魔法少女リリカルと恋姫な物語 〜少年の数奇な運命〜 第5話 ちょっぴりの親切と初めての友達
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―――月詠家―――

 

「・・・確かに、これは数日前に父さんが感知した魔力と似ている。しかしなぜ神那がそれを知っている?」

「今日図書館へ行く途中にヴェルジュが教えてくれたんだ。でもこれだったんだね、父さんが感知したのって・・・」

「おそらくな。しかしこの宝石、今は特に異常は見られないが、かなり不安定なもののように見える」

 

 え・・・てことはもしかして・・・。

 

「え・・と・・・つまり僕はとても危険なものを持っていたの?」

「そういうことになるな。今回は仕方ないが、こういった未知の魔力反応をする物を手元に保持している場合、うかつに魔法は使わないことだな。万が一暴走でもしたら、取り返しの付かないことに繋がる」

「・・・そうだね、ごめんなさい父さん」

「うむ、さて後は・・・」

 

 そういって父さんは、僕の後ろで黙っていた正座して待っていた二人に視線を向けた。

 

「まさかとは思うが・・・君の母親はプレシア・テスタロッサという名前ではないか?」

「母さんを知っているんですか?」

「やはりそうか・・・。君があの人の娘だというならば、気になることがある」

「?なんですか?」

 

 ・・・父さんがフェイトの母親を知っているのは驚いた。てことはそのプレシアさんも、元もしくは今も管理局員なんだろうか?それに気になることって・・・。

 

「雪乃、プレシアさんの娘の名前はアリシアだったよな?」

「ええ、確かそんな名前だったわ。・・・あら?」

「・・・・・・」

「ちょ・・ちょっと待ちな!あの鬼婆のことを知ってるのはまあ置いとくとしても、その鬼婆の娘はフェイトだけのはずだよ!?」

 

 え〜と・・・なんかお互いの間で食い違いが発生してるな。当事者であるフェイトも呆然としてるし。それもそうだよね・・・。他人の口からとはいえ、今まで母親だって思ってた人の娘じゃないかもしれないなんて・・・。

 

「まあ、落ち着け」

「これが落ち着いていられるかい!」

「落ち着けといっているだろう!!使い魔である君が取り乱してどうする!まずは自分の主を心配するのが先ではないのか!」

「ッ・・・」

 

 ギャーーース!!自分が怒られてるわけでもないのに、そんな気分になるのはどうしてだろう?というか父さん・・・、初対面の人でも容赦ないのね・・・。

 

「・・・すまんな、私も少し冷静でなかったかもしれん・・・」

「あ・・いやこっちこそすまないね・・・」

「・・・話を戻すが、プレシアさんの娘は確かにアリシアといった。容姿も君と瓜二つだ、むしろ同一人物だといわれても不思議に思わない」

「と・・父さんそれはさすがに本人を前にして言うことじゃ・・・」

 

 いくら似てるって言っても、それを今言う必要なないんじゃ・・・。

 

「ああ、すまない。どうも思ったことを何でも口に出してしまうのはいかんな」

「あなたは後でお仕置きするとしましょう「なんだと!?」。でも・・・」

「何か気になることでもあるの?」

「う〜ん・・・ちょっと確証がないのよね〜。ねぇあなた、私ちょうど明日お仕事お休みだから、無限書庫に行ってくるわね」

「ふむ、わかった。私も本当のことが知りたい。行ってくるといい」

 

 なんか当事者そっちのけで話が進んでるけどいいのかな?

 

「あ・・あの・・・」

「ん?どうした?」

「自分のことですから自分で母さんに・・・」

「ふむ・・・では聞こう。どんな真実だろうと君は正気でいられるか?」

「そ・・それは・・・」

 

 無理だろうな。自分がプレシアさんの本当の娘じゃないってだけでもかなり来てるのに、これ以上のことを聞いたらたぶん立ち直れないと思う。

 

「じゃあどうしろって言うんだい?」

「ふむ・・・、その前に君たちはどうしてこの宝石を集めているんだ?そもそもこの宝石に名前はあるのか?」

 

 あ、そういえばそうだ。元々そういった目的を聞くために連れてきたんだっけ。

 

「あ、それの名前はジュエルシードって言います。何で集めてるのかは集めるよう言われたからです」

「プレシアさんにかい?」

「はい」コクッ

 

 父さんの質問に答えた後、フェイトは軽くうなずいた。ふ〜む、何でプレシアさんが自分で集めないのかって気になるけど、そこは何かしらの事情があるんだろう。

 

「そうか・・・プレシアさんがこのジュエルシードを集めて何をやろうとしているのかは知らないが、今の私たちにはそれをとめる権利がないな」

「?今はってどういうことだい?」

「何、昔管理局に勤めていただけのことだ。今は息子の教養のためにこの地球に移り住んでいる。安心してくれ、管理局に報告するようなことはしない」

「・・・さすがにそれを聞いて、安心することはできないね」

「ふむ・・・ではどうすれば安心もしくは信用してもらえるのかな?」

「そうさね・・・お宅の息子さんにこっちのしている事を手伝ってもらうってのはどうだい?」

「ちょっと、アルフ!?」

 

 なんですと?確かに連れてきたのは僕にも責任はあるし、父さんは元管理局員ではあるけど、別にどうこうしようってわけじゃないんだけどな・・・。

 

「ふむ・・・いいだろう。どの道君たちもこのままではプレシアさんに怒られるのだろう?」

「・・・たぶん・・・」

「たぶんどころか、雷が落ちてもおかしくないね」

「どんだけ恐ろしい人なの!?」

「母さんを悪く言わないで!」

「ごめんなさい!?」

 

 怒られると同時にフェイトに睨まれた。うぅ・・・ついつっこんだけど、うかつに会話に入るもんじゃないね。何が起きるかわかんないや。

 

「うちの息子がすまないな。さて、しんみりとした話はここまでにして、神那が約束したご飯にしよう。雪乃、用意をしてくれ」

「はいはい、暖めるだけにしてますから少しだけ待っててね」

「あ、すいません。ありがとうございます」

「すまないね、ごちそうになるよ」

「そんなにかしこまらなくていい。勝手に約束して連れてきたのはうちの息子だ」

 

 おぅふ、確かにそうだけどあの時はそうしたほうがよかったと思ったから、約束して連れてきたんだよ〜・・・。まあ、餌をちらつかせたようなもんだけど・・・。

 

「はい、おまたせ〜。さ、神那もそっちで落ち込んでないでこっちに座りなさい」

「あ、は〜い」

 

 母さんに呼ばれて僕は席に着いた。いつもはちゃぶ台で晩御飯を食べているんだけど、さすがに5人では狭いので父さんが予備の折りたたみの机を用意した。これで5人で一緒に食べれるね。

 

「・・・あの、私たちは離れて食べますので・・・」

「そうだねぇ、さすがに家族で食べてるのに、他人のあたしたちが混ざるわけには行かないだろうね」

「・・・なんで?ご飯はみんなで食べるからおいしいんだよ?そこに家族とかは関係ないよ」

「そうだな。むしろ離れて食べるなんてことをされたら、逆にこっちが気を使ってしまう」

「そうよ、だからみんなで食べましょう♪」

 

 いきなりフェイトはそんなことを言って離れて食べようとしたけど、こっちとしてはなんでそんなことをしようとしたか分からないよ。と、フェイトは急に涙を流し始めた。

 

「フェイト?どうしたんだい?」

「え?・・・あれ、何で泣いてるんだろう?」

「だ、大丈夫?どこか痛いの?」

「ううん、違うの。なんか自分でも分からないんだ。何で泣いてるのか・・・」

 

 えええ!?冷静に声かけた様に見えるけど、内心すごいあせってるよ僕!?ええと、僕たちが何か言っっちゃいけない事言ったかな!?

 

(そう・・・この子は家族の愛に飢えてるのね。プレシアさん、どういう教育をしてるのかしら・・・)

「・・・フェイトちゃん、偉そうなことを言うつもりはないけれど、この家をもう一つのあなたの家と思ってもらえないかしら?」

「え?」

「これは私の勝手な妄想だけど、今のあなたは親の愛情というものが足りていないと思うの。だから仮初だとは思うけど、少しでも家族の愛というものを知ってほしいのよ」

「でも・・それはさすがに・・・」

 

 そっか・・・。それじゃあ僕は・・・。

 

「ねぇフェイト。僕と友達になろうよ」

「え、急に何で?」

「僕にはまだ愛情って言うのがなんなのかよく分からないし、うまく伝えられない。だけど友達ってことなら教えられると思うから」

「友達・・・」

「うん友達」

 

 まだ子供の僕には家族の愛情というのを伝えるのは難しい。けど、他人でも友達になることはまったく不思議な事じゃない。それに、僕らの年齢で魔法のことしか知らないのはいただけない。世界にはもっと楽しいことがあることを教えてあげたい。

 

「でもいいのかい?そこまでしてもらう義理がないというか・・・」

「いいのよ、私たちがそうしたいからしてるだけ。後はフェイトちゃんの返事しだいね」

「うん、嫌だったらこんな事言わないよ」

「うむ。私たちのことは気にしなくていい。君がどうしたいかだ」

 

 そう僕らが告げると、フェイトはうつむいて肩を震わせた。そしてまたポロポロと涙を流し、泣いていた。

 

「あり・・がとう・・ヒック・・・ございます・・・」

「フェイト・・・」

「ズズ・・・でも、そこまで甘えるわけには行きません。やっぱり私にとって家族と呼べるのは、アルフと母さん。それから、もういないけど母さんの使い魔だったリニスの三人だけです」

「・・・そう。あなたがそう決めたのなら、私たちはもう何も言わないわ。ただ、今日だけは甘えて頂戴。これは私からのお願い♪」

「はい!」

 

 そういったフェイトの顔は涙を流したあとはあったけど、とてもすっきりしたような笑顔だった。

 

「う〜ん、友達もだめ?」

「あ、それは全然大丈夫だよ」

「よかった。それじゃ改めて自己紹介しようかな。僕の名前は月詠神那です。よかったら僕と友達になってください」

「私の名前はフェイト・テスタロッサ。こちらこそよろしくおねがいします」

「ふふ、なんか告白みたいね♪」

「ちょ!母さん!」カァァァ///

「え?えぇ!?」カァァ///

 

 急になんてことを言うの!?そんなつもりで言ったわけではないのに、母さんの爆弾発言でフェイトの顔をまともに見れないよ!そう思って僕は顔を真っ赤にしてうつむいた。隣をちらりと盗み見ると、どうやらフェイトも同じようだ。

 

「あらあら、初々しいわねぇ♪」

「雪乃、それくらいにしといてやりなさい。さぁ、改めてご飯にしよう。神那も顔を上げなさい」

「だねぇ。ほらフェイトもそろそろ顔上げて食べよう」

「はぃ・・・」

「うん・・・」

「それではみんな、手を合わせて・・・」

『いただきます!』

 

 少し気恥ずかしい思いをしたけど、フェイトもアルフも笑っていたのでとても楽しい夕飯となった。やっぱり人間、笑顔が一番だね♪

説明
じゃんじゃんいっちゃいましょう〜♪・・・といいつつ転載のペースが遅いんじゃないかい?と思ったりしないでもない(笑)
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