IS インフィニット・ストラトス 〜転入生は女嫌い!?〜 第十七話 〜告白〜
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〜学園内・医務室〜

 

医務室の一角、ベッドの上に寝ているのは先程まで壮絶な戦いを繰り広げていたクロウ・ブルースト。傍らには織斑 千冬が椅子に座りながら、船を漕ぎかけていた。

 

「ん・・・ここは?」

 

クロウの目が覚めると、千冬も完全に目が覚めた。

 

「起きたのか、クロウ。ここは学園内の医務室だ。体の調子はどうだ?」

 

「まあ、体全体が少し痛むくらいだ」

 

「やせ我慢はよせ。医者が言うには筋肉全体が疲弊しきっている。断裂している箇所もあるそうだ」

 

「そうか、すまないな。心配掛けて。そんで聞きたいんだが」

 

「な、何だ?」

 

千冬は何故か身構えるがそれには構わず、クロウは当たり前の質問をした。

 

「俺の事クロウって呼んでいるのか?そういや意識を失う直前も呼んでいた気がするんだが」

 

「そ、それは・・・迷惑か?」

 

そこまで言うと千冬は何故かうつむいてしまう。クロウはそんな千冬には気づかずに、自分の本心で返答する。

 

「いや、お前だったらいいかな。違和感もあんまり無いし」

 

「そ、そうか。それは良かった・・・。じゃあ私の事もこれから“千冬”と呼んでくれないか?」

 

「なんでだ?別に“織斑”でも俺はいいぞ」

 

「そ、そんな事は聞いていない。呼んでくれないか?」

 

「まあ、いいだろう。わかったぜ、“千冬”」

 

なぜか千冬は顔を赤く染め、そっぽを向いてしまった。クロウは意味が分からず、頭に疑問符を浮かべる。

 

「で、だ。ほかにも聞きたい事はあるんじゃないか?」

 

「・・・お見通しというわけか」

 

その言葉と共に、千冬の顔はいつもの険しい顔に戻った。

 

「じゃあ、聞くぞ。あの力は何だ?お前は一体何者なんだ?」

 

「・・・あいつらは今どうしてる?」

 

「一夏達なら、部屋の外にいる。部屋がうるさいとお前が起きてしまうかもしれないと言ってな、追いだした」

 

「ひどいことするな、お前。じゃあ部屋に入れてくれ」

 

「分かった」

 

千冬が席を立ち、ドアを開き外に呼びかけると、廊下から足音が多数聞こえ、最初に一夏が飛び込んできて、そのあとに続くように三人が入ってきた。

 

「クロウ!無事か!!」

 

「おお、悪いな、心配かけちまって」

 

クロウのベッドを囲むように、入ってきた四人が椅子に座る。

 

「クロウさん、お体の具合はいかかですか?」

 

「まあ、けがはしているが自業自得みたいなもんだからな。問題無しだ。」

 

実際は体中が筋肉痛なのだが、心配を掛けたくないのであえて大丈夫を言っておく。一夏が口を開くが、そこにはいつもの陽気さは無かった。

 

「クロウ、聞きたいんだけど」

 

「何だ?」

 

「・・・クロウって一体何者なんだ?」

 

その言葉がでた瞬間、部屋を静寂が包みこむ。次の言葉を発したのはクロウだった。しかしそこにはいつもの口調は無く、部屋が暗い雰囲気に包まれる。

 

「・・・見ていたのか?」

 

「ああ、みんなで退避したあと、アリーナのカメラで戦闘の一部始終を見ていたよ。クロウの目が金色になって、それで・・・」

 

言いにくそうに一夏が言い淀む。クロウはそんな一夏を見て、覚悟を決めたのか、最後の確認をする。

 

「・・・お前らそんなに知りたいか?」

 

千冬を除いた四人が首肯する。

 

「そうか・・・。じゃあ話してやるよ」

 

その答えに千冬がいささか驚いたようで、クロウに確認する。

 

「クロウ、本当にいいのか?」

 

「いいさ、千冬。こいつらなら信用できる」

 

「あれ、クロウお前千冬姉にタメ口を・・それに今“千冬”って・・・」

 

一夏が驚いたようで、質問したことも忘れているかのようにいつもの口調で言ってくる。

 

「ああ、その辺りも含めて説明してやるよ。まず言っておく。これから話すことは、全部夢物語みたいな話だ。信じるか信じないかはお前らに任せる」

 

四人は真面目な顔をして、クロウの次の言葉を待つ。

 

「俺、実は23歳なんだよ」

 

「「「「・・・はい?」」」」

 

 

 

 

それからクロウは千冬に話した事と、同じ事を話した。前の世界の事、自分のいた部隊の事、ここに来た経緯を。すべてを話した時、四人は最初、この話を聞いた時の千冬と同じ様な顔をしていた。

 

「・・・以上で俺の話は終わりだ。何か聞きたい事あるか?」

 

「「「「・・・(ぽかーん)」」」」

 

四人は皆口を大きく開けて、固まっていた。事情をあらかじめ知っている千冬は四人の顔を見て、静かに笑う。

 

「ふっ、あの時話を聞いた私もこんな顔をしていたのか」

 

「そうだな、こいつらと似たり寄ったりだ」

 

そんな事を話していると、四人が復活した。しかし、次の言葉はクロウの想像の斜め上をいっている物だった。

 

「そうかぁ〜、クロウが元軍人ねぇ。兄貴みたいだと思っていたけど本当に兄貴みたいな年だったんだ」

 

「23歳だったなんて。あの時普通の少年ではないとは思っておりましたが」

 

「それならあの強さも納得ね」

 

「うむ、私が負けたのも、至極当然の結果だったということか」

 

一夏、セシリア、鈴、箒の順番に感想を言う。たった今、普通ではない話を聞いたというのに、四人は普段となんら変わらず談笑していた。その光景にクロウは面食らう。

 

「お前ら、もうちょっと驚いたりしないのか?」

 

「いやでもさ、俺が知っているのはここにいるクロウだからさ。全部含めてクロウなんだろ?だったら今まで通りじゃないか。なんか上手く言えないけど」

 

「確かに驚きはしたが、この話をしてお前が変わるわけでもあるまい」

 

「むしろ疑問が消えてすっきりしたわ」

 

「貴方への評価は変わりませんわ。むしろあ、上がったかと・・・」

 

その言葉にクロウは多少なりとも救われた。なお最後の言葉は無視する事に決めたようで、ノータッチのまま、感謝の言葉を述べるクロウ。

 

「・・・感謝するぜ」

 

「さて、和やかな空気の所申し訳ないが。もうひとつ聞いておかなければならない事がある。クロウ、あの能力は何だ?」

 

部屋を再び静寂が支配する。

 

「・・・あれはブラスタの((単一仕様能力|ワンオフアビリティー))、スフィアだ。一時的に機体性能が何倍にもなり、火力もあがる。SPIGOTも際限無く使えるようになるな」

 

「スフィア?」

 

「正式には“揺れる天秤のスフィア”だがな。元々ブラスタのVXに搭載されていたものだ」

 

「でも、その能力を発動してなんで、クロウがあんな風になるんだ?」

 

一夏が質問する。ISの単一仕様能力を発動して、搭乗者が変わることなど世界を見渡しても、どこにもない。疑問は当たり前の事だった。

 

「スフィアを発動するには、条件がある。それは強く、揺るぎない意志だ。」

 

「強く、ゆるぎない、意志・・・」

 

千冬が静かに復唱する。ISを操縦していた千冬にとって、スフィアは信じられない程の力を発動していた。

 

「発動している最中、俺の意識はその意志に支配される。今回は“敵を倒す”という意志で発動した」

 

「まさか、私と一夏達を退避させたのは・・・」

 

「そうだ。発動した状態でお前らが俺を止めようとすれば、敵と認識して攻撃してしまう可能性もあった」

 

「じゃあ、なぜ瞳の色が変化しますの?」

 

今度はセシリアがクロウに問う。肉体が変成してしまうISなぞ、見たことがないのだろう。

 

「俺の瞳が金色になる時、それはスフィアの力を全力で発動している時だ。全力で発動しなければ、瞳の色は変わらないし、意識も支配される事はない」

 

「なぜ、全力で発動した?」

 

「敵の戦力が分からなかったからな。出し惜しみしている場合じゃなかったって事だ」

 

そこまで聞いて、一同は黙りこむ。千冬はゆっくりと口を開くと、素直な意見を述べる。

 

「・・・しかし聞いたこともないな、感情で威力が変わる兵器など。クロウ、お前の世界ではそれが普通なのか?」

 

「いや、スフィアは特殊な例だ。俺が知っているほかのスフィア持ちは、今は数人しかいない」

 

「そうか、じゃあ次からはスフィアは全力で発動するな。これは教師としての命令だ」

 

「分かりましたよ。((織斑先生|・・・・))」

 

疑問は出尽くしたようで、部屋が一時静かになった。すると思い出した様に一夏が爆弾を投下する。

 

「あ、そうだ。なあクロウ」

 

「ん、何だ一夏?」

 

「そういえばまだ聞いてなかったなって思って。なんで千冬姉にタメ口なんだ?それにどうして名前で呼んでいるんだ?」

 

「っ!(ビクッ)」

 

その質問にクロウではなく、なぜか千冬が身を強張らせる。

 

「ああ、タメ口は最初に会った時からなんだが、名前のほうはさっき言われたんだよ。名前で呼んでくれってな。篠ノ之と鳳もクロウでいいぞ」

 

その言葉に箒、鈴、セシリアの三人が素早く反応する。セシリアにいたっては、千冬をにらみ出す始末。

 

「分かった。それでは私も箒でいい」

 

「あたしも鈴でいいわ。それにしても千冬さん、まさか・・・」

 

「さ、さあお前たち!質問は終わった事だしクロウの邪魔だ、部屋から出ろ!!」

 

と千冬が恥ずかしさを隠すように話の流れを断ち切る。

 

「いや、俺は別に邪魔なんかじゃ 「うるさい!口を出すな!!」・・・はい」

 

そう言うと、千冬を含めた全員が部屋から出ていく。

 

「じゃあな、クロウ。また明日」

 

「養生しろ」

 

「お体をお大事に」

 

「さっさと良くなりなさいよ」

 

「クロウ、体が治るまで授業は出なくていいからな」

 

全員が見舞いの言葉を最後に残し扉から出ていくと、クロウはベッドに体を預ける。

 

「まったく、あいつらはとことんお人好しだな」

 

その様な言葉をつぶやくクロウの顔はその言葉とは裏腹に晴れやかだった。再び睡魔が襲ってきたのか、ゆっくりと眠りにつくクロウ。窓から入る夕焼けの光が静かにクロウを照らしていた。

説明
第十七話です。
スフィアについては多少公式設定とは異なる部分があると思います。
ご了承下さい。
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コメント
すいません、これ女嫌いって書いてますが、タイトル詐欺では?(獅子神様)
まぁ勇気や気合いとか野生の本能が動力源のトンデモ機体もあるがなwww(ジェガン)
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IS インフィニット・ストラトス SF 恋愛 クロウ・ブルースト スーパーロボット大戦 ちょっと原作ブレイク 主人公が若干チート ハーレム だけどヒロインは千冬 

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