ONE PIECE ?黒髪少年の描く世界? 第十二話 スパイダーズカフェ |
正直。なめてた。北さえわかればアルバーナにつくと思ってました。
ここまで暑いとか誰が思うかよ!?
ナノハナの比じゃない。最早『熱い』だ。でも進まないとずっとこの地獄だ。
葉になって仰向けになり風に身を任せてみる。
あ。これいいかも。
やっと楽な行き方を見つけ、アルバーナへ向かう。
ん?コーヒーの匂い?そういやかれこれ3時間は飲み食いしてねーな。
休息を求めてコーヒーの匂いのする方へ歩いていってみる。
いやー結構ここまで大変だったなー。風に乗るのは楽だったが途中砂嵐に巻き込まれて遥か上空に行ってしまったり風の向きが変わって南に向かっていたり。
カフェらしきところが見えてきた。新しいとも古いとも言えない。看板をみると『スパーダーズカフェ』とあった。変わった名前だな。
カランカラン…
入ると女店主が座っていた。こちらに気づいたようで本から顔を上げる。
「あら。今日はこの後貸し切りの予約が入ってるんだけど」
頭にバンダナを巻いた黒髪の店主が言う。
「それは困ったな。やっと飯にたどり着けたと思ったら」
ヤマトがため息まじりにつぶやく。
「金はしっかり払うからいちゃダメか?銅像だと思ってくれていいからよ。いっその事夜が明けるまではここで働いてもいい。よし、それにしよう。決定!」
勝手に決めつけそこらにあった腰から下だけのエプロンをつける。夜が明けるまでといっても今はもう3時をすぎている。だから睡眠を引くとそんなに長くない。それに結構進んだし疲れた。楽な格好で来たとはいえ能力を使っていたため程々に疲れはくる。
「うし、何すりゃいい?」
腰に手を当て聞いてくるヤマトに諦めたのか店主はため息をついてコンロの上のやかんを指差す。
「そのやかんでお湯わかしてくれる?早い人はホントに早く来るのよ」
「ういっす!」
「それが終わったら奥にスコーンとかいろいろあるから勝手に食べなさい。それでバイト代はただ。」
「感謝感謝」
「私は向こうの部屋で休んでるわ。」
「うーい。あ。名前なんだ?」
「…ポーラよ」
「そっか。俺ヤマト」
「頭の隅で覚えとくわ」
「ありがてえこっちゃ」
ポーラが部屋に向かう。
ヤマトは拝みながらやかんに水を入れ、火にかける。
台所はこっちか…
何食べっかな?。ホントいろいろあるな?。パンケーキもらお。
ヤマトは店のカウンター席でパンケーキにイチゴジャムをつけて食べていた。キャベツとかを出して食べる事は可能だったがウサギでもあるまいし、やはりドレッシングなしはきつい。
食べ物のありがたみに浸りながら食べているとドアのベルが鳴った。
チリンチリーン
「ハイハイハイハイメリクリメリクリ!あー疲れた!長旅疲れた!腰!イタッ!腰イタッ!腰イタ!」
呪文のように言葉を羅列させながら入ってきたのは小太りのおばさんと大太りの男。おばさんは随分早口らしく男に文句を言っていた。
「まったくお前のせいさMr.4!腰にくるんだよお前の鈍さは!この“バッ”!!」
Mr.4。たしかバロックワークスも幹部がそういうコードネームだったな。ってことはポーラが言ってた貸し切りの客ってバロックワークスかよ!?
「ご???め??ん???ね????」
おっっそ!!喋んの遅っ!よく息が切れないな…肺活量半端ねぇ…
「ん?今日はポーラはいないのかい?彼女を出しな!それ出しなやれ出しな!!」
うるさいな…
「悪いがポーラは今休んでるんだ。今はおれで我慢してくれ。注文は…アップルティーとオレンジペコ?でいいよな」
そういいあらかじめ沸かしておいておいた適温のお湯でそれぞれの飲み物をコップに入れる。
「何であたしらの飲むもん知ってるだい?」
おばさんの方が聞いてくる。
「ポーラが教えてくれたんだよ」
コップを差し出して差し出す。
「ほどほどのあったかさにしたんですぐ飲めるぜ」
俺は猫舌のためよくコーンスープなどを作っても飲めずに数分間生殺しだった事がある。
「おばさん名前なんていうんだ?」
敵の名前を知って損はない。
「おばさんじゃないよ!この“バッ”!ミス・メリークリスマスと呼びな!」
「あいよ。んでそっちは確かMr,4だっけか?」
「う???ん???」
????長い!!
「ん?おめーなんだいこのヘンテコな歌は」
「?ポーラはソナタをかけてたぞ?」
耳をすましてみるとそれはどうやら外から聞こえるらしい。
バンッ
勢いよくドアが開けられる。
「ごきげんようっ!」
おや。これはこれは。
「最近ドゥーーー?」
Mr.2ボンクレー。
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