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「((誰もが願いし平和|フォルテシモ))ーーっ!」

 

 

あれから、どのくらいたったんだろうか。

桜の木の下、柔らかな風のなか……私は一人。

背中に感じる桜の樹から降り注ぐ桜光は、幸せのハジマリを祝福するようで。

桜の花びらが舞う中で私は、再会の時を待っている。

私の大切なマスター、レイジが来るのを…………。

 

 

そういえば……、いつも私は、まってる側だった。

ーー最後の戦い……。

なぎさちゃんと私は、想いを……すべてをぶつけあった。

思えば、あんな時でもマスターは私を助けてくれたっけ。

死ですらも巻き戻して、私を……遠くからでも守ってくれたんだよね。

信じあって、乗り越えた。

どうにもならないって諦めかけたし、どうにもならないとも、思った。

それでも、最後には……、乗り越えた。

私はーーーー。

信じて、信じ抜いてーーー、結末を変えた。

あの後、私が泣いてたことはマスター知らないんだろうけど。

信じることしかできないのは、とてもつらいことだった。

一人でオーディンに立ち向かったマスターを、私がどれほど心配したか。

 

 

それから……。

ーー龍一君との戦い、あの時だって。

私がどんな想いをしているのかわかっていても……。

マスターは私のためにすべてを尽くしてくれた。

それはわかってるけど、それでも……やっぱり、寂しかったし、怖かったんだよ。

譲れない想いがあるっていうことはわかっているんだよ。

そんな、優しいマスターだからこそ。

私も、本気で信じられたのかもしれない……。

そう、辛くても、悲しくても、信じられたんだよ。

 

 

あー、でもマスター、女の子には鈍いんだよね。

全くっ、私がどんなにマスターを好きかがわかってないんだよ。

だから平然と無茶するし……、強がるし、誰でも助けようとするし。

紅葉ちゃんを”人間として”生き返らせたり。命を掛けて、現実を超えて。

あの時だって、一歩間違えたら死んじゃってたんだよ。

でも、ずっと……、信じ続けて、私はーーーーー特別になれたみたいなんだよ。

二心同体だからわかるんだけれど……、わかっちゃうんだよ、でも。

なかなか、私のこと特別だとは言ってくれないんだよね。

……そういうところは、意外と素直じゃない。

っていうか二心同体なんだからその……私の気持ちにはどうして気づかないのかって、知りたいんだよ。

まぁ、マスター自身色々とあったから、そこは多めに見てあげよう。

あぁ〜……好きな人のことって、なんでも許せちゃうね。

「まぁきっと、いつか紅葉ちゃんの言ってた惚れた弱みってやつなんだよ」

そう、自分に言い聞かせて納得する。

というのも私はだいぶ落ち着いてないみたいで……、マスターに再会するのが楽しみすぎてどうにもならないよ。

え、笑顔で再会したいんだよっ。

 

 

ーー「やっと、会えたね……マスター」

不意に思い出した、顕現したあの日の記憶。

あの時からどれほどの時間がたったんだろう。

とても長かった気がする、ほんの一時だった気もする。

そもそも、初めてマスターと会うまでだって、私は待ちっぱなしなんだよ。

自我が芽生えてから約三年。

あの平和な一時には、カレーライスが食べたいって思った。

……実際食べたら辛かったわけだけれども。

「美味しかったな。初めて食べた、マスターのカレーライス」

「(そっか、じゃ、これから作ってやるよ)」

ーーーっ。

不意打ち過ぎ……なんだよ。

どうやら、私の存在は完全に認識されているらしい。

……マスターらしいっていえばマスターらしいよ。

「ーーーーーーーーーー」

「……久しぶりだな……」

マスターは、”私そのもの”とも言える桜の樹にそっと手を触れる。

神妙なその表情は、私が現界したあの日よりもちょっと大人びていて。

そんなマスターを見て、私の心にも幸せな日々の記憶が駆け巡る。

「お前のお陰で、俺は……色んなものを手に入れたんだ」

頬を濡らす涙を拭い、想う。

私も、マスターに、たくさんのものを……貰ったんだよ。

「幸せも、不幸も、喜びも、怒りも、悲しみも、楽しさもーーーーーーそして、大切な想い出も」

たくさん笑って、たくさん泣いて、たくさん……戦って、たくさん受け止めて。

そして…………、ずっと想ってた。

「ありがとなーーーーーー」

ーーっ、相変わらず、ずるい。

優しく桜の樹に語りかけるマスターを見てて……、

今わかったーーーーー。

マスターは、レイジは……、私のことを、戦略破壊魔術兵器としてでも無く、普通の人間としてでもなく、

”サクラ”として見ていてくれたんだーーーー。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー。

一陣の風と共に、私はこの世界に戻った。

そして、レイジはこちらを振り返って告げた。

「ーーーーーーおかえり、サクラ」

その声に私も、最高の笑顔で答える。

「ーーーーーーただいま、レイジ」

 

 

 

ひとときの静寂の後、

「待たせたな……サクラ」

「ホント……だよっ、私はずっと……いっつも、マスターのこと、待ってばっかりなんだよっ!」

目元が熱くなってるのを気にせずに走りだす。

「いや、だけど冷静に考えてみれば今回待ってたのは俺な気ーー」

「ただいまっ!レイジ!!」

うん、マスターが何か言ってるけど正直全く頭に入って来なかった。

私の胸は、再会の喜びでもういっぱいになってる。

だから……駆け寄ってそのまま、抱きしめる。

「ちょサクラっ、落ち着けっ」

そのまま髪をなでられ、涙でぐしゃぐしゃになった顔であっても、今までで最高の笑顔を見せる。

「ただいまなんだよ、レイジっ!!」

「あぁ。おかえり、サクラ」

桜舞う光の中で。

私の想いは、きっと、いつまでも続いて行くんだと思う。

と、いうよりも……私とマスターで、絶対に幸せな未来を気づいていくんだよっ!!

「レイジっ、私、今最高に幸せだよっ!」

「……俺も、そうかもしれない。待ってたぜ、サクラ」

優しく微笑むマスターと手をつないで歩き出す。

「待ってたのは私も一緒なんだよっ。レイジはいっつもいっつも、私のこと待たせるんだから」

他愛もない会話、そんな時間を大事にしながら。

これからは、きっと……ううん。

絶対にーー。

この日常を大切に守って、生きていきたいと思う。

何があっても、私は……、絶対に、笑顔で生きていく。

レイジと一緒なら、できるって信じてるから。

「ーーーーーー行こうか、レイジ」

マスターが信じ抜いて、私達が、創りあげた、”皆がいる大切な日常”に向けて。

宝石みたいな日々に。

「あぁ、幸せの連鎖をーーーーここから、始めよう」

ーーーーーーーーーっ。

「うんっ、うんーーーーっ!!」

誰かを犠牲にする物語なんかじゃない。

誰もが幸せになれる、そんな世界を信じて。

今までも、これからも、自分達の想いを信じてーーーーー。

説明
サクラ好き過ぎてヤバイipと申します。
人生初の二次創作です。脳内はそれなりに中二病なんじゃないでしょうか。
ラストシーンでのサクラの想いを想像して綴ってみました。
信じぬくことが、世界を変える一番の力になるとーーー信じて。
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タグ
ct045fort サクラ fortissimo 

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