魔法少女リリカルなのはStrikerS〜軍狼の生きる道〜第三話「狼は街へと出でる」 |
フェンリーがナカジマ家に住むことになった、翌日の事。
「つー訳で、今日から一緒に過ごすことになった、フェンリー・ルナエッジだ。よろしくな」
スバルとギンガに、軽めの自己紹介をするフェンリー。
「よろしくね、ルナ兄!」
「ル!?ナ!?」
「私はギンガです。よろしくね、ルナ兄さん」
「お兄さん!?どういう事だ!?」
「あら、ルナ君の方が年上だからその呼ばれ方は普通じゃないかしら?」
「そ、そうなのか…?」
「人間の間じゃ普通よ?」
「普通なのか!?」
「(フェンリー…見事にクイントに扱われてるな……)」
内心そう感じたゲンヤであった。
「さて、ルナ君。買い物するわよ!」
「買い物?」
「ええ、何時までもその服着てるわけにはいかないわ」
「そおかぁ?俺はこの服気に入ってんだが」
フェンリーは服の裾を掴んで言う。彼の服はその髪の色と同じ、水色の服だ。
「ダメよ!さあ、行きましょう!スバルとギンガも行く?」
「「行く!」」
「クイント、お前仕事は?」
「有給とったわ!」
「おいおい…」
「なあ、有給って何だ?」
「良いから良いから♪行きましょ!」
クイントはフェンリー、スバル、ギンガを連れて買い物に行った。
「おぉ……」
フェンリーはミッドチルダの首都。クラナガンの街並みを見て口をポカーンとあける。
「どう、クラナガンの街並みは?」
「なんてゆーか……すげぇ……俺の居たところじゃこんなのはぜってーありえねぇ……」
驚きを隠せないフェンリーの様子を、クイントは笑顔で見る。
「ルナ兄!服屋さんはこっちだよ!」
「ひっぱんなっての!」
「コラ〜!先に行っちゃ迷っちゃうでしょ〜!」
先行したスバルとフェンリーの後を、クイントとギンガが追っていった。
服屋でフェンリーの服を買った後、アイス屋へと赴いたナカジマ家一行。
スバルはバニラ、ギンガはチョコ。フェンリーはメニューを見てずっと悩んでいた。
「ル、ルナ君?そこまで悩まなくても……」
「……」
そしてフェンリーは目をカッと見開き
「ミントで!」
クイントはガクッとこける。
「そんな悩んだのにミント!?」
「悪いかよ」
「悪いわけじゃないけど……」
「はい、兄ちゃんお待ち!」
「おう、おっさんありがとな!」
ミント味のアイスを受け取ったフェンリーは、一口食べる。
「!?……なあ、アイスってすげぇうめえな…!」
「だよね!アイスっておいしいよね!」
「ああ!こんなうまいもん食えるなんて人間捨てたもんじゃねーな!!」
「うん!」
変なところで意気投合した、スバルとフェンリーであった。
「は、はは……あれ?」
クイントは空笑いした後、ギンガが居ない事に気づく。
「スバル、ギンガは?」
「ギン姉トイレ行くって」
「そう?ならいいんだけど……」
安心したクイントだった。
だが……
ギンガは10分経っても戻ってこなかった。
「ギン姉遅いね……」
「迷ったのかしら?確かに此処からトイレって少し遠いけど……ちょっと見てくるから、スバルはルナ君と…ってあれ!?」
気づくとフェンリーの姿がなかった。
「スバル!ルナ君は!?」
「あれ!?居ない!?」
「ルナくーん!」
「お母さん…スバル…どこ…?」
お手洗いが済んだギンガは、クイント達の所に戻ろうとしたのだが……
「ここどこ?迷っちゃった……」
どこを見渡しても、クイント達の姿は見えない。
「ぐすっ……」
瞳に涙を溜め、その場にしゃがみ込む。すると
「よぉ、ギンガ」
「え?」
ポンっと頭に手を置かれる。手の主はフェンリーのようだ。
「ルナ…兄さん?」
「来るの遅かったから来てみたが……何泣いてんだ?どっか痛えのか?」
「うぅ…!」
ギンガはフェンリーに抱きつく。
「お、おい…本当に大丈夫か?」
「うぇええん……!」
「おーい……」
それからギンガは泣き止むまで、ずっとフェンリーにくっ付いていたという。
そしてクイント達と合流したフェンリーとギンガは、クイントからお叱りを受け、その後帰宅した。その帰り道。
「ルナ兄さん」
「あ?何だ?」
「手…つないでもいい?」
「別に構わないぜ?」
ギンガはフェンリーとぎゅっと手を握る。
「えへへ…♪」
「ギン姉ずるい〜!わたしも〜!」
スバルはギンガと逆のフェンリーの手と繋いだ。
「えへへ〜♪」
「おいおい、頼むからまたひっぱんなよ?」
「は〜い♪」
「クスッ(まるで本当の兄妹みたいね♪)」
クイントは、フェンリーと手を繋いで嬉しそうな表情をするスバルとギンガを微笑みながら見ていた。
説明 | ||
彼はミッドに来て、初めて経験する事がたくさんある。これはその一つのとある日である。 | ||
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