ストライクウィッチーズの世界へ〜(とある傭兵と戦闘機)第四話 |
朝起きたばかりで寝ぼけながら食堂に入ったら厨房に二人の人影があった
「「おはようございます〜」」
その人影とは新人ふたり、芳佳とリーネだった
「朝飯くださ〜ふぁぁ」
朝食を注文するが、いかんせん疲れがとれていないようだ
そのせいで、ヤバイくらい眠い
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫〜ふぁ・・・」
いつもならベットでぐっすりすやすやおやすみタイムなのに朝は起床の合図とともに起きなければならないのだ
なぜなら昨日ーーー
「サイファーさん、この基地で生活するならこの基地のルールに従ってもらいます」
「了解〜」
なにやら執務室に呼ばれた俺を待っていたのは、501部隊の隊規とやらの冊子だった
「この資料にあることを必ず守ってください。でないと・・・」
ゾクッ
背筋を冷たいナニカが駆け上がる
思わず肩を竦めてしまった俺は決して悪くはなハズだ
俺の体が本能的に危険を察知してしまったようだ
「きつ〜いお仕置きが待っていますからね・・・」
「りょ・・・了解・・・」
中佐の笑顔はなぜかドス黒い雰囲気を醸し出していてこっちは硬直するしかない
「・・・ふっ、冗談よ」
ニッコリと笑いながらミーナ中佐はそんなことを言うが・・・
すみませんあなたの笑顔はなぜか怖いです、あとさっきの寒気は何だったんですか?
「とりあえず、軍規は守ってくださいね」
そう言い残すと彼女はさっさと部屋に戻って行ってしまった
つまり軍規は絶対だということが分かるのだが・・・
「・・・うっ!?」
たまにあの笑顔を思い出しては全身に鳥肌が立つ
「はい、朝食です・・・どうかしました?」
「いや、何でもない・・・」
そう言って何とか誤魔化した俺はテーブルの方に向かった
そしていつもより贅沢な朝食にありつこうとすると、厨房から話し声が聞こえてきた
「軍の人が一人の子供を守るために出動したんだって」
「へ〜すごいね、何か感動しちゃうね」
「そう、たった一人の為に・・・だよ」
「でもまず一人から守れなかったら、皆を守るなんて無理だもんね〜」
二人はそんな話をしていた
俺も同感だ、まずは一人からでも守ることをしないと大勢の人を守ることは出来ないだろう・・・
そもそも、軍のあるべき理由が違うのだ・・・向こうの世界の軍隊はそんな事では動かない
そんなことを考えてると
「皆を守る・・・そんなこと、夢物語だ」
水を挿すような声が聞こえた
「え、何か言いました・・・?」
芳佳が質問すると彼女は黙ってテーブルの方へ足を運んだ
何なんだ・・・一体
ああいう奴は部隊の結束を乱す要因になる、そして何よりその雰囲気が気に食わない
俺は食事を早々に済ませると部屋の方に戻った
「やることないな・・・」
今日は非番なので一日中自由行動ができる
「前にミーナ中佐から風呂の使用許可が出たことだし・・・行くか」
着替えと入浴にいるものをもって廊下に出る
「あれ、サイファーさんもお風呂ですか?」
「私達もなんです」
すると芳佳とリーネがちょうど風呂に行こうとしていたらしく、入浴用具を持っていた
「ああ、ミーナ中佐から許可をもらったからな」
俺達は三人で風呂に行くことになった
「・・・あいつらと鉢合わせしたくないな」
昨日廊下で話していた二人・・・嫌な予感がするんだよ
そんな不安に身構えながら風呂場に着くとまだ誰も入っていなかったようで
中から水の流れるような音が聞こえる程度に静かだった
「さて・・・入るか」
髪をとめていた紐を外す
「あれ?、サイファーさんそれ・・・」
その髪留めの紐に結び付けてある鉄の板に芳佳は気がついた
「ん?これか・・・ただの思い出の品だ」
鉄の板の正体・・・それは自分の物ではないドッグタグだ
「そうですか・・・って!?」
硬直する芳佳・・・どうした?
「サイファーさん・・・何で・・・」
「芳佳ちゃん・・・?」
二人の目線は俺の胸元を見ていた
ああ、そういうことか
「パイロットスーツ用の下着を着てたからな」
基地以外では拘束具をしておかないと女だという事がバレてしまうからな
それに下着も兼ねてるから、息苦しいのには慣れた
「・・・ニ歳しか違わないはずなのに・・・」
と呟く芳佳はなぜか羨ましそうにこっちを見ていた
「こんなんあっても無くても一緒「サイファーさんっ」」
なぜか本音を言ったらリーネに遮られた
まあそんなこんなで風呂に入る
「やっぱり風呂はいいよな〜」
「本当にそうですね〜」
のほほんと風呂に浸かっていると、脱衣室の方向からドアが開く音と
タタタっと何かが走り寄る音が聞こえてきた
ーーー嫌な予感っ
「させるかっ!!」
「んにゃっ!?」
間一髪湯船に潜り込んでかわす・・・すると頭上をネコのような子供が通過してそのまま湯船に突っ込む
そして湯船に突っ込んだネコ・・・もといルッキーニが浮かぶ前に湯船から上がる
「・・・油断も隙もないのかこの基地は・・・」
俺は脱衣室に行って着替え、さっさと部屋に戻った
バルクホルン視点
私は・・・国を守れなかった・・・
たった一人の妹であるクリスにさえ手が届かなかった・・・
最近入ってきた新人・・・宮藤という名前の少女だ
「あいつ・・・似ている・・・」
外を走っているときの姿・・・どうしてもその姿とクリスが重なって見えてしまう
そして
「あの時クリスを助けてくれた少女・・・」
カールスランド侵攻戦の時、逃げ遅れたクリスを抱きかかえて走り去って行った少女
特徴はジャージ姿に紺色の髪を長く伸ばしていたという事しか覚えていないが・・・
「今、どうしてるんだろうな」
私はその少女に会って礼を言いたかったが、クリスの元にたどり着いた時にはもうその姿は無かった
クリスは今病院にいるが・・・会う気は無い
しかしーーー
「祖国を奪還するまでは・・・妹のことは忘れようと思っていたのに・・・」
新人のそんな姿がどうしてもクリスと重なる・・・
どうあがいても・・・忘れられず思い出してしまう
サイファー視点
風呂からあがった後、俺は芳佳達と洗濯物を干していた
「いや〜やっぱ洗濯はすっきりするな〜」
「手伝ってくれてありがとうございます!!」
「おかげで早く済みました」
「いや、そんなこと無いって」
家事は楽しいからな
なんかこう・・・スカッとするっていうか、よくわからんが気持ちいいのだ
三人で一息ついていると、二つのエンジン音が聞こえてきた
「うわ〜っすご〜い!!」
空にひかれる二つの飛行機雲
「バルクホルン大尉と、ハルトマン中尉ね〜」
「あの人、バルクホルンって名前なんだ・・・」
俺はあの二人に自己紹介を済ませてないから名前を知らないが
二人が描く飛行機雲の軌跡は実力を物語っている
「エースだな・・・」
俺はそう感じて呟いた
ミーナ視点
「バルクホルンの奴・・・ノれてないな・・・」
「ええ、遅れがちね・・・」
二人の曲芸飛行を見た私達は同じことに気がついた
「最近、体調が優れないみたいなの・・・」
「エースが使えないとなると、不安だな。過労で体でも壊したのか?」
「新人の二人が使い物になったとはいえ・・・」
「ああ、バルクホルンなしでは火力が不足する」
トゥルーデは機関銃を二丁装備できるため、瞬間火力はこの部隊随一を誇る
それはネウロイ戦において、彼女一人に先鋒を任せられるぐらいに
だが最近、宮藤さんを目で追うようになってから彼女は体調を崩すようになった
「・・・宮藤か」
「あら、美緒もそう思う?」
やはり同じ考えみたいね
「・・・組ませてみるか」
少し危険だけど、私達は宮藤さんをトゥルーデと組ませることを考えていた
サイファー視点
「あの人・・・」
機体の制御は優れているのだろう、いろいろな曲芸飛行をこなしているから熟練度は高い・・・だが
「あの人達、連携がうまくいってないな・・・」
もう一人の人が速すぎてバルクホルンさんは後ろを追いかけるように見える
「いつもあんな感じなのか・・・?」
俺は心配になり、ミーナ中佐にたずねることにした
テラスに行くと中佐と少佐が同じように二人の曲芸飛行を見ていた
「ミーナ中佐」
「あら、どうしたの?」
「あの、バルクホルンさんなんですけど・・・」
俺は思った事をミーナ中佐に報告する
「アレって・・・いつものことなんでしょうか?」
「・・・・・・・」
黙り込むミーナ中佐・・・やはり何かあるな
「・・・いつもはあんなに動揺なんてしてないの・・・」
ミーナ中佐は俺に話してくれた。彼女のこと・・・祖国のこと
そして・・・彼女の妹さんのこと
「・・・・・・・」
そんなに抱え込んでいるのか・・・彼女は一人で
「その事がずっと気にかかってるみたいなの・・・」
ミーナ中佐は心配そうに俺に話してきた
「・・・なんで」
「・・・え?」
「なんでああいう人は全て自分で抱え込んでしまうんでしょうかね・・・」
近くに・・・こんなに心配してくれる仲間がいるのに・・・
孤独なのは強さなんかじゃない・・・俺は髪留めのドッグタグに触れて思う
そのドッグタグに書かれている名前・・・ Suzune・Sinohara
そう・・・あれは二年前・・・・
私が傭兵になる前・・・まだ空軍に所属していた時代だった
「ジュリエット2、レーダー照射を受けてる!!」
「分かってる。このッ!!」
俺達は今、アメリカ本土を攻撃している所属不明機を迎撃していた
「ジュリエット1 エネミーロック・・・フォックス2!!」
ジュリエット2の後ろの敵にF-16のサイドワインダーを発射する。そして命中
敵機は黒煙を吹き、機体を砕きながら地面に墜ちていった
「サイファーか・・・助かったよ」
「いや、当たり前の事をしたまでだ・・・これで最後のようだな」
今の機体が最後で敵は空域から撤退していった
「何なんだよ・・・あの部隊」
シャワーを浴びながらぼやいてると
「ぼやいても仕方ないよ・・・」
隣のシャワールームからジュリエット2が話しかけてきた
「でもあの部隊・・・東側の戦闘機ばっかだったぞ?」
「確かに、相手はミグばかりだったね・・・」
そう、あの部隊の戦闘機は全てミグ・・・ある国の主力戦闘機だった
そして、そのある国の動向が最近おかしいのだ
「まさか、ベルカ・・・?」
「憶測はよくないよ、サイファー」
「でも、そうとしか考えれないだろ」
「それでも、ここの空を守るのが任務なんだから」
「お前よくそんなに割り切れるな、鈴音」
「だって任務なんだもの、私達にはそれしかないわ・・・」
鈴音はそう言ってシャワールームを出て行った
シャワーを浴びた俺達を待っていたのは作戦ブリーフィングだった
それは、敵増援部隊を迎撃するというシンプルなもの・・・だが
「敵の増援に対してこちらの数が少ないわね・・・」
そう、前回の戦闘でこちらの戦力は半分以下になってしまった。しかも
「フランカーの部隊か・・・厄介だな」
相手にはこちらの主力戦闘機F-16よりも戦闘能力が高いSu-27が我々以上の数いることが分かる
「この作戦・・・成功する確率は・・・?」
「多く見積もっても・・・10%ほどね・・・」
低い・・・こっちはもう壊滅状態だっていうのに増援も期待できない
「でも、やるしかないのよね・・・」
そう、これが俺達の任務だ・・・命に代えてでも、この国の空を守る事
俺は作戦資料を持って部屋を出た
「相手は多数のスホーイ、こっちは少数のF-16・・・」
どう考えても死にに行くようなものだ。と、ため息をついていると
「緊急事態、レーダーに敵増援部隊の接近を確認、パイロットは緊急発進してください。繰り返す」
どうやら敵のお出ましみたいだ・・・
急いでハンガーに行くと
鈴音「早くしてっ!!」
と鈴音がパイロットスーツに着替えていた
すぐに俺もパイロットスーツを着てハンガーに向かっていると鈴音がドッグタグを落とした
「鈴音!!タグ落としたぞ!!」
「そんな暇ないわッ!!任務が終わったら返して!!」
そう言って鈴音はコックピットに滑り込む
「ジュリエット2、テイクオフ!!」
「ジュリエット1、テイクオフ!!」
そして空に上がる俺達、するとすぐにコックピット内にミサイルアラートが鳴り響く
「ジュリエット1、ブレイク、ブレイク!!」
ミサイルを急旋回で避ける
そして敵の背後を取って機銃を掃射する
「ジュリエット1、敵機撃墜!!」
「駄目だ、避けられな・・・うわぁぁぁぁぁ!!」
無線と共にIFFから反応が一つ消える
「くっ!!ロメオ2、反応消失っ!!」
「脱出は!?」
「確認できず・・・」
「くそっ・・・」
戦闘が始まって5分、敵は4機、味方は鈴音だけとなってしまった
「畜生、ミサイル残弾数・・・2!!」
「こっちも残り・・・2!!」
敗色濃厚・・・だが
「やるしかない・・・行くぞ鈴音!!」
やるしかない・・・俺達には
「了解っ!!」
俺達は敵機に機体を向ける
「ヘッドオンしてのミサイル同時発射だ・・・絶対外すな!!」
敵の真正面から突っ込む・・・そして
「今だ、フォックス2!!」
ミサイルが、俺と後方の機体から放たれ、それは全て敵に命中した
敵増援部隊は全滅した・・・だが
「エンジンがっ・・・」
すれ違いざまに敵の放った機銃の一発が、鈴音の機体のエンジンに当たっていた
どんどん高度が下がっていく鈴音の機体
「ッ!!鈴音ッ!!」
「・・・どうやらここまでみたいね・・・私・・・」
無線からが聞こえた
「諦めるなッ!!ベイルアウトしろッ!!」
「そうしたいんだけど・・・故障したみたいなの・・・」
諦めたような声が聞こえる・・・嫌だ・・・そんな
「・・・サイファー・・・」
鈴音が話しかけてくる
その声は震えていて、苦しそうに、そして重く私に響く
「・・・あなたかわいいんだから・・・もっと女の子らしく・・・」
涙声で聞こえてくる鈴音の声
「生きて・・・・」
その言葉が聞耳に届いた瞬間、一瞬の大きなノイズと共にレーダーから全ての反応が消失した
耳に入るのは、操縦席の機器が絶えず出し続ける音だけになった
「鈴音ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
悲痛な彼女の叫びが、狭いコックピット内に響く・・・
それから二年・・・彼女の髪留めには鈴音のドッグタグが結んであり
それは元寮機の生きた証だということと、二度と同じ過ちを繰り返さないという誓いでもあった
次の日、飛行訓練はロッテ(二人組み)で行われることになった
しかし訓練中の基地に警報が鳴り響いた
「敵襲ーーーーッ!!」
「マジかよ・・・」
俺の機体は整備中で出られない。今回は彼女達に任せるしかないだろう
次々に迎撃に向かう少女達
「今回は見守るだけだな・・・」
俺が機体の整備をしていると
「あなたはこれで出てください」
ミーナ中佐の目の前には一機のレシプロ機があった
「開発段階の扶桑の零式艦上戦闘機です」
それは訓練参加用にと俺に用意された物だった
日本が誇っていた・・・世界トップクラスの戦闘機
通称ーーー”ゼロ・ファイター”
徹底的に軽量化の限りを尽くされた機体と操縦系統が生み出す機動性能は
格闘戦では圧倒的なアドバンテージを生み出していた
そして、驚くべき性能はその機動性ともう一つ・・・燃費
同時代に開発された戦闘機は空戦を行うとフルで二時間でビンゴになるのに対して
ゼロファイターは空戦を行ってなお且つ十二時間の飛行が可能だった・・・・らしい
「これで戦えるんですか?」
確か話によればこの機体に機銃は搭載されておらず、極限まで軽量化をした練習機のはずだ
戦闘なんてとてもじゃないが参加できない
「戦わなくてもいいわ。ただ、私達の戦闘を見てほしいの」
中佐曰く、何とどう戦うのかを見てくれというだけだったようだ
「それと、この機体の主翼下には私達の武器が引っ掛けてあるの」
よく見ると増槽の他に、翼に吊り下げる形で様々な銃器が引っ掛けてあった
と言う事はつまり・・・
「俺は弾薬輸送機ですね」
所謂”補給機”仕様らしい
「分かってくれましたね・・・では行きましょう」
俺はこのレシプロ機で出撃することになった
俺が戦闘空域に着いたときにはすでに猛烈な戦闘が始まっていた
「おお〜これがストライカーの力か・・・」
敵の周りを大きく旋回しながら感想をもらす
あのストライカーユニットというものは足に装着するもので
魔法力と呼ばれるエネルギーによって稼動する空を飛ぶ魔女の箒なのだという
「バルクホルン!!、前へ出すぎだ!!」
と、バルクホルンさんは敵の表面スレスレを飛行しながら攻撃を加えている
だが寮機の人が、彼女の無茶な動きについていけていなかった
「っ!!」
その姿は、昔の自分を彷彿とさせるものであったが
最悪の事態はその後すぐに訪れた
「くッ!!」
金髪の子供がシールドを張って敵のビームを防ぐが、その衝撃で体が流されて
「ぐっ!?」
「きゃあっ!!」
バルクホルンさんとペリーヌの二人が空中接触を起こした
敵はビームをバランスを崩したバルクホルンに向かって放った
とっさにシールドを張るが、敵の攻撃は防御が間に合わなかった左手の機関銃に直撃し機関銃を誘爆させた
「ぐあぁッ!!」
彼女は機関銃の誘爆に巻き込まれ、さら地に向かって落下し始めた
「バルクホルンさんっ!!」
「チィッ、間に合えッ!!」
俺は急降下してバルクホルンさんを追う
間一髪、ぎりぎりのところでバルクホルンさんを主翼の上に乗せることに成功した
そしてさら地に着陸してバルクホルンさんの容態を確認する
「出血がひどい・・・このままじゃまずい」
胸部に機関銃の破片が深く刺さっていた
下手に抜いたら出血多量でアウトだ・・・クソっどうすればいい
「サイファーさん、バルクホルンさんはっ!?」
「すぐに手当てが必要だ!!」
「私がやりますッ!!」
そして芳佳が手をかざすとバルクホルンさんの体を光が包み込んだ
「これは・・・破片を引き抜くぞ!!」
「はいッ」
破片を強く握り、一瞬力を入れて瞬時に引き抜く
「・・・うッ・・がっ!!
するとバルクホルンさんは苦しそうに目を覚ました
「・・・私にかまうなッ・・・」
腹から苦しそうに声をだすバルクホルンさん
さてと・・・
「いい加減にしろよ。この堅物軍人が」
「サイファーさん!?」
芳佳が止めようとしてくるが・・・関係ない
「・・・貴様に何が分かるッ・・・」
反論してこようとするが・・・知ったことか
「単刀直入に、あんたは自分と同じ苦しみを仲間に味あわせる気か?」
「!?」
「あんたは確かに強いよ・・・でもな・・・あんたは独りで全て解決できるか?」
「ッ!!」
「できるわけないよな・・・一匹狼は強さなんかじゃないんだからな」
黙り込む彼女
「確かに俺は卑怯者だよ・・・俺は戦闘で何回も仲間を見殺しにしてきたんだからな」
「!?」
「ッ!?」
「でもな・・・それでも俺は、目の前で自分と同じ過ちが繰り返されるのをただ黙って見てることなんかでき
ないんだ!!同じ苦しみをお前らに味わってほしくないんだ」
「・・・サイファーさん・・・」
「・・・・・・」
涙目になりながら俺は気持ちをすべて話す
「仲間は・・・家族だろ・・・・」
もうだめだ・・・話ができない・・
あの時・・・仲間を一度に失った
俺が知る食堂で騒ぐ仲間ももう居ない
何度考えても・・・もう・・・戻る事はない
「仲間・・・か・・・」
俺が俯いて涙を拭っていると、バルクホルンさんは立ち上がった
芳佳は魔法力の使いすぎで倒れていた
「サイファー、迷惑かけたな・・・」
泣いてる目をこすりながら前を見るとストライカーに乗ったエースの姿があった
「バルクホルンさん」
「泣くな、宮藤を頼む・・・あとこれを借りるぞ」
バルクホルンさんは零戦につけられていたMG42を持つと再び空に戻った
一直線、機関銃二挺が弾丸を吐き出し続ける
そして、ネウロイは部隊エースの火力によって白い破片となった
「久々に泣いちまったなぁ・・・」
基地に芳佳を運んだあと、俺は他のメンバーが帰ってくるのを待っていた
「やばい・・・超恥ずかしい・・・」
人前で泣くということは今まで無かったためすごく恥ずかしい
俺らしくもないな・・・・
「サイファーさん・・・」
芳佳が起きてきた・・・まさか聞いてないよな・・・
「ん?なんだい・・・?」
「いや・・・泣いてるサイファーさんって想像できなかったから・・・」
畜生っ、てことは芳佳も聞いていたんだろうな・・・あの話
「忘れてくれ・・・」
そういっているとエンジン音が聞こえてきた
どうやら残りのメンバーが帰ってきたみたいだ
「あ、帰ってきた。お〜いっ!!」
「お帰りなさ〜いっ」
帰ってきたメンバーに手を振っていると
「宮藤ぃ〜サイファ〜」
後ろから抱きつかれた
「トゥルーデを助けてくれてありがとうっ」
「そういえば自己紹介がまだでしたね」
「そっか。私は エーリカ・ハルトマン 階級は中尉だよ〜」
「サイファーだ。よろしくな〜」
「サイファー、ありがとう!!」
「トゥルーデも確か自己紹介まだだったよね」
「ああ、ゲルトルード・バルクホルン大尉だ よろしく」
「よろしく」
こうして、501の部隊の全ての人に自己紹介を終えた俺は疲労のため
ベットに倒れこんだのだった
説明 | ||
とある傭兵はその日、基地に着陸しようとした時、急に意識を失ってしまい・・・管制塔もレーダーから傭兵を見失ってしまう。そして傭兵は人々が人ではない物と戦う世界へ?その最前線を守る少女達と出会い、その戦いは傭兵を否応なしに巻き込んでいく・・・はたして傭兵の運命は? にじファンからの転載になります H25 6/15 改稿完了 |
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