不知火と善吉の食べ歩き |
あひゃひゃ☆ あたしがいくら人を喰ったような奴だからって、あんた……人吉だけは食えないかなぁ だってあんなに優しくて甘ったるくて、とても食べられそうじゃないもん いや……人吉だけは食いたくないのかもしれないね! あひゃひゃ☆
「ひっとよしー、買い食いしに行こうよー」
「おう そーだ、地下から出て来れたら誘うつもりなんだったな」
「えっなになに? 人吉くんから食事のお誘いなんてめっずらしー」
「この間手に入れた焼き肉食い放題券」
善吉はポケットから券を二枚取り出した それには『焼き肉亭○○ 一時間無料食べ放題券』とプリントされており、それを目にした瞬間、半袖の目の色が変わった
(肉か!)目で会話
(行くか?)同じく目で会話
「さっすが人吉くん そーいうところが大好きなんだよー」
「感謝の意味を込めてだ お前が先輩たちを呼んでくれなきゃもしかしたら出られなかったかもしれねぇからな」
「あたしの行動にイチイチ感謝してんじゃねーよ☆ まっ今回は許す」
「カッ さっさと行こうぜ」
二人は焼き肉亭○○へと向かった
あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ☆
ガツガツムシャムシャ……ゴクリ
ジュー……ジュー……
肉を租借する音と焼く音しか聞こえない店内 無料券を出すほどの人気店にも関わらず、焼き肉亭○○には二人しか来店した人はいなかった テーブルには店中の肉焼き網を持ってきても足りないほどの肉が乗せられていて、今五つの肉焼き炭鉢で焼いている
「美味いな 流石○○亭」
「カルビ、モモ肉、ホホ肉、レバー、ハラミ、ロース、ハツ、上シロ、タン塩、豚バラ、焼き鳥、ビビンバとご飯特盛り 全部十人前追加で」
「お、お客様 大変申し訳ないんですが……」
普通に焼いて食べる善吉と異常な食いっぷりで肉を追加していく半袖 その頼む量にすでに肉が尽きかけているのだろう店員は注文を抑えてほしいと願うも……
「あっあとウーロン茶もお願いね☆」
全くの無駄であった
「おい不知火、少しは考えろよ」
その様子に善吉が見るに見かねて半袖に声をかける
連れの方が抑えてくれるとホッと安心する店員だったのだが
「肉ばっかじゃなくて野菜も食え 店員はお前の身体を心配して言ってるんだぜ」
「ムグムグ なら野菜大盛りサラダを三人前追加してね」
「はい…… かしこまりました……」
その思いは伝わらず撃沈するのだった
そして肉がついに尽いた、それと同時に一時間の無料時間も終わりを告げる 告げるのは顔に生気の感じられない店長だったりする
「じかん……おわりです……」
「丁度食い終わったな 帰るか」
「まだ食い足りないけど仕方ないね」
店を出る二人 一時間で在庫を食い尽くしたおかげでこの店は数カ月分の損害となり、二人が帰った後に潰れることになったという
そんなことを知るよしもない二人、善吉は腹を押さえながら、半袖は「あひゃひゃ☆」とぽきゅぽきゅいいながら並んで歩いていた
「明日はどこ行く〜?」
「食ったそばからお前は まぁ明日は普通に買い食いだな、タダ券とか無いし」
「ちっ」
「てかお前口の周りくらい拭けよ 子供か」
肉のタレで口の周りが汚れまくっている半袖の口を善吉がハンカチを取り出して(屈んで)拭いていく その光景だけ見れば同い年には見えない二人だった
拭く善吉はただの良心、拭かれる半袖は感謝しつつも内心恥ずかしいと思っている
「ねぇ人吉」
「ん?」
「あたし達いつまでこんな関係でいられるのかな?」
「カッ お前にしちゃ変な質問だな 俺たちは都合のいい友達だからそんなもん考えるだけ無駄なんじゃねーの」
「あひゃひゃ☆ 最高な関係だね」
「まったくな」
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人吉善吉と不知火半袖オンリーの話です 作者は恋愛好きなので書きたかったんだ | ||
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