ToHeart2〜無くならないもの〜第一話 |
今俺は屋上にいる、ここで始まり……そして戦った中二の決戦の地
『何もなかったことにして』『離さないで、絶対』
それは俺とささらとの掛け合い(賭けあい)だったのかもしれない。
俺の名前は羽佐間(はざま) 幹(みき)。現在は姉と二人暮しをしているが姉は社会人になると同時に一人暮らしをすることなっていたので俺も一人暮らしになったのだ。両親は俺が小学生の頃から外国で仕事をしている現在も年に二回帰ってくればいいほうだ。だが不満があったわけじゃないそれもそれで家族愛はあったと思う。そして俺はこの中学の時に出会ったのだ“壊れてかけの人形(ささら)”と。
『無くならないモノ』
今日は中学の卒業式だ、この中学生活は中々に激しく、そして楽しかった。思えば俺らはまだガキで、それでいて大人になろうとしていて、それでもなれなくてだからこそ今があるのかもしれないってそう俺は思う。
「チミチミ、なにをしているのかね、こんなところで?黄昏ていいのはかわゆい女の子だけなんだぞい」
その声は普通じゃ聞けない声、いやこの場合は聞いていけない声なのかもしれない。俺は振り向く、俺らよりも一個上の先輩。だからこそ着ている服も高校のものだが
「なんでここに居るんですか先輩?」
その通り、彼女は一年前に、それはもう派手に最後を飾ってこの中学に黒歴史(でんせつ)を作って高校に上がった人。そして俺らの恩人(みかた)
「どうせ、チミのことだからこんなところで腑抜けていると思ってね生徒会長“代行”さん?もうそろそろ式が始まるけどいいのこんなところに居て」
「そうですね……そろそろ時間ですよね、だけどもう少し皆には待ってもらおうと思います」
「それは君のわがまま?」
「ふ、先輩の我が侭さが移ってしまったみたいですね俺も。もう少しだけ待っていただけますか?元生徒会長殿、いいですよね?」
現在時刻としては8時半を過ぎている。卒業式の開始時刻は9時、本来なら俺の役職としてはすでにリハーサルや段取りなど色々としないといけないはずだが、今日だけは譲れない物があった。俺もまだガキと言うことだろう、自分の思い通りにならなければ大惨事(たいへんなこと)になるのは目に見えているのに、それでも俺は、いや“俺達は戦った”だから今日で最後。最後の地
「しょうがないぁ〜だけど、信じているんでしょさーりゃんの事」
先輩はそう言う。すでに足音がしているので下の階段に向かっているのだろう
「もちろん、約束したので」
俺はそう言う。あいつとの約束、『卒業式には絶対に一緒にでましょう。出て一緒にお礼と謝りましょう?』それが約束。空港で俺らがまだ子供だって自覚した時に言った約束。
「それじゃあ先生達には私が言っておくよ。生徒会長“代行”がボイコットしたのでこの式は私が占拠したってね?」
「また黒歴史(でんせつ)を作るつもりですか?」
「伝説なのは、君たちだと思うよ。みきりゃん」
そして先輩は下りていった。そして俺は空を見る、今思えばよくあんな賭けに俺も成功したもんだ、俺もささらも奇跡を体感していたんだなと、屋上からの空を見ている。
“キーンコーンカーンコーン”“キーンコーンカーンコーン”
このチャイムは九時丁度の卒業式、始まりのチャイムだろう。俺はため息をついたが、すぐにため息を戻した……あの上から見える車は間違いないようだ。俺はすぐに走り出す、彼女に会うために
Side ささら
「ふふ、ささらは本当に楽しそうなのね。さっきから顔が笑っているわよ、流石は幹くんだわ。私たちでも無理かもね〜」
「もうママ、そういうことは言わないでよ」
「その通りだぞ、神楽」
「あら、それを言えるのかしら貴方?あなただって顔が緩みっぱなしよ、今日からささらとちょっとしたお別れなのにね、酷いパパだわ」
私は今、車の中。パパがレンタカーを借りていたので私達はすぐに飛行機から降りるとそのまま学校を目指した。
私の名前は久寿川ささら。昨日まで、いえ正確な時差の問題だと一昨日だけどアメリカに居た。中学二年生のとき、私はパパとママの人形(ささら)を捨ててミキの恋人(ささら)に変わった。だけど、私は人形から恋人に完全に代わるために少しだけミキと離れたのだ。その時に私は実感した、私達は子供だったと。
「確かにそうかもしれないが、かわいい子には旅をさせよと言うじゃないか神楽。それにしてもこの町は変わらないな、昔の感覚でも十分に進めるな。それでささら、時間は大丈夫かい?ってその顔はちょっと遅いみたいだね」
「うんうん、大丈夫だよパパ。だってミキだから」
そう、私は一年前の空港で約束した。最後の戦いに行くために、彼だって待っているそうミキだって。
「ミキ、ミキってささら…アメリカの時も、いやその前からだと思うけどずっとそんな感じね。愛ね」
「愛だね」
「もう、ママもパパも!」
私は恥ずかしくて少し声をあげた。こんな風に本当にパパもママも愛せるようになったのは間違いなく本当の愛情を教えてくれた彼(ミキ)のおかげ。
「しかし、この時間じゃあ卒業式は始まってしまっているんじゃ……わかったよ、ささらだからそういう怖い顔をしないでくれ、母さんそっくりに育ったなまったく。」
私がちょっとパパを睨むといつも決まってママに似ているという。そんなに似ているのだろうか?ミキは髪の毛は長い方が好きだからこのまま伸ばそうと思うけど、もう少し大人になったら髪の毛も切ってみようかな
「だけどささら、間違いなくこのままじゃ私たちはギリギリについても30分は遅れてしまうわ」
30分、そんなぐらいは彼も、そして先輩だってどうにかできる。そして私は一年前に戦った場所に戻った。
Side out
Side まーりゃん先輩
「フハハハ、このあたしを差し置いて卒業しようなど貴様らは何者じゃぁぁぁぁ!」
私にできることはこれぐらいだ。今の今までだって私を楽しませてくれたあの子たちの最後の賭け。私はもちろんあの子につくに決まっている
「あれって前会長じゃないか」
「てか、この感じで一年前の卒業式も一緒だったよな」
「ああ、覚えているぞそれ。あれだろう?生徒会長代行となったときの、てかその代行はどこに?」
「下手をするとあの前会長に捕まっていそうだな」
「確かに」
「つうか、先生と逃走劇も久しぶりにみたな。はぁ〜俺らも卒業だな」
「最後で伝説が見れている俺らは幸せなのかもしれないな」
卒業生はこんな感じで現在私の騒動に話している。そして先生達は
「ちっお前は前から!高校に行っただろうが、なぜこの日だけでも邪魔をする!」
昔お世話になり、そしてたまに今でもお世話になっている先生がいた。それは教頭先生だ、他の先生もすでに私を包囲して壇上にいる。だから甘いのだ大人は、それに保護者のみなさんだって笑っているじゃないか、これだからエンターテイメントを知らない大人は
「ご来場になった卒業生と保護者のみなさんには迷惑をかけるが、それでも私はやることがあるのだ!ガハハハハ」
「すげぇ!」
「さすがわ前会長だぜ」
「なにいってやがる、今の会長代行だって凄かっただろうが」
「まあなんせエンペラーだからね」
「面白いし、先生にも色々言うし結構楽しかったよな」
「グス、グス」
「もう泣かないの」
「てか前会長、普通にターザンじゃん、これじゃあ」
そして最初から用意しておいた紐で卒業生達の上をターザンのように駆け巡る。あと五分、しかしその時体育館の後ろのドアに人影が見えた、私はそのまま逃げるように後ろのドアに向かう。さあ、みきりゃんにさーりゃん後は頼んだよ
「先輩、確かに時間を稼げとは言いましたけど、だれがここまで混乱(盛り上げろ)にしろといいましたか?」
「ふふ、遅いぞ。私はもう疲れた、それじゃあ高校でな。生徒会長“代行”そして、生徒会長」
「「はい」」
そして二人の影が体育館に消えていく、さて今度は高校で目一杯楽しい事をしような、みきりゃん、さーりゃん。
Side out
俺は遅れながらも堂々と入る。これが最後だ、そう最後だ。いや違うか、始まるのだこれからが俺とささらの一歩だ。俺はそのまま先生方に謝りに行く、しかし教頭先生がこう言った
「まったくあのOGが。早くはじめよう、生徒会長代行」
その顔は笑っていた、たぶんわかっているのだろうこの人も。本当の目的を、そしてすぐに俺の後ろの生徒を見る。それはちゃんと制服を着ているがそれは一年間のスパンがある姿。
「いえ、この場合は彼女がいいでしょう。これで俺も代行を辞められそうです」
「ふ、そうか。校長先生もお待ちだ、さあ始めるぞそれじゃあ」
そして先生達は俺らを見る。
「遅れて申し訳ありませんでした」
担任の先生にも俺は謝罪をする、しかし帰ってきた言葉は
「また我々は負けたようだな。早く席に着け“卒業生”が。お前らなんか、はやく卒業しやがれ」
俺は一礼すると席に着く。隣には俺の事を拍手するようなモーションを、そしてクラスの奴らはお前らしいといった感じだ。さあ始めよう
「それではこれより第X回の卒業式を始めます。最初にこのたびは我が学校のOGが時間を遅らせて延ばせてしまった事を心より申し訳ありません。それでは最初に校歌斉唱、式は吹奏楽部、川辺さん」
「はい!」
そして最初は校歌斉唱。次に校長先生のお話、そして次にあったのは
「それでは卒業証書授与」
これだ、もちろん最初のクラスで一番の人から呼ばれていくのが、ここで先生達も反撃をしてきた
「それでは……生徒会長、久寿川ささら」
「はい!」
そして起こったのはざわめきだ。それもそうだ、さっき確認した生徒居たが、てか俺のクラスだけだろうが、先生達の席から出てきたのは、“現”生徒会長だ。俺らのクラスは体育館での最後4組であるがためにささらの入場はさすがに見つかったが、その際はなにもおこらなかったざわめきだがさすがに他の三クラスとなると起こった。それもそうだろう、アメリカに行ってしまったはずの生徒会長が今この場にいるのだから
「第4049号久寿川ささら殿20XX年三月五日。あなたは本校所定の全課程を修了したことを証する」
そして練習も無くもささらはうまく、そして綺麗に貰いそして俺を見る。目は涙で一杯のはずだけどあいつは笑っている。そう、これは終わりではない、始まりだから。
そして徐々に人数も減っていき、俺の番になるはずだった。しかし
「出席番号14番、野村高貴」
「はい」
「出席番号15番……16番、日村太郎」
「え」
俺はつい、声に出してしまった。先生の方をみると、笑っていた。そして貰って帰ってきている生徒にも笑われた。どういうことだ。そして俺らのクラスの女子の最後が貰った、普通ならばこれでお仕舞いだろうが、だがちがった。そうこう言うことだったのだ
「生徒会長代行、羽佐間幹」
わざわざ俺を最後にしてさらに、出席番号ではなく役職で言った。これでは完全に俺とささらが目だってしますがまあいいだろう、俺はエンペラーだ、ささらを守ると決めたあの時から。だから堂々と行くだけだ。そして校長先生の前に立つ、そして校長先生はこう言った。
「以下同文」
笑いが体育館を包んだ。俺は最後だがある意味同じなのか、こんな一言で終わりだ。しかしマイクが外れたところで校長先生がこう言った
「おめでとう、そしてお疲れ様。羽佐間幹君、これが我々の最後の戦いだ。負けたが楽しかったぞ生徒会長代行(エンペラー)」
「ええ、俺も名に恥じぬ行動できてよかったです」
そして握手をする、そして俺は振り向く。普通ならばそのまま壇上から降りればいいが、俺はしない。振り返り、そして全員を前にして一礼。そして降りた、起きたのは拍手だ
「それでは、続きまして卒業生代表挨拶、生徒会長久寿川ささら、代行、羽佐間幹、前へ」
「はい?」
俺はもう一度先生の方を向く、しかしそれは先生達も聞かされていなかったようで焦っていた。すでに保護者のみなさんて動じていないのにな。そしてよく司会者のところ見ると、問題児が居た
「どうぞ、前へ」
変声機まで使ってやることはないだろうが、先輩。俺らはしょうがなく、前に出る、いや正確にはつるし上げられた。確かにあの中二のときの騒動の貸しを返すのにはちょうどいいのかもしれない。ささらも同じだったのか、ため息をついているがそれでも嬉しそうに俺の横についた。
「卒業生代表、生徒会長でした久寿川ささらです。みなさんも知っているかもしれませんが私は本来、ここに居るべきではない人です」
『そんなことないぞ〜』
周りの生徒からそんな歓声も上がる
「ありがとう。ですが私は皆様に迷惑をかけました、先生もはじめ、そして両親、クラスメート。そして償うことなく私はアメリカにわたってしまいました。この場で謝罪させていただきます。申し訳ありませんでした」
そして一礼するささらはなんだか神秘的で、まるで女神が人に守りをあげるようなそんな瞳で、そしてまだ続く
「私がここに居るのも、みなさんのおかげでした。私はたった半分しかこの学校には居れませんでした。ですがこの学校にこれてよかったと思います、壊れかけの私を、人形から救ってくれた、みなさんに私から最後に言います…………ありがとうございました!卒業生代表、久寿川ささら」
轟音に近い拍手の嵐。そうこの学年は間違いなく迷惑をかけた、だから俺はそれを罪滅ぼしとして生徒の皇帝をなって先生にたて突いていた。今回もそうなのかもしれない、大人には子供だろうが、これでも俺らは大人になったのだ。そして拍手が終わり今度は俺の番となったようだ。俺は静かにマイクの前に立つ、眼をとじて、あける
「皆さん卒業おめでとうございます。といいましても私も一緒なのですが、こんなすばらしい卒業式を開いてくれた先生、そしてOGに感謝し私の言葉を述べたいと思います。先ほど生徒会長が申し上げたとおり私達は皆様に多大な迷惑をかけました、申し訳ありませんでした、罪滅ぼしも兼ねて私は生徒会にい続け、そしていつのまにか皇帝(エンペラー)などと呼ばれるようになりました。今回も送辞が無いのは次期生徒会がいないからでしょう、これもまた申し訳ありませんでした」
俺はそういうとみんな笑っていた。在校生も上の階で笑っていた、在校生は俺とささらの駆け落ちを知らないからな、これがどういうことかもたぶん今年度のことだと思っているだろうな。
「話を変えまして、私達はこの学校を巣立つと言うことに。高等学校に行くものや就職をするものなど様々な進路に全員向かいます。だからこそ私は声を大にして言いたい。私達は確かに子供です、それは変わりません、ですがそれでも…大人の一歩を確実に踏んで生きますだから今日の日は終わりではなく、始まりだと。以上で終わりにしたいと思います、卒業生代表。羽佐間幹」
在校生からの拍手とそして卒業生の涙の音がいい感じに聴こえてくる。ああ、終わったんだな、これで
「ミキ」
ささらはそう言って俺の方を向いた、彼女は泣いていなかった……子供のように笑っていた、ただそう、楽しそうに
「そうだな、ささら」
俺らはそう言い合うとそのまま席に戻った。
「それでは最後に仰げば尊しを謡いましょう。指揮は校長先生が直々にしてくれるそうです」
ああ、始まったんだ。これからが、俺とささらの人生(ものがたり)が始まるんだ。
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アクアプラスの作品、ToHeart2の人ヒロインである久寿川ささらとオリ主の広げるバカップルな青春二次小説です | ||
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