IS.B 馬神 弾という名の操縦者 2nd break An outline No.2 |
弾side
俺はあの時…気を失う直前から記憶が曖昧過ぎていた。
微かに憶えているのは、
「俺が、何かを武装していた」
ただ、それだけの事だ。
此処は訓練所の医務室…の様な所だ。
「起きたか、馬神 弾…」
カーテンが開き、そこにいたのは指揮を取っていた黒髪の女性だ。
「お前、何故…ISが使える?」
黒髪の女性が何か言い始める。
「? アイエスって何だ?」
「何? 知らないのか」
黒髪の女性が驚いた表情を見せる。
「…IS学園に入学しろ…書類は後ほど渡す」
そう言って黒髪の女性は医務室を後にする。
アイエス....それが新たな力か…
緊急入学試験当時
俺は黒髪の女性…織斑 千冬に渡されたISについての書類で当時まで勉強をした。
ISのコツと動きは我流でやって、たった数日間で身に付いた。
…さて、そろそろ始まるか。
《それでは、試験者は規定の位置に移動して下さい》
さて、始めるか…。
「やるか…ライジング」
『あぁ、ケリを早くつけるぞ』
準備予告が入り、俺とライジングは気合いが入る。
どうやら、ライジングと会話が出来る見たいだ。
「駆け上がれ! 神の名を持つ紅き龍! 太陽神龍ライジング・アポロドラゴン?」
カードを掲げてそう叫んだ直後、ライジング・アポロをイメージしたISが展開した。
《それでは両者、戦闘を開始して下さい》
「はあぁぁぁああ?」
俺はライジング・アポロの爪で先に攻撃する。
シュン!
避けられたけど、罹った?
「ウオォォォォォオオ??」
そのままカーブして、炎を纏って激突する。
ズガン?
命中した。
相手は余りの衝撃でアリーナの端に叩き付けられる。
その時…
ズガアァァァァァァァァン????????
アリーナの上から爆音が響き渡った。
見るとそこにいるのは、赤と黒で構成された飛龍がいた。
「ギャアァァァァァァア??」
その飛龍は咆哮と共にこちらに向かって来る。
速い?
ガシッ!
「うぅっ?」
飛龍の脚に掴まれてそのまま、地面に叩き付けられる。
「ガハッ!」
余りの衝撃で吐血してしまった。
くっ、押さえる力が強い!
「ガアァァァ?」
そのまま、飛龍は牙で攻撃しようとした時、
「雷光玉?」
「ゴアァァァァァ?」
青緑色に光る弾丸が飛龍に当たり、脚が離れて身をかがめた状態で動かなくなった。
「ゴアァァ? ゴアァァ?」
ただ、苦しそうだ。
「ふいー、間に合った…」
声がした方向に振り向くと、そこにいたのは青緑色を貴重としたISだった。
「大丈夫か?」
「あ…あぁ…大丈夫だ」
突然、腕を掴まれ俺を起き上がらす。
「お前、こいつの特徴が解ってないな。こいつは、リオレウスと言う飛龍だ。脚だけが厄介だから何とも無い筈だ。待ってろ…俺がやる」
そう呟くと青緑色のISを纏った人は真っ先にリオレウスに向かった。
リオレウスはなす術無く、そのまま敗れた。
入学日
あの時の緊急入学試験は見事に合格し、入学式を終えて教室でHRをやる…筈が…入った途端から、
「「「「「キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ??????????」」」」」
「クールな感じがカッコいい?」
「噂の男子よ〜!」
「かなりイケ面?」
入学早々にこんな盛大な叫び…
先が思いやられるなぁ…
すると、先生が来て皆は静かに席に着いた。
「皆さんご入学おめでとうございます。私は1-1副担任の山田 真耶です」
だけですか。
沈黙が流れる…
「えぇ…と…まずは…自己紹介から…」
俺は[は行]だから、時間が掛かるか。
まぁ…良いか、少し回想をしよう。
この前の緊急入学試験の時に俺はリオレウスに襲われた。
その時、現れたのは青緑色のISの人物だ。
その人物の事で仮定出来る事が一つある。
間違い無くそいつは男だ…
じゃあ、何故俺だけになっているんだ?
「馬神君」
「あ、はいっ」
呼ばれたようだ。
「馬神 弾だ。色々な事があるかもしれないが、よろしく頼む」
…ふぅ、じゃあ此処で……
バキッ!
出席簿で叩かれた…
「痛ッ!」
「貴様は挨拶すら出来んのか」
「えぇ? 千冬さ…」
ドゴン?
頭殴られた…
同じ所…
「ったっ?」
「学校では[織斑先生]と呼べ」
そして、千冬…じゃなかった、織斑先生は教壇に立つ。
「諸君! 私が1-1担当の織斑 千冬だ! 君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ」
「…き……」
あ、耳押さえよう。
「「「「「キャアぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ???????????????」」」」」
「千冬様 本物の千冬様よ?」
「美しすぎます!」
「愛してます!」
まぁ…そこまでは普通だけど…
「恐れ多くてお顔が見れません!」
恐がっているのか…喜んでいるのか…
「私、お姉様の為なら死ねます!」
危ないな…この人は…
「はぁ…早速馬鹿者揃いか、これからとは言わさんからな…」
織斑先生は呆れたかのようにため息をする。
御愁傷様だ…
HR後の休み時間
「一寸、良いか」
「ん?」
俺に話し掛けてきた一人目は[篠ノ之 箒]と言っていた女子。
屋上
「お前、要があるから呼んだんだろ?」
「あ、あぁ、その…だな……馬神」
[篠ノ之 箒]と言う女子は俯いて黙り込んでしまう。
「明日の…放課後、空けて…置け。良い…な」
「え? あ、あぁ解った。篠ノ之」
何でだ? 一々屋上に来なくても良いじゃないか。
「あ、それに私の事は[箒]でいいぞ、私もお前の事を弾と呼ばして貰うぞ」
「あぁ…」
キーン コーン カーン コーン
「時間だ。戻るぞ、箒」
「あ、あぁ」
箒は顔を赤めらせ俯いた。
どうした事か…
一時間目の休み時間
「一寸、よろしくて?」
「うん?」
「まぁ! 何ですの? そのお返事?」
今度は[セシリア・オルコット]と言う女子が来た。
俺の返事に何か気に食わない様だ。
「何だ、俺の返事の何処がいけないんだ?」
「何って、決まってますわ! 私に話し掛けられるだけで光栄なのですから!…………」
それ、如何でも良いじゃないか…
「まぁでも? 貴方はまだ未熟ですから優秀な私に教えて貰えば良いですわ。何せ、私はイギリス代表候補生、教官を倒したエリート中のエリートですわ!」
…少しフローラに似ているな……。
「あぁ、俺も普通に倒したけど?」
「…はぁ?」
やっぱり、似ているな…
コロリと態度が変わるから…
…にしても、凄く気品だな…
「わ、私だけだと聞いていましたが……」
キーン コーン カーン コーン
「…これで終わりだとは思わないで下さいまし?」
フローラに似ている女子はそう言って席に着く。
誰だっけ? この人は…
完全に忘れた……
弾side
放課後 教室
「あ、馬神君、まだ此処にいましたか」
「? 如何…しました?」
俺は教室でISについての本を読んでいると山田先生が入って来た。
「実は、馬神君の部屋が予定より早く決まりましたので、そのご報告に来ました。これが貴方の部屋の鍵です」
余りにも急だったからな…
山田先生に部屋の鍵を渡された。
部屋は…1025か。
「はい、分かりました」
「では、先生はこの後、会議があるので…では…」
山田先生は荒ただしく教室を出て行った。
さて、部屋に行くか…
寮
1025、1025…あ。
「あった…ん?」
ドアが開いている…
「…………」
恐る恐るそっと、ドアを開ける…
……誰も居ない。
開けて置いたのか…
…にしても、良い部屋だな…
俺は近くにあるベッドに座り込み、寝る。
その時、
「む? 誰かいるのか?」
「??」
居たのか?
思わず驚き、勢いよく起き上がる。
ガチャッ
あ、間に合わなかった…
って…
「私の名は篠ノ之 ほ…え?」
「っ?」
目の前にいる女子は…箒だった。
バスタオル一枚で出て来た…
………あ? ヤバイ!
「み、見るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?????????????」
「うお?」
危な!
木刀で生身の人に振り掛かるとは?
部屋を出よう? 部屋を?
ガチャッ!
バタンッ!
「ふぅう…助かっ…」
バキッ!
「たっ???」
顔の左側から木刀が出てきた?
いや、突き刺しているのかい?
バキッ!
「うお?」
バキッ!
「いっ?」
バキッ!
「うわっ?」
左脇の下、左側の腰辺りに木刀が突き刺してきた…
そして、背中に木刀が当たった。
痛い…
ガチャッ
「入れ」
「痛つつ、あ、あぁ」
そんなこんなで一日が終わる。
背中がまだ痛い…
翌日 教室でのHR時間
「そろそろクラス代表者を決めたい、自薦他薦は問わない。誰か候補者はいないか?」
今回のHRは再来週に行なわれるクラス対抗戦の代表者を推薦する事だ。
まぁ…当然……
「はーい、馬神君が良いと思います!」
「馬神君に一票!」
…そうなるよ…
「他薦された者は拒否権が無いからな」
更に先が思いやられるな…
その時…
「納得出来ませんわ? 大体 男がクラス代表なんて良い恥曝しですわ! この[セシリア・オルコット]にその様な屈辱を一年間味わえと仰るのですか?」
反論する[セシリア・オルコット]と言う女子。
じゃあ、この人に任せようか…
「私達が弱い男に上目遣いされるのは嫌な事ですわ!」
…あ? なんだって?
「お前、一言多いじゃないか? そういうお前こそ、如何なんだよ? 気品者が?」
あの一言で俺は頭に来た。
席から立ち、イラついた感じで言う。
「……決闘ですわ?」
「あぁ! 良いぜ、ハンデは要らない!」
「決まりだな。勝負は来週の月曜、放課後の第三アリーナで行う。それぞれ 用意をしておくように」
「「はい?」」
証明してやる、男は弱い奴だけじゃない事をな?
クラス代表決定戦当日 第三アリーナ
「あら、逃げずに来ましたのね」
「決まってるさ…お前に証明してやる為にな」
「はい? どんな証明ですの?」
「男は弱い奴ばかりでは無い事をな!」
ライジング・アポロを装着した俺は気品者のオルコットに言いかける。
「ふっ…無理に決まってますわ。貴方はまだISの操縦が未熟ですわ。それに貴方は近距離攻撃しか出来ない、私は中距離攻撃型のIS、貴方のISと私のISは相性最悪ですわ。それで如何、証明しろと仰るのですか?」
オルコットは相手の短所を淡々と言う。
こいつ、男を見くびっているな…
《それでは、両者、試合を開始して下さい。》
さて、始めるか…
「踊りなさい、私のブルー・ティアーズのワルツで!」
そう言った後、ブルー・ティアーズからビットが四つ出た。
それ等から、ビームが放たれる。
想定内だ、俺が狙いにくい所から打っている。
「はあぁぁぁあ?」
バキャッ!
ビットを破壊した。
「なっ?」
「まだまだぁ?」
オルコットの表情は余裕の表情から驚いた表情に変わった。
やはりな…
「くっ!」
今度はライフルで射つオルコット、
これも、想定内だ。
ライジング・アポロの爪でライフルのビームを弾く。
「何っ?」
「行くぞ?」
俺は炎を纏いながらオルコットに向かって激突する。
すると、オルコットは何故か不適に笑った。
「ふふっ、ブルー・ティアーズは、六機ですのよ?」
腰の両側からミサイルが出た。
「なっ?」
しまった?
くっ! 止まらない?
ドカァァァァァン??
side out
箒side
今のダメージは尋常では無い。
弾のシールドエネルギーは多く消費した。
シールドエネルギーは攻撃を受けた時はもちろん、移動する時でも、少しづつ消費してしまう。
煙が晴れた。
「え? 」
弾のISを見て、私は目を疑った。
side out
弾side
此処は何処だ?
周りは薄暗く、何も無い荒野にいた。
ISは解除されている。
どうなっているんだ…?
『おい…』
奥から不気味な声が聞こえた。
『弾…』
「あぁ、分かってる…」
ライジング・アポロも覚悟の上だ。
しばらく声が聞こえた方向をじっと見ていると、声の主が姿を現した。
左右非対称の猛々しい角、見た者を圧倒させる様な体格、赤黒い体色、炎の如く輝く瞳、
その様な荒々しい姿に俺は息を呑んだ。
『お前は…強くなりたいか…』
その龍が問う。
「あぁ、守れる位の力が欲しい。大切な仲間と、この世界を…?」
すると、目の前にいる龍が口を尖らせた。
『くくくっ…気に入った? 解った、協力してやる?? 俺の名は紅龍 ミラバルカン?炎を統べる龍神だ?』
「炎を統べる龍神…」
『弾、どうする…』
ミラバルカンの一言で悩む俺達、守れる位の力か…
だったら。
「解った、力を貸してくれ、ミラバルカン?」
『良いだろう、貸してやる。さあ、俺の名を使いお前のISを強化しろ?』
「あぁ? 来たれ? 龍炎と共に現れよ? 紅龍 ミラバルカン?」
気がついたら俺の周りは煙でいっぱいだ。
あのミサイルの影響だ。
煙が晴れ俺のISは全く別のになっていた。
形は変わらないが、色は赤黒い体色に変わっていた。
金色だった部分は輝く様な黒に変わっていた。
「な、何ですの…そのISは」
脅えた声で言うオルコット、身体も震えていた。
さて、あれも使ってみるか…
「ブレイヴ? 牙皇 ケルベロード?」
そう言った後、隣からケルベロードが現れた。
「何ですの? あの獣は?」
『さて、久々の出番だ? 楽しもうや?』
「喋った?」
オルコットはケルベロードに驚きまくりだ。
「来い! ケルベロード?」
ケルベロードは翼を出して、身体が消えて、
翼部分とケルベロードの装備が装着される。
このISの象徴は【黒太陽】。
名は[ライジング・バルカン]になっていた。
「が、合体しましたの?」
「そうだ、これがブレイヴだ? さぁ、行くぞ?」
俺はライジング・バルカンの爪でオルコットにダメージを与える。
「きゃあぁぁ?? さっきよりも威力が強いですわ?」
大ダメージだ。
最後にケルベロードの翼で弾丸を撒き散らし止めを刺す。
「キャアァァァァ???」
《勝者 馬神 弾》
此処で証明できただろう。
男は弱い奴ばかりでは無い事をな。
更衣室
『クククッ! やっぱりお前は凄いな! いつからISを操縦しているんだ?』
「いつって…まだ間もないな…」
俺はノリに乗っているミラバルカンと話をしている。
ミラバルカンはライジング・アポロとは違ってカードでは無く、赤黒い勾玉の様な物だった。
『間もないんだって?』
『俺達はこの世界で唯一ISを操縦出来る男子で有名なんだ。だから、緊急入学となったんだ』
『そうか』
ミラバルカンはライジング・アポロの言葉に納得したかのように言った。
「でも、合格が決まった瞬間、あのリオレウスに襲われた」
『やはりか…』
「やはりって、何か知っているのか?」
俺はミラバルカンの言った言葉に反応する。
『あぁ、知っている。だが、話すと時間が掛かるな…。そのうちに言ってやる』
「解った、ミラバルカン」
そして、俺達は寮へ戻る。
side out
??? side
夜 IS学園校門前
俺は男で有りながらIS .P(インフィニットストラトス・ポリス)で15歳と言う最年少の実力者だ。
何故、男なのに公開され無かったのか…。
IS.Pは世界中の凶悪犯を捕まえる為に顔もすら非公開にしている。
もちろん、男も関係無く非公開にしている。
公開したら、有名になり、やがて、IS.Pの居場所も分かってしまう。
だから、非公開なんだ。
さて、此処で果たす目的はただ一つ。
馬神 弾のクラスを指導せよ。
依頼主はIS学園の校長。
イギリス代表候補生 セシリア・オルコットとの勝負の時に、如何指導すればいいかが解らなかったと言う。
しかし、馬神 弾か…
あの日の事を思い出すな…
さて、そろそろ職員室か…
職員室
「あ、IS.P! どうぞ、御出でになられて光栄です? 私は1-1副担任の山田 真耶です?」
ドジそうだな…
「突然の来訪で申し訳ありませんでした。此処、IS学園の校長から依頼が来ました。馬神 弾の事です」
「ば、馬神君…ですか?」
「…貴方のクラスに居ますね?」
「な、何で?」
顔に書いてあるぞ…丸々と。
「貴方等のクラスのもう一人の副担任として指導します」
まっ、こう言う感じで指導するか…
弾side
「今回は、二人目の副担任を紹介します」
二人目の副担任?
こんな時に?
俺も皆も首を傾げてる。
「それでは、入って下さい」
入って来たのは、はんなりとした衣装、眼は心臓をも突き刺すような冷徹な眼、髪色はやや濃い緑、髪型は月状の形が一本はねているだけ。
しかも、
「男……?」
そう、如何見ても男なのに、副担任なのだ。
「あぁ、俺はこれから、1-1の副担任を務まる、[天神 勝斗]だ。まぁ、よろしく」
適当だな…
…て言うよりも俺達と同じ背に見える。
奴は一体…
天神side
三時間目 実践授業 第二アリーナ
「では皆さん、これからお見せしますのは、天神さんの実力です」
「「「「「イェーイ?」」」」」
おーお、盛り上がってんな…
男の俺だもの、無理も無い…
さて、先に説明しようか。
「言っとくが、俺のISはステータスも形も原型が無いんだ。そのISをどうやって戦うか…
今から実践で見せる。相手は…馬神 弾とセシリア・オルコット」
相手にとって、不足は無い奴を選んだ…。
side out
弾side
俺とオルコットとペアか…
悪く無いな…なんとかサポートすれば…
「弾さん? 頑張りましょう?」
…ノリノリだな、って、[弾さん]?
「おい、今、名前で呼ばなかったか?」
「話は後で。私の事は[セシリア]で結構ですわ」
如何したんだ?
声が弾んでいる…
「おーい、とっととISを展開しろ」
「「あっ、はい」」
天神さんに言われてISを展開する俺達。
「お、良いISを持ってんじゃん!」
軽い気で話す天神先生。
その後、ISを展開した。
天神先生のISは、ただ単純な装備だ。
「さてっと、始めるか…形態変形?」
そう言うと、青い稲妻が天神先生の身を纏い始めた。
轟音と共に変形していく。
王を意味する様な鋭い角、背中から尻尾まである白い毛と黄色の甲殻、肩と顔にはうっすらと光る青緑色のライン、黄色の甲殻に覆われた手、青黒い爪、あの単純な装備から荒々しい装備に変形していく。
「あ…あれは…?」
俺が動揺したのは他でも無い。
あれは…
あの日の緊急入試に助けられた、あの青緑色のISだった。
「ほう、覚えていたか…馬神 弾」
「?」
やっぱり、名前を?
「くっ? ミラバルカン! 力を貸してくれ?」
『おうよっ?』
俺は慌てて、ライジング・バルカンにする。
「はあぁぁぁああ???」
止む無く爪で、青緑色のISに向かい、攻める。
しかし、天神先生は不適に笑い、
「ふっ…雷光玉!」
青緑色の弾丸が俺とセシリアに命中した。
「ぐぁ?」
「キャア?」
そのまま、地面に落ちて、動かなくなった。
俺も例外ではない。
しかし、ISは起動している。
「これで終わり! 落雷光?」
青緑色の落雷が俺とセシリアに直撃した。
「があぁぁぁぁああ?」
「キャアァァァアア?」
意識が…遠の…く…
side out
天神side
あらら、またやっちゃったよ…
凶悪犯を捕まえる為の究極の必殺技…
その名は[落雷光]。
これをヒットした者は必ず動かなくなるが、
威力が低くても一時間 気は失うわ、高ければ脳に大ダメージを喰らうわ、加減が出来ないんだ。
結構、特訓とかしているが、まだまだ出来ないんだよな〜。
生徒の皆さん、こっち見て唖然としているし。
「まっ、仕方が無いか。はっはっはっ」
「「「「「何で?」」」」」
全員、ツッコミを入れた。
いーいクラスになりそうだ。
ある意味でな…
さてっと、二人を医務室へ運ぶか…
side out
弾side
医務室
う…ん、此処は…IS学園の医務室か…
頭が痛い…
「目覚めたか」
天神先生が隣から声を掛けた。
「天神…先生…」
「俺の事は[勝斗]で良い、敬語も要らん」
「あぁ、解った」
勝斗は何か後悔した様な言い方で話す。
「…すまないな…」
「何が?」
「あの技、[落雷光]は必ず動かなくなるだが、気を失ってしまう技だ。出来ると思ったがまたしてもだ」
あの落雷か…あれが原因か…
「良いさ、おr…」
「弾さん? お怪我はなくて?」
あ、セシリア。
何か心配そうだが…
「あ、あぁ、大丈夫だ」
さて、如何した事か…
態度も言い方もコロリと変わった。
後で、話すか。
「丁度良い、二人にあの形態について教えようか」
話が一段落した所で勝斗が説明する。
「あれは、雷狼竜だ。身の周りにある微弱の電気を大量に貯める事が出来る優れ物だ。電気の量によって電気技の威力が変化する。
そして、一定以上の電気の量を貯めると、ステータスが一段と上がった状態、[超帯電状態]になる」
「電気技と言うと、青緑色の光の事か?」
「その通りだ」
「如何したら青緑色の光になりますの?」
「悪いがセシリア、そこは俺も解らないな。」
「そうですか…」
成る程な、電撃系のISか…
「説明は終わった、後は寮へ戻って休め」
「「はい」」
俺達は寮へ戻って、一日を過ぎるのだった。
弾side
三時間目の休み時間 教室
昨日はとんだ騒ぎだった。
俺がクラスの代表になったと言って、信任祝いをした筈だったが、ブブゼラを吹く奴と謎の新聞部の謎のインタビューをさせられ、また、大人数でブブゼラを吹き始めた。
耳鳴りが酷い…
それ位、煩かった…
「馬神君、大丈夫?」
やったのお前だろ…
ブブゼラを吹いた人達の一人が心配した。
「だ、大丈夫だ…」
辛うじて答える。
『酷いな、耳鳴り』
『ふっ、御愁傷様』
ライジング・アポロとミラバルカンが心配してくれた。
「ね?、皆〜」
一人の女子生徒が駆けつけて来た。
なんだ? 急に。
「二組に転校生が来た」
転校生? この時期にか?
「しかも、クラス代表はその転校生に譲ったみたい」
更に強い奴が来たのか。
「でも、専用機持ちの生徒がいるクラスは一組と四組だけだから、余裕だよ!」
まぁ、そうかもしれないな…
「その情報、古いよ?」
「「「「「えっ?」」」」」
「?」
突然、違う声と今の言動に驚く俺達。
聞こえた方向に目を向けると、そこにいたのは、肩を出したツインテールの女子生徒がいた。
「中国代表候補生、鳳 鈴音? 私も専用機持ちよ?」
「「「「「えぇーー???」」」」」
「何?」
そうか、専用機持ちだからか!
「ふふ〜ん、アンタが馬神 弾ね。不思議な男のIS使いっての!」
「俺に何の用だ」
真剣な表情をして鳳 鈴音に質問する。
「決まってるわよ、アンタに宣戦布告よ?」
「良いだろう…」
「用は済んだわ。んじゃこれで!」
鈴音は二組の教室へ速効向かった。
「さっさと戻れ!」
「痛ーい?」
…前言撤回…
昼休み 食堂
「また、会ったわね? 弾?」
また、鈴音か…
「誰だ…貴様」
「何の用ですの…貴方様は」
箒とセシリアは動揺した様な声で鈴音に話し掛ける。
「誰って? 私は二組のクラス代表、鳳 鈴音よ。あんた等、弾と同じクラスの人?」
「決まっているだろう?」
「そうでなければ、一緒に居ませんわ?」
喧嘩が始まった…
大体、俺の前で喧嘩が始まるんだよな…
特に、箒とセシリア。
さて、今日はラーメンでも食べるか…
「あら、あんたもラーメン派なのね。気が合うじゃん! 私の事も鈴で良いわ。ごめんね、さっきは」
「あ、あぁ」
「「話を聞け(いて下さい)??」」
鈴音は二人を無視して、俺に話し掛ける。
その行動で、二人の顔は更に赤くなった。
放課後 第三アリーナ
箒とセシリアの訓練が終わり、今アリーナの更衣室で一人でいる。
「お疲れ? 弾!」
「鈴…」
スポーツドリンクを持って来た鈴。
鈴はそれを俺に渡した。
名前覚えるの、早いな…
「…あんたも〔カード使い〕なの?」
「っ! 何故それを?」
鈴が発した言葉は当たっていた。
「あんたのISは恐らく、[ライジング・アポロ]。あのカードを元にしたのね」
「??」
俺のISまでも?
「知っている? 私だって〔カード使い〕なのよ」
「何?」
鈴はカード使いだったのか?
俺は思わず眼を開く。
「まぁ、良いわ。私の[龍ちゃん]で叩き潰してあげるわ」
「良いだろう…受けて立つ?」
俺は鈴に宣戦布告を掛けた。
弾side
クラス代表戦 当日 第三アリーナ
「逃げずに来たのね」
「決まっているだろう…宣戦布告を受けたからにはきっちりとやらないとな!」
「良い度胸ね」
俺は鈴の挑発をしれっと返す。
鈴のISは両肩に球の様な物がそれぞれ付いている、赤紫と黒で構成されていた。
「言っとくけど、あんたのISの威力も凄いけど、私の甲龍だってお手の物よ。つまり、ステータスはやや同じって事よ」
そうなるのか。
《それでは両者、試合を開始して下さい》
「はあぁぁぁぁあ?」
俺は合図と同時にライジング・アポロの爪で攻める。
「ふんっ!」
ガキンッ!
しかし、鈴は斧の様な物で俺の攻撃を防ぐ。
「罹ったわ?」
鈴の球体から何かが光り出した。
ズガァァァァァァァアアン???
「ぐあっ? 」
何かに当たって地面に叩きつけられる。
「がはっ?」
二つの衝撃で俺は吐血した。
何だ? 今の?
「ふふふっ、今のはジャブだからね」
鈴はそう言うと、また、球体から何かを放った。
早い?
しかも、見えない?
ドガンッ!
俺は辛うじて避ける。
反応するのが精一杯だ?
「凄いじゃん! [衝撃砲]は砲身自体見えないのに!」
厄介だな…
なら…
「頼む! ミラバルカン!」
『オウよ?』
俺はアポロからバルカンに変える。
「へえー、あんたも形態変型出来るんだ」
「何?」
「んじゃ、私も。[龍ちゃん]! お願い?」
鈴が言った後、鈴のISが濃い緑に変えた。
フェイスアーマーは金色に変わった。
「これが私の形態? [烈甲龍]よ?」
バトスピか? 聞いた事が無い名前だ…
すると…
ズガガガガガンッ??
「なっ?」
全身に衝撃が走った。
しかも、目の前にいた鈴がいなかった。
何があった??
「私はこっちよ?」
ズガガガガンッ?
「うあっ!」
後ろにまた、衝撃が走った。
振り向くと鈴はいなかった。
「これが、この形態の特性、[烈神速]よ? これを防ぐ人は今まで誰もいないわよ?」
早い?
これが、鈴の戦い方か?
『弾!』
「何だ、ミラバルカン?」
ミラバルカンが話し掛ける。
『俺の眼を使え?』
「なっ? 何を?」
『使えってんだよ? 俺の眼を??』
「わ、解った?」
焦りながらもミラバルカンの提案を聞く。
すると、何もかもがゆっくりに見えた。
鈴も見える。
よし!
来た?
バキッ?
「キャッ?」
クリーンヒット?
鈴に大ダメージを与える。
しかし、俺の腕に強い衝撃が来た。
「ぐうっ?」
「や、やるわね? あんた!」
「お前もな!」
俺達はお互いに強さを知った。
その時、
ドオォォォォォォォン?
アリーナの中心から轟音が響き渡った。
《アリーナの中心に正体不明のIS! 会場にいる皆さん、急いで避難して下さい?》
次々とシャッターが閉まっていく…
煙が晴れ、そこにいたのは…
「あ、あ…あれは?」
あれは、あの二人の約束のカード…
終焉の機神 ラグナロック…
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