反英雄の東方日記-幻想世界- 1
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彼は英雄だった。

その身に宿した異能と、自らが作り上げた一振りの剣を使って十年もの間戦い続けてきた。

 

『神』に選ばれた。

たったそれだけで戦場に放り込まれた事に怒りもせず嘆きもせず、ただただ救われぬ立場にあった人々を助けた。

寿命も魂も肉体も何もかもをすり減らして、その果てに起きたのは救った人たちとの全面戦争。

酷く不器用だった彼には、自分を悪役に仕立てる以外にある人物を助ける手立てをしらなかった。

 

たった一人で軍に挑んだ。

こちらは絶対に殺さないよう細心の注意を払い戦った。

容赦なく撃ち込まれる攻撃を必死に耐えた。

殺さなければならなかった敵を殺した後に、自分がトドメをさされるように調整した。

結果、彼は反英雄(自らの悪事によって正義側の行動を強調した等で最終的には人々を救った者)として歴史と世界に記録され、人生を終わる。

 

しかし、本当の終わりではなかった。

確かに彼は悪のシンボルとして記憶には残ったものの、人物像はメディアが伝えたがらないのもあってすぐに忘れられる。

ここでとある場所へ行く条件がクリアされた。

『神』も冷血ではなかったのか、彼を蘇生させてその場所に送り込んだ。

 

未来を見届ける為の目と未来を切り開く為の剣を持たせて。

 

かくして物語は動き始める。

 

二度目の人生を得て、好きに生きてもいいチャンスを貰った。

なら生きよう、と彼は言った。

自分の為に、と。

 

彼の名前は葉月紫苑。

悪を通した正義である。

説明
悪役になることで人々を救った『反英雄』であった彼は、救った人々に殺された。満足そうな表情を浮かべて。
しかし、それを見ていた神が生き返らせ別の世界に転生させた。
そこで彼は誓う。今度こそ自分の為に生きると。
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ファンタジー 東方Project 反英雄 

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