準備時間 嵐の前の静けさ |
一夏に案内されて男子専用の更衣室に入った僕。
凄く広い。元々、男子専用の場所など考えていなかったのだろうから一夏自身も驚いているのだろうが、それでも異常に広い。男子2人だけで使う様な所ではない。
「これは・・・広いね」
「だろ?オレも最初に来た時は1人で使っていいのかと思ったし」
「織斑君はもうここの学園生活には慣れたのかい?」
「慣れたっつうか・・・まぁ、何とかやれてるって感じか。それより、織斑君、なんて堅苦しい呼び方じゃなくていいぞ。名前で呼んでくれて」
「じゃあ・・・一夏君」
「君もいらない」
「・・・一夏」
「ん、何だ?」
「今の1年に専用機持ちは何人いる?」
「専用機持ち?え〜と、俺に箒、鈴、セシリア、シャル、ラウラだから・・・6人・・・かな」
「6人か・・・1つの塊の中にしては以上過ぎる数だな」
「そ、そうなのか?」
「訓練機は数多くあっても個々人のステータスに合うかは全く別次元の問題になる。元々女性にしかISが使えないとはいえ、適合するかどうかは話が別だからね。専用機持ちなんて1つの塊の中で2機か3機あれば多い方なんだからね。まぁ、それを言ったら僕達はイレギュラー中のイレギュラーなんだけどね」
「まぁなぁ・・・えっ、ちょっと待てよ。まさかお前も・・・」
「あぁ。僕も専用機持ちだよ、一応(・・)ね」
「一応?」
「最凶のね・・・」
「雪原って随分自信があるんだな」
「龍でいいよ。それに自身がある訳じゃないよ・・・ねぇ、一夏?」
「ん?」
「彼女達は自分の攻撃で自分自身を滅ぼしたりしないだろうか・・・」
「はぁ!?」
「・・・いや、何でもない」
そんな時に、授業開始のチャイムがなった。
「うわっ!ヤベェ!」
慌てて更衣室を出ようとする一夏の腕を龍が掴んだ。
「何やってんだよ!遅刻したらまずいんだぞ!」
「背中に乗って」
「はぁ?」
「その方が確実に早く行ける。その代わり道案内、方向の指示をして」
「・・・何だかよくわかんねぇけど、分かった。頼むぜ」
龍の背中に乗った一夏。
「いくよ。しっかり捕まって」
一夏をおぶったまま、走り出す。
「のわっ!」
「道は?」
「三つ目の角を左だ」
そこを突っ切る。
「二つ目の角を右。そこを真っ直ぐ行けば着く」
「スピードあげるよ」
「えっ、うぉっ!」
一瞬ながら一夏は龍の事を人間かどうかを疑ってしまった。
「(まさか・・・な)」
外側の日の光が見えた。
「あそこだね」
突っ切った。
が、そこにいたのは・・・
「遅い!」
仁王立ちで出席簿を縦に構えていた織斑先生だった。
「初日の1時間目から遅刻とは・・・それ以前に織斑、何故雪原に背負われている?」
「あ〜、いや・・・ははは・・・何て言うか・・・」
「ともかく、今朝話したとおり、遅刻者としてグラウンドを100周だ!」
「ちょっ、千冬姉・・・」
ビシッ!出席簿チョップが炸裂した。多分スイカ割りで使ったら綺麗に真っ二つになりそうだ。
「何度も言わせるな」
「ハイ・・・」
1周5キロのグラウンドを100周という事は、500キロ。そんな距離を走るのはせいぜいオリンピックの聖火隊位のものではいだろうか。
まぁ、教師にはむかうだけ無駄なので素直に指示に従う。脱水症状で倒れない事を祈りながら・・・
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男同士だとこんな感じなのかな | ||
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