リリカルとマジカルの全力全壊  無印編 第八話 ふぁーすと・いんぱくと
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前回までのあらすじ〜。

高町なのはは私立聖祥大付属小学校に通う小学3年生、高町家においては3人兄弟の末っ子さんである。

 数年前、愉快型魔術礼装・カレイドステッキに(不幸にも)|出会い(めをつけられ)、魔術師を目指すことになった少女!!

 ルビーにからかわれ、玩具にされながらもご町内の魔女っ娘として日々がんばるなのは。

 しかも彼女の数奇な運命はそれだけに留まらず、成り行きもあって|危険物(ジュエルシード)の回収に手を貸す事になってしまった。

 そして今、なのはの前に新たなる魔法少女が姿を現す!!

「・・・ジュエルシードを渡してください」

 金の髪と黒のマントを風になびかせ、冷めた目ではなのはたちを見下ろして来る少女!!

 ジュエルシードを求める新たなる魔導師の登場に警戒するなのは、ユーノ、レイジングハート・・・風雲急を告げる物語!!

 そしてそのとき我等がルビーは!?

『ええ〜?金髪にツインテール、黒い拘束具みたいな衣装なのにヤミちゃんのコスプレじゃないんですか!?』

「何でそこで裏切られたみたいな声を出すのか理解できないの」

『なんてこったい!!』

 どう考えても二話に渡って引っ張るようなネタじゃないはずのものを無理やり引っ張っていた!!!!

『世間様に迷惑をかけず、部屋から出て人気のない所で思う存分厨二な台詞をはいたり、なりきって楽しむような|剛の者(コスプレイヤー)に会えたと思っていたのに!?』

 ・・・会ってどうする?

 皆がそう思った。

 誰もルビーがコスプレイヤーに会った後のことが予想できない。

 ドンだけショックだったのか、ヨヨヨと泣き声に合わせるように急降下するルビー・・・。

『ルビーちゃん|復活(リボーン)!!』

 そこからギュンと急上昇して戻ってきた。

 意外に打たれ強いらしい。 

 あるいは立ち直りが早いのか?

『そこの貴女!?』

「は、はい?」

 びしっと言う擬音と共にルビーに呼ばれた少女が思わず身をすくませた。

 どうもいきなりの展開・・・っというかルビーの奇行があまりにも予想外すぎて面食らっているようだ。

 まあ、ルビーの異常性に即時対応できるのは桃子か忍位の者なので、これはむしろ彼女が正常であることの証明だろう。

 なのは達のそれは単純な慣れである。

『アナタノオナマエナンデスカ?』

「・・・こ、答える理由がない」

 必死に感情を殺した言葉と共に、彼女は杖を向けてくる。

 だが、ルビーはそんなに甘くない。

 戦闘準備を整えている少女に構わず、なのはを振り返った。

『聞きましたかなのはちゃん?やっぱりあの子クーデレですよ?あの萌えっ娘をぜひデレさせましょう』

「デレさせるって・・・」

 またとんでもない事を言い出したものだ。

 そもそもデレさせるって誰に対して?

 まさか唯でさえすずかのことで頭の痛いなのはじゃあるまいな?・・・ルビーのことだから平然とYesと答えかねない。

「それにクーデレ?ツンデレじゃなくて?」

『それはクギミーのポジションでしょう?』

「誰?」

『ああ、良く考えれば男っ気がないのに|Toらぶ(ラブコメ)る要素なんて必要ないですよね〜』

 ・・・まだそのネタを引っ張るつもりか?

「異議あり!ココ、ココ!!僕は雄と書いて男ですよ!!」

 ユーノが珍しく自己主張している。

 存在感が希薄になりすぎて空気になりかけているというのに、このまま男という事まで無視されては立つ瀬があるまい。

 というよりユーノも結構ルビーのペースに慣れてきたな・・・。

『ほほう、ではユーノ君は男としてあの子の胸、あの子のふともも、あの子のふくらはぎに興味があるんですね〜!!漢の子ですもんね〜!!』

 彼女のバリアジャケットは水着のようなデザインで体にぴったりフィットしている。

 当然、胸も太股も足もラインがはっきり確認できるわけで・・・一体誰がデザインしたのだろう?

 本人が考えたのだとすれば、少々彼女の見方を変えねばなるまい。

「いや、そこまで露骨には・・・」

「ひっ!!」

 無いと言いかけて、ユーノが少女を見上げると、彼女が小動物チックな悲鳴を上げた。

 両手で自分の身を抱いて、更にマントを巻きつけて顔を真っ赤にしている。

 どうも乙女の本能が危機を感じたようだ・・・彼女が何を想像したのか知らないが、見ただけで怯えられたユーノは男として地味にショックだ。

 そんなに危険な男に見えるのか…今はフェレットだけど、ついでに言うと背後でなのはが白い目で見ているのでこれも怖い。

『でも〜ユーノ君くらいの歳でそんな事を考えるのはただのマセガキですけどね〜』

「うぼあ!!楽しい!?僕をからかって楽しいの!?」

『ええ、とっても』

「ちくしょー!!」

 一片のかげりもない答えにユーノが悶絶する。

 ルビーに人間と同じ表情があったら、きっととっても綺麗な笑みを浮かべていただろう。

 免罪符をちらつかせて叩き落す・・・何処までもいじられるユーノと、男相手には何処までも厳しいルビーであった。

 ・・・取りあえずユーノは味方のはずのルビーのせいで撃沈と・・・気を取り直して未だにルビーのターン。

『それじゃー改めましてこんにちわ〜クーデレなコスプレイヤーの魔導師さん?』

「く、クーデレ?コスプレイヤー?」

『あるいは金髪ロリータ拘束具フェチのお嬢さん?』

「フェイト!フェイト・テスタロッサです!!」

 このままでは妙な名前を定着させられると危機感を感じたらしい少女=フェイト・テスタロッサが自分の名を名乗った。

 クーデレでコスプレイヤーな魔導師・・・金髪ロリータ拘束具フェチ・・・会う度にそんな呼ばれ方されたら実に鬱だ。

『イェーイ、なのはちゃん、彼女の真名GETしました〜』

「ル、ルビーちゃん、その聞き出し方はちょっと卑怯じゃないかなと思うなの!?」

 尤もである。

 乗せられたことに気づいたフェイトが真っ赤になってあうあうと反論しようとしているが、うまく声が出てこないらしい。

 アドリブに弱いのだろうか?

 あるいは押しに弱いのか?

 相手がルビーという時点でかなり不利なのは当たり前だが・・・ちなみに涙目。

『猫さんの関係者です?』

「猫?何の事?」

『別口ですか・・・』

 ルビーにしか解らない事を言われ、全員が?マークを浮かべるが、我が道を行くルビーは説明不足でも気にしない。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

(こ、この人達何か変!?)

 状況に流されているのを自覚しながら、フェイト・テスタロッサは困っていた。

 とある理由から半ば箱入りで育ってきた彼女だが、その彼女から見ても目の前にいる人達は変だった。

 この世界に散らばったジュエルシードを集めるためにきたのに、その最初から躓いてしまったのを認めないわけにはいかない。

 とんでもない相手とエンカウントしてしまった。

 特に宙に浮かんでいる杖が・・・濃すぎる。

 この世界でフェイトより先にジュエルシードの回収をしていた栗色の髪の少女・・・彼女のデバイスらしきそれ・・・最初は珍しいインテリジェントデバイスだと思ったがそれだけだった。

 言葉を話すデバイスなら自分のバルディッシュも同じなので、別に驚くほどのものではない。

 だが・・・それは大いなる勘違いだったと今なら分かる。

「と、とにかくジュエルシードはいただきます!!」

『じゃあジュエルシードはあげますからルビーちゃんの嫁になってもらいます!!』

 何故かいきなりカウンターでプロポーズされ・・・フェイトはがっくりと脱力した。

 何を言っても話が通じないのはこんなにも精神を疲弊させるものなのだと初めて知る。

 視線の先で『これでフェイトちゃんはルビーちゃんの嫁ですよ〜』と喜びのダンスを踊っている杖を見ると疲労が倍増する気がするのは気のせいじゃあるまい。

 傍で「何言ってるんだよ!?ジュエルシードはとっても危険な物なんだ!!」と言っているフェレット・・・がんばって!!

 頼りになる使い魔も連れて来ていたが、彼女はこの世界での拠点を確保するために動いているのでこの場にはつれてきていない。

 つまり、この状況はフェイト一人で切り抜けなければならないのだが・・・正直、無理じゃないかな〜と思い始めている。

「・・・え?」

 

 なぜか視界の隅で、杖のマスターらしい少女・・・たしかなのはと呼ばれていた少女が杖に近づくのが気になった。

 ハイライトの消えた瞳でうっすらと笑い、杖に手をかける。

「ルビーちゃん?」

『え?なのはちゃん?』

「お話が進まないからあの子とOHANASIしてきてなの」

「ええええ!?」

 驚きの悲鳴はフェイトのものだった。

 フェイトに見ている前で、なのはがルビーを投げたのだ。

 しかもその先にいるルビーのOHANASI相手とは・・・。

『猫さんリターン!?』

「にゃー!!」

 バインドを解かれ、ルビーが戻ってきたことで喜びの悲鳴を上げる子猫だった。

『なのはちゃんは悪魔ですね!!』

「あくまでも良いよ。悪魔らしいやり方でお話ししているから子猫さんを宜しく」

『のおおおお!!きつい、なのはちゃんの突っ込みがきついいいい!!』

「にゃ〜〜〜ん」

『って言うか本格的にだれかたすけてくださーい!!』

 そしてルビーが捕まって悪夢再び。

「あ・・・ああ・・・」

 一部始終を見ていることしか出来なかったフェイトが唖然とする。

(か、母さん!!外の世界には怖い人達が一杯です!!)

 いくら大丈夫とわかっていても、仲間(?)を解き放たれた獣・・・あながち間違いじゃない・・・の目の前に話の邪魔だからと放り投げるというのは人として何か間違っているのではないか?

「にゃーーー!!]

『あっはー!!さいっこうにハイって奴みたいですね子猫チャーーーン!!』

 子猫の玩具になって叫んでいるルビーを見ながら、フェイトはガクブル震えていた。

 まあ、箱入り娘には少々刺激が強い光景なのは間違いない。

 だから・・・気づけなかったとしてもそれはきっと仕方のないことだったのだ。

「これでゆっくり話せるね?」

「っつ!!」

 背後、すぐ近くで声がした。

 あわてて振り返ったところにいたのは、やはり彼女・・・なのはだった。

「フェイトちゃんって呼んでいいかな?」

 なのはの靴に飛行魔法の小さな翼がある。

 迂闊だった…フェイトがルビーに気をとられていた間に、この場所まで飛んできていたようだ。

 魔法を発動させるにしても近すぎる。

 ニコニコ笑っているその顔を見た瞬間、フェイトは金縛りになった。

「あ・・・あの・・・」

「ごめんなさいなの!!」

「・・・え?」

 そろそろ死の覚悟を決め始めたところで、いきなり頭を下げて謝られた。

「ルビーちゃんが調子に乗っちゃって・・・で、でもねあんなルビーちゃんでもいいところはあるの」

 あたふたとルビーを庇うなのはを見て・・・フェイトの思考が停止したのもきっと仕方がない事だろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 読心術など出来ないなのはは内心冷や汗だらだらだった。

 なのはとルビーのやり取りではあの程度はまだ普通なのだが、(ルビーと関わるという意味で)素人さんには思いっきり刺激が強かっただろう。

 事実、目の前で彼女は硬直している。

 自分も少なからずその一端を担った自覚がないのが(ルビーとの関係が)玄人の証拠だ。

「あ、あのね・・・なのは・・・貴女とお話したいの」

「話?」

 まだ表情が硬いし、恐る恐るでもあるが、それでも何とか反応してくれた事に少しほっとする。

「なんでジュエルシードを探しているの?あれはとっても危ないものなんだよ?」

「貴女には・・・関係ない」

 にべもない。

 ルビーの言ったクーデレという言葉を思い出すが消去した。

「・・・言っても多分、意味が無い」

「そ、そんなことないよ。話してくれれば手伝えることだって「バルディッシュ・・・フォトンランサー・フルオートファイア!!」っつ!?」

『Photon Lancer』

 なのはを無視して、フェイトはバルディッシュを砲撃モードにする。

 バルディッシュの先端に、フェイトの髪の色と同じ黄金の魔方陣が展開され、稲光のような光があふれ、帯電のような雷がフェイトを包む。

「まって、猫さんが!!」

「・・・封印するだけ、ちょっと痛いかもしれないけど・・・仕方ない」

 それでもなのはは不安に駆られて何か言おうとするが、それより早くフェイトの魔法が解き放たれた。

「え?」

「そんな!?」

『Why?』

 しかし、封印の力を持ったフェイトの稲妻は猫の目の前ではじかれる。

「ふ、防がれた!?」

「な、なんで唯の猫が・・・ってあれ?」

 良く見れば、猫の寸前でフェイトの放った魔法を受け止めている何かがある。

 なのはが目を凝らしてみると、どうにも見慣れたシルエットが浮かんできた。

『あっはっははははははぁ〜〜〜!!』

 なのはの中で何かがビキリッと音を立てる。

『やらせはせん、やらせはせんぞ!!』

「にゃーーーー!!」

 ここぞとばかりに、魔術式の障壁でドズルごっこをしていたのはルビーだ。

 どうも二度の|子猫の相手(せいめいのきき)でルビー自身、相当にハイになっているらしい。

 子猫がとっても嬉しそう。

 それを見たなのはの中で何かが切れた。

「ルビーちゃん、調子に乗りすぎなの!!」

『姉さん、お仕置きです』

 一瞬でレイジングハートが砲撃モードに組み変わる。

 感情に反応してか、タイムラグ無しでチャージを終えたレイジングハートから、例の砲撃封印が放たれた。

 しかも何時もより極太、色々と物騒で迷惑な封印方法だが、この場においては実に都合が良い。

 何故ならば、ルビーを思いっきり吹き飛ばせるから!!

『くっ、だがしかし!ここでルビーちゃんが敗れてもすぐに第二第三の「うるさいなの!!」サーセン!!』

 フェイトの魔力と重なったなのはの砲撃は、ルビーの障壁を一気に破壊した。

 子猫から封印状態のジュエルシードが飛び出し、気を失ったらしい子猫の体が縮んで行く。

「バルディッシュ」

『Yes.sir・・・Blitz Action』

「あ、フェイトちゃん?」

 魔法を発動させたフェイトが一瞬で移動して、ジュエルシードをその手に掴む。

 砲撃の残心中のなのはと廃熱中のレイジングハート はそれに反応できない。

「・・・ごめんね、もう私の前に現れないで」

 唯その一言だけを残しフェイトはまったく速度を緩めずに飛び去っていく、ほんの数秒で姿が見えなくなった・・・これはもう追いつけないだろう。

 スピードに関してはなのはよりフェイトのほうが数段上のようだ。

「フェイトちゃん・・・」

『大丈夫ですよなのはちゃん、二人の初めての共同作業に成功したんですから、雨降って地固まる。ゆっくり友情を育んで行きましょう』

「ルビーちゃん・・・」

 いつの間にか、なのはの隣にルビーが浮いていた。

 流石に少し焦げたようになっている。

 しかも、アフロの鬘をかぶるという念のいりように・・・シリアスが台無しだ。

「ねえ・・・ルビーちゃん?私もっと強くなれるかな?」

『何故、力を求めるんです?』

「・・・あの子、淋しそうな顔してた。きっと、何かあるんだよ」

『ふむ・・・』

「でも、今のなのはじゃ勝てないかもしれない」

 だから強くなりたいのだとなのはは言う。

『なのはちゃんには、フェイトちゃんはどんな風に見えたんです?』

「・・・今にも泣きたいのに我慢している。そんな風に・・・でも今のままじゃお話できないかもしれない」

 だから力が欲しいとなのはは言う。

「私・・・あの子とお話したいの」

『なのはちゃん・・・私は誓いましたよ?なのはちゃんが|涙を止める者(なのはちゃん)である限り、ルビーちゃんはなのはちゃんと一緒ですよぉ〜』

「ありがとうルビーちゃん。それとね・・・」

 おや?なのはの目が半眼になっている。

「最後だけ綺麗に納めようとしても、そうは問屋がおろさないなの。あとで色々OHANASIするの」

『・・・サーセン、お手柔らかにお願いします』

 ちなみに、近くにいた癖に灰になったまま本当に役に立たなかった恭也は士郎と美由希から一方的に高町家伝統のOHANASIされた。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 そして、月村邸からの帰り道での事。

 なのは達は何時の間にか無人の町に立っていた。

「お前は危険だ」

「ここで排除しておく」

 前後を仮面をつけた青年に挟まれて・・・。

 

説明
リリカルなのはに、Fateのある者、物?がやってきます。 自重?ははは、何を言ってるんだい? あいつの辞書にそんなものあるわけないだろう? だって奴は・・・。 ネタ多し、むしろネタばかり、基本ギャグ
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