テイルズオブエクシリア〜転生者はイレギュラー |
〜レオンSIDE〜
破棄された研究所からシャン・ドゥへ戻ってきた俺達。
「ジュード、何か気がかりなのか?」
ミラはずっと様子のおかしいジュードのことを心配し、聞いている。
「え?」
「ジャオの話しを聞いてから様子が変だぞ?」
「……うん」
そんな俺達の前に、イスラが走って駆けつけてきた。
「犯人を追って王の狩り場へ行ったと聞いて、心配していたのよ」
元々の原因はてめえだろうが!
「色々あったけど、とりあえずは無事、かな」
俺はその思いを表情に出さずにいる。
「偶然とはいえ、あなたたちを巻き込んでしまって、ごめんなさい」
イスラは謝っているが……嘘なんだよな。
そんなイスラにジュードが近づいて言う。
「イスラさん……それウソですよね?」
「な、何?私が心配したら変かしら」
いや、明らかに怪しいぞその慌てようは。
「ジュード、どうしちゃったの?」
いきなり変なことを言いだすジュードに疑問を持つレイア。
「イスラさんが僕たちと知り合ったのは、偶然じゃないんだよ。決勝を知らせる鐘が鳴った時、この街の人に言われたでしょ」
「ああ。この時期に、よその人間が集まっていたら、それは闘技大会の参加者か観客しかいないっていってたな」
「あ…………」
ジュードの言葉に続き、俺が街の人に言われたことを話すと、イスラは動揺する。それはもうすでに自分が黒だと言っているよな。
「そういうことか。私たちがイスラに助けられたあの時だな……」
どうやら俺が子供を助けていた時の話しだな。
「きっと言わないよね、あんなこと……僕たちに近づくよう言われたんでしょう、アルクノアに……」
「イスラさん……ウソだよね?」
レイアはジュードの推理を聞いて信じられなかった。自分を治療してくれた優しい女性がそんなことを……と。
「あの人たち……ばれないから……平気だって言ったのに……でも、私だってあの人たちに……」
怯えながら言うイスラにジュードが言った。
「脅されてたんだよね……弱みがあったから」
「昔の仕事ですか……」
ローエンはエリーゼを少し見て言った。
「……ユルゲンスにバラされたいのかって……この子にはすまないと思っている。でも、あの時は私だって……!」
「お願い、彼には黙っていて!」
そう言いながら膝を地面に詰めるイスラ。
「ユルゲンスは知らないのか?」
「言えるわけないじゃない!……ユルゲンスはとても純粋な人なのよ」
あんた……って人は……!
「なぜ話さないんだ?すでに過ぎたことだろう」
ミラは直球に聞く。
「あなたも女ならわかるでしょ。こんな醜い女(わたし)を彼が愛してくれるわけない」
……言いきりやがった。こいつ、ユルゲンスのことを……!
俺は拳を握っているが我慢している。はっきり言おう……そろそろ限界だ!
「あのことを知られたら……私は捨てられる。私は幸せになりたいだけなの。お願い……彼には言わないで……ください」
ブチッ!
俺の中で何かかキレた。
「ミラ……ジュード……少しどいてろ」
ゾクッ
この周りの気温が下がったのをミラ達は感じた。
「あ、ああ」
「う、うん……」
俺の後ろに下がるミラとジュード。
「おい」
「……なんです……かぁ!?」
俺は顔を上げたイスラの頭を掴み取る。
「レ、レオン!?」
「…………!?」
驚くレイアに、エリーゼも少なからず驚いている。ティポも驚いている様子だ。
「お前、本当にユルゲンスを愛しているのか?」
「あ、当り前でしょ!!私は幸せに……「だったら、どうして、ユルゲンスを信じない!」……!?」
俺の言葉に怒るイスラ。俺はそんなイスラの言葉を遮る。
「てめえの愛しているユルゲンスはそんなことでお前を捨てるような器の持ち主か!てめえの過去を知ったぐらいで揺らぐような愛の持ち主か!!何も話していない癖に何言ってやがる!てめえが普通に幸せに暮らせると本気で思ってんのか!?」
俺はそのまま胸倉をつかみ、頭から手を離した。
「あ、なたに何がわかるのよ!」
「知らねえよ!だったらてめえには寂しい思いをした……孤独を味わってきたエリーゼの気持ちがわかるのか!?わかんねえだろ!!それになぁ、自分の愛している女に信じてもらえていないユルゲンスの気持ちがわかるのか!?てめえにわかるのかよ!!なにも自分から話していない癖に知ったかぶってんじゃねえぞ!」
俺の気迫に怯えるイスラ。
ミラ達ですら体を震わせているみたいだ。
「そんな本当の自分を愛する男に言えない奴が愛を語ってんじゃねえよ!幸せになろうとするんじゃねえよ!捨てられるなんてただのてめえの妄想だろうが!」
俺はそう言い、イスラを投げ捨てる。
ドス!
「ごほっごほっ!」
「人の気持ちを理解できない奴が寝ぼけたことを言ってんじゃねえよ」
〜レオンSIDE OUT〜
〜第三者SIDE〜
ミラ達は驚きの連発だった。あのレオンがここまでなるとは……と。
「ミラ……どうしてレオンはあんなに……」
ジュードは長い付き合いのあるミラにレオンのことを聞いた。
「……レオンには家族はいない。肉親ともいえる人間がいないんだ」
「………えっ?」
ミラの言ったことに一番に反応したのは……エリーゼだった。
「私がレオンと初めて会ってからこの10年間、レオンから家族のことを聞いたことがなかった。だが、時折、レオンは家族を見ると……懐かしそうな、羨ましそうな目で見ていたのを覚えているよ」
「……そうか。だから、レオンの奴はエリーゼ嬢ちゃんが俺達の旅についていくってときに反対しなかったのか」
アルヴィンがレオンが何故、エリーゼが旅についてくるときにダメだししなかったのかを言う。
「……レオンはおそらくだが、自分と同じように家族のいないエリーゼに自分と同じような想いをしてほしくなかった。だから、エリーゼにお兄ちゃんと呼ばれた時も嬉しそうにしていたのだろうな」
「………っ」
エリーゼの視線はレオンに向いていた。エリーゼはレオンを見て、何を思ったのかは……わからない。
〜第三者SIDE OUT〜
〜レオンSIDE〜
「………もう失せろ。てめえをこれ以上見てると殴り殺したくなる」
「う……うう……」
イスラは泣き、そのまま立ち上がってこの場から去って行った。
「それじゃ、ユルゲンスさん捜そっか。ワイバーンの話ししなきゃね」
レイアの提案で俺達は予定通り、ワイバーンを借りるためにユルゲンスを探すことにした。
「ちょっと寄って行くか」
アルヴィンの独り言が聞こえ、ミラが話しかけた。
「どこへだ?」
「おっと、聞いてたのかよ」
驚くアルヴィン。
話しを聞く限り、ここにアルヴィンの知人がいると聞き、俺・ミラ・ジュード・アルヴィン・エリーゼはその知人の家に行くことになった。
アルヴィンの知人の家……いや、アルヴィンの母親の家に俺達は来た。
家に入ると寝たっきりの女性がいた。
「この人は……?」
「ん、俺のお袋。ちょっと具合が悪くてな」
アルヴィンは母親を見ながら言う。
「父親も兄弟もいないから、俺がいない間、イスラに看てもらってるんだ」
ギシッ
イスラの名前を聞いて足に力が入ってしまった。
すると、アルヴィンの母親が目を覚ます。
そして、ジュードを見て言う。
「あら、あなたは……」
「ど、どうも……」
反射的に挨拶をするジュード。だが、
「バランじゃない。また家を抜け出して遊びに来たのね。せっかくバランが来てくれたのに、アルフレドったら、どこへ行ったのかしら?」
いきなりの聞きなれない人の名前を言われた俺達は呆然としている中、ティポがいった。
「この人、何言ってるのー?」
「レティシャさん、アルフレドは、幼年学校の寄宿舎じゃないですか」
「ああ、そうだったわね……」
ティポの言ったことを無視し、アルヴィンと母親の会話が続く。
「あの子、きっと泣いてるわ。気が弱くて寂しがり屋だから……」
「大丈夫。元気だって手紙が届いています」
……聞いているこっちは切ないな。親子なのに認知してもらってないなんて。
「ええ、休暇には帰ってくるんですって。大きな船で旅をする約束をしたのよ」
「……アルフレドも楽しみにしてましたよ」
「ふふ……あの子、手紙でね、私が泣いていないか心配してるのよ。おかしいでしょう?でも、とっても優しい子なの……」
そういい、少し話をしたら母親は眠りについた。
「若い頃に故郷を離れて苦労したんだ。親父も死んじまってさ。親父と暮らした家に帰りたいって、そればっかり言ってた……」
眠りについた母親を見て、アルヴィンが話し始める。
「こんなになっちまったけど、故郷を思い出さない分、幸せなのかもな」
「アルヴィン……」
エリーゼはアルヴィンの境遇に自分に似たものを感じている。両親のいない自分と母親が自分のことを分かってもらえないアルヴィン……と。
「お前は今まで母親のために?」
「そ。ママのために汚れ仕事をこなしてきたんだ。美しい話だろ?」
「そんな言い方……」
「同情はいいって。実際、きれいごとじゃないんだ。たまんないよ、ほんと」
ジュードはアルヴィンの言い方に少し言いかけるが、アルヴィンの言うことが正しいので口を閉じた。
家を出ると、外には、
「あ、あの……」
イスラがいた。
「アル…………」
イスラはアルヴィンの名を呼ぶ。
「ありゃ、俺をご指名?」
2人は俺達から少し離れて何かを話している。
「う、うううっ……」
すると、イスラが泣きだした。
「ただいま」
そういい、俺たちに近づくアルヴィン。
「……あの人……泣いてます」
「ああ、泣き虫なんだ」
そういう問題じゃないけどな。
「いいの?」
「気になるなら、慰めてやれよ。悲劇のヒロインさんを……さ」
「ほっとけ。自分勝手な奴なんかさ……」
「おっ!気が合うねレオン」
「ふん……行こうぜ」
俺達は泣いているイスラを余所にこの場を離れ、ユルゲンスを捜しているレイアとローエンに合流した。
街の中をどれだけ探してもいないユルゲンス。俺達は一度、一カ所にとどまっている。
「ユルゲンスさんいないね」
「エリーゼ大丈夫かな」
「さあな。ティポに関しては今までと同じだが……問題はエリーゼの心の傷だ」
俺とジュードはエリーゼを心配していると、ローエンが真剣な表情で俺たちに話しかける。
「増霊極(ブースター)について少し気に掛かることがあるのですが ナハティガルがガンダラ要塞で行っていた実験……あれは増霊極(ブースター)を使用するためのものだったのではないでしょうか」
「増霊極(ブースター)がすでにラ・シュガルにも渡っているというのか?」
「そう考えるべきでしょうね」
ミラの言ったことにそうであろうと答えるローエン。
「増霊極(ブースター)はエリーゼみたいな子でも魔物と戦えるようになるものだよ。大丈夫かな」
「両国の兵が増霊極(ブースター)をもって争えば、かつてないほどの惨事が待っている」
増霊極(ブースター)について心配するジュードを余所に、ミラがこの先に起こるであろうことを言う。
「ホントにそんな戦いが始まるの?」
「始まるだろうな。ナハティガルにはその戦いに踏み切れる理由があるしな」
「クルスニクの槍だね……」
ジュードが槍のことを言い、俺とミラは頷く。
そこに、
「おお、戻ったのか!」
今まで捜していたユルゲンスが現れた。
「イスラから戻ったことを聞いたんだ。無事でよかった!」
一瞬、イスラの名を聞いて落ち込むジュードであったが、
「は、はい……」
何とかこたえる。
「んなことより、約束のワイバーンの準備できてるの?」
頷くユルゲンス。
「ただ、今は戦の雰囲気が高まっているとかで、王の許可なしには空を飛べないんだ。私はこれから主とカン・バルクへ行って、王の許可をもらってくるつもりだ」
ユルゲンスの話しを聞きながら考え事をしていたジュードが俺やミラを見て言ってきた。
「ねえ、ア・ジュール王に戦いが起きたら危ないってことを伝えた方がいいんじゃない?」
「王様、評判いいみたいだし、わたしたちと一緒に戦ってくれたりしないかな」
………確かに、あいつは評判はいいし、強いけど……なぁ。
レイアの言ったことに驚きながらアルヴィンは言う。
「おいおい、その戦いって戦争だぞ!?」
「私も直接会って研究所の真意を確かめたいと思っていた……」
ミラの話しを聞き、頭をかくアルヴィン。
「ア・ジュール王に会いたい。すぐカン・バルクとやらに出発するぞ」
「あ、ああ。それじゃ、荷物をまとめてくるよ」
そういい、この場からいったん離れていくユルゲンス。
「ねえ、研究所の真意って?」
「エリーゼがいた研究所って、他にもたくさんの子どもが連れてこられてたらしいんだ」
「ジャオさんが言ってたの?」
レイアの言うことに頷くジュード。
「ア・ジュールお王が民を守る存在なら、私の望む答えをもちあわせているはずだ。だが、別の答えをもつのであれば、金輪際やめると誓わせる。どんな手を使っても」
「うん、そうだね。ガツンと問いただしちゃおう!」
意気込むレイアであった。
「あ、そうだ。そういえば宿屋に荷物置きっぱなしじゃない?」
「私たちが取ってきましょう」
荷物のことを思い出したレイアがそう言うとローエンとジュードが取りに行こうと言い、エリーゼも連れて行こうとするも、反応の薄いエリーゼを引っ張って連れて行った。
「そんじゃ、俺もちょっくら……」
アルヴィンも一旦俺達から離れて行った。
「ミラ……」
「ああ……もう少しだ。後少しで、クルスニクの槍を……」
「四大達も解放してやんないとな」
「……ああ」
俺とミラは黙って肩を寄せあう。
「頑張ろうぜ」
「ああ!」
そして、少しして皆が集まった。
「さて、カン・バルクへ出発だ」
ユルゲンスの案内の元俺達は、カン・バルクを目指した。
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第35話 首都カン・バルクへ! | ||
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