恋姫の世界に行ってくる 第六幕 |
<海斗サイド>
「ふぅ、あの様子じゃあ、俺の役目は終わったな。
つか、これ全部俺が殺したのか・・・何人死んだろうな・・・まぁ1000は超えてんだろ。」
助けに来た公孫賛軍は瞬く間に賊を討伐し、投降するものも多く、殆どが捕虜となっていた。
「まあ投降する奴を普通に助ける辺り劉備らしいな。
それがいつか自分の身を苦しめなければいいけど。さて、どうしたもんか。
せっかくの旅の出立もおじゃんになっちまったし・・・」
もう直ぐ日が暮れる。夜に出歩くのは得策ではない。一晩村に留まり、
明日出立しようと考えてたとき、
「ひいぃぃぃ!だ、だれか、助けて!」
「ん、まだ生きてやがったか・・・」
声の方を向くと、賊の一人が肩の辺りを押さえながら助けを求めている。
「た、頼む。助けてくれ・・・俺には、つ、妻と息子が居るんだ・・・わかるだろ!な!」
こいつらは・・・自分さえ良ければそれでいいのか。
けど怒りも沸いてこねえ。
・・・俺も似たようなものか。
「テメェは今までそう言って助けを求めた奴を、何人殺してきた・・・」
「そ、それは・・・」
・・・言い返せないか。
「お前も味わえ、お前の殺してきた奴の痛みの、万分の一でも・・・」
そう言って、大蛇を首に持っていき、
ズバアァァ
<桃香サイド>
「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん、星ちゃん!大丈夫!」
私は心配だった。いつも前線で戦ってくれてる三人の事が。
だから、戦が終わったら一番に三人の元に行くようにしてる。
「桃香様!いつも言っているではないですか。前線は危ないので私達が迎えに行くまで
待っていてくださいと。」
「にゃはは〜、愛紗は心配症なのだ!」
「全くだ。愛紗よ、あまり過保護すぎるのも良くないぞ。」
「誰が過保護だ!私は桃香様の身を案じてだな。」
「それを過保護って言うのだ。」
「鈴々!」
私が駆け寄ると皆の元気そうな声が聞こえた。
「よかった〜。みんな無事で♪」
あ、そういえば。
「ねぇねぇ。私達が着くまで賊と戦っていた人は?大丈夫なのかな?」
遠くから見ただけだけど、綺麗な黒髪の女の人で、愛紗ちゃんぐらい強い気がしたな〜。
「ああ、そうですね。まだ先程の場所にいるようですし、会ってみますか。」
「あのおね〜ちゃん滅茶苦茶強かったのだ・・・」
「ふむ、鈴々の言うとおりだ。悪い奴とも思えないが、一応警戒だけはしておこう。」
「え〜なんで〜。私には悪い人には見えないけど。だって一人で村を守るために
賊の大軍と戦う人だよ。」
そんなに人が悪い人なはずないのに・・・
「いえ、星の言うことも一理あります。どこの誰だか分からない以上、
警戒だけはしておくべきです。」
「分かった。じゃあ早く行こ♪」
どんな人かな〜。
「あ、桃香様!お待ちください。」
<海斗サイド>
「はぁ、こんなに心が落ち着いてんのも、あんましいい気分じゃないな。」
初陣だった。始めて人を殺した。十、二十じゃない。千以上だ。
俺も色んな恋姫のssを読んできたけど、皆泣いたり、吐いたりしてたけど、俺は・・・
「マジで人じゃ無くなったのかもな・・・ん?」
すると向こうから4人の人影が。それが誰だかわかったが、
「こんなに早く出会っちまうとは、公孫賛の名前が出てきたからもしやとは思ったが。」
そして四人は俺の前まで来ると、驚いた顔をして、俺をじっと見つめてきた。
「・・・あまりジロジロ見られるのは好きではないのだが。」
そう言うと、4人は我にかえり、
「も、申し訳ない。ここで賊軍と戦っていたのは貴殿か?」
「ああ。」
「なれば、貴殿の名をお教えいただきたい。」
名前か。神崎海斗でも問題ないが、何か他のを考えるか。これから役に立つだろうし。
とりあえず考える時間を稼ぐか。
「人に名を聞くならまずは自分が名乗るのが筋ではないか?」
「そうだね、じゃあ私から。性は劉、名は備、字は玄徳だよ。とっても綺麗で強いんですね。」
「我が名は関羽、字は雲長だ。桃香様の一の家臣。」
「鈴々は張飛、字は翼徳なのだ。おね〜ちゃん綺麗なのだ。」
「私の名は趙雲、字は子龍だ。この村を守ってくれた事をまず礼を言おう。」
「・・・韓義、字は紅炎だ。」
理由は無い、ただ頭に浮かんだ文字を並べただけで。
「韓義殿。何故一人で戦われたので?」
何故か、そうだな。
「俺はこの村の人間じゃないが、皆余所者の俺に良くしてくれた。だから、
ただ恩返しがしたかっただけだ。」
「些か無謀ではありませんか?我々が来るのは知っていたでしょう。」
「なら趙雲さん。もし俺が時間稼ぎをしてなかったとして、
賊が村人を襲う前にここにつきましたか?」
少し意地の悪い質問だな。自分でも今考えれば無謀なことしてたな、と思う。
「・・・そうですな。多分間に合わなかったでしょう。しかし・・・」
それでも引き下がらない。そこに。
「まぁまぁ星ちゃんの言いたいことも分かるけど、こうして
皆無事だったんだし、細かい事は気にしない。」
と、満面の笑みで言われれば。
「ふっ、そうですな。」
「して、韓義殿はこの後どうされるので?」
「とりあえず村に戻る。本当は今日村を出る予定だったんだが、
もうじき日が暮れるからな。もう一晩お世話になるさ。」
そういうと、村を出ることを不思議に思ったのか、劉備が、
「え、村を出てどこに行くんですか?」
「旅に出る。一応武を嗜んでいるのでな。どこかの陣営に付いて力を発揮したいが、
その人物の人と成りを自分で見たくてね。まあ主探しの旅かな。」
そういうと、劉備が目を輝かせて。
「な、なら私達に力を貸してくれませんか!」
・・・やっぱりきた。
「何故俺を?」
「今のこの漢王朝は腐っています。重税や賄賂など、裕福になるのは偉い人ばかり、
民は圧政に苦しみ、遂には賊に身を落とす自分と同じだった民を襲うようになりました。
苦しむのはいつも弱い民達ばかり、
私はこんな世の中を変えたいんです!人と人は話し合えば、解り合える。
だから私は、誰も争わない、大陸の皆が笑顔で暮らせる世の中にしたいんです!
でも、今の私にはそんな力は無い。だから貴方の力を貸してください!」
と言って頭を下げる劉備。
そうか、ここの劉備は理解していないのか・・・なら、
「いい理想だ。」
「じゃ、じゃあ仲間に「甘ちゃんの考えるいい夢物語だ。」えっ。」
「この世の中を変えたい、というのは良い。誰の目から見ても漢王朝は終わってる。
だが劉備、お前は自分自身の矛盾を理解してない。」
「矛盾ってなんですか・・・」
「お前は今言ったな、「人と人は話し合えば、解り合える」ならなぜ力を求める?
解り合えるなら、先程の賊とも話し合えばよかっただろ。」
「そ、それは。」
「大陸の皆が笑顔で暮らせる世の中には、あの賊達は入っていないのか、
あいつ等だって、お前の言っていた弱い民たちだ。」
「・・・」
「誰も争わない世の中なんてない、大陸を平定しても賊は出るし、外国からの侵略から
身を守らなければならない。」
「・・・」
完全に黙りか・・・
「理解したか。お前の言っていることは嘘だらけの夢物語だってことを。」
「じゃあ、あなたはなんのために戦うんですか・・・」
俺が戦う理由か・・・そんなものは
「理由か、ないな。そんなものはない。」
「な!貴殿には何もないのか!この世の中を見てなんとも思わないのか!」
関羽が声を荒らげるが、そんなのは関係ない。
「思えないものは仕方がないだろう。始めて人を殺しても何も思わなかった俺に、
見たことも会ったこともない人が苦しんでいるのを憂えとでも。」
「人を殺して何も思わないだと。」
今度は趙雲が怒りを露にする。
「これ以上は時間の無駄だ。お前が思っていることを、俺も思っているとは限らない。
思想なんて、人の数だけあるからな・・・」
そういって立ち去ろうとする。
「自分の殺した人に何も思わないのか!罪悪感はないのか!」
「今日始めて人をこの手で殺した・・・今お前たちの目には、俺が悲しみや
罪悪感に苛まれているように見えるか?」
そう言いながら、俺は村に向かっていった。
あとがき
こんばんは、nontanです。
二日で7話も投稿してかなり寝不足です・・・
まあはじめての原作キャラとの会話はかなりシリアスになってしまいました。
自分桃香嫌いなんで・・・
所属する陣営はもう決めました。
どこに付くかはおたのしみで。
支援の数がちょっとですが増えてきました。
有難うございます
ご意見、ご感想、ご指摘があればコメントしていただけると嬉しいです。
でわでわ
説明 | ||
桃香達と出会いますが・・・ ぶっちゃけ桃香嫌いなんすよね・・・ |
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総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
2691 | 2401 | 9 |
コメント | ||
冥土へ誘う物アイリ様:コメありがとうございました。これから桃香は成長して行く、はずです。(a) 俺も桃香は好きにはなれない・・・言葉に重みが感じない(ヒロユキ) |
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