化物になっちまったようです act4 |
……。
死んだ、のか……。
……いや、違う。
目はまだ開かないけど、身体のあちこちの感覚がきちんとある。
……包帯?
巻かれてる……病院に運び込まれたのか……?
って、参ったな……。
今の俺は、ただの人間じゃない。
あのクソ博士は何も言ってなかったが、身体の構造が一般人と異なる可能性がある。
もしバレたら色々と面倒だ。
畜生、あの悪人バカ博士め……。
「……ア、ア……」
愚痴ろうとしても不明瞭な音にしかならないのがまた鬱陶しい。
「あ……目が覚めた?」
そんな俺の耳に届いたのは、女の子の声。
目を開けてみると。
1人の美少女が俺の顔を覗き込んでいた。
凛々しげで、しかしどこか儚さを持つ、透き通った赤の双眸。
ツインテールに纏められた、綺麗な金髪。
……うん。
めっちゃ見覚えが有るぞこの子。
後ろの方で、「危ないから顔をもう少し離しなよ」と俺への不信感丸出しで言う少女(?)も発見。こっちも見覚え有るなぁ……。
「君は?」と思わず口にしようとしてしまい、また口パクになってしまう。
(……聞こえる?)
困った時の念話。
少女2人の顔が少し強張る。
金髪の子の方が、コクリと頷いた。
(申し訳無い、聞こえはするけど喋れなくてさ……念話で失礼するよ。君達は……?)
「やっぱり魔道士だったんだね……まあ、名乗る位はしておくよ。あたしはアルフ」
「……私は、フェイト・テスタロッサ」
やっぱり……ね。
今原作はどの時期か、気になってたけど……無印だったか。
どうやらあの悪人クソ博士は、これを俺への置き土産にしたらしい。
……あんたも一緒に来ても問題なんざ無かったってのに。
「それで、あんたは?フェイトに聞いたけど、怪我してぶっ倒れてたんだって?時空管理局の連中かい?」
うぉう、マジで疑われてるよ……まあ、魔道士は本来地球には居るはずがないもんな……。そりゃ警戒するわ。
(……あー、疑うのも無理はないけど……時空管理局所属じゃないよ。そもそもデバイス持ってないし)
とりあえず、とある研究所で働いていて、それである日事故があったので、転送装置でここに逃げてきた、とだけ説明しておく。
まあ、実際は俺が実験体だったり、他にも色々あったけど……めんどくさいので、手抜き説明。
こんなんだから前世でも上手くいかなかったりするんだよ、まったく。
とりあえず、納得はして貰った。
……さて、これからどうしましょうかね。
原作介入する絶好のチャンスではある、が……。
グーッ!
……腹が鳴った。
何この体超空気読めない。
「……ちょっと待ってて」
フェイトが立ち上がり、冷蔵庫から何かを取り出す……っておいぃ?
(待って。ごめんちょっとマジで待って)
「?」
首を可愛らしく傾げるフェイトの手にあるのは、カップラーメン。
冷蔵庫の中に入れるもんじゃないっ!
「……ッ」
「っとと、大丈夫かい?」
(ごめん、ありがと)
よろけながら立ち上がり、アルフに支えられる。
それからゆっくりと歩く……うーむ、まだまだ痛いな……。
なんとか冷蔵庫まで到達、中を覗き込む。
見事なまでにインスタント食品が並んでいました。
…………。
……うん、鍋とかの調理器具はあるね。
(ねえフェイト)
「な、何?」
おいぃ?何で軽く緊張しちゃってますか?
どうやら、今俺は相当良い笑顔をしてる様だ。
(世話になっといて何だけど……ちょっと今からメモに書く物を買ってきてくれない?あ、反対意見は認めないから)
……カレーって、偉大ですよね。
誠に唐突だが、目の前で美味しそうにそれを食べる2人を眺めてると、そう思わざるを得ない。
さっき頼んだのは、お米に肉やらジャガイモやら人参やらカレールーやら、まあ要するにカレーの材料だ。
普段はあんまり買わないんだろうけど、きちんと買ってきてくれた。流石、知らなかっただけでほんと要領は良いんだよな。
という訳で、カレーを作りました。
え?俺の腕前?
高校生時代、家庭科の5段階評価で4以上取ったことありませんが何か?
そんな俺でも変わらないカレーの味。素晴らしい。
「「ご馳走様でした」」
おお、完食。
「ありがとう……えっと」
ん?何か微妙な雰囲気。
(何?どしたの?)
「その……名前、聞いてない……」
あ。
しまった、そういや名前……!
研究所じゃ4番としか呼ばれてなかったもんね!転生してからマトモな名前持ってねえ!
……え、ええと……。
(俺は……フォース。改めて、よろしく)
……自分のネーミングセンスの無さに泣きたい。
4番だからフォースとか、安直過ぎんだろ。
「うん。じゃあ……ありがとう、フォース」
でもまあ……後戻り出来ないし?しょうがないね。
(まあ、カップラーメンは比較的安くて手軽だから良いってのも解るけど……たまにはこういうのも食わないと駄目だよ)
うーむ、俺の前世を知る人に聞かれたら「お前が言うな」とモロツッコまれそうだ。さっきも言ったけど、俺料理上手くないし、マトモな料理は作ってもらってばっかだったし。
「でも……あたし達は作れないしねぇ……」
アルフが困ったような声を出す。まあ、とりあえずお前はしょうがない……のかな?
(うん、というわけで。俺がたまに作ることにしました。どうせしばらく長距離動けないし)
俺の提案に、驚く2名。
いやだって、こんな食生活ほっとけないって。……ごめんなさい、前世の俺ならやりかねないですけどね!でもとりあえずそんなもんはおいといて、女子がそんな感じってのは駄目な気がします!
「え、でも……!」
(フェイトは俺の命の恩人だよ?なら、これで俺は借りが返せるって訳。これにてプラマイゼロ。ベストでしょ?)
命の恩人に料理で借りを返すとはなんとも図々しい気がするが、ここはスルーだ。
その後、アルフの賛成もあって、説得に成功した。
さてさて、奇妙な日常の始まりだ。
説明 | ||
畜生……こんなやり方で地球に来てもな……by4番と呼ばれる転生者 | ||
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コメント | ||
>クリエイトさん なのは側は……まあ、見てのお楽しみです。出るのはかなり遅くなると思われますが……下手したら(以下略 >神薙さん 優秀、というか、実はその体に秘密が……まあ、おいおい解るかと。(アルテマニア) 以前の奴から読んでて今更な感じなんだけど、フォースってデバイス無しでも簡単とは言え魔法使ってるんだよね…実はかなり優秀な奴なのか?(神薙) 果たしてなのは側にもなにかいるのでしょうか?気になります。(クリエイト) |
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