テイルズオブエクシリア〜転生者はイレギュラー |
〜レオンSIDE〜
俺とミラは昨日から帰ってこないアルヴィンを探している。アルヴィンにはどうしても聞きたいことがあるからな。
街の人たちに情報をもらいながらアルヴィンの母親のいる家を探していき、
ウィィィン
見つけた。
「っと、驚かすなよ」
いきなりの俺とミラの登場に驚くアルヴィン。
「ここがお前の家というわけか」
「親の、だな。勝手に抜け出して悪かったよ。もう宿にもどるからさ」
頭を掻きながら謝るアルヴィン。
そういいながら歩き出すアルヴィンを俺が胸倉をつかみ、壁際まで追いやる。
「ってぇなー。何すんだよ」
痛がって俺を睨むアルヴィンを無視し、ミラがアルヴィンに聞いた。
「アルクノアのこと、どこまで知っている?」
「アルクノア……?なんだよ、食い物か?」
知らない振りをするアルヴィンに俺がル・ロンドでのことを言う。
「ル・ロンドでの夜に俺の入院していた部屋でディラックさんと話をしていただろ」
「たぬき寝入りしてやがったのかよ。キタネーなぁ」
「お互い様だ。答えろ。お前もアルクノアか」
「カンベンしてくれよ。俺だってアルクノアの連中に仕事を強要されてこまってるんだ。抜けたいが、そうもいかないんだよ」
ミラの質問に答えるアルヴィン。その答え方はいつものようなヘラヘラした感じではなかった。
「……母親か?」
「………(コクン)」
俺はミラを見て、ミラが話してやろうと言いたそうな風にしていたので手を離した。
「信じてもらえるのか?」
ミラがアルヴィンに背を向けていう。
「お前はウソツキだったな」
「そうそう。だから、何を聞いても無駄だぜ。俺ってそういう人間なのよ」
「……」
ミラはアルヴィンに何も言わず歩きだす。
「どこ行くんだよ?」
「アルクノアの連中を捜す」
「俺も行くよ。仲間だろ?」
「勝手にしろ」
ミラがそういい、付いていこうとするアルヴィンの肩を掴む。
「アルヴィン」
「なん……だぁ?!」
俺は俺の方を向いたアルヴィンの顔スレスレに剣を振りかざした。
「もしも……ミラに危害を加えるようなことがあれば……その時は右半身と左半身が……別れるものと思えよ♪」
ブラックスマイルでアルヴィンにそういった俺はミラの後を追った。
俺が最後見たアルヴィンは顔色が真っ青になっていたが、すぐにいつもの表情にして、俺達の後を追ってきた。
橋のところに来ると、
「ミラ!レオン!」
反対側からジュード達がやってきた。
「ジュードか」
「皆、おはよう」
ジュード達と合流した俺達はジュードに説教に近い怒られ方をしていた。
「どこ行ってたの。心配したんだよ。それとレオン、こんな時に朝の挨拶をしないでよ」
「あ、ああ。すまなかった」
「す、すまねえ」
「アルヴィンも。これからは行先をいってよね」
「そんなに怒るなよ。それより、エリーゼがなんか言いたそうにしてるぜ」
アルヴィンがそういうと皆はエリーゼに注目する。俺もだけどな。
「あのね……イスラさんが……わたしのこと、何か知ってるのかも……」
「イスラが……?」
不思議がるミラにジュードがミラに言う。
「うん。エリーゼをまじまじと見たあと……顔色変わってたから」
「でも、逃げるみたいにして、どっか行っちゃったんだー」
「そうか」
「イスラさんにあったら、もう少し詳しく聞こうね」
「……はい」
まあ、結局イスラに会ったらエリーゼのことを聞くことになった。
そんな時だ。
ゴォーン ゴォーン ゴォーン ゴォーン
いきなり闘技場の鐘が鳴り始めたのだ。
不思議がっている俺たちに街の住民の親子が話しかけてきた。
「あんたたち、闘技場へ急いだ方がいいんじゃないの?」
「鐘が鳴ったら、大会が始まるのよー」
女の子がそう言うとティポが驚き、声を上げる。
「え、大会始まっちゃうのー?」
「もしかして早くいかないと失格になっちゃたり?」
昨日まで辞退しようと言っていたはずのレイアが失格になることを言っているが不思議に感じたのか、ミラが聞いた。
「いいのか?大会の辞退を考えていたのだろう?」
ミラの言ったことにローエンが答える。
「迷いながらでもやってみるのが人間、そう言ってくださったではないですか」
ローエンの言ったことに俺とアルヴィン以外が頷く。
「うむ。そうだった。助かるよ、みんな」
「さて、じゃあ、行くか」
「ちょっと待って」
俺が行こうといい始めたが、ジュードが待ったを掛ける。
「あの、どうして僕たちが参加者だってわかったんですか?」
「この時期に、よその街の人が集まっていたらそれは参加者か観客に間違いないよ」
「そんなのここじゃジューシキよ」
ジュードの問いに答えた親子はどこかへ行った。
そして、話しを聞いたジュードがこみかみを指で押えながら何かを考えている。
「ジュード……?」
「ごめん。何か頭の中でひっかかっただけで……」
動かないジュードを心配したエリーゼがジュードに話しかける。ジュードは何かがひっかかると言って悩んでいた。
「んじゃ、闘技場に行こうか」
改めて俺がそう言い、皆で闘技場へ向かった。
闘技場に入ると、ユルゲンスとその仲間が話しあっていた。
「ユルゲンス、さっきの鐘は何だ?」
ユルゲンスは俺達を見て安心した不に表情を変えた。
「ああ、来てくれて助かった!執行部が急遽決勝戦を行うと言い始めたんだ」
「それに突然、前王時代のルールに戻すなんてことも言い出している」
男性がそういうとレイアが驚息、声を上げる。アルヴィンですら、驚いていた。
「前王時代のルールって……まさか!?」
「前に話しただろ。相手が死ぬまで戦うあれだ。言ってなかったかもしれないが、その上、この戦いは1対1で行われるんだ」
ユルゲンスの説明を聞いた俺達は話しあう。
「どうするよ、ミラ」
「うむ……ワイバーンは必要だ。辞めるつもりはない。が、解せんな」
「何故前王時代のルールで行うことに……」
「………なるほどな、そういうことか」
俺はこのことも一応覚えていたので、察しが付いていた。
「何だレオン?何かわかったか?」
「ああ。最悪なことが、だな。アルクノアだよ」
「アルクノアだって!?」
俺がアルクノアの名を出すとジュードが声を上げた。
「ああ。大方、執行部の中にアルクノアの奴がいて、前王時代のルールにすれば、それに乗じてミラと俺のどちらかを殺せるってことだ。俺はミラの相棒であり、パートナーだ。どっちかを殺せば戦力ダウンするし、ミラを殺してもあっちには得になる。そうだろ?アルヴィン」
「……ああ、そうだぜ」
俺はアルヴィンを見ていう。アルヴィンもそうだと白状した。
「あれー?何でアルヴィン君がそんなことを言うのー?」
「いいのか?」
「言いも何もレオンが言っちゃったんだし、仕方ないだろ。それに……さっきの礼だよ」
俺・ミラ・アルヴィン以外は話しの流れについていけず、ジュードがミラに聞いた。
「なんの話?」
「アルヴィンは……アルクノアと関係している」
アルヴィンの返答に驚き声を上げていうレイア。
「え!?ウソ……でしょ?」
「んー、すまん。仕事頼まれたりしてたんだわ」
「まさか、今回の事件も……」
ジュードは落石のことと毒のことを言っているな。
「ジュード。それはないな。アルヴィンもあの時、料理を口に入れる寸前だったんだ。犯人がそんなへまをすると思うか?俺とミラがあの時に声を上げていなかったらアルヴィンはこの世にはいなかったぜ」
「ああ、俺は何もしてない。レオンの言うとおり、知っていたら始めから食べようとしなかったし、犯人も知らない。仕事つっても、小間使いにされただけだしな」
「なら、アルクノアの仕事はもうしないって約束してくれる?」
真剣な表情のジュードにアルヴィンは言う。
「わかった。誓うよ」
「よかった……」
安堵するジュードを見て、アルヴィンは少し黙る。
「…………」
「アルクノアの作戦はわかるのですか?」
ローエンの質問にアルヴィンは答える。
「あ、ああ……俺が聞いた限りじゃ…… やつら、決勝のルール変えて、ミラを殺す気だ」
皆がミラを見る。ミラは腕を組んでアルヴィンの話しを聞く。
「勝ったとしても、疲労困ぱいになったおたくを客席から狙い撃つ二段構えだとよ」
ほぉ?俺のミラを狙撃……ねぇ?
バチッ!バチチチチ!
俺の体が帯電し始める。
「レオン、落ち着け!帯電し始めているぞ!」
「おっと、いけねえ。つい、な」
ミラに言われ、何とか抑える。
アルヴィンのアルクノアの作戦を聞いたユルゲンスが怒りだした。
「なんて奴らだ。大会をなんだと思っている! ふ、何とも穴だらけの作戦だな。私が代表で出なければ簡単にくじける」
「そうだな。俺が出て、例え俺が狙撃されても俺は帯電状態になればそういったものは弾くことができるしな」
俺とミラがそういうと、レイアが安心したみたいに言う。
「そっか、そうだよね」
「だが……このくだらん罠にはまってやる。やつらを引きずりだしてやろう」
「おいっ!正気かよ?なんで……」
アルヴィンはあえて自分から火の海へ突っ込むような真似をしようとするミラに驚きながら言う。
「危険すぎます、命をかけるなど、今回ばかりは賛成しかねます」
「そうだよ。やめた方がいいって、ミラ!」
エリーゼはローエンの言うことに頷き、レイアもミラを説得する。
「ミラ君がしんじゃうー!」
ティポもミラを心配して、そう言う。
「レオンとジュードはそう思っていないようだぞ」
俺はジュードの代わりに話す。
「俺たちにミラを客席から狙うアルクノアを止めてほしい……そう思っているんだろ、ミラは?」
「さすが、レオンだな」
「お前と何年の付き合いだと思っている。ミラの思考ぐらい読めないと意味ないぜ」
「そうだな」
普通に話している俺達をあり得ないと言わんばかりにレイアが言ってくる。
「ちょっと、レオン!?ジュード!?」
「普通ならいつ出てくるかわからないけど、今ならおびき出せる……理にはかなってるよね」
ミラを見ながらジュードがそう話す。
「今ここで手を打っておかないと、次の手を考える時間を与えてしまう。そうすれば、もっと被害が大きくなる可能性も否定できない」
「だから、ミラはあえて自分を囮にする……そういいたいんだよ」
俺・ミラ・ジュードの話しを横で聞いていたユルゲンスがミラに話しかけた。
「本当に出場する気なのか」
「お前の部族の誇りを託されたことも忘れてはいなからな」
「あなたって人は……」
ミラの返答に呆れてものが言えないユルゲンス。
「はぁ……何とか成功させるしかないのですね?」
「そういうことだ。さあ、行こう」
ミラの合図と共に皆が移動を開始する。そんな中、俺はミラに話しかける。
「ミラ」
「どうしたレオン」
「いいかげんにやつらとの因縁にケリをつけようぜ!」
「ああ!」
ミラも俺に答えるように、そういった。
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第33話 決勝戦前 | ||
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