外史を駆ける鬼・IS編 第004話 |
外史を駆ける鬼・IS編 第004話 「腕試し」
真耶「今回の試合は非公式なので設備は何も用意してありません。私がコインを投げますので、それが落ちた時試合開始です。……それでは」
真耶が上空にコインを打ち上げる。その間にセシリアは自らのISを展開させて、コインが落ちるのを待つ。セシリアが見ている”落ち行くコイン”は、本人からすれば1分も2分も長く感じる。コインの音が地面に響き渡った時、彼女のISの主要武器であるスターライトmkIIIの発射音が響き直撃する。皆の目から見て、重昌はまだISを展開すらしていない状態。ISスーツの性能で、当たっても”死にはしない”であろうが、骨の1本や2本は覚悟しなければならない。やがて砂埃が晴れ彼の姿が見えてくる。…しかし弾丸は当たっておらず、代わり右肩に彼のIS”戦鬼”を部分展開させている姿が現れる。右手に持つは鉄の扇子。どうやらこれで防いだようだ。それで自分を扇ぎながら、涼しそうな顔でニヤ付く。
セシリア「くっ!」
セシリアは上空に逃げる。ブルー・ティアーズは遠距離戦に特化したIS。よってセシリアは上空からの狙撃による勝負にでる。一発ニ発三発…重昌の体のありとあらゆるところに弾丸を撃ち込むが、それでも彼の振るう鉄扇により阻まれる。
セシリア「ずいぶんと余裕ですわね。早く全展開しないと、泣きを見ることになりますわよ」
上空より挑発するセシリア。しかし当の挑発相手は左人差し指を彼女に向け黙って”かかって来い”と言わんばかりに指を動かす。セシリアも”上等ですわ”と言い、ブルー・ティアーズの後ろより青色の長方形の機械の固まりが飛び出す。固まりの名前ブルー・ティアーズ。セシリア機の名前の由来でもあり、装備数は6基で、4基はレーザー、2基はミサイルを撃つことができる。ブルー・ティアーズが四方八方に飛び立ち、空中で重昌を囲う様に放ちながら襲い掛かる。
重昌「おいおい。これじゃまるでファ○ネルじゃないか」
メタ発言と共に自らの反射神経で、ミサイルは避け、レーザーは当たりそうになれば鉄扇で防ぐ。
セシリア「避けてばかりで攻勢に出ませんと、このワタクシは討ち取れませんわよ?」
重昌「確かに尤もだが、君もこの私の間合いに入らなければ、倒せないのは道理」
そう言うとセシリアは”入れなくて結構。撃ちし止めますので”と言い返し、mkIIIで的確に仕留めにかかるが、その猛攻にも重昌は耐える。
セシリア「ワタクシのこの猛攻に良く耐えますわ。しかしいつまで持つことかしら」
四方八方よりの弾幕。逃げ場所を制限されてからの上空からのスナイプ。そして重昌は戦鬼の腰を部分展開し、リボルバーを取り出し、ブルー・ティアーズに向けて発砲する。しかしオートモードで避けられる。
セシリア「ほほほ、そんな銃撃でワタクシのブルー・ティアーズは仕留められませんわ」
彼女は更なる猛攻を重昌に浴びせる。そんな中でも彼は冷静にリボルバーから弾丸を放ち、ブルー・ティアーズの機動性、速度、反応速度を確かめ、リボルバーの6発を打ち終えた頃におもむろにこう言う。”誇り高きイギリス人よ。本当の射撃を見せてやろう”…重昌は急に訳の判らない発言をし、そしてまた訳の判らぬ所に銃を連射する。観客やセシリア達は、頭に血が上り過ぎておかしくなったのか?と思い始めるが、この行動をこの場にいるとある二人の人物だけが見抜いていた。だがほんの2秒たつと、ブルー・ティアーズは何か鈍い音を立てて一つ墜落していく。セシリアは何が起こったか判らずに、落ちていくブルー・ティアーズを見つめる。
重昌「セシリア・オルコットよ。貴女の目から見ても、ISの各所しか展開していない私に対し”手を抜いている”と思うかもしれんが、それは違う」
彼はそう言いながら、空の弾丸を捨て、腰のケースより新しい弾丸取り出し込める。
重昌「私はどの様な状況においても、手加減などはしたことが無い」
彼はまた銃をブルー・ティアーズとは関係ない何処かに乱射する。それにもかかわらずセシリアのブルー・ティアーズは一機、また一機と落ち困惑する。すると彼女の背中に突如銃弾が当たるが、振り返っても誰も居らず。改めて重昌の方を向き直すと…
重昌「チェックメイトだ」
そこには、自分の喉元に鉄の傘を突きつける彼の姿があった。セシリアは両手を上げて降服し、真耶は試合終了のブザーを鳴らす。
セシリア「……一体何が起きたといいますの?」
グラウンドに降り立ち、腰が抜けヘタっているセシリアに、グラウンド内に入ってきた千冬が彼女の謎めいていた解答を言う。
千冬「跳弾だよ」
セシリア「ちょう…だん…?」
千冬「そうだ。文字通り、壁や天井などに玉を跳ねさせ相手に当てる高等技術で、このアリーナ内のバリアーは円球型で、跳弾にはもってこい場所だ。それでブルー・ティアーズを打ち落とし、貴様の背中に跳弾を当て、後ろに気が周っているうちに影村は背中の後部スラスターだけを部分展開し、イグニッション・ブースト(瞬時加速)で一気に距離を詰め、持っていた鉄傘をお前の喉に突きつけた…とこんな感じだ」
重昌「敵に全てのタネを明かさず、最小限の戦力で潰しに掛ける。これが私流の”全力”だ」
その言葉を聞きセシリアは軽く笑い…
セシリア「全く、完敗ですわ。しかし絶対貴方の全力を引き出せる様なIS使いになってみせますわ」
重昌「その意気だ。人は目標を持ってこそ強くなれる。それより立てるか?」
セシリア「いえ、まだ腰が抜けて」
重昌「そうか。それなら…」
彼はお姫様抱っこでセシリアを抱き上げる。
セシリア「し、重昌さん!一体何を!?」
重昌「ん?もしかしたら負傷してるやもしれんから、医務室に運ぶのだが?…まぁ、こんな性格がおっさんの私に、担いで貰っても嬉しくないか」
セシリア「い、いえ{しかし私には一夏さんが}」
笑い飛ばす重昌に、頬を赤らめるセシリア。そして彼が彼女に耳元で”やはり、君のナイトの一夏君の方がいいよね?”と呟くと、顔を真っ赤にして、頭から蒸気を出す。こうして彼女は重昌に医務室に連れられ、グラウンドを後にするのであった。
千冬「……山田先生」
真耶「どうしました?織斑先生」
千冬「あの跳弾……マネ出来ますか?」
真耶「そうですね。私には出来ませんが織斑先生は?」
千冬「ある程度…当てるだけでしたら問題ありませんが、あれ程の正確な射撃はマネ出来ません」
真耶「そうですね。影村君は経歴を見ると、3年程傭兵をやっていたみたいですし、きっとその経験の応用から来たのですね」
そう笑いながら答える真耶に対し、千冬は去り行く重昌の背中を見ながら思考する。
千冬「{…果たして、ホントにそれだけであろうか?いくら最近ISを使える様になったからといって、一歩間違えば命に関わる部分展開での戦いを平気で行う度胸や冷静さ。ISスーツよりはみ出て見える無数の傷跡と強靭に鍛え上げられた肉体。改めて思うが、ホントに20そこそこの若造なのか?……影村重昌。奴は何者なのだ?本気を出せば、洗礼通りの名前のタナトス…死神になるのではないか?}」
こうして、セシリアと重昌の戦いは終えた。結局、戦いを見せられた1−3のクラスの生徒達は全員で重昌をクラス代表に仕立て上げたのであった。
説明 | ||
暑いねww 昨日のバイトは夕方にも関わらず暑かったです。 それではどぞ。 |
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コメント | ||
破滅の焦土さん>一応束の元で修行してましたからww(IFZ) やっぱり経験値が違いますね。(破滅の焦土) |
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