魔法少女イレギュラーなのは〜6〜 永次「どうしてこうなッた」 |
「……でけェなオイ」
それが、この現象を見た俺の最初の一言だッた。
町の真ン中にそびえ立つ、巨木、という表現も小さく感じてしまいそうな、そンなでかさの木。
さっきまで、俺は自室で小学生は本来寝るべき時間にも目を開けたまま、自分の時間を過ごしていた訳だが。
急に地震が起きたので慌ててカーテンを開けた。
そしたらこの光景、という訳だ。
……ちなみに、早く寝ることで有名な(?)我が両親は、全然起き上がる気配を見せなかッた。……熟睡し過ぎだろあンたら。
……しかし。
これはジュエルシードによるものな訳だが。
……不覚だッた。
木がそんなに成長すりャあ、根の影響でそりャ地震も発生するわ。
ンな事位気付けッつの俺。
原作知識すらも曖昧な結果がコレだよ。
今回はどォなるかねェ……まァ、あまり変な事は起きないはずだけど……。
リビングの方も気になるが……やッぱ、念の為原作を見に行くか。
という訳で、またもやこッそり家を抜け出す俺であッた。
「おーおー、やッてるやッてる」
家から徒歩10分未満の場所。
そこから、俺は木の方向を眺めていた。
能力の制限時間をセーブするため、今日は徒歩だ。
時たま見える桜色の光はなのはで……蒼の閃光は神楽、だろうか。
空を飛びながら、対策をたてているようだ。
「さァて、今回はどうなる……」
異変が起こればすぐ飛び出せる準備をしながら、外からの傍観、というか監視を続ける。
「ヴォォォォ……」
「!?」
背後から突然聞こえた奇妙な声。
慌てて振り返ると。
「ヴォォォォ……」
ゾンビの様な輩がそこにいた。
外見から考えて、大学生?
眼鏡をかけていかにもインテリ的な印象を受けるが、眼鏡の奥の瞳は焦点が合ッていないわ、口が半開きだわ、身体のあちこちが黒ずンでるわで台無しになッている。
……原作にャ、こンな悪質な真似をする奴はいなかッたはず。
……なら。
「転生者の仕業、か……ッたく、悪趣味が過ぎてンぜ?」
何をどう考えてこンな真似してるか知らねェし、この男にも悪いとは思うが……。
「……セットアップ」
『Stand by、set up!』
……ぶち、のめす。
頭痛に襲われるのを何とか我慢し、ベクトル演算。
自らにかかる重力を、そのまま今から振るう右腕の向きに合わせる。
ドゴッ!
それだけで、喧嘩の心得が無い俺の右ストレートが、十分な威力を叩き出す。
殴り飛ばし、敵が動かない事を確認してから、デバイスを待機させて演算を解除。そッと様子を窺う。
……む。
見れば、その男の身体からどんどん黒ずみが消えていき、ものの10数秒で完全に消えた。
……気を失ッてるだけで、脈拍、呼吸に問題は無さそうだ。
……洗脳系の能力か……?
だとしたら、またタチが悪い。
「「ヴォォォォ……」」
しかも、複数いたか……。
今度はサラリーマンと女子高生か。全く、めンどくせェな……。
オメガをセットアップさせ、また頭痛に襲われる。
まず、女子高生の方に接近して腕を掴み、次にその身体にかかる重力を操作、それを勢いに変えてサラリーマンへと投げ飛ばした。……よし、命中。
動かなくなッたのを見て、デバイスを待機させてから、またそれらの身体の具合を調べる。……さッきの奴と同じか。ッつか、洗脳してるとは言ッても身体能力は変わンねェ様だな。
それに、今更気付いたが……こいつら、身体能力は元と同じ癖に、あンな一撃喰らッといて全くの無傷、ッてのはどういうこッた……?さッきの大学生も、そういえば打撲傷も何も無かッたな。
……解ンねェな。ま、気兼ねなく殴れるッてのは良い事か。
ふと、デカい木とその周りを飛び回る2人を見る。
ンー……あいつ等を襲う可能性もあるか……。
……。
しョうがない、行くとするか。
という訳で、早足でデカい木へと向かう。
途中、1〜2体のゾンビッぽい連中と4、5回遭遇したが、その都度セットアップしてから、一気にぶッ飛ばした。
……と、そンなこンなで目的地に到着した訳だが。
無事にイベントは終了したようだ。
来る意味無かッたな……まァ、大した事も無かッたし良しとするか。
という訳で、帰りは残りの制限時間をフル活用し、屋根の上をジャンプしていく。理由は、なのはとか神楽に見つかると色々めンどくさいから。
……しかし、不安材料が出来ちまッたな……。
街の連中を洗脳して、その転生者は一体何をやらかす気なンだか。
……めンどくさくない事を望む。
とりあえず、今日はさッさと寝るとしますかね。
説明 | ||
これは、転生者たちがリリカルなのはの世界で転生生活を頑張るお話。 |
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