only one |
「??♪」
両手にわたあめとリンゴ飴を抱えた私は今、すっごく幸せなんだよっ!
どうしてこういう状況になったのかというとね……、
レイジと二人、本島に旅行に来ていた私たちは、あっちにこっちに行ったり来たり。
私が、レイジが昔住んでいた本島に行きたいってお願いしたら、レイジはバイトしてお金貯めて、私のこと連れてきてくれたんだよ。
私は家でレイジのために食事を作ったり、洗濯をしたり、だいぶ色々出来るようになった。
多分、愛の力ってやつだよ!
……いろいろと、紗雪ちゃんには迷惑かけたなぁ。
その紗雪ちゃんも、「私も行きたい……」とか言いながらも今回は私達二人を送り出してくれた。
そのうち3人でお出かけもしたいんだよ。
っと、話それちゃったけどそれでね、私が駅であるチラシを見つけたんだよ。
”夏祭り開催15日?17日”
「ねぇねぇ、レイジっ、近くの神社でお祭りがあるんだって!!」
「へぇ?、結構大きなところだと思うが、行きたいか?」
「うんっ!」
と、まぁ……トントン拍子だったね。
幸い場所も東京から近くで、行きやすい場所だったし。
「んにしても、凄い人だな……」
と、若干うんざりした顔のレイジを横目に、私は両手にアメっ!
薄暗くなってきた街を提灯が照らす中、両手にアメを持ってごきげんな私。
そういえば、ミルキーウェイのデートの時も、このワンピースで両手に食べ物だったような……。
「わ、私はレイジのことが一番好きなんだよっ!!」
慌てて取り繕ったつもりだったんだけど、
「いや、どうしていきなりこんな人ごみの中でフェードアウトするんだお前は」
まんざらでもなさそうなレイジ。
うん、なんか間違えたんだよ。
……でも、ホントのことだからいいよねっ。
「も?っ、レイジも私と一緒なんだからもっと楽しんじゃいなよっ!」
勢いにまかせて私はレイジの口にリンゴ飴を放り込む。
「ほらほらっ、間接キスなんだよっ!」
「……、大きいな」
「そ、そんな、こんな人前で恥ずかしいんだよレイジっ…………」
そういえば気づいたらかなりベッタリなバカップル状態、ほ、ほめられて嬉しくないわけは無いんだけど、やっぱり恥ずかしいんだよ。
と、勝手にどぎまぎ状態に入っている私に、
「いや、アメのことだからな」
「……ですよね?」
「ふふっ、サクラが楽しそうにしてるから、俺はそれだけで大満足だからな」
「っーーー、マスター大好きっ!」
「いや、だから大きいって」
最近わかったんだけどね、私は嬉しくなるとレイジに抱きつく癖と、恥ずかしくなるとマスターって呼ぶ癖があるみたいなんだよ。
……愛情表現と照れ隠しなんだよ、隠れてないけどね。
「む?、また声のことだとか言うんだよマスターは」
「い、いや……今度はさすがに……その、いや……これは言えないだろ恥ずかしくて」
「わ?いっマスターが照れたっ」
なんとなく勝ち誇った気がして、飛び跳ねる。
そういえば周りに人はたくさんいるけど、お祭りで当たり前の雰囲気なのか、私達のことを見てくるひとは……、あれ、意外といる?
さすがに人前で甘え過ぎた気がするんだよ。
正直私も恥ずかしくなってきたので、
「マスターっ、早くいこっ!」
と、急かすことにした。
神社自体までもそれほど距離は無く、両手に食べ物を抱え、15分ほどで到着。
なんだけどね……、
「……この神社、かなり広いな」
レイジの言うように、かなり巨大な鳥居が正面に現れる。
「梶浦神社の何倍……なのかな」
正直、何倍で済むのか微妙なところかもしれないんだよ。
人もいっぱいいるし。
「ん?、でも、鳥居をくぐると、なんか神聖な感じがするんだよ?」
「いや、食べ物両手に言うセリフなのか……それは」
「き、気にしちゃだめなんだよっ。実際中にも屋台いっぱいあるし!」
「まぁ……そうだな」
なんだろう、なんだかんだワガママいって、それに付き合ってもらうって、すごく嬉しい。
女の子の特権ってやつなんだよきっと。
「とりあえず、まずはお参りだね」
「あぁ、微妙に本殿に興味が湧いた、これだけ広いってことはきっと相当だろう」
「確かに……、門の中に門があるもんね」
「……、だなぁ」
人の多さ的に微妙に気が遠くなりそうなのだけれども、
「じゃ、じゃあ……その………」
そっと左手をレイジの右手に押し当てる。
「ん?どうしたサクラ、口で言ってくれないとわからないぞ??」
「む?っ、わかってるくせにっ」
「どういうことだ?」
さっきの仕返しだと言わんばかりなレイジ。
なかなか主導権を握るのは難しいね。
「だ、だから……手、つないでほしいんだよ」
は、恥ずかしい……。
顔から火が出そうなんだよ。
ま、まあ……きっと暑いせいだね。
私がこのくらいで恥ずかしいわけないんだよっ!!
あれ、でもさっき恥ずかしいって、あわ、わ?っ。
「お、落ち着けサクラ」
マスターがぎゅっと手を握り返してくる。
ちなみにマスターの手も心なしか火照ってる。
手が火照るってなんだろうね、よくわかんないけどそんな感じ。
「サクラ、俺からーーー離れるなよ」
笑顔を向けるレイジ。
や、やっぱりレイジは最高のマスターなんだよ。
「いや?、これだけ人がいて、これだけの建物があると、確かに神妙なんだよっ」
どっちかって言うと興奮している気もするのだけど、それも含めて神妙。
お祭りの雰囲気っていうのかな。
それが私達には結構合っているのかもしれないよ。
実際本殿は金で装飾が施された巨大な建築物で、木造でこれだけのものを作った日本人ってのも凄いと思う。
「ほら、サクラ、前が空いたぜ」
レイジに前の空間に入れてもらって、なんだっけ、方法とかはよくわからないけど、とにかくお願いをする。
ちなみに、何を願ったかは内緒なんだよ。
それと、日本人は方法よりも、その気持ちにこだわるというのがまた、面白いね、
なんでも受け入れてくれるマスターの気質も、日本人っぽいのかもしれないって思ったんだよ。
「ふぅ、やっぱ人混みは大変だな」
「え、でもマスターと手をつなげて私は満足だよ」
つないだままの手を掲げて、笑いかける。
「じゃあ、このまま行くか」
「うんっ、ちなみにどこに?」
「あぁ、花火があるらしいから、見れるところに」
携帯電話を操作し、現在地とマップを表示するレイジ。
地元でもないのに、そういう情報をすぐ仕入れてきてくれる。
意外とネットとかに詳しいのか、よくわからないけど、私のために一生懸命になってくれてすごく嬉しい。
「えへへ、ありがと、レイジ」
「っーー別に、俺が好きでやってるんだからいいだろ」
「レイジがかわいいんだよ?」
「お前のほうが可愛い……よ」
っーー、胸がトクトク鳴ってる。
手をつないで歩きながらとか、どうするのかなこれ、私達完全にバカップルなんだよ。
なんて言うか、すごく嬉しい。
ううん、嬉しいなんて言葉だけじゃ表しきれないほどに幸せ。
宝石みたいな……そんな、わわわ、私何言ってるんだろう。
「結構暗い所行くけど、いいか?」
「わわわ私は構わないんだよ」
いや、落ち着け、落ち着くんだよサクラっ!
「大丈夫、マスターが望んでくれる限り私はどこまでもついていくんだよっ!」
「ーーーサクラっ」
「はい、なんだよ?っ」
レイジの一声で我に返る。
うん、やっぱり最高のパートナーだよっ。
「とか言ってる間に着いてるんだがな」
気がつくと周りに人はいなくて、私たちは広い空間に出ていた。
そこには、桜の樹が一本だけ立っている。
”いつもの場所”の桜の樹よりは小さな樹ではあるが、雰囲気的には近いものを感じる。
「レイジ、ココって……」
「実はな、サクラ……俺はもともとココに来る予定だったんだ。
ちょうどお前が行きたいって言ってくれたからよりサプライズにはなったと思うんだが、
あの時渡せなかったものを渡そうと思って……」
レイジに先導されるがままに、私たちは桜の樹の根本に腰を下ろす。
「…………、なぁ、サクラ」
ふ、雰囲気があの時に近いんだよ。
あの時っていうのは……その、
いつもの桜の樹の下で、レイジが。
「ずっと、俺のパートナーでいてくれないか……サクラ」
「ふぇ、そりゃもちろん、私はずっと、レイジのパートナーなんだよっ」
「そう……だな、いつも一緒に、沢山のことを乗り越えてきたもんな」
マスターが複雑な、何かを決意したような表情を浮かべて続ける。
私は、その意味を考えつつも、答えまでは見えていない。
「私は待ってたことが多かったんだよ、でも、レイジと一緒の日常は、本当に楽しかったし、
((あの戦い|ラグナロク))だってレイジがマスターじゃだったから乗り越えることができたんだよ」
「あぁ、お前がずっと、いつも信じてくれていたから、俺は戦い抜くことができたんだ」
ーーーー正直、待っているのは辛かった。
レイジが心配で、それでも信じることしかできない自分が悔しくて、悲しくて。
そんな私でも、一人の女の子としてレイジは大事にしてくれた。
レイジも、私のことを信じてくれた。
「だから……な、サクラ。
一生を、お前と共に過ごしたいんだ」
ーーーーーーっ。
桜の花びらが舞う中、レイジの顔は真剣そのものだった。
「聞いてくれ、サクラ。
俺はーーーーサクラに、一生のパートナーになってほしい
共に、笑って、泣いて、幸せを感じて、苦労して、そんな風に、生きていきたいんだ」
言葉が入ってこない。
レイジは、私をっーーーー私と。
「そ、それってーーーーーー」
「指輪は……まだ無いが、プロポーズだ、受け取ってくれるか?」
真剣なレイジはいつもどおりなのだけれども、どこか心配そうな顔をしている。
「ーーーーっ。すごく、すごく嬉しいっ!!
私で良ければ、よろしくお願いしますなんだよ、レイジっ!!!」
「お前でいいなんてもんじゃない、サクラがいいんだ……、
ありきたりなセリフだけど、本当にーーーーそういうことなんだ」
「ーーーーーーっ、最後に、一つ聞いていい?
レイジにとっての私は……、((戦略破壊魔法兵器|マホウ))?それとも、人間?」
ずっと、気にしていたこと。
レイジにとって、自分は何なのだろうか。
私はそれだけはどうしても聞いておきたかった。
「決まってるだろ、サクラはサクラだ」
……それだけに、想定外の答えが返ってきて、少し驚いた。
「私は……私?」
「そうだ、お前は兵器でもあり、人間でもある。
でも、どのような存在かなんて、正直どうでもいいんだ。俺はサクラのことが好き。
だから、サクラはサクラ。あえて言うとすれば、俺の最愛の相手なんだ」
頬を、涙が伝った。
そっか、私は私なんだ。
私はずっと、人になりたかった……。
だって、レイジは人間でだったから。
人間じゃない私はどこか、負い目を感じていたのかもしれない。
でも、私は人にはなれない。
ーーーーーだから、私は私なんだ。
「うぐっーー、っーーーレイジっ!レイジっ!!」
泣きじゃくって、最高の笑顔で、レイジに抱きつく。
意味がわからないけど、とにかく嬉しかったことは覚えてるんだよ。
「お、落ち着け、落ち着けって、とにかく、これからもよろしく頼むよ、サクラ」
と、いうレイジのプロポーズがあったんだよ。
「……、聞いてるか、サクラ?」
心配そうにレイジがこちらを見ている。
「ん?、聞いてなかったかもしれないんだよ
あの時のことを思い出していたから」
正直に、自分のことを伝えられるようにもなったと思う。
そういう意味では私も成長しているのもしれないね。
「なら、ちょうどいいや。
あの時渡せなかったものを、渡したいんだ」
有無を言わせずレイジは私の前に指輪を差し出した。
「受け取ってくれる……よな」
「もちろんなんだよっ、レイジ!」
私の左手の薬指に、桜の花びらをかたどった指輪がするりと、調度良くフィットした。
宝石のこととかはよくわからないけど、とても、私にピッタリだった。
「ーーーーーありがとう、レイジ」
「これからもーーーーーずっとずっと、よろしくな」
調度良く、大きな音が周囲に響き渡った。
空を見あげれば、巨大な花が咲き誇っている。
「ーーーー絶妙なタイミングだな」
「うんっ、最高なんだよっ、レイジっ!!」
そっと、唇をあわせ……、その後は二人で空を見上げ続けた。
桜の樹の下で見上げる光の花はーーーー忘れることのできない想い出で。
きっとずっと、幸せな未来を築いていけるんだと、
いや、絶対にずっと、レイジと幸せに生きるんだと、強く、想うことができたんだよ。
だって、彼の創った世界はこんなにも、優しいのだから。
だからこそ私は。
ーーーーーーレイジと二人なら絶対にできるって、信じることが、できるんだよ。
想いはーーーー信じれば、届くのだからーーーーーーーーー。
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人生2作目の二次創作ですが、やっぱりサクラが好きすぎて困りますww 健気で、優しくて、誰よりも女の子なサクラが大好きですっ! という感じに愛をそそぎたかったのですが、どうでしょうか? |
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