いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した |
第十九話 スフィア全開!ガンレオン・マグナモード!!
「地球人類緊急連合Z○UTH。第三補給部隊隊長機ガンレオン!階級は曹長です!異様な熱量を感知したのでこちらの方に出向いた次第であります!」
よし、嘘八百で切り抜けよう。
にわか知識だけを装備して、いざ、ねじ伏せよう。管理局執務官。
「む、むむ。こ、これは失礼した。只今、こちらの方で追っている者達がいたので結界を張らせてもらった次第だ」
俺がビシッと敬礼を取ると少し拍子抜けしたかのようにクロノの方も敬礼して返す。
「…申し訳ありませんが自分は時空管理局という部隊を聞いた覚えはありません。国籍を教えてはもらえないでしょうか?」
「う、そ、それは…」
「…答えられないと?」
俺もだけどね。
「む、ぐぐ。そ、そういうわけでは…」
(クロノ、何をしているの!?結界を張っている人を見つけたよ!)
(彼の事は後回しに!サーチはこちらの方で続けるから、闇の書の騎士の確保を優先して!)
クロノはしどろもどろになりながら俺の質問に答えているとなにやらどこからか通信を受けたのか不意に空に顔を向ける。
「す、済まないがこちらは火急の用事があって、また、今度…」
「では、翌日の正午。この町の喫茶店、翠屋という所でお会いしましょう」
「っ。う、うむ。そうしてもらえるとこちらもありがたい。で、では、失礼する!」
「はっ!お疲れ様です!」
ビシッ。と敬礼するとクロノは夜の空へと飛んで行った。
・
・・
・・・しゃ。
よっしゃああああああああああああ!切り抜けたぁあああああああああ!
正直一杯一杯だったよ。穴だらけのチーズよりもたくさんの穴があったのにそこを突かれないでよかったぁああああ。
普通、気づくのに…。よっぽど急いでいるのか?
そんなことを考えながらこの結界の外に出ようとしたら…。
ギィイイイイインッ。
(にゃあああああああああああ!?)
「ぬあああああああああああ!」
まるで辺りの空気を震わせるかのような金属音が鳴り響いた。
その音は思わず耳を押さえないといけない程に大きく、俺の中で眠っていたアリシアも跳ね起きた。
さらに、
(なううううううううううう)
ど、どうしたアリシア?ナニカを堪えるかのような声を出して?
(…お、お兄ちゃん)
声が弱弱しい。アリシアの身に何か起こったのかだろうか?
(…興奮した?)
はったおすぞ、こら。
俺は思わず、ユニゾンを解こうとしたがアリシアの方がそれを拒否した。
(…や。なんか、怖い)
アリシアは何かに怯えている様子だった。
しばらくすると幾つもの爆砕音が鳴り響く。幾つもの極太の桜色のレーザーとそれを強調するかのように幾つもの緑の光線が夜を切り裂くように放たれ続けられていた。
(…お兄ちゃん。…逃げよう)
アリシアが本気で怯えている。それなのに…。スフィアがどんどん力を引き出している気がした。というよりこれは共振?
ここは、退くべきなのだろうか。
それとも…。
(…アリシア。あそこに行ってみよう)
(…う、でもぉ)
いざとなったらマグナモードで逃げればいいし…。
(うう〜)
アリシアは出し渋ってはいるがここにいたままではらちが明かない。それにこの結界からどうすれば出ていけるかもわからない。…レンチで殴って壊せばいいのか?
(明日、一緒に風呂に入って頭を洗ってやるから)
(じゃあ行く)
「切り替え早いな」
プレシアがいるときはプレシアと一緒に入りなさいと言い聞かせているがいない時は俺がアリシアの頭を洗っている。
それでも、一人で入るように言ってはいるのだが未だに五歳の幼稚園生。まだまだ、誰かに甘えたいのだろう。
「じゃあ、行くか」
(うん♪)
アリシアは嬉しそうに俺の意見に賛同した。
ガンレオンでクロノが飛んで行った場所を目指して俺達は足を進めた。
俺には確かめたいことがあった。
さっきの耳鳴り。もしかしたら、もしかするかもしれない。
「…がはっ!」
ズドォォオオオオンッ。
「クロウ君!あうっ」
「なのは!がはっ」
クロウ君が地面に突き落とされたと同時に私は彼にのど元を押さえつけられる。
それを見たフェイトちゃんが斬りかかって来たけど私同様にのど元を押さえつけられた。
私達は三度闇の書の騎士さん達と戦っていた。
最初の一回目はクロウ君がロボットさんに負けて、二回目はフェイトちゃんが助けに来てくれた。そして、この三回目でようやく彼女達を捕まえきれると思った。
クロノ君が一度仮面の男の人に襲われて状況が不利かと思ったけどユーノ君のフォローもあってか仮面の人を逃すも闇の書の騎士の一人を捕まえた。
だけど…。
その瞬間に強烈な魔力と一緒に夜空に白と黒の入り混じった太陽みたいなものが急に現れた。
そして、
そこから現れた所々に鋭角的なフォルムをした黒い全身鎧の人がその手に持つ剣でクロノ君、ユーノ君を一瞬でなぎ倒した。そして、魔力を蒐集される。
さらには外にいた結界の外にいた管理局員さんたち張った頑強な結界をその鎧の両肩から照射されたビームで破壊し、闇の書の騎士達と数回言葉を交わすと彼等をこの場から撤退させた。
「な、なんで…。なんでSPIGOTが効かない!」
「不思議かい?『揺れる天秤』?僕に勝てないことが?」
「ゆ、『揺れる天秤』?」
地面に打ち落とされたクロウ君に黒い鎧の人はつまらなそうに吐き捨てる。
「君はスフィアを使いこなせていると勘違いしている。確かに強い意志が必要だ。だけど、意思の種類が違う。君は『選択』しなければならない。悩まなければならない。そうしないと天秤は揺れない」
「…ぐっ」
クロウ君は思い当たる点があるのか悔しそうに顔を歪める。
「フェイトとなのはを離せぇえええええ!」
人型に変化したアルフさんが黒の鎧の人の正面から殴り掛かるがその鎧は砕けることなくアルフさんの拳を受け止めた。
ガァアンッ。
「く」
「そんな攻撃では何十回やっても意味はな…」
悔しそうに顔を歪めるアルフさんに鎧の人が言葉をかけようとした瞬間。
ガアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
―なら何百回でも叩いてやるさ!―
獅子の咆哮と共にあのロボット君の声が聞こえた瞬間に私達は鎧の人の手から逃れていた。
「ああ、もう。やっちまったよ!」
(全くだよ!だけど、長居も出来ないんだよね)
ロボット君の声だと認識した瞬間には鎧の人は地面に叩き落とされていた。そして、
「一気に決める。アリシア!」
(うん!スフィア全開!)
「ガンレオン・マグナモード!!」
私は初めて本当の『傷だらけの獅子』の姿を見た。
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