リリカルとマジカルの全力全壊 無印編 第十四話 女の子の初恋の相手は大抵父親である
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 その日、海鳴にある高層マンションの屋上に二人分の人影があった。

 フェイトとアルフ…彼女たちの足元には、光る魔法陣が存在している。

 ここに、彼女たち以外の魔導師がいれば、魔法陣の公式を転移系のものだと見て取るだろう。

「バルディッシュ、座標設定をお願い」

『お任せください。マスター…やぁーってやりますよ』

「そ、そう…がんばってね」

 フェイトは、このバルディッシュの変化にはなれないな〜と思う。

 人格プログラムも魔法プログラムも何もいじられてはいない。

 原因は、ルビーの孔明の罠と言うかなんというか…。

 あの温泉の後、返されたバルディッシュを、フェイトは真っ先に調べた。

 改造されていないかとか、壊れていないかとか…結果は問題なし、何もいじられていなかったし、ジュエルシードもバルディッシュの中に保管されたままだった。

 唯一…バルディッシュのメモリーの隅に圧縮ファイルがひとつ増えていただけだ。

 まさかウイルスか?と、慎重に解凍してみたら、中身は大量のマンガのデータ…おかげであの無口なバルディッシュが饒舌になったものだ。

 ちなみに、フェイトとアルフも嵌ってしまい、メリメリ読みふけってしまった。

「ねえバルディッシュ?なんで英語だったのが日本語になっているの?」

『英語だと台詞をマネられないからですが、なにか?』

 英語を日本語に翻訳すると内容が微妙に違ってしまうから、日本語の台詞は日本語でやらなければならないと、バルディッシュは言う。

『お聞き苦しいなら止めますが?』

「別にかまわないけど…」

 魔法は問題なく発動できるし、バルディッシュは言う事を聞く。

 何も問題はない。

 問題はないのだが…そこにあのルビーが関わっているので不安なのだ。

 とはいえ、いまさらどうにもする事は出来ない。

 人格プログラムと言うのはデリケートなもので、設定が難しい。

 プログラムを弄るにしても、記録を修正するにしても一日じゃ終わらない。

 ジュエルシードを集めなければいけない現状、そんな長い時間デバイスをメンテナンスしていたら、先を越されてしまう。

 DVD付きテレビのDVDが故障して修理に出したら、テレビまで見れなくなると言えば分りやすいだろうか?

「フェイト、準備できたよ?」

「ありがとうアルフ」

 転移魔法の準備ができたようだ。

 バルディッシュに記録させた座標を組み込み、発動させると、魔法陣から光が空に向かって放たれ、フェイトとアルフを転移させる。

 次の瞬間には、フェイト達は次元世界の挟間にある空間に浮かぶ巨大な島…時の庭園の原っぱに立っていた。

『改めてみると、思わずラピュタはあったんだって言いたくなりますね?』

 バルディッシュの言葉通り、まさにそんな感じの場所だった。

 彼の引き出しは急速に、しかも順調に増築され続けている。

 魔法の発動時にしかしゃべっていなかった昔がうそのようだ。

 ジャパニメーション…侮りがたし。

「しっかし、プレシアは何でいきなりあたし達を呼び出したんだろ?」

 時の庭園の中心にある城に向かって歩きながら、アルフが疑問を吐く。

「わからない」

 フェイトも本当に分からなかった。

 定期報告のため、時の庭園に一時戻る必要はあったが、それはもう少し後の予定だった。

 おかげで、お土産の一つもなくここに戻ってきてしまったのが引っ掛かる。

 やがて二人は、城の正面玄関を開けて場内に入った。

 勝手知ったるなんとやらで、迷うことなく目的の場所へと向かい、大扉の前にたどりつく。

「…母さん、ただいま帰りました」

 フェイトの言葉に応えたのか、大扉が重い音と共に開く、二人は揃って中に入った。

「何か用かいプレシア?」

 フェイトに母と呼ばれ、アルフにプレシアと呼ばれた人物は、ホールの奥に備え付けられた玉座に座っていた。

 紫のウェーブのかかった髪を長くのばした女性だ。

 桃子達とは方向性の違う、硬質的で理知的な美人…ルビーの言う所の月影先生風なので間違いはないだろう。

「おかえりなさいフェイト」

 プレシアは玉座から立つことすらなく、上から目線で娘を迎えた。

 それにアルフが表情を硬くするが、空気を読んで何も言わない。

 プレシアの方は、最初からアルフを見てはいなかった。

「ジュエルシードは集まっているかしら?」

「そ、それが…」

 フェイトがバルディッシュに命じて、外に出したジュエルシードの数は三つ、それを見たプレシアの顔がわかりやすく歪む。

「たった…三つなの?」

「ご、ごめんなさい」

 三つとはいえ、フェイトが海鳴に降り立ってからまだ数日だ。

 それでこの成果なら、むしろ順調と言っていい。

 それでも、プレシアは満足するには不満のようだが…。

「本当に無様、使えないわね」

「っつ!!」

 フェイトが身をこわばらせる。

「私の娘ともあろう者が…この程度のお使いに手間取るなんて…」

「言いすぎだよプレシア!!フェイトはよくやってる!!あの杖さえ邪魔しなきゃあもっと…」

 アルフの反論に、プレシアの表情が揺らいだ。

 不満そうな顔に、笑みが浮かんだのだ。

「ええ、見ていたわよフェイトが敵とじゃれあっているのはね」

「あ…あんた、見ていたのか!?」

 アルフの表情が、解りやすい怒りの形になる。

「見ていて放っておいたのか!?」

「どうでもいいでしょう?そんな事…それよりフェイト?」

「は、はい」

「お願いがあるの」

 その時のプレシアの浮かべていた顔を、なんと言えば正しく表現できただろうか?

「母さんね、あの杖とお話がしたいの」

「「っつ!!」」

 フェイトとアルフ、二人の息が止まった。

「だからあの杖をここに…」

「この腐れ外道が!!」

「え?」

 言葉を遮られただけでなく、予想もしなかったレベルの罵倒を受けたプレシアが虚を突かれる。

「こ、この犬は…誰に向かって…」

「ただでさえ、面倒なジュエルシードを集める間に、あの厄介者と関わんなきゃなんないって言うのに!!」

「わ、私の娘ならそのくらい…」

「できるかボケ!!何が悲しくてあいつに進んで関わりに行かなきゃならないんだ!!」

「め、命令…」

「だが断る!!」

 取りつく島もない。

 相当に溜まっていたものが、火山のように噴火したようだ。

 ここぞとばかりに不満をぶちまけるアルフは月光蝶…もとい、絶好調である。

「…アルフ」

「でも、フェイト!?」

「黙って…」

 流石に、主人の言葉には逆らえないのかアルフが黙る。

 それを見てほっとしたのは、実はプレシアだ。

 アルフはこの通り激情家で、さっきの通りなら文字通り話にならないが、フェイトは娘と言う事でプレシアの言うことには従う。

「う…」

 しかし、ここでまたプレシアは呻かざるを得なかった。

 何故なら、フェイトが自分を見ている。

 今にも泣きそうになりながら、上目使いで…。

「母さん?」

「な、何かしら?」

「…どうしてもやらなきゃだめですか?」

 その言葉に、思わず駆け寄って頭をなでたりしてやりたくなったのを無理やり自重する。

「そ、そうよ!母さんのお願い!!」

 思わず声が大きくなったが、なんとか許容範囲だろう。

 何か、とんでもなく大事なものを見失いそうになっている気がするが。

「…わかりました」

 そう言って背を向けるフェイトの姿は、迷子の子猫を連想させた。

 …な、何!?何でフェイトにこんなに胸がときめくの!?

「フェ、フェイト?」

「…はい?」

 振り返ったフェイトの目から、ハイライトが消えている。

「そ、そんなに嫌なら無理しなくていいのよ?」

 これにびっくりしたのは、フェイトとアルフだ。

 プレシアが、フェイトにこんなやさしい声をかけたのは初めてかもしれない。

 アルフはプレシアを気味の悪い物を見る目で見るが、逆にフェイトはパアっと花が咲くような笑顔になる。

「ありがとう、母さん。私頑張るよ!!」

「そ、そう?無理はしちゃダメよ?」

「わかった」

 そう言って、スキップしそうな勢いで部屋を出て行くフェイトを見ると、自然に笑みがこぼれる。

「…あんた、何考えてるんだい?」

「……」

 薄っ気味悪そうに言うアルフに、プレシアは何も答える事が出来なかった。

 自分でも本当に何考えているのか分からない。

 アルフがフェイトを追いかけて行くと、再びプレシア一人だけになる。

「う、家のフェイトがこんなに可愛いわけが…あるの?」

 フェイトの萌…順調に成長中。

 ちょっとだけ、運命が変わり始めた瞬間だったかもしれない。

 

――――――――――――

 

『は!来た来た来ましたよー!!』

「ルビーちゃん、来たの!?」

 いきなり緊張したルビーの雰囲気の意味を察したなのはが問う。

『その分だとなのはちゃんもですか!?』

「うん」

 ルビーの返しに、なのはも頷く。

「私も…」

「『すずかちゃんも!?』」

「……」

 一人だけ、無言で静かになったのはユーノだ。

 毛皮の上からでもわかるほどに、だらだらと汗をかいている。

 彼の手は前に伸び、今さっき切った牌の上に置かれている。

『ルビーちゃんの手に無駄ツモはありません。ロンですよ〜』

「ごめんねユーノ君、なのはもロン」

「なのはちゃんと一緒にあがるの、ロン」

「と、トリプルロン!?僕のシュークリームーー!!」

 家族麻雀はユーノのぶっ飛びで終わり。

 ちなみに賭けたのはお金ではない。

 以後、ユーノは三日のおやつ抜きが決定した。

「息抜きって大事だよね〜すずかちゃん?」

「うん、なのはちゃん。私たち魔法も魔術の修行も頑張ってるもん」

『お二人とも、その言い訳っぽいのは誰に向けて言ってるんですか?』

 そしてその夜…なのは、ユーノ、ルビーはジュエルシードを探して街をパトロールしていた。

『は、この魔力は!?』

 なのはとユーノは地道に足を使って探し、ルビーは空の高いところから見下ろして異常を探していたために、“それ“に気がつくのはルビーが一番早かった。

(な、何ですか!?もう僕には出せるものなんてないですよ!?)

 念話でユーノがわけのわからない事をのたまう。

 トリプルロンなどというものを食らった後遺症が抜けていない?

(正気に戻ってユーノ君!!フェイトちゃんの魔力だよ!!)

(はっ!?本当だ。しかもジュエルシードの魔力も感じる!?強制発動させようとしているのか!?大変だ!!)

 ユーノがまともになった後の行動は迅速だった。

「間に合え!!」

 とっさの機転で魔法陣を作り出す。

 術式は封鎖結界、ユーノを中心として展開されたそれは、すんでの所でフェイトとジュエルシードの魔力のある場所を範囲の中に取り込む。

「ほえ〜これが結界っていうものなの?」

 結界初体験の美由希が、全く同じではあるが別のものに置き換わった海鳴の街を見て感心の声を上げた。

「よし、よくやったユーノ!!」

「さすがユーノ君だ」

「そ、それほどでも…」

 例によって、ついてきていた士郎と恭也が絶賛すると、ユーノは言葉はともかく、満更でもないように照れている。

『最近、あの三人って妙に仲が良いですよね?』

「ん、そうかな?」

 ルビーの言葉を、なのははスルーする。

 興味がないらしい。

 それよりもと、今は前だけを見ている。

 空に向かって立ち上る魔力…そこに彼女がいるはずだから…。

「見つけた。ジュエルシード!!」

 たどりついたなのはが見たのは、無尽蔵で無制御の魔力を垂れ流すジュエルシードだ。

 そして、その先に…。

「フェイトちゃん…」

「……」

 アルフを従えたフェイトがいる。

 ビルの上から、なのはを見降ろしてきていた。

「なのは、今はジュエルシードを!!」

「うん!!」

 背後からのユーノの声にこたえると、なのははレイジングハートを構えた。

「レイジングハート!!」

「バルディッシュ!!」

 二人の杖から同時に封印魔法が放たれた。

 桜色の魔力と黄金色の魔力は二人の中間…ジュエルシードでぶつかりあう。

「どちらが早い!?」

 封印されたジュエルシードは、封印した方に向かうはずだ。

 それなのに…。

「動か…ない?」

 ジュエルシードはその場にとどまり続けていた。

 封印は成功したようだが、なのはの方にもフェイトの方にも向かわない。

 二人の魔力が全く同時だったためか?

「…来たんだね?」

「うん、今度はフェイトちゃんのお話を聞かせてもらいたいから」

 なのはに迷いはないようだ。

 温泉で負けた事を、引きずっているようにも見えない。

 むしろ戦闘望むところ!!な顔をしていた。

 これに関しては、フェイトの方にもいくらかは自業自得な部分がある。

「まずは、フェイトちゃんになのはのお名前を呼んでもらうの!!」

 よく考えたら、なのはがフェイトの名前を呼ぶことはあっても、その逆はなかった。

「そ、そう…」

「あり?」

 フェイトの返事に、なのはが肩透かしを食らう。

 てっきりいきなり戦闘になるだろうと…おらワクワクすっぞ…もとい、気を引き締めていたなのはだが…何故この流れでフェイトがもじもじしなければならない?

「フェイト、ガンバ!」

「う、うん…な、なのはさん?」

「は、はい?」

 …いきなり、名前を呼んでもらうという今日の目標を達成してしまったぞ?

「お、お願いがあります!!」

「は、はい!!」

 思わず直立不動になる、何かフェイトの様子がただ事じゃない?

「あ、貴女のデバイスを貸して下さい!!」

『『「「「「へ?」」」」』』

 フェイトの言葉は、なのはだけでなく全員の予想のはるか上を飛んで行った。

 おもわず、デバイスも含めた全員が間抜けな声を上げてしまった。

「あ〜、まあそうだよね?」

 フェイト以外では一人だけ、事情を知っているであろうアルフがさもありなんという顔をする。

「えっと…フェイトちゃん?レイジングハートを持って行かれると困るんだけど?」

『申し訳ありません』

 レイジング・ハートがなくなれば、なのはは魔法を使えなくなるし、ジュエルシードを封印できない。

 それに、レイジングハートの中にはなのはが封印したジュエルシードが格納されているのだ。

「そ、それは分かっています」

 自分が無茶を言っている自覚はあるらしい。

 実にバツの悪そうな顔をしている。

「わ、私が貸してほしいのはもう一つの方です!!」

「もう一つ?」

 全員の視線が、レイジングハートから移動する。

 その視線が交わる場所にいるのは…。

『え?ルビーちゃんですか?』

 どうしようもなく、空飛ぶ能天気だった。

「「「「『…………・ええーーーーー!!!!」」」」』

 一瞬どころかかなり遅れて、驚きの阿鼻叫喚世界が発生した。

「フェ、フェイトちゃん!!頭大丈夫!?」

 思わず、フェイトの正気を心配したなのはに悪気はない…十分失礼かもしれないが、それだけ驚きが凄かったと理解してほしい。

「あ〜えっと、実はですねなのはさん、ルビーに会いたいって言う奴がいて、決してフェイトの本意じゃないんですよ」

「すまない、アルフ君?ちょっと待ってくれ」

 士郎がそう言うと、高町家+2本+一匹が全員集合する。

「どう思う?」

「自分で爆弾を呼び込もうとしている時点で狂っているとしか思えん」

『士郎さんも恭也さんも酷いですね〜?』

「「事実だ」」

 士郎と恭也は正しく現実を見ている。

『この機会に、ルビーちゃんを厄介払いしようとしていませんかぁ〜?』

「「否定はしない」」

 そして素直だった。

「ねえねえユーノ君?ルビーちゃんに会いたい人って誰かな?」

「実態を知らないか相当の物好きかのどっちかだとおもうよ。変人ってことさ」

「それ、私の…母です」

 最後のフェイトの言葉で場が凍る。

 実に気まずくなった空気が針のむしろだ。

 アルフなんか、うつむいたフェイトの横であちゃーな顔をしている。

『ああ、なるほど…例の月影先生ですか〜ルビーちゃんに目をつけるなんてなかなかですね〜』

「は、そうだよみんな!ルビーちゃんはこれでも最高レベルの礼装なんだよ!?フェイトちゃんのお母さんはきっとそれを見抜いたんだよ!!」

「なのは…」

 フェイトが感動で泣きそうになっている。

 戦う前に友情が芽生え始めてる?

『天才と|狂人(バカ)は紙一重って言いますけどね』

「しゃらーっぷ!!ルビーちゃんはだれの味方なの!!」

 …おや?

 今、否定の言葉が混じっていなかったな?

『あえて言うなら自分…じゃない、なのはちゃんの味方ですよ〜』

 どう考えても前半部が本心だろう?

「と、とにかく!そのデバイス?礼装?を渡して下さい!!」

 フェイトがはっきりと自己主張する。

 多少の強引さを手に入れたようだ。

 軽く自棄になっているようにも見えるが。

『う〜ん、せっかくのお誘いですが、ルビーちゃんはなのはちゃんのものなので、なのはちゃんとOHANASIしてください』

「け、けしかけてる!?ルビーちゃん、フェイトちゃんをけしかけてる!?」

「バルディッシュ!?」

「フェイトちゃんもその気にならないでーー!!」

 バルディッシュのパーツが展開し、魔力の鎌を形作る。

 温泉で、なのはに敗北を認めさせた魔力刃だ。

 レイジングハートを握るなのはの手に力がこもる。

『死ぬぜー俺を見たやつは死ぬぜー』

 バルディッシュが見たまんまデュオになっていた。

 それに構わずフェイトは即座に加速する。

 迫るフェイトの魔力刃を、とっさに黒鍵とレイジングハートを十字に構えて受ける…さっき感じた友情は何!?

「フェイトちゃん、落ち着いて、OHANASI…じゃなくてお話しよう!!」

「何をいまさら…貴女は温泉で言った。競い合う事は構わないと」

「確かに言ったけど、ルビーちゃんを賭けてだなんて予想の右斜め上過ぎるよ!!」

 最後のは悲鳴になっていた。

 そして例によって例の如く、二人の戦闘は激化してゆく。

 

―――――――――――――――

 

「あ〜なんか、なのはモチベーションが上がらないみたいだね?」

 初めて魔導師同士の戦いを見る美由希にもわかる。

 放たれる魔力弾や、魔力刃による斬撃、魔法による高速移動とそれ自体はどれも目を見張るものだが、それをやっている本人達が問題だ。

 結構意地になってさっさと終わらせようとしているフェイトと、目を白黒させたまま回避し続けているなのはの構図は、どう見てもグダグダである。

『二人共、私の為に争わないでくださーい!!』

 そして元凶はノリノリだった。

 口ではやめてくれと言っているが、正しく口だけだろう。

 確かに、女ならば一度は自分を巡って争う二人と言うシチュにはあこがれるかもしれないが、これは色々な意味で違うと断言できる。

 本当に、フェイトの母親はなぜこんな奴を連れてこいなどと言ったのだろうか?

 フェイトもかわいそうに…。

「ねえ父さん、恭ちゃん?助けなくていいの?」

「う〜ん、なのはには手出し無用とは言われたが…」

 自分達と同じように、アルフが二人の戦いに手を出さないのは、こちらのというよりなのはの意をくんでくれているからだろう。

 とはいえ、この状況はなのはの望むところではないはず。

 やはり一回、仕切りなおすべきじゃないか?

 問題は、どうやってビルの合間を飛び回る二人を止めるかだが…。

『あり?』

「どうかしたのかい、ルビーちゃん?」

『いえ、ジュエルシードが…』

「何?」

 見れば、封印されてから全くその場を動いていなかったジュエルシードが…。

「何かやばくないかあれ?」

 恭也の言うとおりだった。

 菱形の宝石であるジュエルシードから、脈動するように魔力が漏れ出ている。

「し、しまった!なのはとフェイトの魔力に反応している!!」

 さすが発掘した張本人、ユーノは正しく何が起こっているか見抜いたようだ。

「まずいのか、ユーノ?」

「このままでは…でもまだ間に合います。僕がこの上からもう一つ封印を重ねておきます。何とかこれで…」

 ユーノが言う所の、封印を重ね掛けするためだろう。

 ジュエルシードに向けて手をかざして…。

「あ?」

「い?」

「う?」

「え?」

『お?』

 全員の見ている前で…桜色の流れ弾ならぬ流れ砲撃がジュエルシードに着弾した。

「「「「なのはーーー!!」」」」

『ワオ』

 悲鳴を上げる全員の見ている前で、ジュエルシードの封印が解けた。

 封印にさえぎられていた魔力が膨張し、物理的な風となって、士郎達の体を後方に文字通り吹き飛ばす。

 

――――――――――――――――――――――

 

「え?」

 牽制にはなったディバインバスターが、ジュエルシードにドストライクをかましてしまったのを見たなのはが真っ青になる。

 気分はやっちまったZEだ。

 父や兄や姉が木の葉のように飛んでいる。

「ジュエルシードが!!」

 無秩序に魔力を垂れ流すジュエルシードの姿をみたフェイトが焦る。

 彼女にとっては、ジュエルシードの回収も重要な目的だ。

「フェイト、まずいよ!!」

 危険を感じたアルフが、フェイトのそばに飛んで来た。

 

―――――――――――――――

 

「恭也、無事か!?」

「ああ、美由希も無事だ」

「ユーノ君もゲットしてるよ!」

 さすがは御神剣士と言ったところか、吹き飛ばされはしたが、きっちり受け身を取ってダメージを逃がしていたようだ。

 両の足で立っているだけでなく、ユーノとルビーをしっかり確保しているそこになのはが降りてきた。

「みんな大丈夫!?」

「「「「今大丈夫じゃなくなった(よ)!!」」」」

「ごめんなさーーーい!!」

 今回ばっかりはなのはのせいで、それ以外のだれのせいでもない。

「ユーノ君?」

「は、はい!?」

「|あれ(ジュエルシード)がまずいことになっているのはわかる。結論だけ聞くがこのままでは何が起こる?」

「この世界が消えます!!」

 簡潔すぎて聞き間違いようがない。

 冗談ではなく、いきなり世界の危機だ。

「くっ、止める方法は!?」

「下手に刺激を与えるのは逆効果です!!このまま手を出さなければ安定する可能性も…」

「ちっつ!!」

 士郎が説明を舌打ちで遮った次の瞬間、ユーノは士郎の姿を見失った。

「無茶しちゃいけない!!」

 声にハッとしてみれば、そこに士郎がいた。

 しかも一人ではない。

「は、離して下さい!!」

「暴れないでくれ、何するつもりか知らないけが、あれに近付くなんて無茶だ!!」

 士郎は、フェイトをその腕の中に抱きしめるようにして抱えている。

「このままでは次元震が起きます!!その前に私の魔力で抑え込まないと!!」

 フェイトの言葉で、ユーノにも事情が呑み込めた。

 どうやらフェイトは、暴走しているジュエルシードを無理やり抑え込むつもりだったようだ。

 それに気づいた士郎が彼女を取り押さえたという事だろう。

「無茶だってフェイト」

 使い魔であるアルフも同意見のようだ。

 魔力の有る無しにかかわらず、今のジュエルシードが危険なのは一目見て明らか、何よりジュエルシードを中心に吹き荒れる魔力の風で、近づくことさえ容易ではない。

「悪いがそんな無茶をさせるわけにはいかない」

 フェイトを開放した士郎が、フェイトとジュエルシードの間に立つ。

 フェイトがジュエルシードの下に行くためには、士郎を打倒してゆかなければならない。

「子供の無茶を止めるのは大人の仕事だ」

「そんな事を言っている場合じゃ…魔力を持っていないあなたたちに何ができるっているんです!?私を行かせてください!!」

 フェイトも譲らない。

 士郎が、フェイトの肩に手を置く。

「君の言っていることは確かに正しい。自分を顧みない君の行動は英雄的ですらある」

「なら!!」

「それでも、子供が目の前で危険な事をして傷つくのを、黙って見ていられるわけがないだろう?自分で自分が許せなくなる」

「う…」

 話になっていない。

 理屈が通っていない。

「じ、じゃあどうするって言うんですか!?」

「それは…」

『そんな困った時のルビーちゃんだのみー!!』

「え?」

 …緊張していた空気がぶち壊しになる。

「ルビーちゃんは何とかできるのか?」

『余裕』

 …そう言う事らしい。

「頼む」

『よろこんで〜』

 できると言うならやらせるべきだろう。

 世界がかかっているこの際、不安がないわけじゃないがすがってみる気になった。

 それに相手はルビーだ。

 自分達に出来ない事を平然とやってのける可能性はかなり高い…そこに痺れたり憧れたりするかは別問題だが。

 『行きますよー。たーすーけーてーネコアルクーーーーーー!!!!!』

「「「「「「「え?」」」」」」」

 ルビーの大声と、かなり奇妙な内容にあっけにとられた。

 ネコアルクって誰?

 そのまま1…2…3…何にも起こらない?…そう誰もが思った次の瞬間。

『きましたよ〜!!』

「何が!?」

「誰が!?」

「空だ!!」

「流れ星?」

 見上げれば、空から星が一つ流れ落ちてきた。

「お、おい…あれ、こっちに来ていないか?」

 恭也の言葉に全員が悟り、青くなった。

 流星が丸く見えて、しかも大きくなっているという事は、それ以外考えられない。

「避けろ!!」

 誰の言葉かは確認できなかったが、その内容はとっても正しい事なので、全員が左右に奇麗に分かれた。

 こういうケースの場合、真後ろによけるのは愚策だ。

 正解は横にずれて目標のルートから体を外すことである。

 モーゼの十戒の如く分かれた人の間を、着弾してコンクリートを砕きつつ横滑りを始めた流れ星が通り過ぎる。

その進行方向にあるのは…。

「ビル?」

 三階建てのビルだ。

 容赦なく突っ込んだ。

「うわ、すご…」

 思わず美由希がつぶやく。

 流れ星に突っ込まれたビルが、破砕音と共に倒壊したのだ。

 結構頑丈そうな鉄筋コンクリートのやつが一撃である。

 よけた事が、正しかったと証明されたが…流れ星はどうなった?

「ネコでは駄目だというのかー!」

 沈黙が壊れた。

 何かが瓦礫をかち上げて出て、とんでもなく派手な登場をする。

「…なんだあの|生物(ナマモノ)」

 思わず、恭也はそう呟いてしまった。

 現われたそいつには猫の耳があった。

 性別はたぶん女…この場合はメスと言うべきか?

 アーモンド形の目は適当に描いたかの如く、しかも二頭身…かろうじて生き物だとは思うが、こんな生物は見たことも聞いたこともない。

 白のトレーナー?にスカートをはいているところを見ると、ある程度の知能はありそうだ。

「じゃんじゃじゃーん。危うくネコ、地獄へまっしぐらになるとこだったにゃ」

 そして、ビルに突っ込んだ代償だろう。

 頭からだらだらと、致死量にしか見えない量の血を噴き出している。

 なる所だったじゃなく、今まさに旅立ってもおかしくはない…地獄へ。

「ニャッと参上、ニャッと解決、人呼んでさすらいのハ〜レ〜クィ〜ン!!恋の伝道師ネコアルクとはあちしの事にゃー!!」

 びしっとポーズをとる怪生物…何一つ理解できない。

 誰もお前の事なんざ聞いていない。

 大体、人呼んでなんて誰がお前のことをそんな風に呼んだ?

 人外の生命体が、いっちょまえに人間の言葉をしゃべっているというのに…言っていることが理解できない。

「ねえ恭ちゃん?なんか慣れ親しんだものをあの生き物から感じるんだけど?」

「奇遇だな、俺もだ」

 呼び出したとか、そう言う事を関係なく理解できる。

 間違いなく、あれはルビーの同類の不思議存在だ。

「SOSキャッチー!!しーきゅーしーきゅーいま助けに猫が来た!絶滅してないみたいで結構結構!!」

 これまたふざけた事を言う怪猫だ。

 さすがルビーの同類。

「そんで〜あちしを呼んだのはどこの誰ぞなもし?いきなり呼ばれて木星への片道切符からバックトゥザ地球してきたですよー?」

『私です』

「こ、これはルビーの姉御じゃねえですかい!!」

 怪生物…ネコアルクと言う名前らしいそいつは、ルビーを見た途端両手を合わせてゴマを摺り出した。

 やはり二人は知り合いらしい。

 しかもルビーの方が上なのか?

「うへへ〜今日はどんな御用ざんしょ?」

 思いっきりへりくだっている…二人っつーか、この一匹と一本の関係がとっても気になる今日この頃だ。

『お願いネコアルク!!世界を救って!!』

「オッケー理解したよん、後は任しておくんなまし!!」

 …これを会話と言っていいのか?

 しかし、ネコアルクは迷いなくジュエルシードに向かってゆく。

 何をしなければならないかは理解しているようだ…そう思いたい。

 ところで…この場を任されたのはルビーだったはずだが、ネコアルクを呼んだだけで何もしていないな?

「にゃにゃにゃ、体は猫でできているー!!」

 ネコアルクが体をユラユラ揺らしながらジュエルシードに近づいてゆく。

 猫らしい柔軟な動きだが、なんでそんな動きだけで、あの魔力の放出に逆らって前に行けるのか全く分からない。

 そして、十分に近づいたところで更に動く。

「ぬっころすぞ、ビーム!!」

 生物の肉体構造をバカにして、ネコアルクの目から破壊光線が出た。

 ビカー!!っとか擬音をつけたくなるような超太のやつだ。

「「「「「「「ええ!?」」」」」」」

 衝撃を加えたらBADエンド的なものに何してんだこいつと全員が思う。

 ビームの直撃を食らったジュエルシードが、はじかれて地面に落ちた。

「にゃんかずく皆殺しにゃ!!」

「「「「「「「きのこ!?」」」」」」」」

 キノコがとんでもない速さで降ってきた。

 それが全てで、それ以外に言える事もなかった。

 とにかくキノコである。

 しかもでかい。

 確実に悪夢で見る光景だ。

 そのままぺしゃっと言う感じに、ジュエルシードを潰した一部始終を見れば、あいた口がふさがらない。

『むう、にゃんぷしーろーるから真祖ビーム、そしてとどめにアンゴルモアハンマーの流れるようなコンボ、エクセレンッツですよー!!』

 全員が唖然としている中、ルビーだけがこの状況についていけているようだ。

 しかも技の名前まで知っているらしい。

 逆にいえば、まともな人間はだれ一人として、この場の流れに乗り遅れている。

 …いや、きっとこの場は、不思議生物が調子に乗るターンなのだろう。

 この怒涛の展開についていける奴は、それだけでどこかおかしいはずだ。

 とにかく、確かに言えるのは世界の危機は回避された。

 何か猫モドキな怪生物のおかげと言うのを納得できるかどうかは別問題だが。

「ってあーーーー!!」

「「「「「「っつ!!」」」」」」

 いきなりのユーノの悲鳴に、全員がびくっとなった。

 意表を突かれて飛び上がりそうになる。

「ど、どうしたのユーノ君!?」

「ジュエルシードが!!」

 言われて、見た全員が青くなった。

 ジュエルシードが、ものの見事に砕けている。

「Oh、調子に乗り過ぎてやっちまったぞなもし、何か大事なもんだったのかにゃ?」

 事情を知らないネコアルクだけが、白くなった空間で元のままだ。

 ほかの連中はみな、通夜のような状態になっている。

 特にユーノなんか魂が抜けかけていた。

「んじゃ、そろそろホントのSOSサインに向かうとすっか。あでゅー皆のしゅー!!」

 事情は分からないが、やり過ぎたと思ったのだろう。

 顔がひくついて、でっかい汗の幻視が見えるネコアルクが早口でまくしたてる。

「え、ちょっとま…」

「さらばだ少年!この体は少年の日が見た幻想とか妄想とか悪夢とか、そういうもので出来ていたと思うがいいにゃー!」

 ネコアルクのスカートから、猛烈な勢いで煙が噴き出した。

 誰かがそれに何かを言うより早く、ネコアルクの体が浮き上がる。

「グッパイ!よろしく勇気!!」

 最後まで訳の分からない事を言いつつも、ネコアルクの上昇は止まらない。

 徐々に加速していく猫は、やがてミサイルのように、落ちてきたときとは逆のルートを通って空に消え…いや、逃げた。

 本当に悪夢のようだった。

 しかも忘れることが出来そうにないだけにたちが悪い。

 ところで、最初にあらわれたときからずっと結界は展開されたままなんだが?

 どうやって入ってきて、そしてどうやって外に出て行ったんだ?

「…ねえルビーちゃん?あの…ね、猫さんは何?」

 なのはが一瞬言い淀んだのは、ネコアルクを猫にカテゴライズするのを本能的にためらったか?

『ペンフレンドです』

「文通しているの?ルビーちゃんは交友関係も一味違うね?」

『それほどでも〜』

 皮肉が通じない相手は厄介だ。

「ルビーちゃんの謎がまたひとつ増えちゃったの」

『ネコアルクはですね〜』

 なのはの苦悩を華麗に無視しやがった。

 しかも聞いてもいないネコアルクの説明を始める始末。

『遠野家の地下に広がる《グレート・キャット・ビレッジ》に住む猫妖精なんですよ〜』

「ルビーちゃん謝って、妖精さんに謝って!!」

『どうしたんですかなのはちゃん?』

「あんなの妖精さんじゃないもん!!」

 世の中の妖精が、全部あんなんだったら、文字通り夢も希望もありゃしない。

 かといって、どこぞの記憶を吸い取る妖精さんもそれはそれで勘弁だが。

「妖精さんはミサイルのように飛んだりしないから!!」

『本人曰く、大気圏突破と突入能力があって、月まで行って落下してくる超技とかあるらしいですよ?本人耐えられなくて使えないらしいですけど』

「やめて!そんな夢のない自爆技を使う妖精さんなんて認めない!!」

 何か、なのはの中で最終防衛戦が展開されているようだ。

 乗り越える…っと言うよりそれを諦めた時、彼女はまた一歩、大人に近づくのだろう。

『そんな事はどうでもいいじゃないですか〜さあさあさあ!!邪魔ものは全部片付きましたよーなのはちゃんもフェイトちゃんも、ルビーちゃん争奪戦の途中じゃないですか!?』

「「「「「「「……」」」」」」」

『汝、ルビーを欲するならば、己が最強を証明せよですよ〜ってあれ?』

 やっと、場の空気に気がついたルビー。

 全員が静かになっている。

「…フェイトちゃん?なんだか疲れちゃったから、お話はまた今度で良い?」

「うん…」

 ジュエルシードは壊れた。

 今更、ルビーを賭けてやりあう気になどなれない二人は背を向けあって歩き出す。

「そ、その前に…」

 そのまま立ち去るかと思われたフェイトだが、何故かくるりと振り返った。

 何故、顔が赤い?

「あ、あの…さっきはありがとうございました」

「え?」

 フェイトが士郎に頭を下げている。

「あーいや、こっちこそ素人が勝手な事を言って悪かったね?」

「いえ、それでその…お名前を聞かせてもらっていいですか?」

「私かい?私はなのはの父で高町士郎と言うんだ」

「士郎さん…ですか」

 あれ?…何か二人の間の空気が甘い?

 と言うより、フェイトが尊敬っぽい眼差しで士郎を見ている?

「ま、また会えますか?」

「そりゃあ、君がジュエルシードを追いかけているのなら、またなのはと会うだろうし…」

「わかりました」

 何がわかったのだろうか?

 聞き返すより早く、フェイトは背を向けて飛び去ってゆく。

「な、何か変だったな…」

「親父?」

 肩に置かれたのは、恭也の手だった。

「うお!!」

 振り返った士郎が思わず悲鳴を上げる。

 子供たちの目が怖い。

 虫けらを見るような目で、ハイライトが消えている!?

 なのはに至っては、砲撃モードにしたレイジングハートを構えていた。

「相手はなのはと同じくらいの歳の女の子だぞ?」

「ま、まてまて!俺は何にもしていないだろう!?」

「父さん…正直に答えてほしいんだけど、あのフェイトちゃんの事をどう思う?」

「美由希?フェイトちゃんの事はかわいい子だと思うよ?って待て待てなのは!!無言で砲口を向けるんじゃない!!目が怖くなってる!!」

 本人の意思を完全無視した、家族会議と言う名の修羅場が形成されつつあった。

 ユーノなんか、さっさと逃げて物陰でおびえている。

 すわ!薄情者め!!

『あ、もしもし?桃子さんですか?士郎さんが幼女趣味に…』

「ちょ−っとまったルビーちゃん!!桃子に携帯で何を言うつもりなんだ!?」

 ちなみに…封時結界の中では携帯の電波は外に届かない。

 

――――――――――――――

 

「高町士郎さんって、大きくて暖かかった…ねえアルフ?お父さんって言うのは皆あんな風なのかな?」

「え?う〜ん、あたいにもよくわかんないよ」

 フェイトの言葉を聞きながら、アルフはやはり父親と言うものは子供に必要なのかな〜と考えるが、子供どころか恋すら未経験の身に、そんな事が解るはずもなかった…女の子が、人生で最初に接する異性は父親である。

 

 

説明
リリカルなのはに、Fateのある者、物?がやってきます。 自重?ははは、何を言ってるんだい?あいつの辞書にそんなものあるわけないだろう?だって奴は・・・。 ネタ多し、むしろネタばかり、基本ギャグ
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