いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した
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 第十七話 諜報員C

 

 

 「沢君。今日は一緒にご飯食べない?」

 

 「てか、来なさい」

 

 「フェイトちゃんと同じ転校生同士仲良くしたほうが嬉しいの。ね?フェイトちゃん」

 

 「…う、うん。そうしてくれと私も嬉しいな」

 

 

 

 ざ〜ん〜こ〜くな天使のよ〜うに♪

 残酷な天使達が俺。沢高志に襲いかかってきています。

 …俺、今日を耐え切ったら、明日の休日にプレシアを魔導師(なのは)の本拠地。翠屋に連れて行くんだ。

 

 …ぐふ。胃が、胃がぁあああああっ。

 

 

 

 「…ご、ごめん。今日も北海君と沖縄君とでご飯を食べる約束を…」

 

 午前の授業が終わり、クラスメート達はいつものメンツで集まり食事をするために教室を後にする。

 俺も先日、保健室を占拠していた二人を引き連れて中庭に行こうとしたら何故か聖翔美少女カルテット。に、囲まれた。

 今の俺には魔王の四天王に囲まれたレベル5の勇者。いや、村人的状況である。

 

 「他の二人も一緒に来る?」

 

 「「喜んで!」」

 

 アジサバァアアアア!

 そして、北海君っ沖縄君っ。空気をよんでぇええええ!

 俺、めっちゃくちゃ目の前の四人と昼飯なんかしたくないオーラ全開だったでしょーっ。特にフェイトッ。

 北海君、君はフェイトの事が好きなんでしょ!

 だったら彼女の周りの事もわかれ!俺、授業中もそれとなく彼女から目線を外していたでしょっ!

 

 「じゃあ、後は若い六人で…」

 

 「それじゃあ、屋上に行くわよ」

 

 こら、味サバ!

 腕を、腕を離せぇえええええ!

 

 

 

 朝の挨拶。授業中でのやり取り。休み時間のコミュニケーション。その全てが失敗に終わった。

 男の子。沢高志君は私と目を合わさないように極力視線を逸らす。

 少し落ち込んだけど、これぐらいじゃ負けない。

 なのはだって最初の頃は私に負けたけど諦めずに私に話しかけてきたじゃないか。

 嘱託魔導師。…じゃ、なかった。三年B組。フェイト・テスタロッサ。

 目の前の男の子と仲良くなるために頑張ります。

 

 

 

 女四男三のグループでお昼ご飯を取っていた…。

 北海君。君の好きな子が俺に構ってばかりだからって睨まないでくれ。

 沖縄君。…そんなに月村さんが好きなのかい?俺達のフォローは無しなのかい?

 目の前でフェイトを中心にトライアングラーな状態なのに…。

 

 「あの、これ…。いつも教科書を見せてもらっているお礼に作ったんだけど…」

 

 フェイトが俺に小さな弁当箱を渡してきた。北海君が睨んできた。何なのこの板挟み?

 片方は友情が…。もう片方は罪悪感が…。

 たとえるならあれだよ。片や普通の板(友情)。片や有刺鉄線(ざいあくかん)でぐるぐる巻かれた板。

 うう…。想像したら痛くなってきた。心も体も。…特に胃が。

 

 さて、だからといって苦しい顔を見せてはいかん。

 伊達に((中身|せいしん))が二十一歳ではないっ。

 

 「…あ、ありがとう」

 

 ここで北海君にこれを渡せたらいいが、さすがに一口も食わずに渡すわけにもいかない。というか、これ以上プレシアの本当の家族であるフェイトを悩ませたり悲しませたりしたくない。

 さて、お弁当を御開帳。

 

 「こ、この間豆腐が好きって、言っていたから。これにしてみたんだけど」

 

 「おお、とても美味しそうですねテスタロッサさん」

 

 なんでよりにもよって、((諜報員|スパイ))((C|シー))。

 じゃなくて、スパイシーな麻婆豆腐。見た目が真っ赤で超辛そう…。

 この子は精神的にではなく肉体的にも俺を追い詰めようというのか?

 ああ、そんな期待した目で見ないで。ええ、食べます。食べますともっ。

 

 「い、いただきます」

 

 ぱくっ。

 

 

 

 キィンッ。

 

 「…はっ。お兄ちゃんの身に何かが起こっているような気がする」

 

 「アリシアちゃん。お昼ご飯の時間ですよ〜」

 

 「はーい」(ま、気のせいだよね)

 

 『傷だらけの獅子』のスフィアを持った少女は耳鳴りにも似た音が聞こえたような気がした。

 が、何でもないかと思い園内に設置された机で昼食をとることにした。

 

 

 

 パリィンッ。

 

 「…不吉ね。あの子の茶碗が縦に綺麗に割れたわ」

 

 昨日の晩、遅くまでガンレオンを操る少年と話し合っていた元大魔導師が昼食後の後片付けをしていると地面に落としたわけでもないのに、彼の茶碗が綺麗に割れたところを目撃した。

 

 

 

 ドサッ。

 

 「く、クロノ君どうしたの?!」

 

 とある一室で某執務官が幼馴染の少女の前で急に突っ伏した。

 彼は養子縁組にする予定の少女からお昼ご飯としてお弁当を貰っていた。

 気絶する寸前に地面にこぼれたお茶で『マーボー』と書き記していた。

 

 「こ、これって赤唐辛子?フェイトちゃんまさか…」

 

 

 

 「…あら。昨日買ってきた隠し味として入れる小瓶が無いわね?」

 

 あれは一滴入れるだけでかなり辛くなるので隠し味程度に使うとちょうどいい具合になる。特に一滴を一匙にするだけでもかなり辛くなる代物。それが瓶ごと消えて無くなっている。

 マンションで待機していたリンディは不思議に思ってあちこち探していると、フェイトの使い魔のアルフが泡を吹いて倒れている姿を発見した。そして、アルフが倒れた衝撃でゴミ箱の中にあった探し物が出てきた時に目を見開いた。

 

 「まさか、フェイトさん。一滴と一瓶。を、間違えて…」

 

 リンディはフェイトのお弁当作りを手伝っていた。

 だが、最後に「隠し味を足しましょうか?」と、言ってあの瓶を出して彼女に手渡したところに急に連絡が入って来たので、フェイトに一度断ってからそれの対応をした。

 そして、フェイトはクロノとアルフにお弁当を渡し学校に赴いた。

 量的には三人分しかなかった。

 今頃、クロノは目の前のアルフのように倒れているかもしれない。

 そして…。

 

 リンディがふとベランダから見える外を見ると青空が広がっていた。

 たとえ輝いたとしても…。というか、時期的にも見えるはずがない獅子座の星が煌めくのを彼女は見た。

 

 

 

 キラッ☆

 

 

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第十七話 諜報員C
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魔法少女リリカルなのは 傷だらけの獅子 スパロボZ コメディー オリジナル武装 

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