一緒に行こう!!」

 

だが、俺が竜巻に向かおうとすると黒いマントを羽織った奴がそう言ってきた。

確かにこいつがさっき使った攻撃は連携できるかもしれねえ……

 

「ニーチャン、あんた名前は?」

 

まずは第一歩。名前を聞きましょう。

 

「僕はクロノ。クロノ・ハラオウンだ」

 

クロノ、ね……第一印象は堅物そうな奴に見えるんだが……

直感的なんだが、な〜んかコイツとはダチになれそうだな…

 

「OKクロノ、俺はゼンってんだ。とりあえず俺が鞭を迎撃スッから撃ち漏らしたやつを後ろから打ち落としておくれ。この二人の邪魔させんように」

 

フェイトと魔砲少女(笑)を指差してクロノに言う。

 

「だが君一人でできるのか?かなりの数だぞ?」

 

クロノの言いたい事はわかる。

まぁこの場にいる奴等は『クレイジーダイヤモンド』のチートさが判んないんだしな。

 

「まぁ、そこは任せろとしか言えねえ……だが、さっきもお前ら全員で掛かってダメだったんだから……一丁俺に賭けてみねぇか?」

 

俺の言葉に全員が俯く。

さっきまでのことを思い出しているんだろう……いや、クロノは俯かず、顎に手をやって思案している。

 

「………判った。その賭けに乗ろう」

 

皆ビックリしてるが提案した俺も同じだった。

喋り方からして固そうなやつだと思ったんだが……

 

「正直、賭けは嫌いだけど、そうも言ってられる状況じゃないしね……それに、言い出したからには自信があるんだろう?」

 

ニヤリと笑いながらクロノは挑発するように俺に言い放つ。

……ヤッベェ、コイツ良い性格してやがるぜ……俺も口が吊り上っちまうのが抑えらんねえ。

 

「GOOD!!ヤッパそうこなくちゃなぁ!!とりあえず、さっき言った感じで行くぜ!!頼んだぜフェイト達!!」

 

俺とクロノは返事を聞かず、竜巻とフェイト達の中間辺りまで跳んだ。

俺達が近寄ったのを感知したのか、水の鞭は一斉に俺達に向かって襲ってきた。

それを確認した俺は、後ろで何か剣みてえなのを造ってるクロノにニヤリとした笑みを見せ付ける。

 

「んじゃ!!後ろは頼むぜぇクロノ!!……来やがれ!!『クレイジーダイヤモンド』!!!」

 

俺は目の前に飛来する水の鞭をブッ飛ばしてえって気持ちを爆発させる。

すると周囲に低音が鳴り響き、『クレイジーダイヤモンド』が俺の背後から姿を現した。

その姿は威風堂々とし、何者だろーがブッ飛ばす逞しさ、そして俺を守ってくれる安心感を与えてくれる。

やっぱテメエはサイコーにグレートだぜッ!!

 

「なッ!?」

 

ケケケ!!クロノの奴驚いてら(笑)

そうこうしてる内に、竜巻から鞭が迫り来たのでそれを確認したクロノも武器を指揮する様に水の鞭に向かって構えた。

『クレイジーダイヤモンド』は拳を握り締めてファイティングポーズをとり、竜巻を睨み付ける……その顔に気迫を宿して。

俺は依然として、獰猛な笑みを浮かべながら鞭を睨んでいた。

さぁ、『クレイジーダイヤモンド』テーブルマナーのなってねえお客様を歓迎してやろうぜ!!

 

「あいにく、こっから先は一方通行だァ!!!」

 

俺の言葉に引き続いて『クレイジーダイヤモンド』は拳を、腕を残像が残る程のスピードで乱射する。

いらっしゃいませイカ野郎様ご一行ってなぁ!!!

前菜から『クレイジーダイヤモンド』のぶっとびラッシュだッ!!たらふく味わいやがって下さいなぁああッ!!

 

『ドララララララララララララララララララララララララララララララララララララララァッ!!!!!』

 

ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

 

((連打|ラッシュ))!!((連打|ラッシュ))!!((連打|ラッシュ))!!

正面から迫る鞭を片っ端からぶっ飛ばし、パンチの射程距離外のカバーしきれないのはクロノが打ち落とす!!

『クレイジーダイヤモンド』のパンチを受けた水の鞭はその破壊力に耐え切れず霧散していった。

 

 

 

何だ、圧倒的じゃないか、我が軍は!!!

 

 

 

「す、凄い!?……何なんだ、あの不思議な力は!?」

 

「にゃ……すごいの……手がいっぱい出てきてるッ!!!」

 

「『クレイジーダイヤモンド』って……ううん、ゼンが凄いのかな?……カ、カッコイイ……かも」

 

「うひゃー……アタシはあんなパンチ撃てないよ……アレと真正面から殴りあいだけはしたくないね……」

 

一方、フェイト達はみんな『クレイジーダイヤモンド』のチートな力に驚いてる。

それぞれ呆けたり驚愕したり目をキラキラさせたり……何故か顔が赤い御方もおられる。

っていやいやいや、そんなヒマあんなら早く封印してくれ!?

確かに『クレイジーダイヤモンド』に見惚れるのは判るが、寒くて仕方ねえんだよ俺ぁッ!!

 

「うおおおいいいいい!!?さっさと、やっちまえぇ!!」

 

「ご、ごめんなの!!フェイトちゃん!!」

 

「(こく)」

 

「いくよ!!」

 

魔砲少女(笑) とフェイトは頷きあって竜巻にデバイスを向ける。

そのまま強い力が二人の周りを覆い、発射されるのを今か、今かと待ち続けている。

 

「ディバイィィィン!」

 

「サンダァァァー!」

 

二人の掛け声に呼応して溜まっていた力がそれぞれのデバイスから放たれる。

そう、あのごんぶとビームだ。

 

「バスタァァァー!」

 

「レイジィィィ!」

 

二人の馬鹿デケエ砲撃が竜巻に襲い掛かり着弾した瞬間、轟音と強烈な光が鳴り響く。

そして光が収まると竜巻は消えてジュエルシード全てを封印していた。

封印し終わり竜巻も水の鞭も消えて海が穏やかになっていく。

海から光が立ち、ジュエルシードが6個出てきた。

俺は一息ついてそれを上から見ていたんだが、魔砲少女(笑)がフェイトに向き合って話しかけている。

 

「フェイトちゃん」

 

「うん?」

 

「私は……フェイトちゃんと、友達になりたいんだ」

 

魔砲少女(笑) はフェイトに真剣な眼差しを向けて自分の思いを言った。

フェイトはどう答えていいかわからないような顔をしてんなぁ……仕方ねぇ、少し後押ししてやっか…

だが、そんなことを考えてた時、俺の頭上の雲が光った。

なんだ?一体あの雲は?

 

 

 

 

 

そして次の瞬間……。

 

 

 

 

ガシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

 

 

 

フェイトに紫色の雷が降り注いできた。

 

「うわああぁぁぁ!!」

 

「なッ!?フェイトォ!!」

 

その紫の雷はフェイトにブチ当たり、フェイトは痛みで絶叫していた。

って何だってんだよ!?あのままじゃフェイトが死んじまう!!?

 

「フェイトちゃん!?」

 

「フェイトッ!!?くそッ!!」

 

雷の直撃を受けたフェイトは苦悶の声を上げた後、海に向かって落ちていく。

比較的傍に居た俺とアルフは海に落ちる寸前でフェイトを抱いて受け止める事に成功した。

くそ!!何だかしらねぇがフェイトがヤバイ!!

 

「『クレイジーダイヤモンド』!!!」 ドギュウゥゥン!!!

 

俺は『クレイジーダイヤモンド』に命じてフェイトに触れる。

それで身体に刻まれたフェイトの痛ましい傷は治ったが、フェイト雷のショックで気絶していた。

 

 

 

 

 

ゴロゴロ……ガシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

 

 

 

 

そして間髪入れずに二発目が来やがった!!

この雷はフェイトだけを狙っているようで、次に降り注いだ雷は俺とフェイト、そしてアルフまで巻き込もうとしている。

 

「くそったれがぁ!!!」

 

傍に居たアルフを思いっ切り弾き飛ばした俺は、キャベツの葉を全部頭上にばら撒いて波紋を流す。

すると波紋を帯びたキャベツ同士が結合して俺とフェイトの上に円形に波紋が展開され、『盾』になった。

これは特訓で俺が身につけたオリジナル技だ。

 

「コオオオォォォォ!!『((回天波紋疾走|スピニングオーバードライヴ))』!!!!!」

 

この波紋で作った盾は超高速で回転しているので、円に当たったモノを『受け流す』性質を持っている。

『((回天波紋疾走|スピニングオーバードライヴ))』にぶち当たった雷は明後日の方向に流れていった。

だが、俺の体の波紋を練る力はまだ全然成長していないので、今ので俺の波紋の力が尽きて足元のキャベツも足場の力を失っちまった。

くそっ!?冷たい海水は今のフェイトが浴びるには毒過ぎる!!

 

「フェイト!!ゼン!!」

 

「ッ!?ナイスだアルフッ!!フェイトを投げろ!!『クレイジーダイヤモンド』!!」

 

海へ落ちて行く俺達にアルフが叫んでいたので俺は『クレイジーダイヤモンド』でフェイトを投げて渡す。

慌てて受け取ったアルフは直ぐに俺のほうにも来ようとするが……。

 

「俺の事なんざいい!!今はフェイトを優先しろぉ!!」

 

そう言われたアルフは少し迷うってから、フェイトを抱えてジュエルシードのもとに駆けていく。

しかしクロノがアルフの前に立ち、それを阻んだ。

ってそうか!?確かフェイトはなのはとジュエルシードを争奪して……。

既に自由落下していく以外に何も出来なかった俺は、落ちながら空中の出来事を見守るしかなかった。

 

 

 

 

 

……あっ、そういや下って海……やっべ(汗)。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「邪魔だぁ!!どけええぇぇッ!!」

 

禅が目の前の事態を把握している間にアルフがクロノを殴り飛ばし、ジュエルシードの元に駆けていく。

だが、宙に浮遊しているジュエルシードは3つしかなかった。

何時の間にかクロノが4つのジュエルシードをすでに手中に収めていたからだ。

 

「ぐっ!?……こんんのおおぉぉ!!」

 

アルフが海に魔力弾を叩き込み、海を荒れさせた。

その巻き上がる並になのはたちが怯んでいる隙にアルフは撤退していく。

海の荒れが治まると、そこには誰もいなかった。

 

「……逃げられたか」

 

クロノは溜息が出そうになるのを我慢して、命令違反を起こしたなのは達に厳しい視線を送る。

その視線を受けてなのは達はバツが悪い顔を浮かべる。

とりあえず、話はアースラに帰ってからしようと二人に声をかけようとして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃぁああああああああーーーーーーーーーーー!!?ほ、骨だけにボ(ドッポーーーーーーーーーン!!!!!)……」

 

 

下でゼンが着水した音でクロノは慌てて海に降りていき、二人もそれに続いた。

 

説明
第3話たこ焼きがない!?かわりに竜巻て・・・HU・ZA・KE・N・NA☆
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波が並になってますな。(狂)
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